横槍メンゴ
Mengo Yokoyari
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2023年、台北の漫画博覧会で行われた赤坂アカ・横槍メンゴ合同サイン会の準備風景。二人のプライバシーに配慮して会場が仕切りで囲まれている(出典:Wikimedia Commons、撮影:Solomon203、CC BY-SA 4.0)
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作画を担当した『【推しの子】』のタイトルロゴ(出典:Wikimedia Commons、パブリックドメイン)
ID @Yorimen(X)
誕生日 1988年2月27日
年齢 38歳
出身地 三重県
国籍 日本
学歴 高校中退
職業 漫画家、イラストレーター
フォロワー数 Xで約100万人(2026年10月時点)
活動期間 2009年 -
代表的な実績 『クズの本懐』、『【推しの子】』(作画)、『レトルトパウチ!』、『君は淫らな僕の女王』(作画)
受賞 次にくるマンガ大賞2021 コミックス部門1位(『【推しの子】』)
関連活動 赤坂アカ、ボーカロイドイラスト(「ヨリ」名義)
別名 ヨリ(イラストレーター名義)
あだ名 メンゴ先生
その他 左利き。2019年2月に結婚を発表
リンク X(@Yorimen)


概要[編集]

横槍メンゴ(よこやり めんご、1988年2月27日 - )とは、三重県出身の女性漫画家・イラストレーターである。『クズの本懐』の作者で、赤坂アカ原作『【推しの子】』の作画担当として世界的に知られる。

詳細[編集]

「かわいい」と「仄暗さ」の名手[編集]

横槍メンゴの絵を一言で表すなら「繊細でかわいいのに、どこか危うい」。まつ毛の一本一本や髪の毛の細かな流れまで描き込む少女漫画寄りのタッチで、キャラクターへの優しさを感じさせる柔らかい線が持ち味だ。その一方で、描く物語は片思いの痛み、満たされない欲望、芸能界の闇といったヘビーな題材が多い。このギャップこそが横槍作品の中毒性の正体で、本人もインタビューで「少女漫画っぽい絵で、正攻法じゃないものを描く」ことを武器にしてきたと語っている。

成人向け漫画からの叩き上げ[編集]

今でこそ『【推しの子】』の作画担当として国民的な知名度を持つが、キャリアのスタートは2009年、サン出版の『マガジン・ウォー』での成人向け読切だった。高校を中退してアシスタントとなり、成人誌や青年誌で短編を積み重ねながら腕を磨いた。本人は「サービス精神で成り立っているといっても過言ではないエロ漫画の世界からキャリアが始まった影響は大きい」と振り返っており、読者を楽しませることを最優先にする姿勢はこの時期に作られたという。

二つの大ヒットを持つ作家[編集]

2012年に『月刊ビッグガンガン』で始めた『クズの本懐』は、こじれた恋愛群像劇として話題を集め、2017年にはテレビアニメと実写ドラマが同時期に放送された。さらに2020年からは週刊ヤングジャンプで赤坂アカと組んだ『【推しの子】』の作画を担当。アニメ化・実写化を経て累計2400万部を超える大ヒットとなった。単著の代表作と、原作付きの代表作をどちらも映像化レベルのヒットに育てた、数少ない作家の一人である。

経歴[編集]

小学3年生で漫画家を志す[編集]

三重県出身だが、本人によれば子どもの頃は引っ越しが多く、「三重県民」という意識はあまり強くないという。オタクとしての原体験は幼稚園時代にデパートで遊んだ『ぷよぷよ』で、小学5年生のころには開発元コンパイルのファンクラブ会報を購読するまでにハマった。本人いわく「そこがもう魔の入り口」。漫画家を目指すと決めたのは小学3年生のとき、冨樫義博作品を読んで「こんなにスゴい作品があるなら漫画の道に進みたい」と思ったのがきっかけだった。

美術高校を中退してアシスタントへ[編集]

進学先は美術系の高校だったが、経済的な事情と進路の迷いが重なり、油絵か漫画かの選択を迫られる。「美術で一生やっていくつもりはない」と判断した横槍は、迷わず高校を中退し、『空手小公子 小日向海流』を連載していた馬場康誌のアシスタントになった。選んだ基準は「いちばん作画が難しいところ」。採用時に馬場からは「君は合格だけど、独自の世界で描けているし、うちに入るとこの作風はある意味死ぬ」と言われたが、あえてメジャー路線で鍛える道を選んだという。

同人活動と「ヨリ」名義[編集]

並行して同人誌での二次創作にも打ち込んだ。本人は二次創作に出会って「こんなに自由な描き方があるんだ」と驚き、そこで漫画の描き方を学んだと語っている。またインターネット上では「ヨリ」のハンドルネームでニコニコ動画などのボーカロイド楽曲のイラストを手がけており、このボカロ界隈で知り合ったのが、のちの相棒・赤坂アカだった。音楽ユニットGARNiDELiAのメンバーとも、ボカロ関連イベントの打ち上げで顔を合わせて以来の付き合いがある。

デビューと初期の仕事[編集]

2009年、『マガジン・ウォー』8月号掲載の読切でデビュー。以降は同誌を中心に短編を発表し、2010年からは双葉社の『COMICすもも』で初連載『はるわか』を手がけた。2011年には初の単行本『もっかいしよ?』を刊行。2012年には『エルフェンリート』で知られる岡本倫が原作の『君は淫らな僕の女王』の作画を担当し、集英社の『週刊ヤングジャンプ』に初登場した。この年の秋に始まったのが、出世作『クズの本懐』である。

『クズの本懐』でブレイク[編集]

『クズの本懐』は2012年から2017年までスクウェア・エニックスの『月刊ビッグガンガン』で連載され、番外編『クズの本懐 décor』を含め全9巻で完結した。累計発行部数は2017年3月時点で180万部を突破。2017年1月にはフジテレビの深夜アニメ枠「ノイタミナ」でテレビアニメが始まり、同じ時期に実写ドラマも放送されるというダブル映像化を果たした。2017年2月にはpixiv Zingaroで「クズの本懐」展が開かれ、横槍本人もトークショーとサイン会に登壇している。

『レトルトパウチ!』と短編の時代[編集]

2014年からは集英社の『ミラクルジャンプ』で『レトルトパウチ!』を連載。少子化対策として作られた「恋愛至上主義」の学園で、主人公たちが信念のために清い関係を貫こうと奔走するコメディで、2017年に週刊ヤングジャンプへ移籍し、2019年に全7巻で完結した。2017年以降は小学館の『ビッグコミックスペリオール』『ビッグコミックスピリッツ』、集英社の『グランドジャンプめちゃ』など各誌に読切を発表。中でも2019年に『スピリッツ』に掲載された読切「かわいい」は、のちに大きな意味を持つことになる。

『【推しの子】』で世界へ[編集]

2020年4月、週刊ヤングジャンプで赤坂アカ原作の『【推しの子】』が始まる。赤坂は『クズの本懐』を第1話の時点で「絶対にアニメ化する」と評価していたうえ、読切「かわいい」を読んで「アイドルを題材にするなら横槍しかいない」と確信し、最初から横槍の作画を想定してプロットを組んだという。作品は「次にくるマンガ大賞2021」コミックス部門で1位を獲得し、2023年の動画工房制作のアニメ化とYOASOBIの主題歌「アイドル」の世界的ヒットで社会現象に。2024年11月14日発売号で全166話・単行本全16巻で完結した。同年秋にはAmazonプライム・ビデオでの実写ドラマ配信と実写映画の公開も続いた。

2026年、単著読切で再始動[編集]

『【推しの子】』完結後、横槍は久しぶりに自分ひとりで描く作品に取り組んでいる。2026年2月、本人がXで「来週3/5(木)発売のヤングジャンプに読切が載ります」「久しぶりのYJだ、ドキドキしてます」と告知。発売前夜には「単著なので推しの子とは関係のないお話です」と添えて、テレビアニメ第3期の放送と同じ夜に公開されることを呼びかけた。この読切は「横槍メンゴ新作読切シリーズ」としてシリーズ化され、2026年6月には第2弾が公開。掲載号のYJ表紙を「うれしすぎた」と喜ぶポストも投稿している。

作風と創作スタイル[編集]

「女の子も読めるエロ」[編集]

初期作品から性的な要素を多く扱ってきたことは本人も隠しておらず、成人向け漫画が好きだと公言している。ただし、その使い方は独特で、本人はエロを「美少女を描くときの飛び道具」と位置づけてきた。同人時代は「描きたくないけど、これを入れないと読んでもらえない」という義務感から描いていたが、高校1年生のころに高い評価を得たことで自信がつき、「正攻法じゃないやり方で、でもエロい」という路線を見つけたという。目指したのは「女の子も読めるエロ」で、2022年ごろには男女の垣根もあまり気にしていないと語っている。

「読みたいもの」を描くサービス精神[編集]

『クズの本懐』完結時のインタビューでは、同人と商業の違いについて「商業は『親切感』が必要」と語った。同人誌はファン同士で作品の共通認識があるが、商業誌ではその土台がないため、分かってもらうための工夫が必須になる。そのうえで「『描きたいもの』じゃなく『読みたいもの』を描いて読者とコミュニケーションするのが商業」「好きなものだけ描いて売れたい、ができるのは相当の天才だけ」と断言しており、自分の漫画を「お店」にたとえて読者をもてなす感覚を大事にしている。

かわいい女の子の描き方[編集]

2016年にはお絵かき講座サイトで「かわいい女の子」の描き方を解説している。ポイントは、指先の形を整えるより先に女性らしい「仕草」やポーズを意識すること、そして「女性は円柱、男性は立方体の組み合わせ」で体を捉えること。さらに「綺麗なまつげ」「髪の毛の細やかさ」など、女性ならではの観察眼を自分の武器として自覚するよう勧めている。実際にかわいいと思う人や写真・映像をよく観察し、その要素を分解して漫画に落とし込むのが横槍流である。

「スピってる」制作リズム[編集]

時間の管理は本人いわく「もうぐちゃぐちゃ」。決まった時間に作業するやり方を試しても「自由な感じに戻っちゃう」ため、眠いときは仮眠し、やる気が出たら描くというサイクルで仕事をしている。面白いのは何もしない時間の使い方で、本人はそれを「スピってる感じ、気をためてる」「空気中に体を預けて降りてくるのを待つ、みたいな状態」と表現する。作業時間を詰めようとしたら「何も出てこなくて」失敗し、「もう少しスピろう」と今のスタイルに落ち着いたというから、本人なりの合理性がある。

【推しの子】の作画[編集]

赤坂アカとのタッグ[編集]

赤坂アカとはボカロ界隈で知り合った十年来の仲で、本人は一緒に漫画を作ることになるとは「ぜんぜん想像してなかった」と語っている。2023年11月放送の『ななにー 地下ABEMA』に二人で覆面ゲストとして出演した際には、赤坂の口説き文句が心に響いたことが作画を引き受けた理由だと明かした。赤坂を「アカピー」と呼ぶ間柄で、2023年に台北で開いた合同サイン会では、二人のプライバシーに配慮して会場が仕切りで囲まれた。

アイは「オーラをまぶして」[編集]

2022年のインタビューによると、星野アイは赤坂が完成に近いデザイン原案を描いており、横槍はそれを少しいじった程度だという。ただ「めちゃめちゃ期待されてたので、すごく頑張った」「とにかくオーラをまぶして」と、物語の起点となるアイドルに説得力を持たせることに全力を注いだ。主要キャラクターの原案を赤坂が描き、横槍が膨らませるという分担で、完全な分業ではなかった点もこのコンビの特徴である。

「線は太く」作品に合わせた絵柄[編集]

『【推しの子】』では、それまでの作品より線を太くしている。理由について本人は「作品に合わせて今回は太くしたい」と説明し、「私が描いてきた漫画とは雰囲気も違うし、動きのあるシーンも多い作品だった」と振り返る。編集部からは「熱さが伝わる絵にしてくれ」と何度も言われたという。赤坂のネームについては「めっちゃうまい」と絶賛し、二人の関係を「お互い頑張ってすり寄せてる」「私は無理してない」と表現している。

実写化への太鼓判[編集]

2024年の実写ドラマ配信開始時、横槍はXで「素晴らしく愛ある作品に仕上げて頂きました」と投稿し、自分が時間などの都合で省略せざるをえなかった部分まで「理想を超えたクオリティで再現していただいております」と絶賛した。実写映画についても「誰よりも私が大満足してます」「実写の闇みたいな内容も描いているので、それを実写でやるって大丈夫なのかなと思ったり...まったく杞憂だった」とコメント。衣装については「本当に解釈一致でした」と喜んでいる。

集合絵との格闘[編集]

2026年7月には「マンガ【推しの子】展 -星のキセキ-」のために、アイ、アクア、ルビー、有馬かな、黒川あかね、MEMちょらを描いた新規イラストを描き下ろした。東京ドームコラボに続く2度目の集合絵で、コメントでは「集合絵はなるべく……避けて……漫画家人生を終えた…い……」とこぼしつつ、「今持てる自分の全力で挑まねば」と頑張った結果「とんでもない時間がかかってしまいました」と告白。お祝いの絵なのに「ちょっと仄暗い場面設定にしてしまった」が、結果的に作品らしい世界観になったと語っている。

主な作品[編集]

連載・単行本[編集]

  • 『はるわか』(『COMICすもも』2010年 - 2012年)
  • 『もっかいしよ?』(短編集、2011年)
  • 『君は淫らな僕の女王』(原作:岡本倫、2012年)
  • 『クズの本懐』(『月刊ビッグガンガン』2012年 - 2017年、全9巻)
  • 『レトルトパウチ!』(『ミラクルジャンプ』→『週刊ヤングジャンプ』2014年 - 2019年、全7巻)
  • 『横槍メンゴときどきヨリ』(作品集、2017年)
  • 『一生好きってゆったじゃん』(短編集、2020年)
  • 『【推しの子】』(原作:赤坂アカ、『週刊ヤングジャンプ』2020年 - 2024年、全16巻)

主な読切[編集]

  • 「スクールゾーン」(『ビッグコミックスペリオール』2017年)
  • 「鋼の心」(『グランドジャンプめちゃ』2018年)
  • 「一本花」(『週刊ヤングジャンプ』2019年)
  • 「かわいい」(『ビッグコミックスピリッツ』2019年)
  • 「狼になりたい」(『少年ジャンプ+』2020年)
  • 「南無阿弥だいすき」(『ビッグコミックスピリッツ』2020年)
  • 横槍メンゴ新作読切シリーズ(『週刊ヤングジャンプ』ほか、2026年 - )

その他[編集]

  • テレビアニメ『ローゼンメイデン』(2013年)第7話エンドカード
  • 『Project ANIMA』メインビジュアル
  • 「ヨリ」名義でのボーカロイド楽曲イラスト

クズの本懐[編集]

どんな話?[編集]

高校生の安楽岡花火と粟屋麦は、周囲からは「理想のカップル」に見えている。しかし実際は、花火は教師の鐘井鳴海に、麦は同じく教師の皆川茜に片思いしており、二人とも叶わない恋を抱えていた。お互いが「本命の代わり」であることを承知のうえで、寂しさを埋め合うために付き合うふりを続ける――という、タイトル通り誰も正しくない恋愛群像劇だ。綺麗事では済まない感情を真正面から描き、多くの読者に刺さった。

アニメとドラマ[編集]

テレビアニメは2017年1月から3月までフジテレビ「ノイタミナ」枠で放送。制作はLerche、監督は安藤正臣で、花火役を安済知佳、麦役を島﨑信長、茜役を豊崎愛生が演じた。オープニングは96猫「嘘の火花」、エンディングはさユり「平行線」。同じ2017年1月からはフジテレビの深夜枠で吉本実憂・桜田通主演の実写ドラマも放送された。横槍本人はインタビューで、作品がここまでヒットしたのは予想外だったと語っている。

炎上とバズ[編集]

  • 実写化への「太鼓判」ポスト - 2024年の実写版【推しの子】は発表時にファンの不安の声も多かったが、作画担当の横槍が配信開始後に「理想を超えたクオリティ」と絶賛したことがニュースとして報じられ、話題を呼んだ。
  • 【推しの子】最終回の賛否 - 2024年11月の最終話は結末をめぐってSNSで賛否が大きく割れ、作者二人にも注目が集まった。
  • 集合絵の「悲鳴」 - 2026年の原画展用の描き下ろしで「集合絵はなるべく避けて漫画家人生を終えたい」とこぼしたコメントは、ファンから共感と笑いを集めた。

余談[編集]

  • 左利きである。
  • 好きなアニメとして『十兵衛ちゃん2』を挙げ、「千年後にも残ってほしい神アニメ」と熱弁している。置鮎龍太郎が演じた鯉之介のせいで「タイムスリップしてきたサムライフェチ」になり、異性の好みが固定されたとか。『天空のエスカフローネ』のバァンや『フルメタル・パニック!』の相良宗介も大好きだという。
  • 仕事部屋は「普通のOLさんや女の子の部屋」を目指したものの、漫画が多すぎて「異様な空気」になっており、友人の漫画家から「ここで漫画を描いているの?」と言われたことがある。
  • アニメや集団制作の現場は「行かないほうがいい」と同人仲間から言われたことがあり、本人もマイペースで集団行動が向いていないと自覚している。
  • 2026年10月には、機動戦士ガンダムシリーズの『キルケーの魔女』を配信で観て「映画館で観たすぎた」と咽び泣いたことをXに投稿。ガンダムのアーケードゲーム「戦場の絆」の筐体に閉じ込めてほしいとまで書いていた(ただし三半規管が弱いので酔いまくるらしい)。
  • お菓子が小さくなった問題について「自分が大人になったからかも…という心理を利用して結局お菓子が小さくなっている」と鋭く指摘するなど、Xでは日常のゆるいつぶやきも多い。推し活ブームの立役者の一人とは思えない脱力感も人気の理由だ。

外部リンク[編集]

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