| タコピーの原罪 Takopi's Original Sin | |
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連載媒体「少年ジャンプ+」のロゴ(出典:Wikimedia Commons・パブリックドメイン) | |
| 作家 | タイザン5 |
| ジャンル | SF、サスペンス、ヒューマンドラマ |
| 出版社 | 集英社 |
| 配信 | 少年ジャンプ+ |
| 連載期間 | 2021年12月10日 - 2022年3月25日 |
| 連載周期 | 週刊(毎週金曜更新) |
| 話数 | 全16話(単行本全2巻) |
| 略称 | タコピー |
| メディアミックス | 配信アニメ(2025年・全6話)、劇場版『タコピーの原罪 -ありがとう、また明日-』(2026年11月27日公開) |
概要[編集]
タコピーの原罪(タコピーのげんざい)とは、タイザン5による日本の漫画作品である。集英社のマンガアプリ「少年ジャンプ+」で2021年12月から2022年3月まで連載された全16話・全2巻の短期連載で、かわいい宇宙人と重すぎる現実のギャップから「悪夢版ドラえもん」と呼ばれた。2025年に全6話でアニメ化された。
詳細[編集]
連載の経緯[編集]
作者のタイザン5は、2020年9月に少年ジャンプ+の投稿サービス「ジャンプルーキー!」の月間賞で読み切り『讃歌』が編集部期待賞を受賞し、注目された新人である。本作はそのタイザン5の初連載作品で、2021年12月10日に第1話が公開された。
もともとタイザン5は「感情表現のうまさ、明るさ、強さ」を評価されていた作家だった。本作のネームを見た少年ジャンプ+編集長の細野修平は、その暗さが気になったものの、全2巻程度の短期連載を予定していたことから「まずはやってみよう」と連載を決めたという。結果的にこの判断が、ジャンプ+史上でも屈指の話題作を生むことになった。
毎週金曜0時の「タコピー祭り」[編集]
本作は毎週金曜日の0時に最新話が更新された。第1話は公開直後から約270万閲覧・4,000件のコメントを集め、以後も1話あたり250万〜300万閲覧という数字を記録した。更新直後から「タコピー」がX(旧Twitter)のトレンドに入るのが毎週の恒例となり、深夜に考察とファンアートが一斉に流れる光景は、半ば祭りのような状態だった。
J-CASTニュースの分析によると、第1話〜第3話の段階ではツイート数は5,000件未満と控えめだったが、第4話(2021年12月31日公開)で約14,000件に急増した。ピークは第11話(2022年2月18日公開)の約18,000件で、このときは深夜1時に「タコピー」が日本のトレンド1位になった。
最終話(第16話)は2022年3月25日に公開され、ジャンプ+で初めて1日300万閲覧を突破し、同日中に350万閲覧にまで伸びた。3月28日時点での累計閲覧数は8,000万PVを超えた。
「陰湿なドラえもん」という発想[編集]
タイザン5は本作について「陰湿なドラえもんをやりたかった」と語っている。不思議な道具を持った宇宙人が困っている子どもを助ける、という藤子・F・不二雄作品の王道フォーマットを借りながら、その道具がまったく問題を解決しない、むしろ悪化させていくという逆転の構造が本作の核になっている。
作者によると、『SPY×FAMILY』などジャンプ+の看板作を読んでいて、プラットフォームの自由な雰囲気に惹かれたという。担当編集者から好きに描くことを勧められたため、自分の好みであるサスペンス小説の要素と、子ども向けの題材を組み合わせた。家庭の問題を軸にしつつ、時間を巻き戻す「ループもの」の構成を採用し、「幸せな場所から来た宇宙人が現代で困る」という発想からタコピーというキャラクターが生まれた。
結末は最初から決めていたわけではなく、序盤の読者の反応を見ながら決めたもので、当初の想定とは違う終わり方になったと明かしている。
あらすじ[編集]
※ここでは序盤の設定のみを紹介する。結末を含む内容は「よくある質問」の該当項目を参照。
舞台は2016年。「ハッピー星」からやって来た宇宙人タコピーは、地球の人々をハッピーにするために不思議な「ハッピー道具」を持って地球に降り立つ。空腹で倒れていたところを助けてくれたのが、小学4年生の少女久世しずかだった。
恩返しのためにしずかを笑顔にしようと張り切るタコピーだが、しずかは学校で同級生の雲母坂まりなからひどいいじめを受け、家庭にも居場所がなかった。唯一の心の支えは愛犬のチャッピーだけ。タコピーはハッピー道具を使って何とかしずかを助けようとするが、人間の「悪意」というものをまったく理解できないタコピーの善意は、事態をどんどん取り返しのつかない方向へ転がしていく。
時間を巻き戻せるハッピーカメラでやり直しを繰り返しても、なぜか毎回うまくいかない。やがて起きたある事件をきっかけに、しずか、まりな、そして学級委員長の東直樹の運命は大きく狂い始める。そしてタコピー自身にも、本人が忘れている「原罪」が隠されていた。
主な登場人物[編集]
アニメ版の声優を併記する。
- タコピー(声:間宮くるみ)
- ハッピー星からやって来た宇宙人。見た目はタコそっくりで、語尾に「〜っピ」をつけて話す。本名は地球人には発音できない「んうえいぬkf」。どこまでも純粋で前向きだが、「悪意」や「嘘」という概念を理解できず、良かれと思ってやったことが裏目に出続ける。
- 久世しずか(声:上田麗奈)
- 小学4年生の少女。父親が家を出て行き、母親とも心が通わない家庭で育つ。学校ではまりなから執拗ないじめを受けており、感情をほとんど表に出さない。愛犬チャッピーだけが心の拠り所。
- 雲母坂まりな(声:小原好美)
- しずかの同級生で、いじめの中心人物。彼女自身も家庭に深刻な問題を抱えており、その怒りの矛先がしずかに向かっている。作者は『ドラえもん』でいうジャイアン的なポジションとして描いたと説明している。
- 東直樹(声:永瀬アンナ)
- 医師の家庭に育った優等生で学級委員長。教育熱心な母親からのプレッシャーと、出来の良い兄への劣等感を抱えている。作者は出木杉くんをイメージしたキャラクターだと語っている。
- チャッピー
- しずかの愛犬。しずかにとって唯一の家族のような存在で、物語の重要なカギを握る。
本作の特徴として、子どもたちの表情は非常に豊かに描かれる一方、大人の顔はほとんど描かれない。子どもの目線から見た「大人の世界」の不気味さや遠さを表現した演出として、多くの読者に注目された。
ハッピー道具[編集]
タコピーが持ち込んだ道具は、どれもかわいらしい名前と見た目をしているが、使われ方は毎回シビアである。
- ハッピーカメラ - 写真を撮った瞬間まで時間を巻き戻せるカメラ。物語のループ構造を支える最重要アイテム。
- パタパタつばさ - 輪っかの形をした翼で、空を飛べる。ただし重量制限がある。
- 仲直りリボン - 無限に伸びる丈夫なリボン。小指同士を結ぶと遠く離れていても仲直りできるとされる。
- 花ピン - 頭に刺すと「ハッピー花」が咲いて見える。ただし地球人にはドクダミにしか見えない。
- へんしんパレット - 対象の体の一部を取り込むと、その人物に変身できる。
- 思い出ボックス - 中身をそのまま保存できる楕円形のカプセル。
- 大ハッピー時計 - ハッピー星にある時計台。時間の移動に関わる。
ドラえもんのひみつ道具を思わせる名前とデザインが、逆に物語の残酷さを際立たせる仕掛けになっている。
単行本と受賞歴[編集]
単行本は上巻が2022年3月4日、下巻が2022年4月4日に発売された。わずか2冊の短い作品ながら売れ行きは好調で、累計発行部数は2024年12月時点で140万部、アニメ配信直前の2025年5月時点で145万部を超えた。
主な受賞・ノミネートは以下のとおり。
- 第51回日本漫画家協会賞「まんが王国とっとり賞」受賞(2022年5月)
- 第6回みんなが選ぶTSUTAYAコミック大賞 5位(2022年6月)
- 「ネット流行語100 2022」 年間2位(2022年12月)
- 「このマンガがすごい!2023」 ノミネート
- マンガ大賞2023 ノミネート
- 第27回手塚治虫文化賞 マンガ大賞最終候補(2023年)
単行本の発売にあわせて、記念PVやボイスドラマ、特別映像「タコピーといっしょ」も公開された。
アニメ[編集]
制作発表から配信まで[編集]
アニメ化は連載開始からちょうど3年後の2024年12月10日に発表された。企画・プロデュースはTBSテレビ、アニメーション制作はENISHIYA。監督とシリーズ構成を飯野慎也、キャラクターデザインを長原圭太、音楽を藤澤慶昌が担当した。
テレビ放送ではなく配信アニメとして制作され、2025年6月28日0時から毎週土曜に1話ずつ、全6話が配信された。配信先はNetflix、ABEMA、Amazonプライム・ビデオ、Disney+、DMM TV、dアニメストア、FOD、Hulu、U-NEXT、Lemino、TELASA、WOWOWオンデマンドなど、主要サービスをほぼ網羅する形となった。配信前には第1話の劇場先行上映も行われ、アメリカのアニメイベント「Anime NYC」でも上映された。
原作16話を全6話にまとめる構成で、1話あたりの密度が非常に高い作りになっている。
主題歌[編集]
- オープニングテーマ:ano「ハッピーラッキーチャッピー」
- エンディングテーマ:Tele「がらすの線」
どちらも本作のための書き下ろし。anoの「ハッピーラッキーチャッピー」は、かわいらしくポップな曲調と作品のダークさの対比が話題になり、毎週オープニングを見てから本編で落とされる、という流れが視聴者の定番の楽しみ方(?)になった。
劇場版[編集]
2026年5月23日、テレビアニメ全6話を劇場用に再編集し、新規シーンを加えた劇場版『タコピーの原罪 -ありがとう、また明日-』の制作が発表された。公開日は2026年11月27日(金)。スタッフ・キャストは配信版から続投する。
原作者のタイザン5は発表に寄せて、第1話の劇場先行上映で味わった音響と大画面の感動が忘れられなかったとし、「何度でも見に行きます!!」とコメントした。特報映像には「タコピーと出会ってくれたきみたちへ。あの物語を、もう一度。」というメッセージが添えられている。
アニメ公式Xアカウント(@takopi_pr)では劇場版の告知のほか、マスコットのぬいぐるみやぬいぐるみリュックといったプライズグッズ、くじ形式のグッズ販売などの情報も発信されており、作品の重さとは裏腹に「タコピーのグッズはかわいい」という状態が続いている。
反響[編集]
連載時[編集]
連載中は毎週の更新が事件のように扱われ、SNS上では「次はどうなるのか」という考察が飛び交った。同じ時期のジャンプ+には『SPY×FAMILY』や『ダンダダン』といった看板作が並んでいたが、本作は短期連載ながらそれらとは明らかに異なる異彩を放つ作品として語られた。浅野いにおの『おやすみプンプン』と雰囲気が似ているという声もあった。
批評面では、タコピーの無垢さがかえって人間の悪意を浮かび上がらせる構造や、被害と加害が連鎖していく因果を断ち切ることの難しさを描いた点が高く評価された。作者自身は「現実の問題は誰か1人を悪者と決めつけられない。そういった状況をそのまま漫画に落とし込みたかった」と語っている。
最終話の結末は賛否が割れるかと思いきや、完結を祝うファンアートが大量に投稿されるなど、おおむね好意的に受け止められた。J-CASTニュースによるYahoo!リアルタイム検索の感情分析では、最終話公開日のポジティブ53%・ネガティブ47%と拮抗していたが、別のソーシャル分析ではポジティブがネガティブを大きく上回る結果も出ている。
アニメ配信後[編集]
アニメ化で本作は海外にも一気に広まった。米経済誌Forbesの報道によれば、映画・ドラマのデータベースIMDbで全6話すべてのエピソード評価が9.0を超えた初めてのアニメとなり、各話は9.3〜9.7点、平均9.5点を記録した。海外のアニメ配信サービスCrunchyrollでも、3万5,000件のレビューで5点満点中4.9点という極めて高い評価を集めた。
国内では、ニコニコ動画を運営するドワンゴが発表した「2025年夏アニメ中間ランキング」(8月15日時点、61作品が対象)で1位を獲得。2位の『ダンダダン』第2期を抑えての首位だった。ニコニコではタコピーのセリフがそのままコメント弾幕のネタとして定着し、数多くのネットミームを生んだ。
炎上とバズ[編集]
本作最大の「バズ」はネットミーム化である。タコピーの口癖である語尾の「〜っピ」はそのまま真似しやすく、連載当時からSNSでは語尾に「〜っピ」をつけた投稿が多く見られた。作中のセリフ「わかんないっピ」などは、アニメ配信時にもニコニコ動画のコメントや各種SNSで大量に使われ、作品を見ていない層にまで広がった。2022年には「ネット流行語100」で年間2位に入っている。
一方で、作品のテーマがテーマだけに、かわいらしいタコピーのイメージだけが一人歩きして内容を知らずに見た人が衝撃を受ける、というケースも多かった。その落差自体が口コミで広がり、作品の知名度を押し上げた面もある。
余談[編集]
- 作者が作品を「陰湿なドラえもん」と表現したこともあり、まりなは「ジャイアン」、東直樹は「出木杉くん」をイメージしたキャラクターとされる。ではしずかは…と考えると、名前からして意図は明白である。
- 2024年の少年ジャンプ+10周年記念企画として、タコピーが各地を訪れるショート動画シリーズ「タコピーとおさんぽ」「タコピーと旅きぶん」が投稿された。2025年3月からはアメリカのニューヨークにも足を運び、自由の女神やタイムズスクエアを訪れた。企画は2025年9月1日で更新を終えている。
- タイザン5は自身のXで、アメリカ帰りのタコピーのイラストを投稿したことがある。
- 「花ピン」は、タコピーにとっては幸せの「ハッピー花」なのに、地球人にはドクダミにしか見えないという設定。タコピーと人間の感覚のズレを象徴する小ネタになっている。
- 少年ジャンプ+では藤本タツキの読み切り作品や『チェンソーマン』第2部なども配信されており、短期連載や読み切りで大きな話題を生む媒体として知られる。本作もその代表例の1つで、同じ集英社発の『推しの子』(原作:赤坂アカ)と並び、2020年代の集英社作品のアニメ化ヒットの1つに数えられる。