| バクシーシ山下 バクシーシ やました | |
|---|---|
| 本名 | 山下 浩司(とされる) |
| 誕生日 | 1967年1月27日 |
| 年齢 | 59歳 |
| 出身地 | 岡山県邑久郡(現・瀬戸内市) |
| 国籍 | 日本 |
| 職業 | AV監督・文筆家 |
| 肩書 | AV監督(クレジットは「構成・編集」を好む) |
| 活動期間 | 1990年 - |
| 代表的な実績 | 『女犯』シリーズ(1990年 - 1991年)/『テレクラキャノンボール』シリーズへの参加/著書『セックス障害者たち』(1995年) |
| 事務所 | フリー(1996年までV&Rプランニング所属) |
概要[編集]
バクシーシ山下(バクシーシやました、1967年1月27日 - )とは、日本のAV監督・文筆家である。V&Rプランニングで安達かおるの助監督を経て1990年に『女犯』で監督デビューし、作品をめぐる論争を通じてAVの表現と倫理が議論される契機となった。1996年からはフリーとして活動し、カンパニー松尾らとの『テレクラキャノンボール』シリーズにも参加している。
詳細[編集]
生い立ちと男優時代[編集]
1967年1月27日、岡山県邑久郡(現・瀬戸内市)に生まれる。本名は山下浩司とされる。大学は東海大学工学部の札幌教養部に進んだとされる。
大学生の頃、テレホンクラブ(テレクラ)の広告入りティッシュを配るアルバイトをしていた際にスカウトマンから声をかけられ、AV男優のアルバイトを始めた。当時は長髪で、安達かおるから長髪では撮影に使えないと言われて髪を短く切ったという経緯が伝えられている。
V&Rプランニング入社と監督デビュー[編集]
男優として現場に出入りするうち、カンパニー松尾の誘いを受けてV&Rプランニングに入社し、同社の代表である安達かおるの下で助監督を務めた。V&Rプランニングは1986年に安達が設立したメーカーで、カンパニー松尾、インジャン古河、TOHJIROらが在籍・参加したことで知られる。
1990年、『女犯』(にょはん)で監督デビューした。この作品のテーマは安達が与えたもので、山下が安達監督作品に男優として出演した際の演技が印象に残っていたことが理由とされる。『女犯』は1990年から1991年にかけてシリーズ化された。
『女犯2』をめぐる論争[編集]
シリーズ第2作『女犯2』(1990年発売)は、演出ではなく実際の加害行為に見えるとして、フェミニズムの立場に立つ市民グループなどから抗議を受けた。山下は1991年に作品を問題視するグループが主催した討論会に招かれ、撮影は演技によるものだと説明した。主催者側は、演技であるならば黒澤明並みの演出力だと評し、出演した女優の演技力を認める発言をしたと伝えられている。
この件はその後も、ノンフィクション作家の足立倫行の著書『アダルトな人びと』(講談社、1992年)や、『AERA』1997年10月13日号の人物記事などで取り上げられた。1998年には社会学者の宮台真司と上野千鶴子が雑誌『論座』の対談でこの問題に触れ、宮台は山下の作品を擁護する立場をとった。一方で、性暴力表現としての問題を指摘する論者による批判も続き、AVにおける出演者の同意や、撮影現場での演出と現実の境界をどう扱うかを論じる際の代表的な事例の一つとして扱われている。
また、V&Rプランニングの作品の一部は自主審査団体である日本ビデオ倫理協会の審査を通らず、同社は1993年3月に同協会から脱退している。
V&R時代の作品[編集]
V&Rプランニングでは、『女犯』シリーズのほか『激犯』『ボディコン労働者階級』『SMワイドショー マゾに気をつけろ!!』(1996年)などを監督した。『ボディコン労働者階級』のように社会の格差や労働を題材に取り入れた作品もあり、「社会派AV監督」と呼ばれることがある。1993年の『戦車とAVギャル』など、発売後に流通が止められ「封印作」とされた作品もある。
フリーとしての活動[編集]
1996年8月にV&Rプランニングを退社し、以後はフリーの監督として活動している。ハマジムやナチュラルハイなどのメーカーで作品を手がけ、1997年にはh.m.pから発売された作品も監督している。
2000年代以降は、カンパニー松尾が主宰する『テレクラキャノンボール』シリーズの常連参加者となった。同シリーズは複数のAV監督が車やバイクで長距離を移動しながら、道中での出来事を競う企画で、山下は『テレクラキャノンボール3』『テレクラキャノンボール2009』などに参加している。2014年2月15日には、東京から札幌までの約1,500キロを一週間で移動する『劇場版 テレクラキャノンボール2013』(監督・カンパニー松尾、配給・ハマジム、R-18、132分)が劇場公開され、山下はビーバップみのる、タートル今田らとともに出演者として名を連ねた。
映画・ドキュメンタリーへの出演[編集]
キャノンボール企画はアイドルのドキュメンタリーにも広がり、山下も参加している。2015年2月7日公開の『劇場版 BiSキャノンボール2014』(監督・カンパニー松尾)では、2014年7月に解散したアイドルグループBiSのメンバーを、6人のAV監督が1人ずつ担当して解散ライブ前後の数日間を撮影する企画に加わった。2018年2月3日公開の『劇場版 アイドルキャノンボール2017』では、音楽事務所WACKの合同オーディション合宿(BiS・BiSH・GANG PARADEの新メンバー募集)の裏側を撮影する監督陣の一人として出演している。このほか、映画『WHO KiLLED IDOL? SiS消滅の詩』(2017年)にも出演者として名前が挙がっている。
AV業界の歴史を扱ったドキュメンタリー映画『VHSテープを巻き戻せ!』(2013年)にも出演した。2008年の『全裸のランチ』、2014年の『死ぬほどセックスしてみたかった。』にも関わっている。
人物[編集]
- 多くの作品で「監督」ではなく「構成・編集」とクレジットすることを好む。自分は面白い人物を撮っているだけで、演出して作品を作り上げているわけではない、という考え方によるものとされる。
- 芸名の「バクシーシ」(baksheesh)は、ペルシア語に由来し、中東から南アジアにかけて喜捨や施し、心付けを意味する語で、ヒンディー語でも使われる。山下の芸名はこの語から取られたとされる。
- 師である安達かおるとは、師弟対談としてインタビュー記事に登場している。
- 同じV&Rプランニング出身のカンパニー松尾とは長く共同作業を続けており、キャノンボール企画のほか、トークイベントにも並んで出演している。
- 文章では、AV出演者の報酬の意味や、撮る側と撮られる側の関係などを、現場での経験をもとに語っている。中高生向けの著書では、自分の子どもに仕事の話をしにくいことを率直に書いている。
作品・著作[編集]
主な監督作品[編集]
| 年 | 題名 | 備考 |
|---|---|---|
| 1990年 - 1991年 | 『女犯』シリーズ | 監督デビュー作。V&Rプランニング |
| 1990年代前半 | 『激犯』 | V&Rプランニング |
| 1990年代前半 | 『ボディコン労働者階級』 | 社会風刺的な作品として知られる |
| 1993年 | 『戦車とAVギャル』 | 封印作とされる |
| 1996年 | 『SMワイドショー マゾに気をつけろ!!』 | 一部パートが封印 |
| 1997年 | h.m.p作品 | フリー転身後 |
このほか、1992年発売の作品など、題名が過激なため本記事では記載を控える作品がある。
キャノンボール企画への参加[編集]
- 『テレクラキャノンボール3』
- 『テレクラキャノンボール2009』
- 『劇場版 テレクラキャノンボール2013』(2014年公開)
- 『劇場版 BiSキャノンボール2014』(2015年公開)
- 『劇場版 アイドルキャノンボール2017』(2018年公開)
映画出演[編集]
- 『全裸のランチ』(2008年)
- 『VHSテープを巻き戻せ!』(2013年、ドキュメンタリー)
- 『死ぬほどセックスしてみたかった。』(2014年)
- 『WHO KiLLED IDOL? SiS消滅の詩』(2017年)
著書[編集]
- 『セックス障害者たち AV監督バクシーシ山下全撮影記録』(太田出版、1995年7月)
- 監督作の撮影記録をまとめた本。1999年8月に幻冬舎アウトロー文庫から文庫化され、解説は作家の高橋源一郎が担当した。現在は電子書籍版も配信されている。
- 『人はみな、ハダカになる。』(理論社「よりみちパン!セ」シリーズ、2007年)
- 中学生・高校生に向けて性について語る内容の本。刊行時には、AV監督が若年層向けの本を書くことへの批判も起きたとされる。2013年にイースト・プレスから増補版『増補 人はみな、ハダカになる。』が刊行された。
現在の活動[編集]
バクシーシ山下は、1990年代のV&Rプランニングで論争を呼んだ作品を撮り、その後もフリーの立場で撮影・執筆・出演を続けてきたAV監督である。引退を表明したという情報はなく、2020年代に入っても活動を続けている。
2020年には、コロナ禍のなかで制作された『劇場版 おうちでキャノンボール2020』にも関わったとされる。
2026年5月4日には、新潟市の映画館シネ・ウインドで貸館イベント「バクシーシ山下の社会科見学 in 新潟16」が開かれた。同年の回は、山下と親しかったAV男優ポンプ宇野を追悼する企画として、出演作の上映とともに、山下とカンパニー松尾によるトークが行われた。題名の通算回数からも分かるように、新潟での上映・トークイベントは継続的に開催されている。
過去の監督作は、ハマジムなどのメーカーの作品として販売・配信されているものがあり、劇場版『テレクラキャノンボール2013』などは劇場上映の形で各地で公開されてきた。著書『セックス障害者たち』は電子書籍として各電子書店で購入できる。
余談[編集]
- 『女犯2』をめぐる論争は、井浦秀夫の漫画『AV烈伝』(小学館)でも題材として取り上げられている。
- V&Rプランニングは海外でも過激な作風のメーカーとして紹介されることがあり、山下は同社の代表的な監督の一人として名前が挙げられる。
- 1992年には、AV出演者の人権問題に取り組む団体「AV人権ネットワーク」が山下の作品を批判し、2日間のホットラインを設けたとされる。
- キャノンボール企画の上映に合わせて、カンパニー松尾ら出演監督が地方の劇場を回るイベントも行われ、山下も参加している。