| ある日、お姫様になってしまった件について 어느 날 공주가 되어버렸다 Who Made Me a Princess | |
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https://cimg.kgl-systems.io/camion/files/dengeki/51532/a624aa6e088a1031f5f31fe5bf43df474.jpg?x=1280 TVアニメ版(2025年)のキービジュアル(出典:電撃オンライン) | |
| 作家 | Spoon(作画)/Plutus(原作) |
| 作画 | Spoon |
| ジャンル | ロマンスファンタジー、転生・憑依もの、親子もの |
| 出版社 | CARROTOON(KW BOOKS)/KADOKAWA(日本語版単行本・FLOS COMIC) |
| 配信 | リディ(韓国)、カカオページ、NAVER SERIES、ピッコマ(日本)ほか |
| 連載期間 | 2017年12月20日 - 2022年(本編・韓国)、外伝は2025年 |
| 話数 | 本編125話+外伝10話(韓国版・全135話) |
| 略称 | ある姫、あるひめ |
| 原作 | Plutus『어느 날 공주가 되어버렸다』(ウェブ小説) |
| メディアミックス | TVアニメ(中国制作・2025年、日本語吹替版あり) |
| その他 | AnimeJapan 2022「アニメ化してほしいマンガランキング」2位 |
概要[編集]
ある日、お姫様になってしまった件について(韓国語:어느 날 공주가 되어버렸다、英題:Who Made Me a Princess)とは、Plutus原作・Spoon作画による韓国のウェブトゥーンである。小説の中の「実の父親に殺される脇役の姫」に転生してしまった少女アタナシアが、冷酷な皇帝である父クロードの心をつかんで生き延びようとする、ロマンスファンタジーの皮をかぶった親子ものの代表作だ。日本での略称は「ある姫」。
詳細[編集]
原作小説[編集]
原作はPlutus(플루토스)による韓国のウェブ小説。2016年6月に韓国の小説投稿サイト「ジョアラ(조아라)」で書かれ、約1か月で完結したとされる。その後、正式に刊行・配信される形となり、本編5巻+外伝1巻の電子書籍全6巻(全219話とされる)にまとまっている。
物語の中にはさらに「作中作」がある。主人公が転生する先は、前世で読んだロマンス小説『愛らしいお姫様(사랑스러운 공주님)』の世界。本来の主人公は別の姫ジェニットで、アタナシアはそのヒロインを毒殺しようとした罪で18歳の誕生日に処刑される脇役という設定だ。当時の韓国ウェブ小説で流行していた「脇役への憑依・転生」ものの先駆け的な一作として語られることが多い。
ウェブトゥーン化[編集]
ウェブトゥーン版は、原作小説の表紙・挿絵も担当したイラストレーターSpoonが作画を担当し、CARROTOON(KW BOOKS系列)の作品として、2017年12月20日に電子書籍プラットフォームリディ(RIDI)で連載が始まった。その後、カカオページやNAVER SERIESでも配信されている。
連載はシーズン制で、シーズン1が第1〜46話、シーズン2が第47〜81話、シーズン3が第82話〜最終話という構成。シーズン1は2019年2月に一区切りとなり、シーズン3は2020年11月から2022年4月にかけて連載されたとされる。本編は全125話で完結し、その後外伝10話が追加され、リディ上では「全135話・完結」の表記となっている。
日本での展開[編集]
日本ではタテ読み(スクロール)形式でピッコマなどの電子コミックサービスで配信され、ロマンスファンタジー系韓国ウェブトゥーンの人気を牽引した作品のひとつとなった。日本語版単行本はKADOKAWAのレーベル「FLOS COMIC」から刊行され、2019年7月5日に第1巻・第2巻が同時発売された。同日には無料Webコミックサイト「ComicWalker」でも連載が開始されている。
単行本は第12巻が2025年9月5日、第13巻が2026年1月16日に発売され、2026年10月時点で全13巻。BOOK☆WALKERなどでは「完結」扱いになっている。また、KADOKAWA版のタテ読み版はめちゃコミック等で全195話として配信されている(韓国版と1話の区切り方が異なるため話数が異なる)。
数字で見る人気[編集]
TVアニメ化発表時の報道によれば、日本でのWeb版の累計閲覧数は2億回、単行本の累計発行部数は電子版を含めて220万部を突破している。原作小説も韓国のカカオページで5,790万回以上閲覧され、評価9.9(10点満点)という高評価を得ている(2024年11月時点)。
さらに、AnimeJapanの「アニメ化してほしいマンガランキング」では2022年に2位、2023年にも7位にランクイン。日本の読者から「早くアニメで見たい」と言われ続けた作品でもある。
あらすじ[編集]
序盤[編集]
現代の韓国で暮らしていた主人公は、ある日目覚めると、前世で読んだ小説『愛らしいお姫様』の世界でオベリア帝国の姫・アタナシアとして生まれ変わっていた。問題は、この姫が原作では父である皇帝クロードに疎まれ、18歳の誕生日に処刑される運命だということ。母ダイアナは出産時に亡くなり、アタナシアは侍女リリアンに育てられながら、冷え切ったルビー宮で父に顔も知られず育つ。
生き延びるための作戦は「とにかく目立たない」「お金を貯めて宮殿から逃げる」。5歳の頃から密かに宝石などを貯め込んでいたアタナシアだったが、ある日宮殿の庭でクロード本人と鉢合わせしてしまう。殺されることを覚悟した彼女は、可愛らしく愛想を振りまいて父の気を引くという、命がけの「パパ攻略」を始めることになる。
中盤(ネタバレ注意)[編集]
冷酷非道と恐れられるクロードは、娘とのお茶の時間やボート遊びを重ねるうちに少しずつ態度を軟化させていく。父の護衛騎士フィリックスがアタナシアの専属騎士となり、宮殿には温かな空気が流れ始める。
一方、アタナシアは強大な魔力を持っており、魔力の暴走で血を吐いて倒れてしまう。彼女を救ったのが「黒の塔の魔法使い」ルーカスで、魔力を使い果たして子どもの姿になった彼は、以後アタナシアの魔法の師であり遊び相手として皇宮に居座る。神獣(黒い狼の姿をした魔力の塊)もこの頃に登場する。
やがてアタナシアは、アルフィアス公爵家の令息イゼキエル、そして原作小説の本来のヒロインであるジェニットと出会う。デビュタントの舞踏会ではクロードがエスコート役を務め、宮廷中を驚かせる。しかし、クロードは黒魔法の影響で倒れてしまう。アタナシアは父の心の中に入り込んで彼を救い出し、その過程で母ダイアナの魂から、自分が見ていた夢が過去の記憶であったこと、ダイアナがアタナシアのために時間を巻き戻していたことを知る。ところが目覚めたクロードは、アタナシアに関する記憶だけを失っていた。積み上げてきた親子の時間が白紙に戻るという、作中屈指の絶望展開である。
結末(ネタバレ注意)[編集]
後半では、ジェニットの出生の秘密が明かされる。彼女はクロードの娘ではなく、かつてクロードに討たれたはずの兄アナスタシウスと、ペネロペ・ジュディスとの間に、黒魔法によって生み出された存在だった。アルフィアス公爵の屋敷に潜んでいた謎の男の正体は、死から甦ったアナスタシウスであり、ジェニットを皇位につけようと暗躍していた。
物語の終盤では、クロードの幼少期やアナスタシウスの失脚の経緯が回想で明かされ、アタナシア、クロード、アナスタシウス、ルーカスらがそれぞれ「他人に押し付けられた役割」から抜け出していく。黒幕との対立は決着し、アエテルニタスが姿を消し、ジェニットが旅立った後、アタナシアは穏やかな日々を取り戻す。最終盤では皇太子として立つ「立太子礼」を控えたアタナシアと、それを寂しげに見守る父クロードの姿が描かれ、絵本のようなエピローグで本編は幕を閉じる。
恋愛面については、ウェブトゥーン版の本編ではルーカスとの関係がはっきりとは決着しない形で終わり、韓国では外伝でその後が描かれている。原作小説ではアタナシアとルーカスが結ばれる結末とされる。
登場人物[編集]
| 名前 | 立場 | 日本語吹替(アニメ版) |
|---|---|---|
| アタナシア・デ・エルジェア・オベリア | 主人公。オベリア帝国の姫。前世の記憶を持つ | 諸星すみれ |
| クロード・デ・エルジェア・オベリア | オベリア帝国皇帝。アタナシアの父 | 前野智昭 |
| フィリックス・ロベイン | クロードの護衛騎士。のちアタナシアの騎士 | 木村良平 |
| ルーカス | 黒の塔の大魔法使い | 岡本信彦 |
| イゼキエル・アルフィアス | アルフィアス公爵家の令息 | 梅田修一朗 |
| ジェニット・マグリタ | 原作小説『愛らしいお姫様』のヒロイン | 石見舞菜香 |
| リリアン・ヨーク | ルビー宮の侍女。アタナシアの育ての親 | 和氣あず未 |
| アルフィアス公爵(ロジャー・アルフィアス) | 帝国の重臣。イゼキエルの父 | 諏訪部順一 |
| ダイアナ | 皇后。アタナシアの母 | 花澤香菜 |
| アナスタシウス | クロードの兄。謎の男 | 高橋英則 |
アタナシア[編集]
本作の主人公。愛称は「アーティ」。現代人の記憶を持ったまま、小説の中の「処刑される脇役姫」に生まれ変わった。表向きは明るく甘え上手だが、内心では常に生き残りのための計算をしているしたたかな性格。宝石を貯め込んで逃亡資金にするなど、行動力も高い。名前の「アタナシア」は「不死」を意味し、母ダイアナが名付けたことが、赤子の彼女をクロードが殺さなかった理由のひとつとされる。
クロード[編集]
オベリア帝国の皇帝で、アタナシアの父。側室の子として生まれ、戦乱の末に兄アナスタシウスを倒して即位した。最愛の妻ダイアナを失った悲しみから娘を顧みなかったが、アタナシアと関わるうちに不器用な父性を見せ始める。韓国のファンの間では「男主人公より目立つ父親」と評されるほどの存在感で、実質的な本作のもう一人の主人公である。
ルーカス[編集]
「黒の塔の魔法使い」と呼ばれる長命の大魔法使い。本来は黒髪・赤い瞳の青年だが、魔力を消耗したため少年の姿でアタナシアの前に現れる。尊大で口が悪く、人の命の重さに鈍感な面もあるが、アタナシアにだけは独特の優しさを見せる。読者人気は非常に高く、日本のレビューでも「アーティとルーカスのカップリングが好き」という声が目立つ。
ジェニット[編集]
原作小説『愛らしいお姫様』の本来のヒロインで、穏やかで心優しい少女。アタナシアにとっては「自分の運命を奪う存在」になりうる相手だが、本作では友人として関係を築いていく。物語後半で、クロードではなくアナスタシウスの娘であり、黒魔法で生み出された存在であることが明かされる。ルーカスからは純粋な皇族の魔力を持たないことから「キメラ」と呼ばれる。
イゼキエル[編集]
アルフィアス公爵家の令息で、アタナシアの学友。原作小説ではジェニットと結ばれる「理想的な男主人公」ポジション。誠実で礼儀正しく、アタナシアに想いを寄せる。英語版のレビューでは、他の主要人物に比べて掘り下げが少ないことが惜しまれている。
フィリックス・リリアン・ダイアナ[編集]
フィリックスはクロードの忠臣で、アタナシアの騎士となって以降は過保護気味に彼女を見守る癒し枠。リリアンは赤子のアタナシアを育て上げた侍女で、実質的な母親代わり。ダイアナはクロードの最愛の皇后で、アタナシアを産んだ際に亡くなっているが、物語の核心に深く関わる人物でもある。
アルフィアス公爵・アナスタシウス[編集]
アルフィアス公爵は一族の繁栄のためなら手段を選ばない野心家で、自らの子どもたちをアタナシアの周囲へ送り込む。アナスタシウスはクロードの兄で、黒魔法に手を染めた末にクロードに討たれた先帝の皇子。死から甦り、ジェニットの実父として終盤の黒幕となる。
作風と人気の理由[編集]
とにかく絵が美しい[編集]
本作の最大の武器は、Spoonによるフルカラーの美麗な作画である。宝石のように描き込まれた瞳、ドレスや宮殿の装飾、光の表現は「全コマがイラスト」と評されるレベルで、日本のレビューでもまず作画が称賛されることが多い。英語版を評したAnime News Networkのレビューでも、作画は「A-」と高評価だった。
もともとSpoonは原作小説の挿絵を担当しており、キャラクターデザインの段階から作品世界に関わっていたことも、ビジュアルの統一感につながっている。
親子ものとしての完成度[編集]
タイトルや設定だけ見ると典型的な転生ロマンスだが、物語の軸は明確に「父と娘」である。冷酷な皇帝が少しずつ娘を愛するようになる過程、そして記憶喪失によってそれが一度失われる展開は、多くの読者の涙腺を刺激した。恋愛要素を求めて読み始めた読者が「パパに泣かされた」と語るのは、本作の定番の感想である。
ウェブトゥーン版は原作小説に比べ、クロードとアタナシアの関係により焦点を当てる構成になっているとされ、作画担当Spoonも単行本のあとがきで原作からの変更点に触れている。
転生もの・ロマンスファンタジーのブーム[編集]
本作は「小説の中の脇役に転生し、破滅の運命を回避する」という、悪役令嬢ものや異世界転生ものと共通する構造を持つ。日本で韓国発のロマンスファンタジーが広く読まれるようになった時期に、捨てられた皇妃、皇帝の一人娘などとともに定番作品として定着し、KADOKAWAとピッコマが2020年に開催した書店フェアなど、レーベル横断のプロモーションにもたびたび登場した。
メディアミックス[編集]
TVアニメ[編集]
2023年6月、中国の動画配信大手iQIYIで中国制作のアニメ(ドンファ)化が発表された。制作は重慶彩色鉛筆動漫設計(Colored Pencil Animation)、製作はiQIYIと快看漫画(KuaiKan)。日本語吹替版の製作はKADOKAWAが担当し、2025年9月5日に日本での放送が発表された。
日本では2025年9月28日からdアニメストア・U-NEXT・アニメ放題で先行配信、10月1日からTOKYO MX・BS日テレで、10月2日からAT-Xで放送された。第1話は3話分を一挙に放送する1時間スペシャルだった。全16話構成とされる。
- 監督:張盈盈
- シリーズ構成:張雯
- キャラクターデザイン:劉柯利、蔡文婕
- 音楽監督:朱瑞文
- オープニングテーマ:「いいよ」Daoko
- エンディングテーマ:「その瞳で」XAI
なお、アニメ版の公式あらすじは「夢で未来を見ることができる姫が、18歳の誕生日に父に追放される未来を知る」という紹介になっており、原作の「小説の世界に転生し、処刑される運命を知る」という導入とは表現が異なる。海外ではCrunchyrollで英題『The Fated Magical Princess: Who Made Me a Princess』として配信された。2026年10月時点で、続編(第2期)の公式発表は確認されていない。
書籍・グッズ[編集]
- 韓国版単行本(CARROTOON)全9巻。英語版は北米のSeven Seas Entertainmentが2023〜2025年に全9巻を刊行。
- 日本語版単行本(KADOKAWA・FLOS COMIC)全13巻。発売時にはアニメイトでB6ビジュアルボードの特典などが用意された。
- ドイツ語、フランス語、スペイン語、タイ語、ポーランド語など多数の言語で翻訳出版されている。
- 公式グッズは韓国ではKW BOOKS系の公式ストア「KWStore」で販売されている。日本ではアニメ放送時に、アニメイト池袋本店でポストカードと入浴剤のセットを配布するキャンペーンが行われた。
ゲーム[編集]
2026年10月時点で、本作を原作とした公式ゲームの発表は確認できない。
余談[編集]
- 日本での略称は「ある姫」。アニメ公式Xのアカウント名も「@aruhime_anime」である。
- 「アタナシア」はギリシャ語で「不死」を意味する名前。生まれた直後に死ぬはずだった姫に母が託した名前、という作中の意味づけがある。
- AnimeJapan 2022の「アニメ化してほしいマンガランキング」では、1位『先輩はおとこのこ』に次ぐ2位。韓国発の作品としては俺だけレベルアップな件(6位)より上位だった。
- 日本語吹替版キャストの石見舞菜香は、もともと原作の読者で、ぜひ関わりたかったとコメントしている。
- 原作小説のジョアラ版は約1か月で書き上げられたとされ、その短期間で生まれた作品が10年近くにわたって展開されることになった。