東京熱
Tokyo-Hot
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海外サーバー経由の無修正配信に日本の刑法が及ぶと判断した最高裁判所(東京都千代田区)(出典:ウィキメディア・コモンズ、CC BY-SA 2.0)
サイト名 東京熱(Tokyo-Hot)
言語 日本語、英語
タイプ 成人向け動画配信サイト(無修正)
国 アメリカ合衆国(法人登記上。制作・主な視聴者は日本とされる)
種類 会員制動画配信(期間制会員・ダウンロード方式)
創設 2003年(最初の作品の公開は2003年9月とされる)
運営者 JSKY Services, Inc.とされる(初期はCSJJ Media, Inc.とされる)
営利性 営利
登録 必要(有料会員制)
開始 2003年
現在の状態 運営継続とされる(メインシリーズの新作は2017年以降途絶えたとされる)
別名 Tokyo-Hot、東熱

概要[編集]

東京熱(とうきょうねつ、Tokyo-Hot)とは、日本で撮影された性器の修正(モザイク)がない、いわゆる無修正のアダルトビデオを、海外に置いたサーバーから会員制で配信している成人向け動画ブランドである。2003年ごろに運営を開始したとされ、カリビアンコム・一本道と並んで「無修正サイトの老舗」として名前が挙がる代表的なブランドの一つ。運営法人はアメリカ合衆国など海外で登記されているとされる。

詳細[編集]

どんなブランドなのか[編集]

東京熱は、日本人の出演者を起用して日本国内で撮影したとされる成人向け映像を、海外法人の名義で運営する有料会員制サイトを通じて配信するブランドである。日本の正規流通に乗る作品のように審査団体の審査を経ることはなく、修正処理を施さない点が最大の特徴とされる。

中国語版ウィキペディアによれば、サイトへのアクセスの約7割は日本国内からで、残りは東アジア・東南アジアやアメリカからとされる。つまり「海外のサイト」でありながら、実際の視聴者の多くは日本にいるという、無修正サイトに典型的な構図をもったブランドである。

「老舗」と呼ばれる理由[編集]

日本向けの無修正配信サイトは2000年代初頭から現れ始めた。日本のウェブ百科事典Enpediaによると、2000年に始まった「Asian-hot」というサイトが後にカリビアンコムとなり、東京熱はそれに続く2003年に作品の公開を始めたとされる。

20年以上にわたってブランド名が存続していること、作品番号が1,000番台を大きく超えるほどの本数を積み上げたことから、カリビアンコムや一本道と並び「無修正御三家」のような扱いで語られることが多い。一方で、カリビアンコムや一本道などがいわゆるDTI系列とされるのに対し、東京熱はそれとは別系統の独立したブランドとして扱われるのが一般的である。

会員制の仕組み[編集]

Enpediaの記述によれば、東京熱は30日・60日・90日といった期間単位で会員権を購入する方式をとっていた。多くの配信サイトがストリーミング中心へ移行していくなかで、ダウンロード方式を基本としていた点が特徴として挙げられている。

画質の変遷も時代を映している。初期の作品は640×480ピクセル・1本あたり約1GB程度だったのに対し、2017年ごろにはフルHD(1920×1080)・1本3〜5GB程度が標準になっていたとされる。ブロードバンドの普及とともに、作品の「重さ」も年々増していったわけである。

沿革[編集]

開設と初期の運営法人[編集]

韓国のナムウィキによると、東京熱の最初の運営会社は「CSJJ Media, Inc.」という法人で、2002年7月にサンフランシスコで設立されたとされる。法人登記上はアメリカの会社という形をとりながら、撮影は日本で行われていたとされ、これが「海外法人とされる日本のブランド」と呼ばれるゆえんである。

最初の作品(作品番号n0001)は2003年9月15日に公開されたとされる。以後、メインシリーズには「n」で始まる連番が振られ、ファンの間ではこの番号で作品を呼ぶのが半ば慣習となった。

運営法人の移り変わり[編集]

ナムウィキによれば、2014年には運営が「Net link Inc.」という別法人に移ったとされ、その後は「JSKY Services, Inc.」が運営者として表示されるようになったとされる。中国語版ウィキペディアでも、2019年2月時点の運営会社としてJsky Services Inc.の名前が挙げられている。

JSKY Servicesは2010年10月にアメリカで設立され、同時期にロンドンにも同名の関連法人が設けられたとされる。複数の国に法人を置き、登記上の事業目的を電子商取引や情報サービスとしている点は、海外を拠点とする無修正サイトによく見られる形態だと指摘されている。ただし、各法人の実質的な経営者や国内の関係者については、報道で確認できる情報はほとんどない。

作品数の推移[編集]

Enpediaによれば、メインシリーズの作品番号は2017年3月時点でn1230に達しており、関連レーベルを含めた作品総数は2017年までに約2,800本に上ったと推計されている。中国語版ウィキペディアでも「1,000本以上の作品を発行」と紹介されている。

メインシリーズとは別に、ベテラン監督の名前を冠したシリーズなど複数のサブレーベルも展開されていた。また2006年から2015年にかけては、毎年1回、多人数が出演する大型企画作品が恒例として公開されていたとされる。

2017年の新作停止[編集]

大きな転機は2017年である。中国語版ウィキペディアでは、メインシリーズの最後の作品は2017年9月に発行されたとしており、ナムウィキでも2017年10月以降は新作がなく、既存の映像を再編集した作品のみが配信されているとされる。

新作が途絶えた理由について、運営側から公式な説明は確認できない。ちょうど同じ2017年1月には、カリビアンコムに作品を納品していた国内の制作会社関係者が逮捕される事件(後述)が起きており、業界全体で海外配信への締め付けが強まった時期と重なっている。ただし、両者の因果関係を示す公的な情報はない。

作風の特徴[編集]

「ハード路線」のブランドイメージ[編集]

東京熱は、無修正サイトのなかでも特に過激な作風で知られるブランドとして語られることが多い。中国語版ウィキペディアによれば、作風は2007年ごろから次第に強いものへと変わっていったとされる。同じ無修正サイトでも、天然むすめのような素人風の作品や、一本道のような人気女優を起用した作品とは方向性が大きく異なると受け止められている。

出演者の傾向[編集]

出演者はほぼ日本人で、外国籍の出演者は極めてまれとされる。国内のAV女優として活動していた人物が出演した例もある一方、数本の出演で名前が知られた後に業界を離れた出演者も少なくないとされる。

こうした「短期間の出演で引退する出演者が多い」という特徴は、後述する出演者をめぐる問題とあわせて語られることがある。ただし、個々の出演経緯については公的に確認できる情報は乏しい。

番号文化[編集]

作品を「n0〇〇〇」のような作品番号で呼ぶ文化は、東京熱に限らず無修正サイト全般に見られるが、東京熱はその代表例とされる。正規流通の作品にも品番はあるが、無修正サイトの場合は作品タイトルよりも番号のほうが通りがよいことが多く、ファン同士の会話でも番号が共通言語になっている。

日本国内での法的位置づけ[編集]

刑法175条とわいせつ電磁的記録[編集]

日本の刑法175条は、わいせつな文書・図画・電磁的記録などを頒布したり公然と陳列したりする行為を処罰の対象としている。法定刑は2年以下の拘禁刑(2025年6月の改正法施行前は懲役)もしくは250万円以下の罰金・科料、またはその併科である。2011年の刑法改正で「電磁的記録」が条文に明記され、ネット上での動画データの配信も条文上はっきりと処罰対象に含まれるようになった。

判例上の「わいせつ」は、いたずらに性欲を興奮・刺激させ、普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するものとされる。実務上は、性器が修正なしで映っている映像は「わいせつ」と判断される傾向が強い。日本の正規流通作品にモザイク処理が施されているのはこのためである。

海外サーバーでも日本の法律が及ぶ[編集]

「サーバーが海外にあれば日本の法律は関係ない」という説は、かつてネット上で広く信じられていた。しかし最高裁判所は2014年11月25日の決定で、日本の顧客がダウンロードすることで日本国内の端末にデータが保存される場合には「頒布」が日本国内で行われたといえ、日本の刑法が適用されるとの判断を示した。

この判断により、運営法人やサーバーが海外にあっても、日本国内で撮影・制作し日本の顧客に向けて配信する行為には、日本の刑法が適用されうることが明確になった。弁護士の解説記事では、販売目的でデータを保管する行為について刑法175条2項の「有償頒布目的保管」にあたりうるとの指摘もある。

カリビアンコム納品業者の摘発(2017年)[編集]

無修正サイトと日本の刑事司法の関係を象徴するのが、2017年1月の事件である。弁護士ドットコムなどの報道によれば、警視庁などは2017年1月11日までに、カリビアンコムに無修正動画を提供していたとされるAV制作会社「ピエロ」の社長ら複数人を、わいせつ電磁的記録等送信頒布の疑いで逮捕した。

報道によると、同社は日本で撮影した動画を台湾の別会社を介してカリビアンコム側に納品し、約9年間で約13億7000万円を受け取っていたとされる。サイトの運営会社は米ロサンゼルスの法人とされ、捜査当局は国際刑事警察機構(ICPO)を通じて台湾やアメリカの捜査機関とも連携するとされた。カリビアンコムの名前が昼のニュースで報じられ、ネット上で話題になったことでも知られる。

東京熱そのものへの摘発報道[編集]

東京熱の運営法人や制作関係者が日本の捜査当局に摘発されたことを報じた大手報道機関のニュースは、今回の調査では確認できなかった。ナムウィキなどには海外当局による調査や関連事件をめぐる記述もあるが、出典が明確でなく、本記事では扱わない。

なお、無修正動画をめぐってはその後も、FC2の動画販売サービスを使った出品者の摘発(2021年の茨城県警・警視庁・愛知県警などによる一斉摘発など)が相次いでいる。いずれも「海外のサイトを使っても日本国内で撮影・販売すれば処罰対象になりうる」という流れの中にある事件として報じられた。

業界内での位置[編集]

主な無修正ブランドとの比較[編集]

日本向けの主な無修正配信ブランドを比較すると以下のようになる。運営法人や開設年は報道・各種資料で「とされる」レベルの情報を含む。

ブランド 運営開始 運営法人(とされるもの) 系統 特徴とされる点
東京熱 2003年 JSKY Services, Inc.(初期はCSJJ Media, Inc.) 独立系 ハード路線。2017年以降メインシリーズの新作停止とされる
カリビアンコム 2000年代初頭(前身のAsian-hotは2000年) DTI Services, Inc.(米ロサンゼルス、報道による) DTI系 無修正サイト最大手とされる。2017年に納品業者が摘発
一本道 2000年代 非公表 DTI系とされる 人気女優の起用が多いとされる
HEYZO 2010年代初頭 非公表 DTI系とされる 比較的後発のブランド
天然むすめ 2000年代 非公表 DTI系とされる 素人風の作品が中心とされる

正規流通との違い[編集]

日本の正規のアダルトビデオは、審査団体の審査を経てモザイク処理を施したうえで、FANZAやDUGAのような国内の配信サイト、あるいはDVD・Blu-rayとして流通する。かつてDMM系列が運営した英語圏向けのR18.comも、海外向けでありながら扱っていたのは修正済みの正規作品だった。

これに対し東京熱などの無修正サイトは、審査も修正も経ずに海外法人名義で配信する点で、国内の正規流通とはまったく別の世界に属している。出演者の契約や権利処理がどうなっているかが外部から見えにくい点も、正規流通との大きな違いとされる。

違法アップロードとの関係[編集]

無修正サイトの作品は、それ自体が日本ではグレー以下の位置づけにある一方、MissAVなどの違法アップロードサイトに無断転載される「被害者」の側にもなっている。わいせつな作品であっても著作物として保護されうるとの考え方があり、無修正サイトの運営側が違法アップロードに対して権利を主張する例もあるとされる。

出演者をめぐる問題[編集]

AV出演強要問題[編集]

2016年3月、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウが、意に反してアダルトビデオへの出演を強いられる被害についての報告書を公表し、いわゆる「AV出演強要問題」が社会問題化した。同年6月には、大手プロダクションの元社長らが労働者派遣法違反の疑いで警視庁に逮捕されている。

この問題は主に国内の正規流通作品をめぐって議論されたが、「契約の実態が見えにくい」「一度公開された映像を取り下げにくい」といった論点は、海外法人が運営する無修正サイトにもそのまま当てはまるとして言及されることがある。

AV新法(2022年)[編集]

2022年6月、AV出演被害防止・救済法(通称AV新法)が議員立法で成立した。正式名称は「性をめぐる個人の尊厳が重んぜられる社会の形成に資するために性行為映像制作物への出演に係る被害の防止を図り及び出演者の救済に資するための出演契約等に関する特則等に関する法律」という非常に長いものである。

主な内容は、契約書面の交付と説明の義務化、契約から撮影まで1か月、撮影終了から公表まで4か月の期間を置くこと、公表から原則1年間は無条件で契約を解除できること、出演者による配信差止請求権の創設などである。同法は、刑法など他の法令による禁止・制限を変更するものではないと明記しており、この法律によって無修正作品が合法化されるわけではない。

無修正流出との関係[編集]

AV新法の差止請求権は、国内のメーカーや配信事業者に対しては実効性をもちやすい。一方、運営法人が海外にあり、日本の法人格を持たない無修正サイトや、無断転載を繰り返す違法アップロードサイトに対しては、差止を求めても実際に削除させるのは難しいと指摘されている。

また、国内向けに撮影された映像の修正前データが流出し、無修正の形でネット上に出回る「無修正流出」も、出演者側にとって深刻な問題とされる。こうした映像は一度拡散すると完全な削除が困難であり、AV新法の議論の中でも、デジタル時代の被害回復の難しさを示す例として取り上げられた。

余談[編集]

  • 作品番号「n0001」の公開日は2003年9月15日とされ、2017年3月時点で番号はn1230に達していたとされる。週に約2本のペースで十数年間更新を続けた計算になる。
  • 中国語圏ではブランド名をそのまま「東京熱」と表記し、日本の無修正AVの代名詞のように使われることもある。中国語版ウィキペディアには作品一覧の記事まで存在する。
  • 「サーバーが海外なら合法」という説を事実上否定した2014年の最高裁決定は、無修正サイト業界にとって大きな転機とされ、法律系の解説記事でも繰り返し引用されている。
  • 初期の作品は1本約1GB、2017年ごろは3〜5GBとされ、ブロードバンドの普及とともに作品データが数倍に「膨張」した。
  • 運営法人の登記上の事業目的は電子商取引や情報サービスとされ、法人名だけを見ても何の会社なのか分からないとされる。

外部リンク[編集]

(成人向けのため掲載しない)

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