| Mildom Mildom | |
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![]() 2020年にMildomとスポンサー契約を結んだプロゲーマー・梅原大吾(2018年撮影、出典:ウィキメディア・コモンズ) | |
| サイト名 | Mildom |
| 言語 | 日本語 |
| タイプ | ゲーム中心のライブ配信プラットフォーム |
| 国 | 日本 |
| 種類 | ライブ配信・動画投稿サービス(Web/iOS/Android) |
| 創設 | 2019年 |
| 創設者 | 闘魚(DouYu)、三井物産 |
| 運営者 | 株式会社DouYu Japan |
| 収益 | 投げ銭(ギフト)、有償コイン、ファンクラブ、プレミアム会員 |
| 営利性 | 営利 |
| 登録 | 任意(視聴は登録不要、配信・コメント等は要登録) |
| ユーザー数 | MAU数百万人規模(運営側の説明による) |
| 開始 | 2019年9月25日 |
| 終了 | 2024年9月1日 |
| 現在の状態 | サービス終了(2024年9月1日) |
| 別名 | ミルダム |
概要[編集]
Mildom(ミルダム)とは、中国のゲーム配信最大手・闘魚(DouYu)と三井物産の合弁会社「株式会社DouYu Japan」が運営していた、ゲーム実況を中心とする日本向けのライブ配信プラットフォームである。2019年9月にサービスを開始し、「配信するだけで時給500円」という前代未聞の施策や大物プロゲーマーの獲得で一躍注目を集めたが、2024年9月1日をもってサービスを終了した。
詳細[編集]
中国最大級の配信企業と総合商社のタッグ[編集]
Mildomの母体である闘魚(DouYu、ドウユウ)は、武漢市に本社を置く中国の大手ゲームライブ配信企業で、2014年にサービスを開始。2019年7月には米NASDAQに上場し、テンセントが大株主として名を連ねる。2019年第1四半期時点でユーザー数2.8億人、MAU1.6億人という巨大プラットフォームだった。
その闘魚が日本市場に乗り込むためのパートナーに選んだのが総合商社の三井物産である。2019年8月、両社の共同出資で株式会社DouYu Japanが設立され、同年9月25日に「Mildom」がスタートした。三井物産側はメディア事業部の担当者を送り込み、闘魚との接点は三井物産の武漢事務所から始まったと紹介されている。のちに組織は三井物産からの出向者5名を含む約90名体制にまで膨らんだ。
どんなサービスだったか[編集]
Mildomの売りは「高画質・低遅延」の配信で、PC、PS4、Nintendo Switch、Xbox One、スマートフォンといった幅広い環境から配信できた。OBS Studioなどの配信ソフトにも対応し、ライブ配信だけでなく動画投稿やタイムライン機能、視聴者が配信者に贈る投げ銭(ギフト)機能も備えていた。
特徴的だったのが音楽まわりで、JASRAC・NexToneから許諾を受け、ゲーム内BGMなどの権利処理を自動化していた。カラオケ配信やカメラ配信にも対応しており、ゲームに限らない雑談・歌枠の場としても使われた。収益面では有償コイン、月額制のファンクラブ、プレミアム会員などが用意されていた。
「配信するだけでお金がもらえる」時給制[編集]
Mildomの名を一気に広めたのが、サービス開始直後の2019年秋に打ち出された「時給制」である。応募して審査に通った配信者は、配信1時間ごとに500円、1日4時間(2,000円)を上限に報酬を受け取れるという内容で、業界初の試みとして大きな話題になった。応募受付は2019年12月31日まで。
条件は「1日1時間以上配信」「無言配信は禁止で視聴者とのコミュニケーション必須」など。1時間単位で計算されるため55分の配信は0時間扱いという、なかなかシビアなルールもあった。このキャンペーンで数千人が配信を始めたとされ、知名度の低かった新興サービスが短期間で配信者を集める起爆剤になった。
運営会社のその後[編集]
DouYu Japanの2021年12月期決算は、売上高約18.6億円に対し営業損失約66.6億円、純損失約67.2億円という大幅な赤字だった。2022年11月には資本金を約69億5000万円、資本準備金を約70億5000万円減らす減資を実施している。
サービス終了後の国の法人情報データベース(gBizINFO)では、DouYu Japanの社会保険の「全喪」(適用事業所でなくなったこと)が2024年10月1日付で記録されており、本社所在地も渋谷区から移転している。
歴史[編集]
2019年:鳴り物入りの日本上陸[編集]
2019年8月、DouYu Japanが設立され、4Gamer.netなどのゲームメディアで「中国有数の動画配信プラットフォームがついに日本上陸」と大きく報じられた。会見では「ゲームライブストリーミング全般」に特化し、eスポーツ市場の活性化やリアルイベントの開催、配信者マネジメントにも取り組む方針が語られた。
9月25日のサービス開始後、10月には前述の時給制を発表。12月1日にはプロゲーミングチームCrazy Raccoonと独占配信契約を結ぶなど、黎明期から積極的に配信者・チームの囲い込みを進めた。
2020年:大型契約ラッシュと逆風[編集]
2020年はMildomにとって最も派手で、最も波乱の多い年だった。2月には配信者をランキング順位で評価する「L1ランキング制」を導入。3月13日にはCygamesが、利用許諾のない状態で自社タイトルが配信されているとしてグランブルーファンタジー、シャドウバースなど6タイトルの投稿・配信を禁止した。4月7日にはCrazy Raccoonが独占配信契約の解約を発表し、Mildom側が「そのような事実はございません」と否定する一幕もあった。
一方で同年4月、格闘ゲーム界のレジェンド梅原大吾(ウメハラ)率いる「Team Beast」とのスポンサー契約を発表。チームは「Team Mildom Beast」として再始動した。コロナ禍で海外大会が消滅していた格闘ゲーム界の配信がMildomに集まるきっかけとなった。
任天堂タイトル配信禁止[編集]
2020年8月3日、Mildomは任天堂との間でゲーム著作物の利用許諾契約を締結できなかったとして、8月20日以降、任天堂タイトル(ポケットモンスターシリーズを含む)の配信・投稿を禁止すると発表した。交渉期間中は任天堂側が権利行使を控えていたが、合意に至らず配信停止で両社が一致した形である。
マリオもゼルダもスマブラもポケモンも配信できない――という状態は、ゲーム配信サイトとしては致命的なハンデだった。既存のアーカイブも順次削除されることになり、多くの配信者が影響を受けた。この禁止は結局、2年半にわたって続くことになる。
2020年後半〜2021年:コンテンツ拡充[編集]
逆風の中でもMildomは攻めの姿勢を崩さなかった。2020年7月にはオリジナル番組枠「MildomTV」を開始し、お笑いコンビスピードワゴンがMCを務める「ゲームナイト!」などを放送。10月にはeスポーツ大会「VALORANT Mildom Masters」を賞金総額250万円で開催し、Absolute JUPITERが全試合無敗で優勝した。
権利面の整備も進み、2020年12月にセガと包括契約を結んで「龍が如く7 光と闇の行方」の配信キャンペーンを実施。2021年7月にはカプコン、同年8月にはSNKとも包括契約を締結した。2020年11月には人気ゲーム実況者ドズルを講師に迎えた配信者向け勉強会も開いている。
2022年:公認配信者制度の終わり[編集]
潮目が変わったのは2022年である。Mildomは当初、運営と個別契約を結ぶ「公認配信者」と「一般配信者」の二層構造をとっていたが、同年8月1日、すべての配信者に共通の「配信者ランク」を付与する新制度へ移行した。ランクは「5クラス13ランク」から「6クラス19ランク」に細分化され、毎週の配信実績で昇降格が決まる仕組みだった。
時間報酬は最上位S1ランクで時給1,500円、最下位のD3ランクでは30円とされ、事実上「公認配信者」という特別枠は廃止された。この制度変更に前後して、Mildomからの「引退」や他サービスへの移行を表明する公認配信者が相次いだと報じられている。
2022年11月:VTuber支援と任天堂解禁[編集]
2022年11月にはVTuber支援プログラム「Mildom Vtuber Project(MVP)」を開始。2D・3Dアバターで配信していれば、メインの配信先がMildomでなくても参加でき、VTuber同士の交流機会やコラボコミュニティへの招待、機能講習などを提供するという太っ腹な内容だった。
そして2023年3月1日、ついに任天堂とゲーム著作物利用に関する包括的許諾契約を締結。2020年8月の配信禁止から約2年半越しに、任天堂タイトルのライブ配信と収益化が解禁された(対象は原則として個人配信者で、法人所属者は例外を除き不可)。
2024年:突然のサービス終了[編集]
2024年8月19日、公式サイトと公式Xで「Mildomは2024年9月1日をもちまして、サービスの提供を終了させていただく」と発表された。理由は「今後皆様にご満足いただける品質でのサービスの提供が困難」と判断したため。告知から終了までわずか2週間足らずという、文字通り「突然のご案内」だった。
スケジュールは、8月26日にコイン販売・新規登録・ファンクラブ等の加入を停止、8月29日分で配信者ランク報酬の付与を終了(30・31日は報酬なし)、9月1日0時にサービス終了。資金決済法に基づき、9月2日から11月1日まで有償コインの払戻しが受け付けられ、官報にも払戻しの公告が掲載された。約5年間の歴史に幕を下ろした。
仕組みと報酬制度[編集]
報酬制度の変遷[編集]
Mildomの報酬制度は短い期間に何度も姿を変えた。大まかには以下の流れである。
- 2019年秋〜12月:応募制の時給制(1時間500円、1日4時間まで)
- 2020年2月〜:ランキング順位で報酬に差をつける「L1ランキング制」
- 公認配信者制度:運営と個別契約を結んだ配信者に契約ベースで報酬
- 2022年8月1日〜:全配信者共通の「配信者ランク」(6クラス19ランク、時給30円〜1,500円)
時給制という「配信すること自体に対価を払う」モデルは、投げ銭が中心だった日本の配信業界では異色だった。新人でも収入が得られるため配信者の裾野を広げた一方、報酬改定のたびに配信者が大きく動く構造的な不安定さも抱えていた。
視聴者向けの機能[編集]
視聴者はコインでギフトを贈って配信者を応援でき、ファンクラブやプレミアム会員といった月額サービスもあった。ゲームとのタイアップでは「配信視聴クエスト」が行われ、クラッシュ・ロワイヤル、リーグ・オブ・レジェンド、PUBG MOBILEなどのタイトルで、配信を見るとプレゼントがもらえる企画が実施された。
定期イベントも多く、Among Usを使った「エンジョイ宇宙人狼」(毎週月曜20時30分)などが開催された。吉本興業の芸人とMildom配信者が対決する「吉本軍vsミルダム軍」や、「Identity V Battle Night」「健全ソロ杯 Apex Legends」といった単発企画もあった。
eスポーツ・格闘ゲームとの関わり[編集]
Team Mildom Beast[編集]
2017年からCygamesをメインスポンサーとしていたTeam Beastは、2020年2月末で同社との契約が終了。その約1カ月後、Mildomが新スポンサーとなり「Team Mildom Beast」が誕生した。メンバーはウメハラ、ふ〜ど、PR Balrog(アメリカ)、Infexious(イギリス)の4名だった。
ウメハラは4Gamerのインタビューで、決断の最大の理由を「チームを存続させたいと思ったのが大きい」と語り、特に新人のInfexiousへの責任感があったと明かしている。一方で、2016年からTwitchで積み上げてきたものが「リセットされる徒労感」があり、数週間は不安で憂鬱だったとも率直に告白している。
格ゲー配信の「一本化」[編集]
ウメハラの移籍は格闘ゲーム界に大きな影響を与え、チーム「iXA」「SHINOBISM」や「TOPANGATV」なども相次いでMildomに集まった。コロナ禍で海外大会が軒並み中止になった時期、配信プラットフォームがMildomに集約されたことが、苦境にあった業界を支えたと振り返る声は多い。
格ゲー界にはもともと「配信は身銭を切って楽しむもの」という空気が根強く、報酬型のMildomは初期には距離を置かれていたともいわれる。それだけに、ウメハラ参戦のインパクトは大きかった。サービス終了時には格ゲーメディアが「コロナ禍の格ゲー配信支える」と見出しを打って功績を振り返っている。
VALORANTシーンの立役者[編集]
2020年夏にリリースされたVALORANTの国内競技シーンでも、Mildomは重要な役割を果たした。Absolute JUPITER、SCARZ、REJECTなどのチームをスポンサードし、タイトル黎明期に各チームがVALORANT部門を立ち上げる資金面の後押しをしたとされる。
自主大会「VALORANT Mildom Masters」(2020年10月決勝)には8チームが招待され、優勝したAbsolute JUPITERは決勝でSengoku Gamingを2-0で下した。サービス終了時、eスポーツメディアは「日本のeスポーツに対するMildomの貢献は計り知れない」と評している。
評価[編集]
衰退の理由[編集]
サービス終了の公式理由は「満足いただける品質でのサービス提供が困難」というものだが、メディアや業界関係者の分析ではいくつかの要因が挙げられている。
- 2020年8月から約2年半続いた任天堂タイトルの配信禁止
- YouTubeライブ、Twitchといった既存大手との競争激化
- 大型配信者の獲得や時給制にかかる高いコスト
- 2022年の報酬改定・公認配信者制度廃止に伴う配信者の流出
- 親会社側の経営環境の変化
特に2022年の制度変更については、AUTOMATONが「元『公認配信者』の流出もあってか、約5年で幕切れ」と報じている。2021年12月期に約67億円の純損失を計上していたことからも、潤沢な資金で配信者を集める戦略が長く続かなかったことがうかがえる。
残したもの[編集]
とはいえ、Mildomが日本の配信文化に与えた影響は小さくない。「配信するだけで報酬が出る」仕組みは多くの新人配信者に配信を始めるきっかけを与え、コロナ禍の格闘ゲーム界やVALORANTの国内シーン形成にも資金を投じた。
サービス終了後には、配信者の間で「一つのプラットフォームに依存しない」ことの重要性や、ゲーム会社の配信ガイドラインを確認する必要性が改めて語られるようになった。突然の終了は、プラットフォーム分散の教訓として今も引き合いに出される。
炎上とバズ[編集]
「えらんでミルダム」騒動[編集]
2020年7月、Mildomに「えらんでミルダム」という機能が追加された。配信者が二択の問題を出し、視聴者がサイト内通貨のコイン(1回10〜100コイン、1日上限1,000コイン)を賭けて予想に参加、当たればレートに応じてコインが戻り、外れれば没収されるという仕組みだった。
この機能については賭博罪や風営法に抵触するのではないかとの指摘が相次ぎ、カジノ研究の専門家が「基本的には賭博は成立している」との見解を示す報道もあった。Mildom側は法的に問題ないと主張したが、機能は間もなく長期メンテナンスに入り、実質的に姿を消した。
Crazy Raccoonとの契約をめぐる食い違い[編集]
2020年4月7日、Crazy Raccoonは「第2回CR Cup」配信直後のサーバーダウンや、Cygamesタイトルの配信禁止などを挙げ、Mildomとの独占配信契約の解約を発表した。これに対しMildom公式は「そのような事実はございません」と否定し、両者の主張が真っ向から食い違う形となった。
もっとも両者の縁はその後も完全には切れず、2021年には「Crazy Raccoon Cup Apex Legends Powered by Mildom」が開催され、加藤純一らが出場している。
終了発表へのSNSの反応[編集]
2024年8月の終了発表には、SNS上で「ほかに代えがたい功労」といった感謝の声と、「急過ぎる」という困惑の声が入り交じった。月額のファンクラブやプレミアム会員はユーザー自身で解約手続きをする必要があり、配信者ランク報酬などウォレット残高の出金も9月1日までに済ませるよう案内された。
余談[編集]
- 時給制は「1時間単位」の計算だったため、55分配信しても報酬は0円。5分足りないだけでタダ働きになる、地味に厳しいルールだった。
- 最終日の様子を記録したブログによると、2024年8月31日23時55分ごろにチャットが動かなくなり、9月1日0時3分には映像も停止、0時5分にはトップページが404エラーになったという。終了のお知らせすら表示されない、あっけない幕切れだった。
- 2022年の配信者ランクでは最上位と最下位の時給差が50倍(1,500円と30円)。成績次第では1週間で最大2クラスを飛び越えて昇格できる「飛び級」も用意されていた。
- 「えらんでミルダム」と任天堂タイトルの配信禁止がほぼ同時期だったため、ネット上では両者を結びつけて語る声もあったが、公式に因果関係が示されたことはない。
- 親会社の闘魚はMildom終了後も中国本国で事業を続けており、ボイスチャット系サービスや広告など配信以外の収益を伸ばしているとされる。
- サービス終了告知は公式Xアカウント(@Mildom_Official)でも行われ、「突然のご案内となりますことを深くお詫び申し上げます」と結ばれていた。
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