| FAKKU FAKKU / Fakku | |
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FAKKUのロゴ(出典:ウィキメディア・コモンズ「Fakku logo.svg」、パブリックドメイン) | |
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Anime Expo 2026でのFAKKUパネル(出典:ウィキメディア・コモンズ、撮影:ZappaOMatic、CC BY 4.0) | |
| サイト名 | FAKKU |
| 言語 | 英語 |
| タイプ | 成人向け漫画・同人誌の正規英訳配信/出版、成人向けゲームの販売 |
| 国 | [[アメリカ合衆国]] |
| 種類 | アダルトサイト、電子書籍ストア、出版社 |
| 創設 | 2006年12月 |
| 創設者 | ジェイコブ・グレイディ(Jacob Grady) |
| 運営者 | FAKKU, LLC(親会社:Tenkai) |
| 収益 | サブスクリプション(FAKKU Unlimited)、電子版・紙の本・ゲームの販売、グッズ |
| 営利性 | 営利 |
| 登録 | 購入・定額読み放題には会員登録が必要(成人向け・年齢確認あり) |
| ユーザー数 | 月間約400万訪問とされる |
| 開始 | 2006年 |
| 現在の状態 | 運営中 |
| 別名 | Fakku、FAKKU! |
概要[編集]
FAKKU(フャック、ファック)とは、日本の成人向け漫画(いわゆるエロ漫画)や同人誌を、日本の出版社・作家から正式にライセンスを受けて英訳し、電子配信・紙の書籍として販売しているアメリカ合衆国の企業・サイトである。2006年に無許諾のスキャンレーション(ファン翻訳)サイトとして始まり、2014年のワニマガジン社との提携を機に正規化、2015年末までに無許諾コンテンツを全削除した「元・海賊版からの転身組」として知られる。
詳細[編集]
どんなサービスなのか[編集]
FAKKUの中心は、日本の成人向け漫画雑誌や単行本、同人誌を英語に翻訳して配信するウェブサービスである。月額制の読み放題「FAKKU Unlimited」と、作品を個別に買う電子書籍ストア、そして紙の単行本を出す「FAKKU Books」の3本柱で、さらに日本の成人向けゲームの英語版販売、Tシャツやフィギュア、ぬいぐるみ、スケートボードといったグッズ販売まで手がけている。英語圏では「世界最大の英語ヘンタイ出版社」を自称しており、日本の版元と組んで同日英訳配信まで行う、この分野ではほぼ唯一といえる規模の正規業者である。
運営会社はFAKKU, LLCで、英語版ウィキペディアでは親会社としてTenkaiの名前が挙げられている。創業者兼CEOはジェイコブ・グレイディ(Jacob Grady)。2017年時点の報道では、フルタイムの従業員が約20人、そのうち翻訳者が3〜4人、編集者が10人ほどという体制だった。拠点はテキサス州とされ、これはグレイディがゲーム会社への就職でテキサスに移ったことに由来する。
名前の由来と立ち位置[編集]
開発当初のFAKKUは「AAH(All About Hentai)」というコードネームで呼ばれていた。日本語では読み方が定まっておらず、「ファック」「フャック」などと表記ゆれがある。
業界内での立ち位置は少し特殊で、NhentaiやE-Hentai、Hitomi.laといった無許諾のスキャンレーション共有サイトが英語圏で大量のアクセスを集める中、「ちゃんとお金を払って作家に還元する」正規ルートの代表格として扱われる。2020年代の分析記事では、FAKKUの月間訪問数は約400万とされ、無料の海賊版サイトと比べると桁違いに小さいことも指摘されている。「正規版が海賊版にどう勝つか」という問題を、10年以上ずっと背負い続けているサイトといえる。
日本からは使えない[編集]
FAKKUは基本的にアメリカを中心とする海外向けのサービスで、日本国内からはアクセスできない仕様とされる。日本の読者が成人向け漫画の電子版を買う場合は、DLsiteやFANZA、DMM系のストアなど国内の正規サービスを使うことになる。
歴史[編集]
創業とスキャンレーション時代(2006〜2013年)[編集]
FAKKUは2006年12月1日、マサチューセッツ州でコンピュータ・サイエンスを学んでいた19歳の大学生、ジェイコブ・グレイディによって開設された。グレイディ本人は後のインタビューで「Fakkuを作ったのは大学にいた19歳のとき」と語っている。
当初のFAKKUは、ファンが日本の成人向け漫画や同人誌をスキャンして英訳した「スキャンレーション」をまとめて読めるアグリゲーター(集約サイト)だった。最初は管理者だけがアップロードしていたが、のちにコミュニティにも投稿権限が広げられた。つまり、出発点は日本の権利者に無断で作品を載せる海賊版サイトそのものだった。初期の人気作の一つに、日本で大ヒットした成人向け単行本『少女マテリアル』の英訳スキャンレーションがあったとされる。
運営は資金難の連続で、グレイディは学生ローンの資金をサーバー代に回していたという。約3,000ドルの帯域料金の請求が来てサイトがいったん閉鎖に追い込まれ、2007年7月、ユーザーから約1,000ドルの寄付が集まってようやく再開できたというエピソードも残っている。その後グレイディはスーパーの青果売り場や図書館での仕事を掛け持ちしながらサイトを続け、一時はゲーム会社BioWareに2年ほど勤めて開発の仕事をしていた。
アニメ配信への最初の一歩(2011年)[編集]
正規化の第一歩は意外にも漫画ではなくアニメだった。2011年7月、FAKKUは米国の成人向けアニメ配給会社Kitty Media(Media Blastersの子会社)とストリーミング配信のライセンス契約を結び、『Immoral Sisters』などの英語版を配信し始めた。とはいえ、この時点ではサイトの主力はまだ無許諾のスキャンレーションだった。
ワニマガジン社との提携と全面正規化(2014〜2015年)[編集]
転機は2014年ごろに訪れた。日本の大手成人向け漫画出版社から、FAKKUに対して法的な削除要求が届いたのである。グレイディはここでサイトを畳むのではなく、交渉に打って出た。本人の言葉では「日本に飛んで、その大企業と、たくさんの日本の作家さんたちに会った」という。
交渉でグレイディが訴えたのは、「海外の読者はみんな海賊だ」というイメージは誤解で、正規に買う手段があれば金を払うファンが大勢いる、ということだった。その結果、2014年6月、FAKKUは『COMIC快楽天』などで知られるワニマガジン社と提携し、同社の成人向け漫画カタログを英語で出版する権利を得た。グレイディはこの契約を「日本国外の出版社が結んだ中で、できることの範囲という点ではおそらく最高の契約」と自賛している。
これを機にFAKKUは路線を一気に切り替え、2015年末までに無許諾のスキャンレーションをすべて削除。以後は日本の版元から正式にライセンスを受けた作品だけを扱う完全な正規サービスになった。読み放題の定額制もこの時期に始まり、日本の『週刊少年ジャンプ』のような「毎月雑誌を読む」感覚をモデルにしたとグレイディは説明している。
雑誌の同時英訳と提携拡大(2016〜2023年)[編集]
正規化後のFAKKUは、日本の成人向け漫画雑誌を日本と同じ日に英語版で配信する「サイマル出版」を売りにした。2017年2月の報道時点で、日本の雑誌4誌を同日英訳で出しており、約1年半の間に400人の作家の作品、32冊の単行本を刊行していた。
提携誌は年々増え、2017年7月には『Girls forM』『COMIC BAVEL』『COMIC Europa』が、2019年7月には『ダスコミ』『COMIC アオハ』『COMIC ハピニング』『週刊快楽天』が加わった。2023年5月には『COMIC 群青』も仲間入りしている。2017年11月には、かつて配信契約を結んでいたKitty Mediaそのものを買収し、成人向けアニメの電子配信権を手に入れた。ただし2020年末には、配給や権利関係の問題から成人向けアニメの動画配信は無期限で優先度を下げたとされる。
Hentai Havenの引き取り(2018〜2019年)[編集]
2018年12月、英語圏で絶大な人気を誇った無許諾の成人向けアニメ配信サイトHentai Havenが突然閉鎖し、「FAKKUと提携してサイトを再建する」と告知した。運営者「Papa HH」は2016年ごろからグレイディと連絡を取り合っており、サイトやDiscord・Twitterアカウントの権限をFAKKU側に渡す代わりに、著作権侵害の法的責任から彼を免責するという取引が成立したと報じられている。
サイトは2019年5月12日に再開したが、同年7月7日にPapa HHが「Fakkuが完全に乗っ取り、自分を追い出した」と告発。グレイディは、DMCA(米国の著作権法)による法的リスクを「大げさに言いすぎた」面があったと認めつつ、年100万ドル規模の広告収入を捨てて持ち出しでサイトを維持していると反論した。騒動の中でFAKKUのスタッフに殺害予告まで届く事態となり、最終的には両者が話し合って「誤解だった」として収束した。ただしグレイディは「友好的に解決したわけではない」とも語っている。
ゲーム事業とレーベルの多角化(2018年〜)[編集]
2018年2月、FAKKUは初のゲーム作品として、日本のILLUSIONの3Dゲーム『ハニーセレクト』の英語版『Honey Select Unlimited』を発表した。2019年には『True Love '95』も出し、以後、日本の成人向けゲームの英語版パブリッシャーとしても活動している。2026年7月には、老舗ブランドのフェアリーテール(Fairytale)のカタログを英語で出す権利を獲得したと伝えられた。
2019年7月1日には、LGBTQ+作品に特化したレーベル「Kuma」を立ち上げた。2017年にはインディーレーベルのZoom Lensと組み、36ページのアートブックにレコード(アナログ盤)またはCDを付けたコンピレーション作品を出すなど、音楽方面とのコラボも行っている。
決済問題と値上げ(2021年〜現在)[編集]
2021年8月31日、外部業者がホストしていたFAKKUのオンラインストアが突然停止し、電子版の購入ができない状態になった。デジタル販売が復旧したのは同年10月8日で、約1か月以上ストアが止まったことになる。
2023年4月24日には、FAKKU Unlimitedの月額料金を2015年以来初めて値上げすると発表し、同年5月24日から12.95ドルから14.95ドルになった。このとき運営は、読み放題開始以来15万ページ以上の新作を追加してきたと説明している。
2025年末、クリスマスの数週間前には、長年使っていた決済代行会社から予告なしに契約を打ち切られた。FAKKUはこれを、アニメ・漫画への誤解と、AIによる新しいコンプライアンス審査の影響だと説明。代替手段として暗号資産、プリペイドカード、独自ポイント制などを検討していると発表し、「私たちと仕事をする作家に検閲を課すことは決してない」「アニメ、漫画、ヘンタイはすべて保護された表現だ」という立場を表明した。同じ時期にはDLsiteやFantia、FANZAといった日本のサービスも国際ブランドのクレジットカード決済で次々と制限を受けており、FAKKUの件もこの大きな流れの一部として報じられた。
主なサービス[編集]
FAKKU Unlimited[編集]
FAKKUの看板サービスで、月額料金を払うとライセンス済みの雑誌・単行本・同人誌を読み放題で読めるサブスクリプションである。開始時の月額は12.95ドルで、2023年5月から14.95ドルになった。日本の雑誌と同じ日に英訳が出る「同時配信」が最大の売りで、日本の読者とほぼ同じタイミングで最新話を読めるのは、海外ファンにとって画期的だった。
電子書籍ストア[編集]
読み放題とは別に、作品を一冊単位で買える電子書籍ストアも運営している。報道によれば、FAKKUの電子版はDRM(コピー防止技術)をかけない方針を取っており、買ったデータを自分の端末で自由に読めるのが特徴とされる。
FAKKU Books(紙の本)[編集]
2014年から紙の単行本も出版しており、第1弾は2014年9月26日発売の『Renai Sample』。2017年2月時点で32冊を刊行し、その年さらに20冊を予定していた。2025年までに200タイトル以上を出しており、紙の本にはISBNも付いている。
判型は漫画としては珍しいA4サイズに近い大判で、一般的な定価は19.95ドル、豪華版は29.95ドル。当初はFAKKUのサイトでの直販が中心だったが、2017年ごろからは一般の書店・コミックショップへの卸売りも模索し始めた。
ゲーム[編集]
2018年の『Honey Select Unlimited』を皮切りに、日本の成人向けゲームの英語版を販売している。自社サイトのほか、インディーゲーム販売サイトのitch.ioにも公式ページを持ち、RPGやビジュアルノベル、アドベンチャーなどを並べている。Steamのような大手ストアに頼らず、成人向け要素を含む版を自社ルートで売れる点が特徴である。
グッズとイベント[編集]
Tシャツ、フィギュア、ぬいぐるみ、スケートボードなどのグッズも自社ストアで販売している。北米最大級のアニメイベント「Anime Expo」にはたびたび出展しており、2015年のAnime Expoで初めて同人誌を販売した。その後も同イベントでパネルを開いて新作ライセンスを発表するのが恒例になっていて、2026年のAnime Expoでもグレイディ自身が登壇している。
日本の作家・出版社との関係[編集]
作家との距離の近さ[編集]
グレイディは日本の作家との付き合いを重視しており、インタビューでは「数えきれないほどの作家さんと飲みに行った」と語っている。来日して版元や作家と直接会い、契約の話をするスタイルは正規化以来ずっと続いている。
代表的なつながりとしては、『うろつき童子』で知られる前田俊夫が挙げられる。FAKKUは前田の作品の英語版出版に深く関わり、オレゴン州ポートランドで『Legend of the Overfiend(うろつき童子)』の刊行記念パーティーを開いたこともある。
作家の表現を変えない方針[編集]
FAKKUは「作家のビジョンを検閲したり変えたりしない」という方針を繰り返し打ち出している。日本の成人向け漫画は国内法の関係で性器部分に修正(モザイクや白抜き)が入るが、FAKKUの英語版は修正なし、もしくは日本版より軽い修正で提供されることが売りの一つとされる。表現規制をめぐる法的リスクに備えて、米国の表現の自由を守る団体Comic Book Legal Defense Fund(CBLDF)とも連携してきた。
「海賊版からの転身」が持つ意味[編集]
もともと無断で日本の作品を載せていたサイトが、権利者と正式に契約して還元する側に回ったという経緯は、日本の出版社にとっても「海外の海賊版をどう扱うか」の一つの前例になった。一方で、英語圏の無料サイト利用者からは「元海賊が正義面している」という反発も根強く、正規派・海賊版派の間でしばしば論争の火種になってきた。
Kickstarterと『うろつき童子』[編集]
2015年12月11日、FAKKUは前田俊夫の代表作『うろつき童子』の英語版を出すため、クラウドファンディングサイトKickstarterでキャンペーンを行うと発表した。キャンペーンは2016年6月19日に始まり、7月19日に成功のうちに終了。499人の支援者から60,021ドル(1人あたり平均約120ドル)を集めた。
『うろつき童子』は1980年代に誕生し、OVA版が海外で「触手もの」の元祖として語り継がれる伝説的な作品で、英語圏では「Legend of the Overfiend」のタイトルで知られる。この企画の成功は、FAKKUが「日本の成人向け漫画の古典を正規の豪華本で残す」という路線を打ち出すきっかけにもなった。
炎上とバズ[編集]
- Hentai Haven騒動(2019年) :前述のとおり、Papa HHの「#HHisDead」声明でFAKKUが「乗っ取り犯」扱いされ、英語圏のX (SNS)やRedditで大炎上した。グレイディが残した「良い戦略だと思っていた。昨日まではね」という一言は、海外メディアで繰り返し引用された。
- ストア停止(2021年) :外部ストアが約1か月以上止まり、ユーザーの間で「サービス終了か」と憶測が飛び交った。
- 「FAKKU Audio」エイプリルフール(2021年) :2021年4月1日に新サービス「Fakku Audio」を発表し、本気にしたファンも出たが、のちにエイプリルフールのネタだったと明かされた。
- 決済打ち切り(2025年) :決済代行会社からの突然の契約終了は、成人向け表現と国際クレジットカードブランドをめぐる問題の象徴として、英語圏のアニメ・漫画ニュースで大きく取り上げられた。
余談[編集]
- 開発中のコードネームは「AAH」(All About Hentai=ヘンタイのすべて)だった。
- グレイディはインタビューで、「FAKKUのフォーラムで出会って結婚した人たちを何組も見た。ヘンタイサイトを作ったら人が結婚したなんてクレイジーだ」と語っている。
- 正規化の決め手は、日本の大手版元からの削除要求に「逃げずに交渉した」ことだった。海賊版サイトが法的通知を受けて閉鎖・移転するのが普通の世界で、逆に契約相手になったのは珍しいケース。
- 2017年のインタビューでグレイディは、日本の読者向けに成人向け漫画の月額読み放題サービスを作る構想も語っていた。当時の日本にはそうしたサービスがほとんど無かったという認識だった。
- 自社が引き取ったHentai Havenと同じく、FAKKU自身も「元は無許諾サイト」だったため、海賊版の利用者心理をよく知っていることが強みでもあり、反発を招く原因にもなっている。
外部リンク[編集]
- FAKKU 公式サイト(成人向け・海外向けサービス)