| E-Hentai イーヘンタイ | |
|---|---|
| 略称 | E-H |
| 国家 | 不明(サーバーは2019年までオランダ、同年にモルドバへ移転したと報じられた) |
| 種類 | 成人向け画像ホスティング・アーカイブサイト |
| 設立日 | 1999年7月1日 |
| 年齢 | 27周年 |
| 代表者 | 非公開(運営者はハンドルネーム「Tenboro」のみ知られる) |
| 別名 | Sad Panda(姉妹サイトExHentaiの通称) |
| リンク | 掲載なし |
概要[編集]
E-Hentai(イーヘンタイ)とは、成人向け漫画・同人誌・CG集・コスプレ写真などをギャラリー形式で蓄積する、海外運営の画像ホスティング/アーカイブサイトである。1999年にYahoo!グループとして始まった同ジャンル最古参級のサイトで、2010年には一部ジャンルを分離した姉妹サイトExHentai(通称「Sad Panda」)が作られた。掲載物の多くは権利者の許諾を得ていない無断転載であり、2019年7月には一時閉鎖騒動が起きている。
詳細[編集]
沿革[編集]
E-Hentaiの起源は、1999年7月1日に開設されたYahoo!グループにさかのぼる。その後2001年に独自ドメインのウェブサイトへ移行し、2005年に現在のドメインへ移った。運営者は「Tenboro」というハンドルネームで知られる人物だが、本名・国籍・運営法人などは公表されていない。
2010年3月27日、E-Hentaiは広告主からの圧力を理由に、特定の法域で違法とされ得るジャンルの作品を今後は本体で扱わないと発表した。該当する作品は新たに設けられた姉妹サイトExHentaiへ移され、以後は「一般向けの広告を載せる本体」と「表示制限のかかった姉妹サイト」という二本立ての体制になった。
2019年7月下旬には、運営者がサイトの閉鎖を突然告知し、実際に一時停止した(詳しくは後述)。同年8月上旬にExHentaiがサーバーをモルドバへ移して再開し、その後は運営が続いている。
| 年月 | 出来事 |
|---|---|
| 1999年7月 | Yahoo!グループとして開設 |
| 2001年 | 独自ドメインのウェブサイトへ移行 |
| 2005年 | 現在のドメインへ移転 |
| 2010年3月 | 広告主の圧力を理由に一部ジャンルを分離し、姉妹サイトExHentaiを開設 |
| 2019年7月 | オランダの法改正などを理由に閉鎖を告知、一時停止 |
| 2019年8月 | サーバーをモルドバへ移し、ExHentaiが再開 |
ギャラリーとカテゴリ[編集]
E-Hentaiでは、1冊の漫画や1セットのCG集を「ギャラリー」という単位で登録する。ギャラリーは利用者がアップロードするもので、運営側が作品を用意しているわけではない。英語版ウィキペディアは、E-HentaiとExHentaiを合わせて100万件を超えるギャラリーが登録されているとしている。2019年の閉鎖騒動の際には、蓄積されたデータ量が約50テラバイトに達すると報じられた。
ギャラリーは次の10カテゴリに分類される。
| カテゴリ | 内容 |
|---|---|
| Doujinshi | 自費出版・自主頒布の成人向け漫画(同人誌) |
| Manga | 出版社から刊行された成人向け漫画 |
| Artist CG | コマ割りのないイラスト集 |
| Game CG | 成人向けゲームから抽出したCG |
| Western | 欧米由来の成人向け作品 |
| Non-H | 成人向けではない描画作品 |
| Image Set | 漫画やCG集に当たらないイラストのまとまり |
| Cosplay | 実在の人物によるコスプレ写真 |
| Misc | 上記に当てはまらないもの(3D作品やAI生成作品など) |
| Private | 他の利用者と共有しない非公開ギャラリー |
ギャラリーには10段階の評価、お気に入り登録、コメントとコメントへの投票といった機能がある。また、重複したギャラリーや画質の劣るギャラリーを一覧から外す「Expunge」、タイトルの修正を申請する「Rename」など、利用者の申請と投票で目録を整理する仕組みが用意されている。
タグと名前空間[編集]
E-Hentaiのタグ付けは、タグを「名前空間(namespace)」で分類する方式をとる。公式wikiによれば、名前空間には作者を示す「artist」、サークルを示す「group」、元ネタの作品を示す「parody」、登場キャラクターを示す「character」、言語を示す「language」のほか、内容の属性を示す「female」「male」「mixed」、コスプレイヤーを示す「cosplayer」、舞台を示す「location」、分類の補正に使う「reclass」、その他の「other」がある。
同じ語が複数の名前空間にまたがる場合は、「character:」「parody:」のように接頭辞をつけて区別する。一般の利用者が使えるのはすでに名前空間に登録されているタグに限られ、新しいタグを名前空間に割り当てるには担当の権限を持つ利用者の承認が必要とされている。このタグ体系は、作者名・サークル名・元ネタで作品を横断的にたどれる索引として機能している。
翻訳コミュニティ[編集]
E-Hentaiは、日本の成人向け漫画や同人誌を有志が英語・中国語・韓国語などに翻訳した、いわゆる「スキャンレーション」の集積地としても知られる。言語タグで翻訳版と原語版が区別される。ただし、翻訳版も原作者の許諾を得ていない点では原語版の無断転載と同じであり、翻訳したこと自体が新たな著作権侵害(翻案権の侵害)になり得る。
分散配信の仕組み[編集]
E-Hentaiは、画像配信の負荷を分散するため「Hentai@Home(H@H)」という独自の仕組みを持つ。公式wikiでは「SETI@homeとBitTorrentを掛け合わせたようなもの」と説明されており、有志の利用者が自分の回線と記憶領域を提供してファイルの一部をキャッシュ・中継することで、中央サーバーの負担を減らすものである。参加者には「Hath」と呼ばれるサイト内の仮想通貨が配分され、アカウントの特典と交換できる。参加には一定以上の回線速度や稼働率が求められる。
このほか、ギャラリーに対応するBitTorrent形式のファイルを共有する独自のトラッカー(EHTracker)も運営されている。トラッカー上のファイルは、元のギャラリーが削除された後も流通し続けることがある。トレントの共有実績に応じて「GP(Gallery Points)」と呼ばれるポイントも付与される。
ExHentai(Sad Panda)[編集]
ExHentaiは、2010年に本体から分離されたジャンルを扱う姉妹サイトである。所定の条件を満たさない閲覧者には、ページの代わりに泣いているパンダのイラストだけが表示されることから、英語圏では「Sad Panda」と呼ばれるようになった。絵はDeviantArtのイラストレーターの作品とされる。
2019年の閉鎖騒動[編集]
2019年7月下旬(現地時間25〜26日)、運営者のTenboroは、E-HentaiとExHentaiを閉鎖すると突然発表した。モデレーターが英語圏の匿名掲示板4chanで閉鎖を知らせたのは停止の約12時間前とされ、利用者にはデータを保存する時間がほとんど与えられなかった。
Tenboroは理由として、サーバーを置いていたオランダの最近の法改正により「現状を維持することが不可能になった」と述べたうえで、腱の故障を抱えており、サーバーを他国へ移す作業を続けられないという個人的事情も挙げた。米メディアのVICEは、同年に採択されたEUの「デジタル単一市場における著作権指令」や、違法画像を短時間で削除しないサイトへの罰則を強めるオランダ司法省の提案が背景にあるのではないかと報じている。
閉鎖の告知を受けて、4chanではデータ保存の動きが起きた。VICEはこの騒動を「ヘンタイのアレクサンドリア図書館」が消えたという見出しで伝え、利用者が「アレクサンドリア図書館の焼失」になぞらえて嘆く声を紹介した。ExHentaiは7月27日に停止したが、8月2日ごろ、サーバーをモルドバへ移して再開した。
同種サイトとの関係[編集]
E-Hentaiは、Hitomi.laやNhentaiと並んで、同人誌・成人向け漫画を無断で掲載する海外の大規模サイトとして語られることが多い。韓国語版ウィキ「ナムウィキ」によれば、2015年9月に開設されたHitomi.laはE-Hentaiの資料を掲載するサイトであり、E-Hentaiの10カテゴリのうち同人誌・漫画・Artist CG・Game CG・Image Setの5カテゴリを中心に収録しているとされる。2014年6月に開設されたNhentaiとE-Hentaiの運営上の関係は公表されていない。
日本のIT企業ニジゲンは2020年5月の発表で、同人誌の違法アップロードが続く海外の主要サイトとして、E-Hentai・Hitomi.la・Nhentaiの3サイトを名指しし、アクセス数をもとに被害額を試算している。
トラフィック規模[編集]
アクセス解析サービスSimilarWebの公開ページ(2026年7月時点のデータ)では、E-Hentaiの世界順位は340位、日本国内の順位は163位と表示されている。国別のアクセス比率は日本が約29%で最も多く、米国約12%、台湾約6%、中国約6%、韓国約5%が続く。平均滞在時間は約10分、1訪問あたりの閲覧ページ数は約35ページとされる。
英語版ウィキペディアによれば、最も利用されていた時期には、Alexaの世界ランキングで264位に入ったことがある。
よくある疑問[編集]
Q. 運営者は誰か。
A. 「Tenboro」というハンドルネームの人物が運営者として知られているが、本名・国籍・運営法人などは公表されていない。
Q. ExHentai(Sad Panda)とは何か。
A. 2010年に、広告主の圧力を理由として本体から分離されたジャンルの作品を扱う姉妹サイトである。条件を満たさない閲覧者に泣いたパンダの絵だけが表示されることから、この通称がついた。
Q. 2019年に閉鎖されたのではないか。
A. 2019年7月下旬に閉鎖が告知され、実際に一時停止した。しかし同年8月上旬にサーバーをモルドバへ移して再開しており、その後も運営が続いている。
Q. 掲載作品は合法なのか。
A. 掲載物の多くは利用者が権利者の許諾なくアップロードしたもので、英語版ウィキペディアでも「典型的には海賊版」と説明されている。サイトは頻繁にDMCA(米国デジタルミレニアム著作権法)に基づく削除要請を受けている。
Q. 見るだけなら日本で違法になるのか。
A. 2021年1月施行の改正著作権法で違法とされたのは、海賊版と知りながら「ダウンロード」する行為であり、単に視聴・閲覧するだけの行為は対象に含まれないと解説されている。ただし画像を保存すればダウンロードにあたり得る(後述)。
A. 同じ運営であることを示す公表情報はない。Hitomi.laはE-Hentaiの資料を掲載するサイトとされるが、運営主体が同一かどうかは明らかでない。
日本の法制度との関係[編集]
日本の著作権法では、2010年1月施行の改正で、違法にアップロードされたと知りながら音楽・映像をダウンロードする行為が違法となった。さらに2021年1月1日施行の改正により、ダウンロード違法化の対象が漫画・書籍・写真・論文・プログラムなど著作物全般に拡大された。E-Hentaiの主な収録物である成人向け漫画や同人誌も、この対象に含まれる。
文化庁の解説によれば、違法となるのは海賊版であると確実に知りながらダウンロードした場合である。漫画の1コマ〜数コマといった作品のごく一部の「軽微」なダウンロードや、スクリーンショットにたまたま違法な画像が写り込んだ場合などは対象外とされる。刑事罰の対象となるのは、正規版が有償で提供されている作品を、反復・継続してダウンロードした場合に限られ、法定刑は2年以下の拘禁刑(2025年6月の刑法改正前は懲役)もしくは200万円以下の罰金、またはその併科である。告訴がなければ起訴されない親告罪とされている。
同人誌は既存作品をもとにした二次創作であることが多いが、二次創作物にも創作性があれば独自の著作物として保護される。法律事務所の解説では、同人誌を第三者が同人作家の許諾なく無断転載している場合、それを知りながらダウンロードする行為は同人作家の権利を直接侵害するため違法となり、刑事罰が科される可能性もあるとされている。つまり「二次創作だから対象外」とは限らない。
また、2020年10月施行の改正では、海賊版へのリンクを集めて提供する、いわゆるリーチサイトの運営が刑事罰の対象となり、リーチサイト上で海賊版へのリンクを提供する行為も著作権侵害とみなされるようになった。アップロードした側は公衆送信権の侵害として、より重い責任を問われ得る。
日本国内では、2020年2月に東京地裁が、女性向け同人誌の海賊版サイト7つを運営していた熊本県のIT企業らに約219万円の賠償を命じた例がある(運営会社は広告をたどって特定された)。E-Hentaiそのものが日本で訴訟の対象になったという報道は確認されていない。
利用リスク[編集]
E-Hentaiの掲載物の多くは権利者の許諾を得ていない無断転載である。日本の著作権法上、海賊版と知りながら画像を保存する行為は違法ダウンロードにあたり得、有償で販売されている作品を反復・継続して保存した場合は刑事罰の対象となる。翻訳版や同人誌も例外ではない。
サイト内には、法域によっては所持・閲覧自体が違法となり得るジャンルの作品が含まれており、姉妹サイトExHentaiはもともとそうした作品を本体から分離するために設けられたものである。
運営者が匿名で、運営法人や所在地も公表されていないため、トラブルが起きても運営者に責任を問うことは難しい。2019年の閉鎖騒動では、停止の約12時間前に告知が出ただけで、利用者にはデータを保存する時間がほとんど与えられなかった。
海賊版サイト上の閲覧は、作者や同人作家の売上には結びつかない。正規の入手手段としては、DLsite、FANZAの同人・電子書籍部門、作家が直接頒布するコミックマーケットなどの即売会、Fantiaやpixiv系の支援サービスなどがある。
業界・権利者側の動き[編集]
日本の出版社や作家団体が参加するABJ(一般社団法人ABJ)は、海賊版漫画サイトのアクセス数を定期的に調査・公表している。2021年10月の調査では、上位10サイトへの月間アクセス数が約3億9,833万回に達し、2018年4月に閉鎖された漫画村の最盛期(月間約1億回)の約4倍の規模になったと報じられた。これらの調査は一般向けの漫画を対象としたもので、E-Hentaiのような成人向けサイトは含まれていない。
同人誌の分野では、個人の同人作家が海外のサイトを相手に国際的な法的措置をとることは現実的に難しいとされる。前述のニジゲンは、海外の読者が正規版を入手しにくいことが海賊版の需要を支えているとして、海外向けに同人誌を正規に頒布するサービスを2020年6月に始めると発表した。
E-Hentaiに対してはDMCAに基づく削除要請が頻繁に送られ、検索エンジンの結果から作品ページが除外される措置が複数の法域で取られている。ただし、サイト自体の閉鎖や運営者の特定につながった権利者側の措置は報じられていない。
余談[編集]
- 「Sad Panda」は英語圏のネットコミュニティで一種のミームとなっており、ExHentaiそのものを指す通称として定着している。
- VICEは2019年の閉鎖騒動を伝える記事で、E-Hentaiを「ヘンタイのアレクサンドリア図書館」と呼んだ。また米ネットメディアのDaily Dotは、同サイトを「古いインターネットの遺物」と評している。
- SimilarWebの国別比率ではアクセスの約3割が日本からで、運営者が日本人ではないとされる海外サイトでありながら、最大の利用国は日本となっている。
- 名前に「Hentai」を含むが、カテゴリには成人向けでない「Non-H」も用意されており、一般向けのイラストや漫画も登録できる仕組みになっている。