東方Project
Touhou Project / Project Shrine Maiden
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東方Projectオンリー同人誌即売会「博麗神社例大祭SP2」(2011年・出典:ウィキメディア・コモンズ)
サイト名 上海アリス幻樂団
言語 日本語(『東方紅魔郷:New Classic』は11言語対応)
タイプ 同人ゲーム
国 [[日本]]
種類 同人弾幕シューティングゲームシリーズ(および派生の対戦アクション・書籍・音楽CD)
創設 1996年(PC-98版『東方靈異伝』)
創設者 ZUN(太田順也)
運営者 上海アリス幻樂団
収益 同人頒布・ダウンロード販売(Steam等)・書籍
営利性 同人(個人サークル)
開始 1996年(Windows版は2002年『東方紅魔郷』から)
現在の状態 継続中(最新ナンバリングは第20弾『東方錦上京』、2026年9月にリメイク『東方紅魔郷:New Classic』発売)
別名 東方、東方プロジェクト
リンク https://www16.big.or.jp/~zun/

概要[編集]

東方Project(とうほうプロジェクト)とは、ZUN(太田順也)が主宰する個人同人サークル「上海アリス幻樂団」が制作する、弾幕系シューティングゲームを中心とした作品群である。ゲームの企画・プログラム・グラフィック・音楽・シナリオをほぼ一人で手がける同人作品でありながら、ゆるい二次創作文化を追い風に、ニコニコ動画やコミックマーケットを通じて日本のネット文化を代表するIPのひとつに育った。

詳細[編集]

「一人で作る」同人ゲーム[編集]

東方Projectの最大の特徴は、本編シリーズが基本的にZUNひとりの手で作られていることである。キャラクターの立ち絵もBGMもプログラムもZUN本人によるもので、いわゆる企業のゲーム開発チームは存在しない。販売形態も、コミックマーケットなどの同人誌即売会でパッケージを頒布し、その後に同人ショップ委託やダウンロード販売に回すという、同人ゲームの王道スタイルを守り続けている。

ただし完全な一人作業というわけではなく、格闘ゲームなど一部の派生作品は同人サークル「黄昏フロンティア」との共同制作であり、公式漫画・書籍には外部の漫画家やイラストレーターが参加している。2010年10月には「最も多産な同人シューティングシリーズ」としてギネス世界記録に認定された。

弾幕シューティングとしての特徴[編集]

ジャンルは縦スクロールの「弾幕系シューティング」。画面を埋め尽くすほどの大量の弾を、自機の小さな当たり判定ですり抜けていくタイプのSTGで、東方では弾幕を「避けさせるための模様」「見て楽しむもの」としてデザインしている点が特徴的である。ZUNは、弾幕の美しさを見せることと、女性キャラクターが多いこととは結びついていて、ファンサービスではなく画面の美しさのためだと説明している。

ボス戦では、ボスが「スペルカード」と呼ばれる名前付きの必殺弾幕を宣言し、それを一定時間しのぐか撃破すると次のスペルへ進む。スペルカードごとに「恋符「マスタースパーク」」のような名前が付いており、この“技名”文化がキャラクター人気や二次創作の題材を大きく支えている。

物語と音楽[編集]

ゲームの舞台は、人間と妖怪が共存する隠れ里「幻想郷」。そこで起きる「異変」を、主人公の巫女・博麗霊夢や魔法使い・霧雨魔理沙が解決しに行く――というのが基本パターンである。1作ごとにストーリーはほぼ完結しており、どの作品からでも入りやすい。

音楽面の評価も高い。ZUNは高校時代にオーケストラ部に所属し、もともと格闘ゲームの音楽を作りたいと考えていたとされ、ゲームは「自作曲を聴かせる器」として作り始めたという経緯がある。キャッチーなメロディと民族調・ジャズ調の混ざった独特の曲調は「ZUN節」とも呼ばれ、後述する膨大なアレンジ文化の原点となっている。

ZUNと上海アリス幻樂団[編集]

ZUN(太田順也)の経歴[編集]

ZUNの本名は太田順也(おおた じゅんや)。1977年3月18日生まれで、長野県白馬村の出身とされる。幼少期はスキー場のアーケードゲームや「ゲーム&ウオッチ」でゲームに触れ、東京電機大学在学中に、自作の音楽を載せる器としてゲームを作り始めた。

大学時代に制作したのが、PC-9800シリーズ向けの初期5作品(いわゆる「旧作」)である。卒業後はゲーム会社のタイトーに入社し、『らくがき王国』シリーズなどの開発に参加。タイトー在籍中の2002年に、個人で『東方紅魔郷』を発表した。東方の成功で十分な収入が得られるようになったことから同社を退社し、以後は同人作家として東方の制作に専念している。

上海アリス幻樂団[編集]

「上海アリス幻樂団」は、Windows版東方シリーズを頒布するためのZUNの個人サークル名である。旧作時代は「Amusement Makers」(東京電機大学のサークル)名義で頒布しており、紅魔郷以降に現在の名義になった。サークル名とは別に、ZUNは東方の制作者として「神主」と呼ばれることが多い。これは作中の舞台が「博麗神社」で、制作者=神社の主という洒落から定着した愛称である。

2026年には、ZUNとゲームサークル「AQUA STYLE」のJYUNYAを共同代表とする新サークル「上海アリス幻樂団Reprise」が結成され、リメイク版『東方紅魔郷:New Classic』を開発した。AQUA STYLEは『不思議の幻想郷』シリーズなどで知られる東方二次創作ゲームの老舗サークルで、「二次創作側の制作者が公式リメイクに合流した」という形になっている。

酒好きの神主[編集]

ZUNは大の酒好き、とくにビール好きとして有名で、ファンからは「酒神主」とも呼ばれる。インタビュー等では毎日のようにビールを飲んでいること、自家醸造を楽しんでいること、好きな銘柄がキリンであることなどが語られている。

この酒好きは公式企画にもなっており、2012年の「ニコニコ超会議」では、静岡県沼津市のクラフトビール醸造所「ベアードブルーイング」と組んだみかん風味の「ZUNビール」が1日500杯程度の限定で提供された。以後「超ZUNビール」は超会議の定番企画となり、2026年4月の超会議では西村博之(ひろゆき)とのコラボ「超!ZUNビール&ひろゆきビール」として、ZUNのYuzu Pale Ale(ABV 5.7%)とひろゆきのYuzu Stout(ABV 6.9%)が販売された。公式漫画『東方酔蝶華』も「お酒」がテーマで、酒好きはもはや作品世界にまで染み出している。

作品の歴史[編集]

旧作(PC-98時代、1996〜1998年)[編集]

東方Projectは、PC-98向けの5作品から始まった。第1作『東方靈異伝』はブロック崩しに近いアクションゲームで、シューティングになったのは第2作以降。当時の頒布数はごく小さく、『靈異伝』が約30本、『封魔録』が約50本、『幻想郷』でも200〜300本程度だったとされる。1997年のコミックマーケットで初めて頒布した際の最初の2作品は、持ち込んだ計80本が完売したという。

作品 発表 備考
東方靈異伝 〜 Highly Responsive to Prayers 1996年 第1弾。ブロック崩し風アクション
東方封魔録 〜 the Story of Eastern Wonderland 1997年8月 第2弾。以降STG
東方夢時空 〜 Phantasmagoria of Dim.Dream 1997年12月 第3弾。対戦型STG
東方幻想郷 〜 Lotus Land Story 1998年8月 第4弾。「Bad Apple!!」の原曲を収録
東方怪綺談 〜 Mystic Square 1998年12月 第5弾

旧作は現在正式な再販がされておらず、公式にプレイする手段は乏しい。そのため設定やキャラクターの一部は「旧作キャラ」として、ファンの間でも別枠扱いされることが多い。

Windows作品(2002年〜)[編集]

2002年8月、コミックマーケット62で頒布された『東方紅魔郷 〜 the Embodiment of Scarlet Devil.』から、舞台はMicrosoft Windowsに移った。吸血鬼の館「紅魔館」が幻想郷を紅い霧で覆う異変を描いた本作は、現在の東方の基本フォーマット(霊夢・魔理沙の2自機、スペルカード、6面+Extra)を確立した記念碑的作品である。

以降、ほぼ毎年夏コミで新作が出るのが恒例となり、ナンバリングには整数の本編STGと、小数点付きの派生作(対戦格闘、写真撮影STG、アクションなど)が混在する。

弾 タイトル 発表年
6 東方紅魔郷 〜 the Embodiment of Scarlet Devil. 2002
7 東方妖々夢 〜 Perfect Cherry Blossom. 2003
8 東方永夜抄 〜 Imperishable Night. 2004
9 東方花映塚 〜 Phantasmagoria of Flower View. 2005
10 東方風神録 〜 Mountain of Faith. 2007
11 東方地霊殿 〜 Subterranean Animism. 2008
12 東方星蓮船 〜 Undefined Fantastic Object. 2009
13 東方神霊廟 〜 Ten Desires. 2011
14 東方輝針城 〜 Double Dealing Character. 2013
15 東方紺珠伝 〜 Legacy of Lunatic Kingdom. 2015
16 東方天空璋 〜 Hidden Star in Four Seasons. 2017
17 東方鬼形獣 〜 Wily Beast and Weakest Creature. 2019
18 東方虹龍洞 〜 Unconnected Marketeers. 2021
19 東方獣王園 〜 Unfinished Dream of All Living Ghost. 2023
20 東方錦上京 〜 Fossilized Wonders. 2025

小数点作品には『東方萃夢想』『東方緋想天』『東方非想天則』『東方心綺楼』『東方深秘録』『東方憑依華』『東方剛欲異聞』(いずれも黄昏フロンティアとの共同制作の対戦アクション)、『東方文花帖』『ダブルスポイラー』『秘封ナイトメアダイアリー』(撮影STG)、『妖精大戦争』『弾幕アマノジャク』『バレットフィリア達の闇市場』などがある。

第20弾『東方錦上京』(2025年)[編集]

2025年4月12日に発表された第20弾『東方錦上京 〜 Fossilized Wonders.』は、ZUN自身が「初心に返った」と語るとおり、自機は霊夢と魔理沙の2人だけというシンプルな構成に戻した。テーマは「原点回帰」で、オーソドックスな弾幕STGを楽しめる作品を目指したとされる。

新システムは、メイン・拡散・集中・支援の4系統・計8種類の「異変石」を組み合わせて装備するカスタマイズ要素。ゲームを進めると新しい異変石が手に入り、装備の幅が広がっていく。5月の博麗神社例大祭で3面まで遊べる体験版が頒布され、製品版は2025年8月16日にSteamで配信(パブリッシャーはメディアスケープ)、翌17日のコミックマーケット106で1,500円でパッケージ版が頒布された。コミケ会場分は完売したと報じられている。

リメイク『東方紅魔郷:New Classic』(2026年)[編集]

2026年6月9日の「Nintendo Direct」で突如発表されたのが、紅魔郷の初の公式リメイク『東方紅魔郷:New Classic 〜 the Embodiment of Scarlet Devil.』である。開発は前述の上海アリス幻樂団Reprise、販売はアライアンス・アーツ。2026年9月10日にNintendo Switch 2、Nintendo Switch、PlayStation 5、PC(Steam)で発売された。価格は通常版1,990円、デラックス版2,966円(税込)。

収録内容は、グラフィックを高解像度化しZUN自身が全曲をアレンジした「New Classic版」と、2002年当時のゲームを可能な限り再現した「Classic版」の2本立て。ライフ無限で挑める「チャレンジモード」や近年作のボス位置表示「ボスマーカー」も追加され、11言語へのローカライズは東方の公式STGとして初めてとされる。発売直後のSteam同時接続プレイヤー数はピーク約1万4,600人、ユーザーレビューは約1,700件中98%が好評の「圧倒的に好評」を獲得した。

キャラクターと世界観[編集]

幻想郷[編集]

「幻想郷」は、日本の山奥にあるとされる隠れ里で、「博麗大結界」によって外の世界(現代日本)から隔離されている。外の世界で忘れ去られた妖怪や神々、幻想の存在が流れ着く場所という設定で、人間の里と妖怪たちの住処が同じ土地に並存している。

妖怪が人を襲い、人間が妖怪を退治する、という古来の関係を「遊び」として保つための決闘ルールが「スペルカードルール」。ゲーム中の弾幕勝負は、この設定上のルールに則った“美しさを競う決闘”として位置づけられており、シューティングというゲームシステムと世界観がきれいに噛み合っている。

主要キャラクター[編集]

公式キャラクターは180人を超えるとされ、ほぼ全員が少女の姿をしている。代表的なキャラクターは以下のとおり。

  • 博麗霊夢(はくれい れいむ)…博麗神社の巫女で、シリーズの主人公。異変が起きると勘で犯人のもとへ飛んでいく。紅白の巫女服と大きなリボン、腋の空いた袖がトレードマーク。
  • 霧雨魔理沙(きりさめ まりさ)…「普通の魔法使い」を自称する人間の少女で、もう一人の主人公。黒白の魔女服に箒。代名詞のスペルカード「マスタースパーク」は極太レーザー。
  • 十六夜咲夜…紅魔館のメイド長で時間を操る。『妖々夢』以降は自機としても登場。
  • レミリア・スカーレット…紅魔館の主の吸血鬼。『紅魔郷』のラスボス。妹はフランドール・スカーレット。
  • チルノ…氷の妖精。「⑨」(バカ)のネタで知られる二次創作の人気者。
  • 魂魄妖夢・西行寺幽々子…冥界・白玉楼の庭師と主。『妖々夢』に登場。
  • 八雲紫…幻想郷の結界を管理する大妖怪。
  • 東風谷早苗…『風神録』で登場した守矢神社の風祝(かぜはふり)。外の世界出身で、以降は自機の常連。
  • アリス・マーガトロイド、パチュリー・ノーレッジ…人形遣いの魔法使いと紅魔館の魔女。魔理沙との組み合わせで二次創作でも人気。

公式書籍・漫画[編集]

ゲームの外側でも、ZUNが原作・文章を担当する公式書籍が長年刊行されている。キャラクターの日常を描く漫画、幻想郷を「新聞」「縁起」といった作中文書の形で紹介する設定資料風の書籍などがあり、ゲームでは語られない設定の多くはこちらで補完されている。

代表的な漫画には『東方三月精』(妖精3人組の日常)、『東方鈴奈庵 〜 Forbidden Scrollery.』(人間の里の貸本屋が舞台)、『東方茨歌仙 〜 Wild and Horned Hermit.』などがある。2026年時点で連載中の最新公式漫画は『東方酔蝶華 〜 ロータスイーター達の酔醒』(原作:ZUN、漫画:水炊き)で、2019年12月からKADOKAWAの漫画誌『コンプエース』で連載。人間の里の居酒屋を舞台にした「お酒」がテーマの作品で、2026年6月に第10巻が発売され、同年9月には第80話が公開されている。

音楽面では、ゲームBGMのアレンジや新曲を収めた音楽CD(『蓬莱人形』などの幻樂団の音楽CDや、宇佐見蓮子とマエリベリー・ハーンの2人組「秘封倶楽部」を題材にした作品群)も頒布されている。2026年8月16日のコミックマーケット108では、秘封倶楽部シリーズの新譜『霊長新益京 〜 Artificial Utopia in Ruins』(全11曲)が頒布された。

二次創作ガイドライン[編集]

「常識の範囲で基本的に自由」[編集]

東方Projectが巨大化した最大の理由として挙げられるのが、二次創作への寛容さである。公式の二次創作ガイドラインは「個人の二次創作活動は、常識の範囲内であれば基本的に自由」という立場で、条件として「東方Projectの二次創作であると明記すること」「作品のイメージを著しく損なわないこと」「公式作品と誤認させないこと」などを掲げている。

同人誌即売会や同人ショップ、許可された書店・通販(BOOTH、DLsiteなどの同人向け販路)での頒布は認められており、同人誌、同人音楽、同人ゲームを「売る」ことも同人の範囲なら許容されている。この「売ってもいい同人」が、アレンジCDサークルやゲームサークルが自立できる経済圏を生んだ。

禁止事項と商用利用[編集]

一方で禁止事項もはっきりしている。ゲームの素材(画像・音楽データ)をスクリーンショットやプレイ動画以外の形で流用すること、エンディングの公開、他人の二次創作物の無断転用、過度な性的表現やヘイト表現、ZUN本人の写真の加工・無断公開などが挙げられている。

企業(法人)が利益目的で東方の二次創作を行う場合は、個別に許諾申請が必要。2024年5月31日の改定ではクラウドファンディングについての項目が追記され、トラブル時の責任問題を理由に「原則として推奨しない」、行う場合は事前に個別許可が必要とされた。『東方LostWord』『東方ダンマクカグラ』など企業製の東方スマホゲームや、Nintendo Switch・PlayStation向けの東方二次創作ゲームは、こうした個別許諾を経て出ているものである。

動画配信ガイドライン[編集]

2021年7月8日に最終更新された「動画配信サービスへの投稿に関するガイドライン」では、YouTube・Twitch・ニコニコ動画などでの東方関連動画について、各サイトの公式な収益化システムを使った収益化は「営利目的とみなさない」として認めている。つまり原作のプレイ動画やアレンジ曲の投稿で広告収益を得ることは、ガイドラインの範囲内でOKということになる。

ガイドラインの運用が個別のチャンネルに及んだ例として、2022年3月には政治系のゆっくり解説チャンネル『しまむらいだーのお部屋【ゆっくり解説】』の運営者が、他者や国家を批判する内容への東方キャラクターの使用について上海アリス幻樂団から連絡を受けたことを公表し、以後の動画で東方キャラクターの使用を取りやめている。

ニコニコ動画とネット文化[編集]

東方アレンジとIOSYS[編集]

2006〜2007年のニコニコ動画黎明期、初音ミクなどのボーカロイドと並んで動画ランキングを席巻したのが東方アレンジ曲だった。ZUNの原曲をダンス・ロック・メタル・ユーロビートなどに編曲した「東方アレンジ」は、同人音楽サークルの一大ジャンルとなった。

代表格が札幌の同人音楽サークルIOSYS。アルバム『東方乙女囃子』に収録された「魔理沙は大変なものを盗んでいきました」は、『妖々夢』の「人形裁判 〜 人の形弄びし少女」「ブクレシュティの人形師」などをアレンジした電波ソングで、ボーカルは藤咲かりん(miko)。ニコニコでは特定のタイミングに決まったコメントが流れる「コメント職人」文化とセットで爆発的に広まった。同じくIOSYSの「チルノのパーフェクトさんすう教室」も、チルノの「⑨」キャラを決定づけた一曲として知られる。

Bad Apple!!(影絵)[編集]

「Bad Apple!!」は、もとは旧作『東方幻想郷』(1998年)の3面テーマ曲。ZUNは「できるだけ古臭く聞こえる曲」を狙ったとされる。これを同人サークルAlstroemeria Recordsがアレンジし、ボーカルにnomicoを迎えて2007年5月のアルバム『Lovelight』に収録した。

2009年10月27日、あにらがこの曲に合わせた白黒の影絵アニメーションPVをニコニコ動画に投稿。同年11月15日にデイリーランキング1位となり、2023年3月にはニコニコの「東方」タグ付き動画で最多となる3,000万再生を突破した。白黒2値の映像であることから、オシロスコープや電卓、古いPCなど「あらゆる機器でBad Apple!!を再生する」ネタが世界中で作られ、東方を知らない層にまで知られる一種のベンチマーク映像になっている。

ゆっくりしていってね!!![編集]

いまやYouTubeの解説・実況動画の定番となった「ゆっくり」も東方発祥である。2ちゃんねる(現・5ちゃんねる)のアスキーアートとして生まれた、霊夢と魔理沙の頭部をデフォルメしたキャラクターが「ゆっくりしていってね!!!」と叫ぶ絵が元で、後にイラスト化されて現在の姿が定着した。

これに音声合成エンジンAquesTalkを使ったソフト(SofTalk、棒読みちゃん等)の機械音声を組み合わせたのが「ゆっくり霊夢」「ゆっくり魔理沙」によるゆっくり実況・ゆっくり解説で、フリーソフト「ゆっくりMovieMaker」の登場で制作のハードルが下がり、顔出し・声出し不要の動画フォーマットとして定着した。多くの視聴者にとって、ゆっくり霊夢・魔理沙は「東方のキャラ」というより「解説動画の司会」になっており、原作を知らずにキャラだけ知っている層を大量に生んでいる。

イベント[編集]

博麗神社例大祭[編集]

博麗神社例大祭は、博麗神社社務所が主催する東方Projectオンリーの同人誌即売会。2004年春に第1回が開かれ、以後毎年開催されている。同人誌即売会部分だけで2,000〜3,000サークル規模となり、上海アリス幻樂団が新作の体験版を頒布する場としても定着している(夏コミで製品版、春の例大祭で体験版、というサイクル)。

2026年5月4日の第二十三回例大祭は東京ビッグサイトの東1〜3ホールと8ホールの計4ホールで開催された。秋には「博麗神社秋季例大祭」、ほかに静岡や台湾での例大祭も開かれており、2026年10月4日には東京ビッグサイトで秋季例大祭が予定されている。

コミックマーケット[編集]

本編新作のパッケージ版は、長年コミックマーケット(夏コミ)で頒布されるのが恒例。コミケ会場には東方の同人誌・音楽・ゲームを扱うサークルが大量に集まり、東方は長らくコミケで最大級のジャンルのひとつとされてきた。

Steam・Nintendo Switch展開[編集]

Play,Doujin!と家庭用ゲーム機[編集]

2014年12月18日、メディアスケープが同人ゲームをPlayStation 4・PS Vitaへパブリッシュするプロジェクト「Play,Doujin!」を発表。ZUNの協力のもと、AQUA STYLEなど東方二次創作ゲームのサークルが家庭用ゲーム機へ進出する道が開かれた。

2017年12月にはソニー・ミュージックエンタテインメントのゲームレーベルUNTIESもPlay,Doujin!に参加し、『不思議の幻想郷TOD -RELOADED-』がNintendo Switchで、『舞華蒼魔鏡』がPS4で発売された。以後、Nintendo Switchには東方二次創作ゲームが続々と登場し、2025〜2026年にも『東方紅輝心』のSwitch版や『妖々剣戟夢想』などが発売されている。

原作のSteam配信[編集]

原作STGは、2017年11月16日配信の『東方天空璋』からSteamに進出した。以降、新作は同人頒布とほぼ同時期にSteamで配信されるようになり、海外ファンが公式ルートで購入できる環境が整った。2019年6月には同人ダウンロード販売サイトDLsiteでも原作の取扱が始まっている。

そして2026年の『東方紅魔郷:New Classic』で、上海アリス幻樂団(Reprise)名義の原作STGがついに家庭用ゲーム機に登場。「二次創作は家庭用ゲーム機にあるのに原作はPCだけ」というねじれ状態が、シリーズ開始から約30年で解消されたことになる。

最新動向(2025〜2026年)[編集]

  • 2025年4月12日 第20弾『東方錦上京』を発表。5月の例大祭で体験版、8月16日Steam配信・8月17日コミケ頒布。
  • 2025年5月23日 YouTube番組「東方ステーション」で、ZUNが『錦上京』の背景画像の一部にAdobe Photoshopの生成機能(Adobe Firefly)を使ったと説明。キャラクターや音楽には使っていないとした。
  • Steam版『錦上京』のユーザーレビューは、800件超のうち約9割が好評の「非常に好評」(2026年9月時点)。
  • 2026年4月 ニコニコ超会議2026で「超!ZUNビール&ひろゆきビール」。
  • 2026年5月4日 第二十三回博麗神社例大祭(東京ビッグサイト、4ホール)。
  • 2026年6月9日 Nintendo Directで『東方紅魔郷:New Classic』を発表。
  • 2026年8月16日 コミックマーケット108で秘封倶楽部の新譜『霊長新益京』を頒布。
  • 2026年9月10日 『東方紅魔郷:New Classic』発売。Steamで「圧倒的に好評」。
  • 2026年9月時点で、第21弾となる本編新作は発表されていない。

炎上とバズ[編集]

ゆっくり茶番劇商標騒動(2022年)[編集]

2022年5月、東方とは無関係のYouTuberが「ゆっくり茶番劇」を商標登録(2022年2月24日登録)していたことが明らかになり、使用料を求める姿勢を示したことから大炎上した。「ゆっくり茶番劇」は東方二次創作の一ジャンル名として長年使われていたため、ZUNやドワンゴも反応し、ドワンゴは商標の無効化に向けて動いた。商標権は同年6月に抹消され、2023年7月12日には特許庁が無効審決を出して「最初からなかった」扱いとなった。

『錦上京』の生成AI使用(2025年)[編集]

2025年5月、『東方錦上京』の背景の一部に生成AI(Adobe Firefly)が使われていることにZUN自身が言及し、SNSで賛否が起きた。ZUNは「1番大切なのはAIに負けないこと」「嫌いだからと否定するのもAIに負けること」と述べる一方、他人の絵を学習させるスクレイピングや特定作家の画風を模倣するモデルには否定的な立場を示した。作品のテーマ上AIの使用に必然性があったとも示唆しており、擁護・批判双方の立場から議論が続いた。

紅魔郷リメイクのサプライズ発表(2026年)[編集]

2026年6月のNintendo Directで紅魔郷リメイクが予告なしに発表されると、X(旧Twitter)のトレンドに関連ワードが並ぶなど大きな話題になった。発売後もSteamで好評を得ており、長年のファンの「ついに家庭用で原作が」という反応と、新規層の流入が同時に起きた格好となった。

余談[編集]

  • ギネス世界記録の認定名は「最も多産な同人シューティングシリーズ」(2010年)。“同人”であることそのものが記録の一部になっている。
  • 第1作『東方靈異伝』の頒布数は約30本とされる。約30年後、同じ紅魔郷のリメイクがSteam同時接続1万4,000人超を記録したのだから、同人ゲーム史でも屈指の出世物語である。
  • 「Bad Apple!!」は旧作『東方幻想郷』の3面テーマ曲。原作は現在公式に遊ぶ手段が乏しいのに、曲だけは世界で最も有名な東方曲のひとつになっている。
  • ZUNのニックネーム「神主」は、作中の博麗神社になぞらえた呼び名。酒好きが高じて「酒神主」とも呼ばれ、公式漫画『東方酔蝶華』の舞台は居酒屋である。
  • 『東方紅魔郷:New Classic』の開発サークル「上海アリス幻樂団Reprise」の共同代表JYUNYAが率いるAQUA STYLEは、もともと東方の二次創作ゲームを作っていたサークル。二次創作側の作り手が原作リメイクを担うという、二次創作に寛容な東方らしい展開になった。
  • チルノの「⑨」ネタは、『東方花映塚』のマニュアルでチルノの「おつむ」評価欄にあたる箇所が「⑨」になっていたことが由来とされる。

外部リンク[編集]

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