| Stripchat Stripchat | |
|---|---|
| 略称 | ストチャ、すとちゃ |
| 国家 | キプロス |
| 種類 | ウェブサイト(ライブ配信プラットフォーム) |
| 市場情報 | 非上場 |
| 業種 | インターネット(成人向けウェブカメラ・ライブチャット配信) |
| 本社所在地 | キプロス |
| 設立日 | 2016年5月3日 |
| 年齢 | 10周年 |
| 所有者 | Technius Ltd. |
| 主要株主 | Technius Ltd.(運営会社) |
| 主要部門 | ライブ配信、VR配信、トークン課金、ファンクラブ |
| 別名 | ストリップチャット |
| リンク | https://stripchat.com/ |
概要[編集]
Stripchat(ストリップチャット)とは、キプロスのTechnius Ltd.が運営する成人向けのウェブカメラ・ライブチャット配信プラットフォーム(アダルトサイト)である。2016年に開設され、世界中の配信者(モデル)がリアルタイムで配信し、視聴者は「トークン」を買ってチップや個別ショーに使う仕組み。日本では「ストチャ」の略称で知られる。
詳細[編集]
どんなサイトか[編集]
Stripchatは、いわゆる「カムサイト」(ライブカムサイト)の大手の一つ。配信者は自宅やスタジオからウェブカメラで配信し、視聴者はチャットで話しかけたり、チップを送ったりする。録画済みの動画を並べるXHamsterのような動画共有サイトとは違い、「今この瞬間の生配信」が中心になっている。仕組みとしてはTwitchやYouTubeのライブ配信の投げ銭に近く、月額課金型のOnlyFansやMyFansとも収益の作り方が異なる。
視聴そのものは会員登録なしでもでき、無料の公開配信を見て回ることができる。お金がかかるのは、チップを送るときや、1対1・少人数の有料ショーに入るときである。
規模[編集]
英語版ウィキペディアが引用するSimilarwebの推計では、月間訪問数は7億回を超えるとされ、成人向けサイトの中でも最大級の規模を持つ。2021年のデータ流出事件の際には、6,500万件のユーザー記録と42万件以上のモデルプロフィールがデータベースに含まれていたと報じられており、利用者・配信者の多さがうかがえる。
表示言語は20言語ほどに対応し、国ごとのブロックを受けている地域を除いて世界中から使われている。日本語の画面も用意されている。
コロナ禍での急成長[編集]
2020年の新型コロナウイルスの流行で外出制限が広がると、アメリカ合衆国やイギリスでロックダウンが始まった3月に利用が約25%増えたとされる。月間訪問数は2020年1月の約6,000万回から8月には約1億2,000万回に倍増し、同年中に配信者も30万人増えたと報じられた。
在宅で収入を得たい人が配信者として参入し、視聴者も家にいる時間が長くなったことで、ライブカム業界全体がこの時期に大きく伸びた。Stripchatはその波に乗って知名度を上げた代表例とされる。
歴史[編集]
開設と成長[編集]
Stripchatは2016年5月3日に開設された。後発ながら、無料で見られる公開配信を充実させ、配信者向けの機能を次々に追加することで、先行するChaturbateやLiveJasminといった大手と並ぶ規模に成長した。
2019年には後述のVR配信を始めたほか、同年7月には性の悩みについて資格を持つセラピストに相談できる「Sexuality Resource Center」を立ち上げるなど、単なる配信サイトにとどまらない試みも行っている。
話題作りのマーケティング[編集]
Stripchatは、大胆な宣伝で注目を集めることでも知られる。2020年には米ニューオーリンズのスタジアム「スーパードーム」の命名権に1,500万ドルを提示したと報じられた。同年、撮影が中断した映画『ミッション:インポッシブル』のスタッフに仕事を提供すると申し出たり、コロナ禍で苦しむ小規模事業者に無料で広告枠を提供したりもした。
2021年には、イタリアのサッカークラブ・インテルのユニフォームスポンサーとして、ピレリに代わる形で2,000万ポンドを提示したと報じられた。いずれも実現はしていないが、話題になること自体が狙いの宣伝手法とみられている。
受賞歴[編集]
業界メディアXBIZのアワードで「カムサイト・オブ・ザ・イヤー」を2020年と2022年に受賞しているほか、ドイツの成人向け見本市ヴィーナスのアワードで2023年に「ベスト・ライブストリーム・サイト」を受賞するなど、業界の賞を多数受けている。
運営会社[編集]
Technius Ltd.[編集]
運営会社はキプロスに登記されたTechnius Ltd.(テクニウス)。米国の商標登録でも「STRIPCHAT」の権利者はTechniusとなっている。創業者や経営陣の名前は積極的には公表されていない。
キプロスはXHamsterの運営会社など、成人向けサイトの運営拠点が集まる国として知られる。報道では、Techniusがxhamster系のライブ配信サービスにも関わっているとされ、xHamsterのライブ配信コーナーではStripchatの配信が使われているとの指摘もある。
規制当局との関係[編集]
EUのデジタルサービス法(DSA)のもとでは、Stripchatの監督はキプロスの放送規制当局(キプロス・ラジオテレビ庁)が担う。データ保護の面では、キプロスのデータ保護当局が2021年の流出事件をめぐって判断を示している(後述)。
仕組み・機能[編集]
トークン制[編集]
Stripchatの課金は「トークン」と呼ばれるサイト内通貨で行う。視聴者はパッケージ単位でトークンを買い、ユーロ建てでは43トークン4.99ユーロから1,275トークン119.99ユーロまでの価格帯があるとされる。まとめ買いするほど1トークンあたりの単価は安くなる。
支払い方法はクレジットカードやデビットカード、PayPal、ペイセーフカード、ギフトカード、暗号資産など国によって様々。カード明細には「Stripchat」ではなく決済代行会社の名前が載ることが多いとされる。
ショーの種類[編集]
配信にはいくつかの形式がある。
- パブリック(公開配信):誰でも無料で見られ、視聴者は任意でチップを送る。
- チケットショー:入場料としてトークンを払った人だけが見られるショー。
- グループショー:複数の視聴者が1分ごとにトークンを払って参加する形式。
- プライベートショー:1人の視聴者が1分ごとの料金で配信者を独占する形式。料金は配信者が設定する。
このほか、チップの額に応じて配信者側の機器が反応する仕組みや、月額制の「ファンクラブ」などの収益手段もある。
配信者の取り分[編集]
配信者側では1トークンを0.05ドルとして計算する方式が知られている。視聴者が支払った金額のうち配信者に入るのは、おおむね5〜6割程度と国内の解説記事では説明されており、配信者のランクなどで変わるとされる。
報酬は週1回まとめて支払われ、銀行振込、電子ウォレット、暗号資産などから受け取り方法を選べるとされる。個人で直接登録するほか、「スタジオ」や代理店(エージェンシー)経由で登録する配信者も多く、その場合は代理店が手数料を取る代わりにサポートを行う。
年齢確認・地域ブロック[編集]
配信者として登録するには、運転免許証やパスポートなどの身分証で18歳以上であることの確認が必要。配信者は特定の国や地域からの視聴をブロックする機能を使え、日本人配信者が日本からの視聴をブロックして「身バレ」を防ぐ使い方がよく紹介されている。
VR配信[編集]
Stripchatは2019年にVR配信を始めた。VRゴーグルを付けると配信者と同じ空間にいるかのような立体映像で見られるもので、ライブカム大手の中では早い段階でVRに力を入れたサイトとされる。
ゲーム機やPC向けのVRと同じく、VR配信はブラウザ上で動くWebXRという技術で提供されており、専用アプリを入れなくても対応ゴーグルのブラウザから見られる。Meta QuestシリーズやApple Vision Proなどに対応しているとされる。配信者側は専用の180度カメラなどを用意する必要があり、VR配信を行う配信者は全体の一部にとどまる。
EUデジタルサービス法とVLOP指定[編集]
VLOPに指定[編集]
欧州委員会は2023年12月20日、Pornhub、XVideosとともにStripchatをDSA上の「超大規模オンラインプラットフォーム」(VLOP)に指定した。VLOPはEU域内の月間利用者が4,500万人を超えるサービスが対象で、リスク評価、外部監査、未成年保護の強化など、通常より重い義務が課される。
欧州委員会はこの指定にあたってSimilarwebのデータなどを用いたとされる。Stripchat側は当初から、自社が報告したEU域内の利用者数は基準の4,500万人を下回っていると主張していた。
運営会社の提訴[編集]
Techniusは2024年2月、VLOP指定に伴って課された監督手数料などをめぐり、EU一般裁判所に提訴した。さらにTechniusは、指定そのものが第三者の一貫しないデータに基づいていたとして取り消しを求めている。
この裁判には、表現の自由を扱う国際NGO「アーティクル19」が欧州委員会側を支持する立場で参加を認められた。同団体は、成人向けサイトには子どもの安全やプライバシー、ジェンダーに基づく暴力の防止といった点で重い注意義務が必要だと主張している。
指定の解除[編集]
その後、Similarwebが利用者数の推計を修正し、Stripchatの数字が基準を明確に下回ったことなどから、欧州委員会は2025年5月27日、StripchatのVLOP指定を終了すると発表した。VLOPとしての義務は解除から4か月後に失効し、以後の監督はキプロスの当局に移るとされた。
ただし、未成年を高い水準で保護する義務など、DSAの一般的な義務は引き続き適用される。Techniusは指定解除後も「そもそもVLOPに指定されるべきではなかった」として、2025年11月に改めて2023年の指定の取り消しを求める主張を裁判所に出したと報じられている。指定が遡って取り消されれば、支払った監督手数料を取り戻せる可能性があるためとみられる。
未成年保護をめぐる調査[編集]
欧州委員会は指定終了の発表と同じ2025年5月27日、Pornhub、Stripchat、XNXX、XVideosの4サイトに対し、未成年保護に関する正式な調査を開始した。焦点は年齢確認の仕組みが十分かどうかで、自己申告だけで入れる方式が問題視された。
2026年春には、欧州委員会がこの4サイトについて、未成年へのリスクの評価や対策が不十分だとする暫定的な判断を示したと報じられた。違反が確定した場合、世界売上高の最大6%の制裁金が科される可能性がある。
プライバシーとセキュリティ[編集]
2021年のデータ流出[編集]
2021年11月、セキュリティ研究者のボブ・ディアチェンコが、Stripchatのデータベースがパスワードなしでインターネット上に公開状態になっていたことを明らかにした。露出していたのは、約6,500万件のユーザー記録(ユーザー名、メールアドレス、IPアドレス、チップ残高、ログイン履歴など)、約42万件のモデル情報、約1億3,400万件の取引記録、約71万9,000件のチャットメッセージなどとされる。
Stripchatは後にブログで事故を認め、「サーバーの定期的な設定変更の際のミス」が原因だと説明した。パスワード、支払い情報、本人確認書類へのアクセスはなかったとしている。研究者は、配信者の情報が流出すると本名の特定やストーカー被害につながる恐れがあると指摘した。
データ保護当局の判断[編集]
この件ではオランダの利用者が同国のデータ保護当局に苦情を申し立て、キプロスのデータ保護当局が審査した。キプロス当局は、Stripchatが影響を受けた利用者に個別に連絡せずブログ記事での公表にとどめた点や、個人データの開示請求に身分証のコピーを求めていた点を問題とし、2023年に「譴責(けんせき)」の処分を出したとされる。罰金は科されなかった。
日本での利用[編集]
日本人配信者[編集]
日本では2020年代に入って「ストチャ」の名前が広く知られるようになり、日本人配信者も増えた。代理店の解説記事では、夜の時間帯に同時に配信している日本人配信者は数十人規模とされ、海外の視聴者から人気を集める配信者もいるとされる。
日本のチャットレディ業界では(X (SNS)や求人サイトでの募集が多い)、DMM系のライブチャットなど国内サイトに比べて視聴者が世界中にいるぶん稼げる可能性がある、という触れ込みで配信者を募る代理店が多い。一方で、トークンのドル建て計算による為替の影響や、代理店手数料の差など、報酬の条件は登録経路によって変わる。
日本からの視聴[編集]
2025年の報道では、Stripchatへの日本からのアクセスは月1億3,400万件ほどで全体の約2割を占め、アメリカに次ぐ2番目の市場になっているとされた。日本語の画面があり、日本円での表示にも対応しているため、日本の視聴者にとっても使いやすい作りになっている。
日本での摘発[編集]
日本の刑法では、わいせつな映像を公然と見せることは公然わいせつ罪やわいせつ電磁的記録頒布罪にあたる可能性があり、サイトのサーバーや運営会社が海外にあっても、日本国内で配信した人には日本の法律が適用される(著作権とは別の、わいせつ規制の問題である)。
2025年9月には、警視庁がStripchatで性行為などをライブ配信したとして、配信を手がけていた業者の代表や出演者ら4人を公然わいせつの疑いで逮捕したと報じられた。報道によると、この業者は2023年から多数の女性を出演させて配信を繰り返し、無料部分でも数千人規模が視聴していたとされる。東京都を管轄する警視庁による捜査で、StripchatそのものではなくStripchatを使って国内から配信した側が摘発された事例である。
FC2ライブやDXLIVEとの比較[編集]
FC2ライブ[編集]
FC2のライブ配信サービス「FC2ライブ」は、日本語圏の利用者が中心で、視聴者も配信者も日本人が多い。ポイント制で課金する点はStripchatと似ているが、利用者の大半が日本人であるため、日本語での会話が前提になる。日本人配信者にとっては言葉の壁がない一方、視聴者の母数は日本国内が中心になる。
DXLIVE[編集]
DXLIVEは日本人男性を主な客層とする老舗のライブチャットサイトで、日本語のサポートや日本円での課金に対応している。海外の配信者(主にアジアや欧米の女性)が日本人向けに配信するサービスとして長く運営されてきた。
Stripchatの特徴[編集]
これらと比べると、Stripchatは視聴者・配信者ともに世界中から集まる多国籍型のサイトで、配信者数と配信の種類の多さが最大の特徴。日本人配信者にとっては海外の視聴者に届くチャンスがある反面、英語でのやり取りが必要になる場面も多い。視聴者側から見ると、無料で見られる公開配信の量が多く、アダルトビデオの販売サイト(FANZAなど)や動画共有サイトとも違う「双方向性」が売りになっている。VR配信など新しい形式に対応している点も違いといえる。
余談[編集]
- スーパードームの命名権に1,500万ドル、インテルのスポンサーに2,000万ポンドと、実現しないことを承知のような大型オファーで何度もニュースになっている。
- 利用者数の推計を出していたSimilarwebが数字を修正したことが指定解除のきっかけの一つとされ、「アクセス解析会社の数字が規制を左右した」例としても注目された。
- 日本の略称「ストチャ」は、チャットレディ業界の求人広告などでよく使われているとされる。