悪女は2度生きる

悪女は2度生きる
The Villainess Lives Twice(악녀는 두 번 산다)
スタジオ ピーチベリー
ジャンル ロマンスファンタジー、悪役令嬢、回帰(タイムリープ)、政治劇
配信 ピッコマ ほか電子書籍ストア
原作 ハンミント(韓国のウェブ小説)
メディアミックス 小説版
その他 原作小説イラスト:Ena


悪女は2度生きる(あくじょはにどいきる)とは、韓国の作家ハンミントによるウェブ小説を原作とするコミカライズウェブトゥーン(縦読みフルカラー漫画)である。忠誠を尽くした家族と皇帝に裏切られて命を落とした「悪女」が、古代の魔法で若き日へと回帰し、今度は自分を正しく扱ってくれる大公のために"悪女"を演じ直す――そんな悪役令嬢×回帰(タイムリープ)ものの王道でありながら、重厚な宮廷政治劇と切ないロマンスを両立させたことで高い人気を誇る作品である。

概要[編集]

本作は、兄を皇帝の座へ押し上げるために手を汚し続けた末に「悪女」として処刑された主人公アルティゼアが、時を巻き戻して人生をやり直す物語である。二度目の生では、前世で自分を利用した家族と決別し、正義感の強い英雄セドリック大公を新たな主君に選び直す。日本ではピッコマで漫画版・小説版の双方が配信され、悪役令嬢ジャンルの代表格として悪女は砂時計をひっくり返す悪女が恋に落ちた時その悪女に気をつけてくださいと並んで語られてきた息の長い人気作である。

詳細[編集]

主人公アルティゼアは、皇族に連なる名門の令嬢として生まれながら、母と兄から「兄を皇帝にすることこそ一族の幸福だ」と言い聞かされ、道具のように扱われて育った。彼女は言われるままにあらゆる悪事に手を染め、実の兄を帝位へと押し上げる。しかし玉座を手にした兄と、かつて忠誠を誓った人々は、用済みとなったアルティゼアをためらいなく切り捨てた。愛を知らず、愛される資格もないと思い込んだまま、彼女は「悪女」の汚名を着せられて死んでいく。

ところが命が尽きる瞬間、アルティゼアの意識は古代の魔法によって十八歳の頃へと巻き戻される。二度目の人生を得た彼女は、前世で自分を破滅させた家族に尽くすことをやめ、代わりに帝国の英雄と讃えられる皇族に連なる大公セドリックを主君に選ぶ。かつて宿敵として立ちはだかった相手を、今度は自らの手で皇帝へと押し上げようというのだ。生き延びるための計算から始まった関係が、少しずつ本物の情へと変わっていく過程が本作の読みどころである。前世の記憶を武器に破滅を回避していく構図は、誰かが私に憑依した嫌われ公女は婚約破棄を待つ悪役に仕立てあげられた令嬢は財力を隠すといった同ジャンルの人気作と共通しており、それらと並べて楽しむ読者も多い。

あらすじ[編集]

兄を皇帝にするために悪名を一身に背負い、最後は裏切られて処刑されたアルティゼア。目を覚ますと、そこは何もかもが手遅れになる前――十八歳の自分に戻った世界だった。同じ末路を二度と辿らないと誓った彼女は、前世で敵対したセドリック大公に「二年後に円満に離婚する」という契約結婚を持ちかけ、大公妃という立場を手に入れる。愛を信じないアルティゼアと、そんな彼女を一人の人間として、そして妻として大切に扱おうとするセドリック。二人の距離が縮まる一方で、帝位を巡る陰謀は静かに、しかし確実に動き出していく。

主な登場人物[編集]

アルティゼア
本作の主人公。前世では兄を皇帝にするために「悪女」として振る舞い、その果てに裏切られて処刑された。回帰後は、自分を道具として扱った家族と決別し、生き延びるためにセドリックを主君として選び直す。頭脳明晰で冷静沈着だが、長く愛情に飢えて育ったために自分は愛される資格がないと思い込んでいる。
セドリック
アルティゼアが二度目の人生で主君に選ぶ大公。帝国の英雄として名高い実力者で、前世ではアルティゼアと敵対する立場にあった。契約結婚の相手でありながら、アルティゼアを一人の人間として尊重し、誠実に向き合っていく。
(※作中では大公家の領地名など細部の設定に情報源ごとの表記揺れがあるため、本項では確実な範囲のみを記す。)
リシア/ケイリー
二度目の人生でアルティゼアを支える気心の知れた協力者たち。前世では得られなかった信頼できる味方として、彼女の孤独を少しずつ癒していく存在として描かれる。

作品の特徴[編集]

本作最大の魅力は、単なる恋愛劇にとどまらない重厚な政治劇にある。帝位をめぐる貴族たちの駆け引きや陰謀が緻密に描かれ、その盤上で主人公が前世の知識を駆使して一手ずつ状況を覆していく展開は、読者から「ロシア文学のような重厚さがある」と評されるほどである。契約結婚から始まる関係が本物の愛へと育っていく王道のロマンスと、頭脳戦の緊張感が両立している点が、悪女の恋人は主人公様小説の中の悪女皇帝になった悪女はマリオネットといった同系統の悪女ものと比べても際立っている。「悪女」を名乗りながら、その実だれよりも不器用で情の深いヒロイン像も、多くの読者の共感を集めてきた。

配信[編集]

原作はハンミントによる韓国のウェブ小説で、Enaによるイラストが添えられている。コミカライズはピーチベリーによって制作され、韓国のKakaoPageで2020年6月3日から2025年1月6日まで連載されて完結した。日本語版はピッコマをはじめとする電子書籍ストアで配信されており、漫画版に加えて原作小説の日本語版も2021年6月23日から連載が開始されている。英語をはじめ中国語・フランス語・ドイツ語・タイ語など多言語での正式翻訳版が展開されており、世界的な人気を持つ作品でもある。同じピッコマ発の回帰・悪役令嬢もの転生したら宿敵に溺愛されすぎて困ります女騎士シグリドの回帰ヒロインを信じないでくださいとあわせて読まれることも多い。

余談[編集]

  • 英語圏では第2部にあたる続編が「The Villainess Lives Again」の題で展開されており、本作は世界各国で長く読み継がれてきたロングセラーである。
  • 「悪女」を名乗りながらも、実際には家族の呪縛から逃れて初めて人の情を知っていくヒロインの成長譚として読まれることが多い。
  • 契約結婚から始まる関係が本物になっていく構図は、政略結婚なのにどうして執着するのですか?怪物公爵と契約公女公爵夫人の50のお茶レシピといった作品とも共通する人気の型である。

外部リンク[編集]

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