| 一億年ボタンを連打した俺は、気付いたら最強になっていた I Kept Pressing the 100-Million-Year Button and Came Out on Top | |
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原作小説・コミカライズの出版元KADOKAWAのロゴ(出典:ウィキメディア・コモンズ「Kadokawa logo.svg」、パブリックドメイン) | |
| 作画 | 士土幽太郎 |
| ジャンル | 剣戟ファンタジー、学園バトル、なろう系 |
| 出版社 | KADOKAWA(角川コミックス・エース) |
| 配信 | ヤングエースUP(カドコミ) |
| 連載期間 | 2020年2月25日 - 連載中 |
| 略称 | 一億年ボタン |
| 原作 | 月島秀一(キャラクター原案:もきゅ) |
| メディアミックス | ライトノベル(富士見ファンタジア文庫・全10巻)、ドラマCD、英語版(Yen Press) |
| その他 | 副題「~落第剣士の学院無双~」 |
| リンク | カドコミ作品ページ |
概要[編集]
一億年ボタンを連打した俺は、気付いたら最強になっていた(いちおくねんボタンをれんだしたおれは、きづいたらさいきょうになっていた)とは、月島秀一によるライトノベルおよびそれを原作とする漫画作品である。副題は「~落第剣士の学院無双~」。押すと一億年閉じ込められる呪いのボタンを連打して十数億年の修業を積んだ「落第剣士」が、剣術学院で無双していく剣戟ファンタジー。
詳細[編集]
作品の成り立ち[編集]
もともとは小説投稿サイト「小説家になろう」で2019年2月1日に連載が始まったウェブ小説。圧倒的な人気を受けて同年10月19日に富士見ファンタジア文庫(KADOKAWA)から書籍版第1巻が発売され、イラスト・キャラクター原案はもきゅが担当している。公式の紹介では「WEBで圧倒的人気を誇る、剣戟無双ファンタジー」と銘打たれた。書籍版は2023年3月17日発売の第10巻まで刊行され、10巻の帯では電子版を含むシリーズ累計70万部突破がうたわれている。
「一億年ボタン」というアイデア[編集]
タイトルにもなっている「一億年ボタン」は、謎の老人が「押せば一億年分の修業と同じ効果が得られる」と言って差し出すボタン。ところが実態は呪いのアイテムで、押した者は一億年もの間「時の牢獄」と呼ばれる空間に閉じ込められてしまう。普通なら一回で心が折れるところを、主人公アレンはこれを逆手に取って何度も何度も連打。十数億年という気の遠くなる修業の果てに、極限の剣技を身につけてしまう。「理不尽な罰ゲームを、根性で最強の修業に変える」という一発ネタ的な発想が、そのまま作品の看板になっている。
落第剣士の学院無双[編集]
副題の通り、物語の主軸は剣術学院を舞台にした学園バトルである。最底辺の「落第剣士」として見下されていたアレンが、ボタンの修業で得た力を武器に名門・千刃学院へ推薦入学し、学院同士の対抗戦や大会、国家間の陰謀へと巻き込まれていく。本人は自分の実力をまったく自覚しておらず、謙虚な態度のまま周囲を圧倒していく「無自覚最強」の構図がお約束。いわゆるなろう系の王道を押さえつつ、剣戟の描写と、アレンの内に潜む「闇」の謎が長期的な縦軸として機能している。
あらすじ[編集]
第1巻:一億年ボタンと時の牢獄[編集]
グラン剣術学院の3年生アレン=ロードルは、才能がないとして「落第剣士」と蔑まれていた。退学をかけて同級生ドドリエルと決闘することになった彼は、謎の老人から「一億年ボタン」を受け取る。ボタンは押すと一億年間「時の牢獄」に囚われる呪いの品だったが、アレンはそれを連打し、十数億年の修業で極限の剣術を体得。ついには時の牢獄そのものを斬って脱出する。ドドリエルに圧勝し、剣術大会でも好成績を収めたアレンは、剣術の名門・千刃学院への推薦入学を果たす。
第2巻〜第3巻:停学、魔剣士、ヴェステリア王国[編集]
大五聖祭で謎の力を暴走させたアレンは1か月の停学処分を受け、その間「魔剣士」として活動することに。闇に堕ちた宿敵の再登場を経て、アレンたちは千刃学院の生徒会に加わり、夏合宿では因縁の氷王学院と衝突する。続く第3巻では、リアとの仲が知られたアレンが彼女の故郷・ヴェステリア王国に呼び出され、国王から「娘が欲しければ王国最強であることを証明せよ」という無茶な条件を突きつけられる。その後の学内大会「一年戦争」では、リアを執拗に狙う黒い集団が現れ、アレンの秘めた力が覚醒する。
第4巻〜第6巻:剣王祭と神託の十三騎士[編集]
剣術学院の対抗戦「剣王祭」に千刃学院のエースとして出場したアレンは連戦連勝を重ねるが、その裏で世界を取り巻く陰謀が動き出す。第5巻では、フーやドドリエルとの死闘を経て千刃学院を救ったものの校舎が破壊され、アレンは2週間の休校中に白百合女学院で特別授業を受けることになる。第6巻では神託の十三騎士の一人レイン=グラッドを倒して晴れの国を救い、転校生クロードの登場や、全校生徒がアレンを取り合うクリスマスパーティーの騒動が描かれる。
第9巻〜第10巻:億年桜と二年目の剣王祭[編集]
第9巻ではバカンス先で、ローズの祖父バッカスが持つ幻霊の桜「億年桜」を狙う元七聖剣のフォンと元皇帝直属の四騎士ディールが襲来。奥義の境地「真装」を前に仲間たちが倒れ、リアまで危機に陥ったことで、アレンの内に潜む闇が噴き出し、彼は力を求めて「ゼオン」を呼ぶ。最新の第10巻では、貴族派の長パトリオットから来たる戦争で傍観者でいるよう求められる一方、2年生に進級したアレンが前倒しで開催される剣王祭に挑み、七聖剣の剣士との一戦で最大の危機を迎える。
登場人物[編集]
アレン=ロードル[編集]
本作の主人公。グラン剣術学院の3年生で、初登場時は15歳。剣の才能に恵まれず「落第剣士」とバカにされてきたが、一億年ボタンの連打による十数億年の修業で規格外の剣技を手にする。千刃学院への推薦入学後も腰の低さは変わらず、自分が強いという自覚が薄い。内側には正体不明の「闇」を抱えており、物語が進むにつれてその力と向き合うことになる。ドラマCDでの声優は花江夏樹で、書籍1巻発売時に公開されたPVのナレーションも花江が務めた。
リア=ヴェステリア[編集]
ヴェステリア王国の王女で、アレンと同時期に千刃学院へ入学したヒロイン。魂装「原初の龍王(ファフニール)」の使い手。アレンとの関係は第3巻で父である国王の知るところとなり、王国を巻き込む騒動に発展する。黒い集団に執拗に狙われるなど、物語の重要な鍵を握る存在。ドラマCDでの声優は竹達彩奈。
ローズ=バレンシア[編集]
秘剣・桜華一刀流の正統後継者。剣武祭でアレンと剣を交えたことをきっかけに千刃学院へ入学し、リアとともにアレンの仲間となる。祖父バッカスは幻霊の桜「億年桜」を所有しており、第9巻の事件の発端となる。ドラマCDでの声優は雨宮天。
ドドリエル=バートン[編集]
「時雨流」に属するグラン剣術学院の生徒で、アレンの元同級生。序盤はアレンを見下し、退学をかけた決闘で大敗を喫する。その後も闇に堕ちた宿敵としてアレンの前に立ちはだかる。
その他の主要人物[編集]
- レイア=ラスノート - 千刃学院の理事長。アレンの担任でもあり、彼を千刃学院に推薦した人物。
- シドー=ユークリウス - 氷王学院の生徒で「千年に一度の天才剣士」と称される実力者。大五聖祭でアレンと対戦する。
- イドラ - 白百合女学院に所属する「神童」。全学院最強の1年生と名高く、コミカライズ第9〜10巻の剣王祭編でアレンと激突する。
- クロード - 第6巻で千刃学院に転校してくる人物。
- ゼオン - アレンの内に潜む存在。アレンが力を求める時に呼びかける相手で、作品最大の謎のひとつ。
用語・世界観[編集]
時の牢獄[編集]
一億年ボタンを押した者が閉じ込められる空間。一度押すと一億年をそこで過ごさなければならず、普通の人間なら精神が持たない。アレンはここで剣を振り続け、最後には牢獄そのものを斬り捨てて脱出するという、作品を象徴する名シーンを生んだ。
剣術学院と大会[編集]
世界には複数の剣術学院が存在し、アレンが進学する千刃学院のほか、氷王学院や白百合女学院などのライバル校が登場する。学院同士の交流戦「大五聖祭」、全剣術学院が集まって最強を決める「剣王祭」、学内大会の「一年戦争」、文化祭にあたる「千刃祭」など、イベントごとにバトルが組まれるのが本作の基本構造である。
魂装と真装[編集]
剣士が自らの魂の力を武器として具現化したものが「魂装」で、リアの「原初の龍王(ファフニール)」がその代表例。さらにその先にある奥義の境地が「真装」とされ、第9巻ではこれを使いこなす元七聖剣らの圧倒的な強さが描かれた。
敵対勢力[編集]
物語の裏側では「黒の組織」や「神託の十三騎士」、「冥黒騎士団」といった勢力が暗躍し、学院の外の国家間の争いへと話が広がっていく。剣士の最高峰とされる「七聖剣」も重要なキーワードとなっている。
媒体展開[編集]
ウェブ小説[編集]
原作は「小説家になろう」で2019年2月1日に連載開始。章は「一億年ボタンと時の牢獄」に始まり、「千刃学院と大五聖祭」「ヴェステリア王国と親衛隊」「闇と剣王祭」「五大国と神託の十三騎士」「異常と白百合女学院」などと続き、話数は数百話規模に及ぶ。なろう版の最新エピソードは2024年10月26日掲載分。2024年6月からはカクヨムにも転載が始まり、カクヨム版は2024年11月時点で全55話・約31万字が公開されている。
ライトノベル(富士見ファンタジア文庫)[編集]
書籍版は2019年10月19日の第1巻を皮切りに、2019年12月に第2巻、2020年2月に第3巻、同年6月に第4巻、同年10月に第5巻、2021年2月に第6巻、同年6月に第7巻、同年11月に第8巻、2022年4月に第9巻、2023年3月17日に第10巻が発売された。第4巻には完全書き下ろしエピソードを収録したドラマCD付き特装版も同時発売されている。2020年には「次世代型ファンタジア文庫フェア2020」の対象作品にも選ばれた。なお、2026年10月時点で第11巻の刊行告知は確認できない。
コミカライズ[編集]
漫画版は士土幽太郎の作画で、KADOKAWAのウェブコミックサイト「ヤングエースUP」で2020年2月25日に連載を開始した。単行本は角川コミックス・エースから刊行されており、第1巻(2020年10月)から第7巻(2024年9月)までに加え、第8巻が2025年3月24日、第9巻が2025年8月26日、第10巻が2026年3月26日に発売された。第8巻から始まる「剣王祭」編は、第9巻で白百合女学院の神童イドラとの対決に突入し、第10巻で剣王祭編が終幕。次なるイベントとして文化祭「千刃祭」が予告されている。
英語版[編集]
北米ではYen Pressが『I Kept Pressing the 100-Million-Year Button and Came Out on Top』のタイトルで小説・漫画の両方を刊行している。小説版は2021年11月の第1巻から2025年6月の第10巻まで刊行され、日本語版に追いついた。漫画版も2022年10月から刊行が続き、英語版第8巻は2026年7月に発売されている。小説の英語版には「The Unbeatable Reject Swordsman」(無敵の落第剣士)というサブタイトルが付く巻もある。
ドラマCD・PV[編集]
書籍第1巻の発売に合わせ、2019年10月18日にPVが公開された。ナレーションは花江夏樹。さらに第4巻特装版のドラマCDでは、アレン役を花江夏樹、リア役を竹達彩奈、ローズ役を雨宮天が演じた。いずれも主演・ヒロイン級の役を多数持つ人気声優で、紙媒体中心の作品としては豪華な布陣となった。
アニメ化について[編集]
2026年10月時点で、本作のTVアニメ化・劇場アニメ化は公式に発表されていない。ファンタジア文庫の特設ページ、カドコミの作品ページ、英語版の出版情報のいずれにもアニメ化の告知はなく、映像化はPVとドラマCDにとどまっている。
検索では「一億年ボタン アニメ」が頻繁に調べられているが、これはドラマCDやPVの存在に加え、元ネタとみられる「5億年ボタン」(菅原そうたの漫画に登場するボタン)が別途アニメ化されていることで混同されやすいためとみられる。「5億年ボタン」関連の映像作品は本作とは無関係なので注意したい。
なお原作小説は第10巻以降の新刊が出ていないが、コミカライズは2026年3月に第10巻が出るなど継続中で、英語圏でも小説・漫画ともに翻訳が進んでいる。アニメ化の可能性がゼロとは言い切れないものの、現時点では「未定」というのが正確なところである。
どこで読める・見れる[編集]
原作小説を読む[編集]
- ウェブ版 - 「小説家になろう」とカクヨムで無料公開されている。
- 書籍版 - 富士見ファンタジア文庫から全10巻(2026年10月時点)。紙の文庫のほか、BOOK☆WALKERなどの電子書籍ストアやAmazonのKindleでも購入できる。
漫画を読む[編集]
- カドコミ(旧ComicWalker) - ヤングエースUP連載作品として作品ページがあり、一部エピソードが無料公開されている。
- 単行本 - 角川コミックス・エースから第10巻まで発売中。コミックシーモアなどの電子書籍ストアでも配信されている。
アニメを見る[編集]
前述の通りアニメ化されていないため、NetflixやABEMAなどの配信サービスで見ることはできない。映像としては、YouTubeで公開されている書籍版のPV(ナレーション:花江夏樹)を視聴できる。
原作者・月島秀一[編集]
月島秀一は「小説家になろう」出身のライトノベル作家。本作がブレイク作で、その後も「学院出身の実力者」を主人公にした作品を中心に複数のシリーズを並行して展開している。カクヨムのプロフィールで紹介されている主な作品は以下の通り。
- 『極悪貴族、謙虚堅実に無双する~原作知識と固有魔法<虚空>を駆使して、破滅エンドを回避します~』 - 書籍化済みで、2026年9月時点でもカクヨムで更新が続く現在の看板作。
- 『追放されたギルド職員は、世界最強の召喚士~今更戻って来いと言ってももう遅い。旧友とパーティを組んで最強の冒険者を目指します~』 - コミカライズもされた追放もの。
- 『断罪された転生聖女は、悪役令嬢の道を行く!』
- 『魔眼無双の最強賢者~チートな瞳力で世界最速の成り上がり~』
- 『幼なじみの白雪姫は、両片思いに気付かない~天才たちのすれ違いラブコメ~』
X (SNS)のアカウント(@tsukishima_info)では、表示名を「月島秀一@極悪貴族、謙虚堅実に無双するetc」としており、2026年7月にはイラストレーターが描いた『極悪貴族』のキャラクターのファンアートを紹介して、そのキャラクターが本編で今後も活躍する予定だと明かすなど、現在は『極悪貴族』の発信が中心となっている。
余談[編集]
- タイトルに「最強」「無双」が並び、主人公が自分の強さに無自覚という設定は、なろう系の王道中の王道。ただし本作の場合は「十数億年修業した」という理由づけがあまりにも豪快で、強さの根拠がタイトルだけで説明できてしまうのが強み。
- 一億年ボタンの修業描写は、ドラゴンボールの「精神と時の部屋」を極端にしたようなものとして例えられることがある。
- ウェブ版は2024年にカクヨムへの転載が始まり、なろう連載開始から5年以上たってから新しい読者層に届くことになった。
- 同じ月島作品の『追放されたギルド職員は、世界最強の召喚士』も「学院首席級の実力者が周囲に過小評価されている」という構図で、作者の得意パターンがよく分かる。
- 英語版のサブタイトル「The Unbeatable Reject Swordsman」は、日本語版の副題「落第剣士の学院無双」をかなり忠実に訳したものになっている。