タートル今田
Turtle Imada

ミャンマーの伝統格闘技ラウェイの試合(本人の写真ではない。監督作『迷子になった拳』の題材)
本名 今田哲史
誕生日 1976年
出身地 東京都
国籍 日本
職業 映画監督、元AV監督
活動期間 2004年 -
代表的な実績 ドキュメンタリー映画『熊笹の遺言』『迷子になった拳』
受賞 第2回横濱学生映画祭 学校対抗部門優秀賞(『熊笹の遺言』)ほか
事務所 ハマジム(2006年 - 2016年)
別名 今田哲史(映画監督名義)


概要[編集]

タートル今田(たーとる いまだ、1976年 - )とは、日本の映画監督・元AV監督である。映画監督としては本名の今田哲史名義で活動する。日本映画学校の卒業制作『熊笹の遺言』(2004年)が劇場公開されたのち、2006年から2016年までアダルトビデオメーカーハマジム(HMJM)に所属してハメ撮り作品を多数監督した。退社後、ミャンマーの格闘技ラウェイに挑む日本人選手を追ったドキュメンタリー映画『迷子になった拳』(2021年)を発表した。

詳細[編集]

映画青年時代[編集]

1976年、東京都生まれ。本人の談によれば、ヴィム・ヴェンダースの『パリ、テキサス』を観て「自分でも映画を作ってみたい」と考えたことが映画の道に進むきっかけだったという。

今村昌平が創設した日本映画学校(現・日本映画大学)に進み、15期生として学んだ。在学中には森達也を取材し、3年次には『ゆきゆきて、神軍』で知られる原一男と出会うなど、ドキュメンタリーの作り手と接点を持った。卒業後は原一男に師事している[1]。

卒業制作『熊笹の遺言』[編集]

卒業制作として監督したドキュメンタリー『熊笹の遺言』(60分)は、2001年にハンセン病国家賠償訴訟で国の隔離政策の誤りが認められたのち、元患者たちが現在をどう生きているかを追った作品である。群馬県草津町の国立療養所栗生楽泉園で暮らす谺雄二らが登場する。

同作は在学中から学生映画のコンクールで評価を受け、2004年5月29日にCINEMA塾の配給で劇場公開された。主な受賞歴は次のとおり[2]。

  • 第7回JPPA AWARD 2003 学生部門カテゴリーII エンディング部門ゴールド賞
  • 第2回横濱学生映画祭 学校対抗部門優秀賞(グランプリ)
  • 第13回あきた十文字映画祭 北の十文字賞・観客賞
  • Az contest2003 準グランプリ・観客賞

のちの2016年8月20日には、日本映画大学が川崎市アートセンターで開いた上映会「今村昌平のもう一つの遺産『日本映画学校・卒業制作傑作選』」でも上映され、上映後には当時の学長佐藤忠男のトークが組まれた[3]。

ハマジム入社とハメ撮り[編集]

日本映画学校出身のドキュメンタリー監督松江哲明の作品の編集を手伝っていた縁で、ハマジムのAVを観るようになった。V&Rプランニング出身のバクシーシ山下や平野勝之、高槻彰らの作品に惹かれていた時期に、ハマジムから誘いを受けて入社し、2006年にAV監督としてデビューした。ハマジムはカンパニー松尾が所属し、ハメ撮りを看板とするメーカーである。

ハメ撮りを手がけるようになったきっかけは、予算10万円でどれだけ面白いAVが作れるかを競う「H1グランプリ」というイベントだったという。初監督作品は『初恋 愛里ひな』。以後、タートル今田名義で多数の作品を監督し、熟女系の出演者を起用した作品も多く手がけた。ハマジム以外ではマドンナ、光夜蝶などのメーカーからも依頼を受けている。

2014年2月15日に劇場公開された『劇場版 テレクラキャノンボール 2013』(監督:カンパニー松尾、配給:ハマジム)には、カンパニー松尾、バクシーシ山下、ビーバップみのる、梁井一、嵐山みちるとともに参加者として出演した。東京から札幌までの約1500キロを6人の監督が車やバイクで競う企画である[4]。

作風(私小説的ハメ撮り)[編集]

作品では出演者へのインタビュー場面を長く取り、そこから撮影者と出演者の距離を縮めていく構成をとった。ドキュメンタリー出身の経歴を生かした、私小説的な手法のハメ撮りとして紹介されることが多い。

特徴的な演出として、作品のラストシーンで出演者のイメージ映像に重ね、監督自身がその出演者への印象や撮影を終えた感想を字幕の独白で述べる手法がある。視聴者が出演者を一人の人間として身近に感じられる点が、同系統の作品との違いとして挙げられている。代表的なシリーズには『卑猥なマドンナ』シリーズ(「旅へ」と題した旅行もの含む)などがある。

ハマジムの有料会員サイトでは、タートル今田名義のコラムも連載していた。

AV監督引退[編集]

2016年8月8日、自身のTwitterアカウントで引退を表明し、同年にハマジムを退社した。退社の理由について本人が詳しく語った資料は確認できていない。

引退後も旧知の監督陣との関わりは続き、2018年2月3日公開の『劇場版 アイドルキャノンボール2017』(監督:カンパニー松尾、配給:日活)には今田哲史名義で出演者としてクレジットされている。同作はWACK所属のBiS、BiSH、GANG PARADEの新メンバーオーディション最終合宿(2017年3月下旬、5泊6日)を記録したドキュメンタリーで、バクシーシ山下らも参加した[5]。

映画監督・今田哲史へ/『迷子になった拳』[編集]

『迷子になった拳』は、拳にバンデージのみを巻いて闘うミャンマーの伝統格闘技ラウェイに挑む日本人選手や大会関係者を、2016年から2019年にかけて追ったドキュメンタリーである。体操選手としての夢に破れてラウェイに転じた金子大輝や、一度格闘技を離れたのちに復帰した沖縄県出身の渡慶次幸平らが登場し、いわゆる格闘技エリートではない「迷子」の人々の群像として描かれる[6]。

制作の経緯は次のとおり。2016年ごろに別の映像制作会社が撮影を始めたものの完成の見通しが立たず、撮影を引き継ぐ人を探していた時期が今田のハマジム退社と重なったため声がかかり、2017年から途中参加した。2020年には新型コロナウイルスの影響で現地での撮影ができなくなったことも、物語を2019年までで区切る要因になった。編集はいったん約180分にまとめた後、プロデューサーの金田浩樹らの協力を得て仕上げた。

主なスタッフは、監督:今田哲史、エグゼクティブプロデューサー:久保直樹、プロデューサー:岡崎光洋・金田浩樹、撮影:今田哲史・金田浩樹・久保直樹、編集:今田哲史・金田浩樹、音楽:關洋平、挿入歌:GALAXIEDEAD。製作はマメゾウピクチャーズ、制作はTSO、配給・宣伝はSPOTTED PRODUCTIONS。2020年製作、110分[7]。

2021年3月26日、東京・渋谷のホワイトシネクイントほかで全国順次公開された。『熊笹の遺言』以来16年ぶりの劇場公開作である。公開初日には渡慶次幸平と今田が舞台挨拶に登壇し、今田は撮影当初はカメラを向けると渡慶次ににらまれたことを振り返り、最後に「何度でもみてください」と観客に呼びかけた[8]。公開にあたってはザ・グレート・サスケ、映画監督のいまおかしんじ、城定秀夫らが推薦コメントを寄せた。

同年7月から8月にかけては那覇市の桜坂劇場でも上映され、7月31日には渡慶次が舞台挨拶を行った[9]。

その後の活動[編集]

2022年以降の新たな監督作品の公開情報は、本稿作成時点で確認できていない。

監督作品[編集]

公開年 題名 名義 区分 備考
2004年 熊笹の遺言 今田哲史 ドキュメンタリー映画 日本映画学校卒業制作。60分。CINEMA塾配給
2006年 初恋 愛里ひな タートル今田 AV(ハマジム) 初監督作品
2006年 - 2016年 卑猥なマドンナ シリーズ タートル今田 AV 「旅へ」と題した作品群を含む
2006年 - 2016年 旅情不倫ドキュメント シリーズ タートル今田 AV
2006年 - 2016年 今日、あなたの妻が浮気します。シリーズ タートル今田 AV
2006年 - 2016年 温泉美人 シリーズ タートル今田 AV
2014年 劇場版 テレクラキャノンボール 2013 タートル今田 劇場公開作(参加・出演) 監督はカンパニー松尾
2018年 劇場版 アイドルキャノンボール2017 今田哲史 ドキュメンタリー映画(参加・出演) 監督はカンパニー松尾。日活配給
2021年 迷子になった拳 今田哲史 ドキュメンタリー映画 110分。SPOTTED PRODUCTIONS配給

余談[編集]

  • 『迷子になった拳』は『熊笹の遺言』から16年ぶりの劇場公開作で、デビュー作と同じくドキュメンタリーである。
  • 撮影中は試合前に選手がバンデージを巻く姿を撮り続けたと、本人が公開時のコメントで語っている。
  • 『熊笹の遺言』は日本映画学校の卒業制作でありながら劇場公開され、2016年には日本映画大学の「卒業制作傑作選」にも選ばれて再上映された。
  • ハマジム入社のきっかけは、松江哲明の編集手伝いを通じて同社の作品に触れたことだった。ハマジム時代も今田は、所属監督たちが競い合う「キャノンボール」企画に参加している。
  1. ↑ 「『迷子になった拳』今田哲史監督インタビュー」StoryWriter、2021年3月31日 https://storywriter.tokyo/2021/03/31/4693/
  2. ↑ 「熊笹の遺言」作品情報、映画の時間 https://movie.jorudan.co.jp/film/35849/
  3. ↑ 日本映画大学プレスリリース https://digitalpr.jp/r/17715
  4. ↑ 「劇場版 テレクラキャノンボール 2013」作品情報、映画の時間 https://movie.jorudan.co.jp/film/73714/
  5. ↑ 「劇場版 アイドルキャノンボール2017」作品情報、映画の時間 https://movie.jorudan.co.jp/film/88982/
  6. ↑ 「迷子になった拳」作品情報、映画.com https://eiga.com/movie/94248/
  7. ↑ 映画の時間ニュース https://movie.jorudan.co.jp/news/jrd_210202_02/
  8. ↑ 映画の時間ニュース(シネマクエスト提供) https://movie.jorudan.co.jp/news/topic_49318/
  9. ↑ 琉球新報、2021年8月5日 https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1369157.html

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