| 遠藤達哉 Tatsuya Endo | |
|---|---|
|
遠藤達哉の出身地・茨城県古河市の市役所(出典:Wikimedia Commons、撮影:Altomarina、CC BY-SA 3.0) | |
|
遠藤が監修・キャラクターデザイン原案を務めた『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』のロゴ(出典:Wikimedia Commons、パブリックドメイン〈文字ロゴ〉) | |
| 誕生日 | 1980年7月23日 |
| 年齢 | 46歳 |
| 出身地 | 茨城県古河市 |
| 国籍 | 日本 |
| 家族 | 両親、兄 |
| 職業 | 漫画家 |
| 活動期間 | 2000年 - |
| 代表的な実績 | 『SPY×FAMILY』(少年ジャンプ+、2019年 - )、『月華美刃』、『TISTA』 |
| 受賞 | 第5回ストーリーキング漫画部門準キング(2000年、『西部遊戯』)、第52回日本漫画家協会賞コミック部門大賞(2023年、『SPY×FAMILY』) |
| 関連活動 | 『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』監修・キャラクターデザイン原案(2023年) |
| その他 | 担当編集は連載デビュー作『TISTA』以来の林士平 |
| リンク | 少年ジャンプ+ |
概要[編集]
遠藤達哉(えんどう たつや、1980年7月23日 - )とは、茨城県古河市出身の漫画家である。集英社の漫画アプリ『少年ジャンプ+』で連載中の『SPY×FAMILY』の作者で、デビューから約20年の下積みを経て世界的ヒットを生んだ「遅咲きの大物」として知られる。
詳細[編集]
高校1年で初投稿、20歳でデビュー[編集]
遠藤達哉は茨城県古河市の出身で、子どもの頃から漫画家志望だった。本人によれば、高校1年生のときに初めて『ジャンプ』へ投稿し、高校2年生のときに最初の担当編集者から電話をもらったという。10代のうちから編集部とつながりを持っていたわけで、スタートはかなり早い部類である。
2000年、読切『西部遊戯』で第5回ストーリーキング漫画部門の準キングを受賞し、『赤マルジャンプ』2000年SPRING号に掲載されてデビュー。同年には『週刊少年ジャンプ』2000年51号に読切版『月華美刃』も掲載された。とはいえ、ここからすぐに連載が始まったわけではなく、本格的な連載デビューまでには7年ほどかかっている。
ジャンプSQ.での2本の連載[編集]
2007年、創刊されたばかりの月刊誌『ジャンプSQ.』の2007年12月号から『TISTA』の連載を開始し、念願の連載デビューを果たした。ニューヨークを舞台に、特殊な力を持つ殺し屋の少女と彼女を取り巻く人々を描いたシリアスな作品で、2008年8月号まで続いた。このとき担当に就いたのが、のちに『SPY×FAMILY』まで二人三脚を続ける編集者・林士平である。
続いて2010年6月号から2012年2月号まで、同誌で『月華美刃』を連載。『竹取物語』をモチーフに、平安風の世界にSF要素を融合させた和風ファンタジーで、単行本は全5巻。残虐な描写も多い硬派な作風で、一部に熱心なファンを持つ作品となった。
「描けない時期」とアシスタント生活[編集]
『月華美刃』の完結後、遠藤はしばらく連載企画を立てず、他の漫画家のアシスタントとして活動した。『TISTA』の後には加藤和恵の『青の祓魔師』のアシスタントを務めており、その後も加藤のほか、アミュー、藤本タツキ、賀来ゆうじ、ノ村優介らのもとで働いたとされる。のちに大ヒット作を生む作家たちの仕事場を渡り歩いていたことになり、漫画ファンの間では「現場が豪華すぎる」とよく話題になる。
本人はこの時期について、連載の合間にアシスタントへ行くのは楽しく、うまい作家のところでは非常に勉強になったと振り返っている。一方で、漫画が描けない時期には林に食事へ連れて行ってもらい、ただ話すだけで支えられたとも語っており、決して順風満帆な7年間ではなかったことがうかがえる。
SPY×FAMILY誕生まで[編集]
読切『I SPY』から企画が動く[編集]
転機は2018年、『ジャンプSQ.』2018年3月号に掲載された読切『I SPY』だった。スパイと女子高生のラブコメディで、これの評判が良かったことから新連載の話が動き出す。ただし本人いわく『I SPY』はあくまで読切として考えており、連載にするつもりはなかった。そこで「ミリタリー好きでスパイものも嫌いじゃない」という自身の好みを生かし、スパイを題材にした別の企画を考えることになったという。
「やけくそ」のコメディ案が当たる[編集]
ジャンプフェスタ2021でのインタビューによれば、最初はまじめなスパイ作品として企画を練っていたものの、うまくいかなかった。そこで打ち合わせの前日に、半ばやけくそでコメディ寄りのプロットを持っていったところ、それが『SPY×FAMILY』の原型になったという。スパイの父、超能力者の娘、殺し屋の母が互いに正体を隠して「家族」を演じる、という今ではおなじみの設定は、こうした試行錯誤の末に生まれた。
ジャンプ+で連載開始、即バズり[編集]
2019年3月25日、『少年ジャンプ+』で『SPY×FAMILY』の連載がスタート。第1話はジャンプ+史上初めてコメント数2,000件を超え、第5話時点で累計300万閲覧を記録するなど、配信直後から異例の反響を呼んだ。単行本第1巻は発売から22日で30万部に到達し、2021年6月の第7巻発売時には累計1,000万部を突破している。
賞レースでも強く、「次にくるマンガ大賞2019」Webマンガ部門1位、『このマンガがすごい!2020』オトコ編1位、「マンガ大賞2020」でTSUTAYA賞などを獲得。2023年には第52回日本漫画家協会賞コミック部門大賞を受賞し、同業者からも高く評価された。
作風[編集]
「暗いの禁止」への方向転換[編集]
『TISTA』『月華美刃』は、殺し屋や流血、社会の暗部を正面から描くシリアス寄りの作品だった。これに対し『SPY×FAMILY』は、スパイアクションを下敷きにしつつも、ホームコメディとしての明るさを前面に出している。2022年発売の『SPY×FAMILY 公式ファンブック EYES ONLY』のインタビューでは、自分の好みを貫いた結果長くヒットに恵まれなかったため、大衆に受ける方向へ舵を切ったという趣旨を語っており、机に「暗いの禁止」と貼っていたとされる。担当の林からも、明るく楽しい作品を描くよう勧められていたという。
緻密な考証と完璧主義[編集]
遠藤は自他ともに認める完璧主義者で、たとえばテニスラケット1本を描くにも「この時代のテニスラケットのデザインはどうなんだろう」と考え込むほど細部にこだわる。『SPY×FAMILY』は冷戦期のヨーロッパを思わせる架空の国を舞台にしているが、建物や小物、ファッションにまで時代感が行き届いているのは、こうした姿勢の表れといえる。
コメディのテンポとキャラクター造形[編集]
本作の魅力としてよく挙げられるのが、シリアスとギャグの切り替えの速さである。スパイ任務の緊張感のすぐ横で、アーニャの顔芸やヨルの天然ボケが炸裂する構成は、アニメ化以降さらに広い層に届いた。キャラクターの名前は意外とあっさり決めており、アーニャは過去の読切『煉獄のアーシェ』のキャラクター「アーシェ」と「ミーシャ」を組み合わせた「アーシャ」から「ニャの方が可愛い」として変更、ロイドは「イギリス 人名」で検索して吹き出しに収まる短い名前を選び、ヨルは当初「ヨランダ」だったものを短くしたものだという。
本人の発言・創作姿勢[編集]
「売れるものより、描けるもの」[編集]
『MILLION TAG』関連企画での林士平との対談では、「あまり売れるものを描こうとは思っていなくて、とりあえず自分に描けるものを描いている感覚」と語っている。また、設定やプロットが固まったあとに一番悩むのはネームだが、自分からはなかなか相談できず抱え込んでしまうとも明かしている。
「キャラに愛着ゼロ」発言[編集]
公式ファンブックのインタビューで、大衆向けに作ったロイドやアーニャについて「キャラに愛着がゼロ」「色々諦めた結果」と笑い交じりに語った部分は、ネット上で切り取られて大きな話題になった。ただし文脈としては、自分の趣味を抑えてヒットを狙うために方向転換した過程を語ったものであり、作品を投げ出しているという意味ではない。
「家族ものを描いているつもりはない」[編集]
2024年刊行の教育学者・齋藤孝の著書『「SPY×FAMILY」超家族論』の巻末対談では、「『家族』ものを描いているつもりは、実はないんです」と発言。タイトルに「FAMILY」と入っていながら、本人の意識はあくまでキャラクター同士の関係やドラマを描くことにある、という意外な一面が明かされた。
ジャンプ+という場所について[編集]
紙の雑誌からキャリアを始めた遠藤だが、林についていったらいつの間にかジャンプ+にたどり着き、結果的にはジャンプ+が一番いいと思っていると語る。ページ数や連載間隔が自由で描きやすいこと、閲覧数が数字ではっきり出るので読まれている実感があることを理由に挙げており、また「林さんがいなかったら完成しないと思います」と編集者への信頼も口にしている。
編集者・林士平との関係[編集]
林士平は『TISTA』の連載開始時に遠藤の担当となった、遠藤にとって3人目の担当編集である。遠藤は初対面の林について、初めての年下の担当で「ノリの軽い人が来たな」と感じたと振り返る。『TISTA』の取材でニューヨークへ行った際は、林も社会人になりたてで、大学生同士の旅行のようで楽しかったという。
以後、『月華美刃』、アシスタント時代、読切『I SPY』、そして『SPY×FAMILY』まで、十数年にわたって同じ編集者と組み続けている。林は藤本タツキの『チェンソーマン』『ファイアパンチ』なども担当した名物編集者で、遠藤が藤本の仕事場でアシスタントをしていたこととあわせ、ジャンプ+周辺の人脈の濃さを象徴する関係としてしばしば語られる。
メディアミックス[編集]
テレビアニメ[編集]
『SPY×FAMILY』は2022年にテレビアニメ化され、WIT STUDIOとCloverWorksが制作を担当。ロイド役を江口拓也、ヨル役を早見沙織、アーニャ役を種﨑敦美が演じ、オープニング主題歌のOfficial髭男dism「ミックスナッツ」、エンディング主題歌の星野源「喜劇」もヒットした。2023年10月にSeason 2、2025年10月4日から12月27日までSeason 3(第38話〜第50話)が放送されている。
劇場版[編集]
2023年12月22日公開の『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』は原作にない完全オリジナルストーリーで、遠藤は監修とキャラクターデザイン原案を担当。入場者特典として遠藤の描き下ろし漫画も配布された。興行収入は60億円、観客動員は444万人を突破した。
ミュージカル[編集]
2023年3月には東宝製作でミュージカル化され、2025年に再演。2026年には続編のミュージカル『SPY×FAMILY 2 爆弾犬篇&豪華客船篇』が上演されており、プレビュー公演を経て9月22日から10月29日まで東京建物 Brillia HALLで本公演が行われている。ロイド役は前作に続き森崎ウィンらが務める。
2026年の動向[編集]
2026年も『SPY×FAMILY』の連載はジャンプ+で続いている。4月3日に単行本第17巻が発売され、特装版には遠藤描き下ろしのペーパークラフトが付属した。第18巻は2026年11月4日発売予定で、シリーズ累計発行部数は4,200万部を超えている。
連載では8月3日に第139話が公開された。遠藤はXでの更新告知イラストで、猛暑で溶けたようなボンドを描いて話題になったほか、「ページが増えすぎてしまったため、前後編に分割させていただきました」と分割の事情を説明し、次回は少しページが少なめになると予告していた。季節ごとのボンドの告知イラストは、ファンの間ではすっかり恒例行事となっている。
アニメについては、Season 3最終話のあとに「SEE YOU NEXT×MISSION」と表示されたものの、2026年10月時点で続編の具体的な発表はない。一方で企業コラボは活発で、2026年9月からはJ-オイルミルズの紙パック製品とのコラボパッケージが展開されている。
炎上とバズ[編集]
前述の「キャラに愛着ゼロ」発言は、公式ファンブックの発売後にまとめサイト等で「作者がキャラを嫌っている」かのように切り取られ、賛否を呼んだ。実際には、長い不遇を経てヒット作に挑んだ作家の本音として、共感や応援の声も多かった。
バズの面では、遠藤のXでの投稿がたびたびニュースになる。熱心な日向坂46ファン(おひさま)として知られ、2026年8月には『ひなたフェス2026』のパンフレットに寄稿したメンバー26人のイラストを公開し、「1人1人特徴捉えててすごい」と称賛を集めた。同年9月にフェスが天候などの理由で中止になった際には、グッズを身につけて涙を流すアーニャのイラストを投稿し、ファンの共感を呼んだ。
余談[編集]
- 好きな漫画家に鳥山明、西森博之、望月峯太郎を挙げている。好きな俳優はブルース・リーと阿部寛、女優はメグ・ライアンとオドレイ・トトゥ。
- プロフィールでは趣味を「収納」「中古屋めぐり」、特技を「遅刻」「考えすぎ」と答えており、雨男を自称している。
- 坂道グループのファンとしても知られ、以前から乃木坂46などのメンバー卒業時にアーニャが号泣・落ち込むイラストを投稿してきたとされる。
- アーニャを描く際は、子どもっぽく見えるよう特に手の描写に気を配っているという。
- イラスト・マンガ誌『季刊エス』69号で特集が組まれ、プロットからネーム、下絵、ペン入れ原稿までの制作過程や仕事場の写真が公開された。
- 同じジャンプ+発のヒット作である『怪獣8号』『ダンダダン』とともに、紙の雑誌を経ない「アプリ発の大ヒット」の代表例として語られることが多い。
外部リンク[編集]
- 少年ジャンプ+(『SPY×FAMILY』連載媒体)
- TVアニメ『SPY×FAMILY』公式サイト
- TVアニメ『SPY×FAMILY』公式X(@spyfamily_anime)