その着せ替え人形は恋をする

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その着せ替え人形は恋をする
My Dress-Up Darling / Sono Bisque Doll wa Koi wo Suru
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主人公・五条新菜が作り手を目指す雛人形(イメージ。出典:Wikimedia Commons「Hina-ningyo Hina-matsuri20160226 125043.jpg」、撮影:Advancemirror、CC BY-SA 4.0)
作家 福田晋一
ジャンル 青年漫画、ラブコメディ、コスプレ
出版社 スクウェア・エニックス
配信 マンガUP!
連載期間 2018年1月 - 2025年3月(『ヤングガンガン』2018年3号 - 2025年7号)
連載周期 月2回刊(ヤングガンガン)
話数 単行本全15巻(完結)
略称 着せ恋(きせこい)
メディアミックス テレビアニメ(第1期:2022年、第2期:2025年)、実写ドラマ(2024年)、スピンオフ漫画『着せ替え人形でchu♡』
その他 累計発行部数1500万部超(2025年10月時点)
リンク TVアニメ公式サイト


概要[編集]

その着せ替え人形は恋をする(そのビスクドールはこいをする)とは、福田晋一がスクウェア・エニックスの青年漫画誌『ヤングガンガン』で2018年から2025年まで連載した、雛人形職人志望の男子高校生とコスプレ好きのギャルの恋を描く恋愛漫画である。通称は「着せ恋」。

詳細[編集]

作品の成り立ち[編集]

本作は『ヤングガンガン』2018年3号(2018年1月19日発売)で連載がスタートした。作者の福田晋一は、2006年に第23回エース新人漫画賞で奨励賞を受賞してデビューし、2009年に『シバラク』で初連載、2012年から2016年にかけて『ヤングキング』で『桃色メロイック』を連載したキャリアを持つ。着せ恋は福田にとって3本目の連載作品で、これが自身最大のヒット作になった。

タイトルの「着せ替え人形」には「ビスクドール」というルビが振られている。ビスクドールは素焼きの陶器で作られた西洋人形のことで、人形の顔を作る職人を目指す主人公と、衣装を着て「別の誰か」に変身するコスプレという2つのテーマを1語に重ねたネーミングになっている。

どんな話なのか[編集]

雛人形の顔を作る職人「頭師(かしらし)」を目指す高校1年生・五条新菜は、幼いころに人形好きを否定された経験から自分の趣味を隠し、クラスでも孤立気味に過ごしていた。ある日、学校の被服室で人形の衣装を縫っていたところを、クラスの人気ギャル・喜多川海夢に見られてしまう。

ところが海夢は笑うどころか、新菜の裁縫の腕前に目を輝かせ、「好きなキャラのコスプレ衣装を作ってほしい」と頼み込む。海夢は見た目こそギャルだが、アニメやゲームを心から愛する筋金入りのオタクだった。こうして2人の「コスプレ衣装づくり」が始まり、作品はものづくりと恋が同時進行するコスプレ・ラブコメディとして展開していく。

完結までの歩み[編集]

連載は約7年にわたり、2025年3月21日発売の『ヤングガンガン』2025年7号で最終回を迎えた。単行本は全15巻で、最終15巻は2025年7月25日に発売。描き下ろしを大幅に加えた最終巻では、ついに付き合うことになった海夢と新菜のその後や、新菜の誕生日デートでの口論、2人の思い出の場所を再訪するエピソードなどが収録され、物語は「コスプレ・スクールライフ」の完結として幕を閉じた。

完結時点でシリーズ累計発行部数は1200万部を超え、その後もアニメ第2期の放送に合わせて伸び続けた。2025年8月には1400万部、同年10月には1500万部を突破している。

主な登場人物[編集]

五条新菜(ごじょう わかな)[編集]

本作の主人公。埼玉の人形の町・岩槻にある「五条人形店」の跡取りで、雛人形の頭師である祖父と2人で暮らしている。身長は185cmを超える大柄な体格だが、性格は生真面目で自己評価が極端に低い。手先が器用で裁縫の技術は一級品。海夢の衣装を手がけるうちに、自分の「好き」を誰かと分かち合う喜びを知っていく。アニメ版の声優は石毛翔弥、実写ドラマ版では野村康太が演じた。

喜多川海夢(きたがわ まりん)[編集]

本作のヒロイン。新菜と同じクラスのギャルで、読者モデルとしても活動している。物怖じしない明るい性格で、好きなものを「好き」と堂々と言えるタイプ。大食いで、手先はかなり不器用。新菜に「綺麗だった」と言われたことをきっかけに彼に恋をし、その想いを自覚していく過程が物語の大きな軸になっている。アニメ版の声優は直田姫奈、実写ドラマ版では永瀬莉子が演じた。

乾紗寿叶(いぬい さじゅな)[編集]

ネット上で「ジュジュ」の名で活動する人気コスプレイヤー。新菜たちより1学年上の高校2年生だが、童顔で小柄なため年下に見られがち。コスプレには一切妥協しないストイックな性格で、当初は海夢とぶつかるが、のちに大切な仲間になる。アニメ版の声優は種﨑敦美、ドラマ版は池田朱那。

乾心寿(いぬい しんじゅ)[編集]

紗寿叶の妹。中学生ながら身長178cmという長身の持ち主で、内気な性格。姉のコスプレ写真を撮影してネットに公開しており、カメラの腕は確か。アニメ版の声優は羊宮妃那、ドラマ版は豊島心桜。

その他の人物[編集]

  • 五条薫:新菜の祖父で、雛人形の頭師。新菜のコスプレ活動にも理解を示し、陰ながら成長を見守る。アニメ版の声優は斧アツシ、ドラマ版は山田明郷。
  • 姫野あまね:女装メイクで魔法少女キャラなどを演じる20歳の男性コスプレイヤー(本名・天野千歳)。新菜たちにメイクの技術を教える。アニメ第2期から登場し、声優は村瀬歩。ドラマ版は塩﨑太智。
  • 旭(あきら):アニメ第2期で登場する、クールな雰囲気の衣装制作系レイヤー。第2期では河瀬茉希が演じた。

作風と魅力[編集]

ガチすぎる衣装制作描写[編集]

着せ恋最大の特徴は、コスプレ衣装づくりの工程をとことん具体的に描くところ。採寸、型紙、生地選び、ウィッグの調整、メイク、撮影ロケーションの選定まで、1着の衣装が完成するまでのプロセスが漫画のドラマとしてしっかり成立している。福田は雛人形職人や実際のコスプレイヤーへの取材を重ね、リアリティを重視して描いたとされる。コスプレをしない読者でも、衣装づくりの奥深さが伝わってくる作り込みである。

「好き」を肯定する物語[編集]

福田はインタビューで、新菜と海夢を「趣味を続けることを肯定してくれるパートナー」になるように描いたと語っている。自分の趣味を恥じていた新菜と、他人の「好き」を絶対にバカにしない海夢。この2人の関係性が、オタク趣味や手仕事にコンプレックスを持つ読者の心に刺さった。また福田は、男女どちらの読者も楽しめるよう工夫しつつ、海夢を「コスプレイヤーと付き合いたかった男性の夢が叶うような存在」として描いたとも明かしている。

ギャル×オタクの王道フォーマット[編集]

「オタクに優しいギャル」という、ネットでよく語られる願望を正面から作品にしたような設定も話題を呼んだ。ただし海夢は単なる都合のいいヒロインではなく、自分自身が誰よりもディープなオタク。新菜が一方的に救われるのではなく、2人が互いの「好き」を支え合う対等な関係として描かれている点が、ラブコメとしての評価につながっている。

作中作品の濃さ[編集]

海夢がコスプレするキャラクターは、すべて作中に登場する架空の作品のもの。最初に新菜へ衣装を依頼したのは、成人向けPCゲーム『聖♡ヌルヌル女学園 ~お嬢様は恥辱倶楽部ハレンチミラクルライフ2~』(通称「ヌル女2」)のキャラクター・黒江雫だった。この強烈なタイトルは作品の名物ネタになっており、アニメ第2期では劇中劇『生徒会長はNo.1ホスト』の公式サイトまで実際に公開されるなど、作中作品の作り込みも本作の楽しみ方の1つになっている。

テレビアニメ[編集]

第1期(2022年)[編集]

テレビアニメ第1期は2022年1月から3月まで、TOKYO MXほかで全12話が放送された。アニメーション制作は『ぼっち・ざ・ろっく!』や『SPY×FAMILY』(共同制作)でも知られるCloverWorks。監督は篠原啓輔、シリーズ構成・脚本は冨田頼子、キャラクターデザイン・総作画監督は石田一将、音楽は中塚武が担当した。

オープニングテーマはスピラ・スピカ「燦々デイズ」、エンディングテーマはあかせあかり「恋ノ行方」。「燦々デイズ」は令和4年アニソン大賞で作曲賞を受賞している。Blu-ray第1巻は初週8931枚を売り上げ、オリコン週間ランキングで総合4位を記録した。

アニメの反響は原作にも直撃し、放送開始後の2022年2月には累計発行部数が500万部、同年6月には700万部へと一気に伸びた。海外でもFunimation(のちにCrunchyrollへ移行)で配信され、英題「My Dress-Up Darling」の名で人気を集めている。

福田はアニメ化について、作中に登場する過激なタイトルのゲームがあるため連載当初はアニメ化をあきらめていたと語っている。だからこそ実現したときの喜びは大きく、「この先、これ以上の幸せはない」と感じるほど嬉しくて、何度も繰り返し見たという。

第2期(2025年)[編集]

第2期の制作は2022年9月17日に発表され、約3年後の2025年7月から9月まで全12話(第13話〜第24話)が放送された。監督・制作会社・主要キャストは第1期から続投。オープニングテーマはスピラ・スピカ「アオとキラメキ」、エンディングテーマはPiKi「Kawaii Kaiwai」。

最終話(第24話)は2025年9月20日に放送され、棺のセットを使った合わせ撮影がクライマックスに。海夢は新菜への想いを抱えながらも、最後は告白ではなく「ツーショ撮って」とお願いする形で第2期を締めくくった。放送終了後、福田は監督とスタッフへの感謝とともに、7月からの3か月間は「夜24時」の世界で一番幸せだったという趣旨のコメントを寄せている。詳細はその着せ替え人形は恋をする 第2期を参照。

実写ドラマ[編集]

2024年10月から12月にかけて、毎日放送(MBS)・TBSテレビのドラマ枠「ドラマイズム」で実写ドラマ版が放送された。全10話。喜多川海夢役に永瀬莉子、五条新菜役に野村康太がダブル主演を務め、乾紗寿叶役に池田朱那、乾心寿役に豊島心桜、天野千歳(姫野あまね)役に塩﨑太智、五条薫役に山田明郷が起用された。監督は神徳幸治ほか、脚本はおかざきさとこ。

ドラマ放送中の2024年11月25日に発売された原作14巻は、日販調べの週間漫画ランキングで1位を獲得し、累計発行部数は1200万部を突破した。記事見出しで「ドラマ大反響」と報じられるなど、実写化も原作人気を後押しした。

反響と受賞[編集]

漫画賞・ランキング[編集]

連載初期から書店員や漫画読みの間で評判となり、各種ランキングで上位に食い込んだ。

  • 2019年:「次にくるマンガ大賞」コミックス部門6位
  • 2020年:「このマンガがすごい!2020」オトコ編16位
  • 2020年:「全国書店員が選んだおすすめコミック」3位
  • 2020年:「電子コミック大賞」男性部門賞
  • 2020年:「第4回みんなが選ぶTSUTAYAコミック大賞」6位

累計発行部数の推移[編集]

アニメ化前の2020年11月時点では200万部だったが、アニメ第1期を境に一気に加速した。2023年10月に1000万部の大台を突破し、2024年6月に1100万部、同年11月に1200万部、2025年3月に1300万部、同年8月に1400万部、同年10月に1500万部と、完結後も右肩上がりを続けている。

イベント・コラボ[編集]

2023年8月には連載5周年を記念した「5th Anniversary『その着せ替え人形は恋をする』展覧会」が東京・松屋銀座で開催され、漫画原稿やカラーイラスト、海夢のコスプレ衣装などが展示された。展覧会は愛知・福岡・大阪にも巡回している。

また、新菜の実家がある埼玉県さいたま市岩槻区は「人形のまち」として知られ、2022年12月20日から2023年3月12日まで、さいたま市岩槻人形博物館などでアニメとのコラボ展示が行われた。アニメに登場する岩槻の街並み展示や等身大パネルのフォトスポット、複製原画、声優陣の直筆サインなどが並び、聖地巡礼の拠点になった。

2026年の最新動向[編集]

連載は完結しているものの、作品の勢いは2026年に入っても続いている。

  • 2026年2月:スピンオフ漫画『着せ替え人形でchu♡』の英語版が2026年10月に発売されることが発表された。
  • 2026年4月:海夢・紗寿叶・心寿の描き下ろし「星空メイド」イラストを使った新作グッズが、通販サイトAMNIBUSで受注開始され、AMNIBUS&アニメイト限定特典も用意された。
  • 2026年9月:AmazonのKindle版で全15巻を対象とした50%ポイント還元セールが行われ、話題になった。

アニメ公式Xは2026年10月時点でフォロワー45万人を超えており、プロフィールでは「各配信サービスにて配信中」と案内している。一方で、アニメ第3期については本記事作成時点(2026年10月)で公式発表は確認できない。

スピンオフ[編集]

ちょぼらうにょぽみが手がけるスピンオフ漫画『着せ替え人形でchu♡』が、『ヤングガンガン』2025年1号(2024年12月20日発売)から2025年7月まで連載された。単行本は本編最終15巻と同じ2025年7月25日に発売されている。本編のキャラクターたちをゆるいギャグテイストで描いた作品で、2026年には英語版の刊行も決まった。

炎上とバズ[編集]

アニメ第1期の放送時、海夢の圧倒的なビジュアルと、衣装制作に打ち込む新菜の誠実さが国内外のSNSで大きな話題になり、原作の累計部数も放送開始からわずか数か月で200万部以上積み上がった。一方で、海外の批評では「趣味を共有する喜びの描き方が見事」と称賛される反面、ファンサービス的な描写が多すぎるという指摘も一部で出ている。

第2期最終話では、それまで謎めいていた旭の海夢への感情が「推しへのファン心理」だったと判明し、推しを前にした旭の悲鳴のような絶叫シーンがSNSでバズった。また、海夢が告白せずにツーショットをお願いしたラストについては、「日和った」と見るか「2人でコスプレを楽しみたい気持ちを選んだ」と見るかで、ファンの間で解釈が分かれている。

余談[編集]

  • 福田晋一のデビューのきっかけは、KADOKAWA(当時は角川書店)の『月刊少年エース』系の新人賞だった。のちにスクウェア・エニックスの青年誌で大ヒットを飛ばしたことになる。
  • 新菜の地元として描かれる岩槻は、実際に雛人形づくりで知られる「人形のまち」。作中の街並みは実在の風景がモデルになっており、さいたま市とのコラボでは「#岩槻×着せ恋」のハッシュタグキャンペーンも実施された。
  • アニメ第1期の「燦々デイズ」と第2期の「アオとキラメキ」は、どちらもスピラ・スピカが担当。第1期から第2期まで、オープニングは同じアーティストで統一されている。
  • 第2期のBlu-ray/DVD第7巻完全生産限定版には、福田晋一の描き下ろしイラストを使った全巻収納ボックスが付属した。

外部リンク[編集]

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