模範タクシー
모범택시 / Taxi Driver
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主演のイ・ジェフン(2025年11月、シーズン3制作発表会にて。出典:ウィキメディア・コモンズ、CC BY 4.0)
ジャンル 復讐代行 / ダークヒーロー / クライムアクション
放送シーズン シーズン1〜3
放送期間 2021年4月9日〜5月29日(S1)/2023年2月17日〜4月15日(S2)/2025年11月21日〜2026年1月10日(S3)
放送時間 毎週金・土曜 22:00〜(S3は21:50〜)
話数 S1全16話/S2全16話+スペシャル/S3全16話
放送国家 韓国
言語 韓国語
配給 日本:カルチュア・エンタテインメント(S3)
放送局 SBS
配信 韓国:Wavve/日本:Lemino(S3同日独占配信)、U-NEXT、DMM TVなど
平均視聴率 最高21.0%(S2最終回・ニールセンコリア全国)
制作
企画 SBS
演出 パク・ジュヌ(S1)/イ・ダン、チャン・ヨンソク(S2)/カン・ボスン(S3)
制作 Studio S、グループエイト(S1〜S3)、B.A.エンターテインメント(S3)
脚本 オ・サンホ(S1第1〜10話、S2、S3)、イ・ジヒョン(S1第11〜16話)
音楽 各シーズンOST(S3はWOOSUNG、チェ・ベクホ、チョン・フニほか参加)
出演者 イ・ジェフン、キム・ウィソン、ピョ・イェジン、チャン・ヒョクジン、ペ・ユラム、イ・ソム(S1)、シン・ジェハ(S2〜)
その他
原作 ウェブトゥーン『模範タクシー』(文:カルロス、絵:ククジェジン)

概要[編集]

模範タクシー(原題:모범택시、英題:Taxi Driver)とは、SBSで2021年から2026年にかけて3シーズン放送された韓国の復讐代行アクションドラマシリーズである。日本では『復讐代行人〜模範タクシー〜』の邦題で知られる。

詳細[編集]

成り立ち・原作ウェブトゥーン[編集]

原作は、文をカルロス(까를로스)、絵をククジェジン(크크재진)が担当した同名のウェブトゥーン。2014年11月6日から2017年6月29日まで、KTの配信プラットフォーム「ケイトゥーン」で全104話が連載された。原作は19歳以上閲覧のハードな作風で、ドラマ版は「タクシー会社が復讐を代行する」という骨格を借りつつ、人物設定やエピソードを大きく作り替えている。ドラマの成功を受けて、2023年2月からは別作家陣(文:キム・ドハ、絵:DANX2)による続編ウェブトゥーン『模範タクシー:Recall』がカカオウェブトゥーン・カカオページで始まり、S3放送開始週には閲覧数が前週比64倍に跳ね上がった。

設定:虹運輸とは[編集]

物語の舞台は、表向きは平凡なタクシー会社「虹運輸(무지개운수)」。代表のチャン・ソンチョルは犯罪被害者支援財団「青い鳥財団」を運営しており、そこで出会った「法では救われない被害者」だけに、ひそかに渡される名刺を通じて復讐代行サービスを提供する。社員全員が犯罪被害者やその遺族で、元特殊部隊の運転手キム・ドギが実行役、ハッカーのアン・ゴウンが情報収集、整備士コンビのチェ・ギョングとパク・ジノンが改造車両や小道具を担当する分業体制。キム・ドギが乗るナンバー末尾「5283」の黒い模範タクシーは、シリーズの顔となっている。

シーズンごとの概要[編集]

シーズン1(2021年)は、演出を『それが知りたい』出身のパク・ジュヌが手がけ、現実の事件を想起させる題材をドキュメンタリー的な質感で描いて話題を集めた。脚本のオ・サンホは第10話で降板し、残りをイ・ジヒョンが執筆している。最終回は全国15.3%で終了し、SBS金土ドラマの歴代上位に入った。シーズン2(2023年)は演出をイ・ダン、チャン・ヨンソクに替え、オ・サンホが脚本に復帰。ベトナムロケも行い、最終回で21.0%を記録して2023年の韓国ミニシリーズ最高視聴率となった。シーズン3(2025〜2026年)はカン・ボスンが演出を担い、2023年4月の制作確定から約2年半を経て放送。シリーズ初の日本ロケを福岡で行い、竹中直人や笠松将が特別出演した。3シーズンを通じて主要5人のキャストが一度も交代していない点も、韓国のシーズン制ドラマとしては珍しい。

あらすじ[編集]

シーズン1[編集]

海軍特殊戦戦団(UDT)出身の将校だったキム・ドギは、連続殺人犯に母親を殺された過去を持つ。事件後に心を閉ざした彼に手を差し伸べたのが、青い鳥財団のチャン・ソンチョルだった。虹運輸の運転手となったドギは、塩田での障害者搾取、学校暴力、違法映像を流通させるウェブハードカルテル、ボイスフィッシング組織などの加害者に制裁を加えていく。一方、虹運輸の違法な活動を追う検事カン・ハナの捜査網が迫り、背後では裏社会で暗躍するペク・ソンミと、ドギの母を殺した犯人の影が交錯していく。

シーズン2[編集]

虹運輸の運転手を続けるドギたちは、ベトナムでの違法賭博組織、高齢者を狙う詐欺、カルト宗教、クラブを舞台にした薬物・性犯罪とそれを揉み消す権力の結託などに立ち向かう。新たにチームに加わったのは青年オン・ハジュン。気のいい新人に見えた彼には隠された過去があり、シーズン後半はさまざまな事件の裏で糸を引く巨大組織「クムサ会」との全面対決へとつながっていく。最終回のラストでは1年後の虹運輸が描かれ、次のシーズンへの伏線が張られた。

シーズン3[編集]

第1話はいきなり日本から始まる。日本の犯罪組織に拉致された韓国の女子高生からの依頼を受け、虹運輸チームは違法賭博・闇金・人身売買を手がける組織「ネコマネー」への潜入作戦を展開する。その後も、高級車ディーラーの代表、15年前の八百長殺人事件の黒幕、芸能事務所の代表などを相手に、K-POP・スポーツ・ゲーム業界にまで舞台を広げ、ドギは毎回異なる身分に化けて悪人を追い詰めていく。最終章では元陸軍特殊戦司令官オ・ウォンサンが、北朝鮮の挑発を捏造して非常戒厳を宣布させようとする陰謀を企て、虹運輸は国家規模の危機に挑むことになる。

登場人物[編集]

役名 俳優 説明
キム・ドギ イ・ジェフン 虹運輸の運転手で復讐代行の実行役。元海軍特殊部隊将校。毎回別人に扮する潜入が見どころで、「ドギの変装回」はシリーズ名物。
チャン・ソンチョル キム・ウィソン 虹運輸代表で青い鳥財団の理事長。自らも犯罪で家族を失った遺族であり、チームの精神的支柱。
アン・ゴウン ピョ・イェジン 虹運輸のハッカー。姉を犯罪で亡くしている。情報収集から現場の通信支援までを担う。
チェ・ギョング チャン・ヒョクジン 虹運輸の整備士「チェ主任」。パク主任とのコンビで改造車両や作戦用の小道具を作る。
パク・ジノン ペ・ユラム 虹運輸の整備士「パク主任」。チェ主任との掛け合いがシリーズのコメディ担当。
カン・ハナ イ・ソム S1。検事で、虹運輸の違法な私的制裁を追う。S1終盤で虹運輸と手を組む。
ペク・ソンミ チャ・ジヨン S1。表向きは事業家だが裏社会で暗躍する人物で、S1の大きな敵の一人。
パク・ヤンジン ペク・ヒョンジン S1。ウェブハードカルテル事件の加害者。現実のウェブハード業界の事件を想起させる人物造形で注目された。
オン・ハジュン(キム・ダヌ) シン・ジェハ S2〜。虹運輸に加わる新メンバー。本名と過去がS2の鍵を握る。
パク・ミンゴン パク・ホサン S2。事件の背後で動く組織の中枢人物。
(日本の犯罪組織のボス) 笠松将 S3。日本編に登場する犯罪組織側の人物。特別出演。
(特別出演) 竹中直人 S3。福岡を舞台にした日本編に特別出演した。
チャ・ビョンジン ユン・シユン S3。「ノブレスモーターズ」の代表。
チョン・グァンジン ウム・ムンソク S3。15年前の八百長殺人事件の黒幕で、違法なリアルタイム格闘賭博を運営する。
カン・ジュリ チャン・ナラ S3。芸能事務所「イエロースター・エンターテインメント」の代表。チャン・ナラにとって初の悪役として話題になった。
オ・ウォンサン キム・ジョンス S3最終章の敵。元陸軍特殊戦司令官で、非常戒厳を画策する。

このほかS1ではイ・ヨンエが声で特別出演し、S2最終回にはムン・チェウォンが登場するなど、各シーズンにサプライズ出演が仕込まれている。

視聴率と記録[編集]

数値はいずれもニールセンコリア全国世帯視聴率。SBSは1話を2部制で放送するため、記事によって数字の基準が異なる場合がある。

シーズン 初回 最高 最終回 備考
S1(2021) 10.7% 15.3%(第16話) 15.3% 最終回の瞬間最高18.0%はSBS金土ドラマ歴代4位(当時)
S2(2023) 12.1% 21.0%(第16話) 21.0% 最終回の首都圏21.8%、瞬間最高25.6%。2023年ミニシリーズ最高
S3(2025〜2026) 9.5% 14.2%(第14話) 13.3% 初回は2025年ミニシリーズの初回最高。最終回の瞬間最高16.6%

S3は初回9.5%(瞬間最高11.1%、首都圏9.9%)で始まり、第6話で12.0%を記録して以降は2桁を維持した。S2の21%には届かなかったものの、同時間帯1位を守り続け、東南アジアのViuではインドネシア・タイ・フィリピンなどで長期にわたり1位を記録した。一般に「続編は前作を下回る」とされる韓国のシーズン制ドラマの中で、S2が前作を大きく上回った点は特筆される。

評価と受賞[編集]

現実の事件を想起させる犯罪を具体的に描き、後半で痛快な制裁を加える「前半はリアル、後半はファンタジー」という構成が最大の特徴である。コラムニストのチョン・ドクヒョンは、犯罪をディテール豊かに描きつつ結末はあえて非現実的なカタルシスに振り切ることで、現実の法が与えてくれない慰めを視聴者に提供していると分析した。一方で、私的制裁を肯定的に描く作風や暴力描写の強さには批判もあり、S1の一部回は19歳以上視聴可として放送された。S3最終回は2024年12月3日の非常戒厳を想起させる展開で、ペンライトを持った市民や「ハンバーガー店での密談」などのパロディが盛り込まれ、直近の政治的事件を正面から扱った大胆な社会風刺として話題になった。

主な受賞は以下のとおり。

  • SBS演技大賞 2021:イ・ジェフン(ミニシリーズジャンル・ファンタジー部門 最優秀演技賞)、イ・ソム(同 優秀演技賞)、キム・ウィソン(助演賞)、チャ・ジヨン(助演賞)
  • ソウルドラマアワード 2021:韓国ドラマ部門 優秀賞
  • SBS演技大賞 2023:イ・ジェフンが大賞(『悪鬼』のキム・テリと共同受賞)。ほかにネチズンが選ぶベストドラマ賞、ピョ・イェジン、シン・ジェハ(シーズン制ドラマ部門 優秀演技賞)、チャン・ヒョクジン、ペ・ユラム(助演賞)、コ・サンホ、ピョン・ジョンヒ(シーンスティーラー賞)など
  • SBS演技大賞 2025:イ・ジェフンが単独で大賞を受賞し、同一シリーズで2度目の大賞。作品も「今年のドラマ賞」を受賞

日本での放送・配信[編集]

日本での邦題は『復讐代行人〜模範タクシー〜』。S1はCS放送のKNTVで『模範タクシー(原題)』として2021年7月11日に日本初放送され、S2『復讐代行人2〜模範タクシー〜』はホームドラマチャンネルなどで放送された。S3『復讐代行人3〜模範タクシー〜』はNTTドコモのLeminoが韓国と同日の2025年11月21日23時20分から日本独占配信し、毎週金・土曜に最新話を更新した。

S3のテレビ初放送は2026年5月のKNTVで、同年6月10日からは各動画配信サービスへ配信先が拡大され、7月3日にDVDレンタル、8月5日にDVD-BOXが発売されている。S1・S2はU-NEXT、DMM TV、Hulu、Leminoなどで配信されてきたが、配信先は時期によって入れ替わる。

視聴ガイド[編集]

模範タクシーはどこで見れる?[編集]

日本ではS3がLeminoの独占配信から始まり、2026年6月以降はほかの動画配信サービスにも広がった。S1・S2はU-NEXTやDMM TVなど複数のサービスで扱われている。配信先は入れ替わりが多いので、視聴前に各サービスの作品ページで確認するのが確実である。DVDは3シーズンとも日本版が出ている。

どのシーズンから見ればいい?[編集]

基本は1話完結ではなく2〜4話で1つの依頼を片付ける構成なので、途中のシーズンからでも楽しめる。ただしキム・ドギの過去と虹運輸結成の経緯はS1で描かれ、S2の新メンバー、オン・ハジュンの正体もS2の縦軸になっているため、人物関係を味わうならS1から順に見るのが近道である。

シーズン4はある?[編集]

2026年10月時点で、SBSによるシーズン4の公式な制作発表はない。S3最終回は、ドギが旧知の女性と再会する場面でシリーズ継続を匂わせて終わった。2026年9月にはイ・ジェフンらキャストがモキュメンタリー番組『演技の城』で「シーズン4をやることにした」と語る場面が報じられたが、番組側が「100%フィクションの設定」と明言しているため、公式発表ではない。

原作はある?[編集]

ある。カルロス(文)とククジェジン(絵)によるウェブトゥーン『模範タクシー』(2014〜2017年、全104話)が原作である。ただしドラマは設定の骨格を借りた大幅な翻案で、登場人物や事件の多くはドラマオリジナルとなっている。続編ウェブトゥーン『模範タクシー:Recall』も連載されている。

実話がモデル?[編集]

作品自体はフィクションだが、各エピソードは韓国で実際に起きた事件や社会問題を強く想起させる。S1の塩田での障害者搾取は新安の塩田奴隷事件、ウェブハードカルテル編は2018年に明るみに出たウェブハード業界の暴行・違法映像事件、S2のクラブ編は「バーニング・サン事件」、違法賭博組織編はタイで起きた韓国人青年殺害事件を下敷きにしているとされる。

暴力描写はきつい?[編集]

シリーズを通じて殴り合いのアクションは多く、S1には19歳以上視聴可の回もある。一方で、制裁の場面はコミカルな演出や変装劇で味付けされており、陰惨さよりも爽快感が前に出る作りになっている。被害の描写がつらい回もあるため、あらかじめ題材を確認してから見るのも一つの手である。

似た作品は?[編集]

法の外で悪を裁くダークヒーローものとしては、同時期の『ヴィンチェンツォ』、同じSBS金土ドラマ枠の『熱血司祭』、復讐劇という点では『ザ・グローリー』がよく並べて語られる。

余談[編集]

  • タイトルの「模範タクシー」は、韓国に実在するタクシー区分の名称から。長年の無事故運転など条件を満たした運転手だけが運行できる黒塗りの高級タクシーで、一般タクシーより運賃が高い。劇中ではナンバー末尾「5283」の黒い車両がシリーズの象徴となっている。
  • イ・ジェフンは本作でアクションと変装劇の両方をこなす俳優として評価を確立し、同一シリーズでSBS演技大賞の大賞を2度受賞した。
  • S1のアン・ゴウン役は当初別の俳優が演じる予定だったが、放送前の2021年3月に降板となり、ピョ・イェジンが代役として加わって該当場面の再撮影が行われた。
  • S2はベトナムのダナン、ホーチミン、フエ、ハロン湾などで撮影されたが、撮影中に新型コロナウイルス感染者が出て一時中断している。
  • S3は2025年4月1日から11月24日まで撮影され、5月には福岡市周辺で一般エキストラを募集して日本ロケを実施した。第1話は日本語の台詞から始まる。
  • S3の日本独占配信に合わせ、Leminoは劇中の模範タクシーを再現したラッピングタクシーを東京23区内で走らせ、イ・ジェフン本人も乗車した。

関連項目[編集]

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