概要[編集]

ホストクラブ(ほすとくらぶ)とは、「ホスト」と呼ばれる男性従業員が、主に女性客を相手に酒席での会話や接待を行う飲食店の業態である。キャバクラの男女を反転させたような業態で、日本の法律上は風営法の「接待飲食等営業(1号営業)」に分類される。最大の集積地は東京・新宿の歌舞伎町で、「ホストの街」の代名詞となっている。

詳細[編集]

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老舗ホストクラブ「愛本店」が入居していたビル(出典:ウィキメディア・コモンズ)

キャバクラとの違い[編集]

ホストクラブは客の性別が逆になっただけのキャバクラ……と思われがちだが、仕組みはかなり違う。最大の特徴は「永久指名」と呼ばれる担当制度で、一度指名したホストは原則としてその店では変更できない。キャバクラが比較的ライトに指名を替えられるのに対し、ホストクラブでは客と担当ホストの関係が長期固定になりやすい。

また、ホストの売上ランキング(ナンバー)を巡る競争が店の空気を大きく左右し、客がボトルやシャンパンを入れることで「担当を上位に押し上げる」という、推し活にも通じる応援消費の文化が根付いている。この「応援したい」という心理と高額な飲食代が結びついている点が、業界の魅力であると同時に、後述する社会問題の根っこでもある。

客層[編集]

客はほぼ女性に限られる(男性のみの入店を断る店が多い)。かつては同じ夜の街で働く女性が中心とされ、ホスト業界関係者の証言や書籍では「客の大半が風俗・水商売関係者」と語られてきた。2000年代のホストブーム以降は一般の会社員や学生の来店も増え、2010年代後半からはSNS経由で若い女性客が流入した。

ホストにのめり込む客は俗に「ホス狂(ホスぐる)」と呼ばれ、ライターの佐々木チワワは著書『「ぴえん」という病』で、地雷系ファッションや「ぴえん」文化とホスト消費の結びつきを描いている。

業界用語[編集]

ホストクラブには独特の業界用語が多い。主なものは以下のとおり。

用語 意味
初回 初めて来店した客向けの格安お試し枠。複数のホストが入れ替わりで席につく
送り指名 初回終了時に、店の出口まで見送ってもらうホストを1人選ぶこと
本指名 / 永久指名 正式に担当ホストを決めること。以降は原則として変更不可
場内指名 その日だけ席についてほしいホストを指名すること
ヘルプ 担当ホストが別の卓にいる間、代わりに席につくホスト
エース 担当ホストにとって最も多く使ってくれる客。店全体のトップ客は「店エース」
ナンバー 月間売上による店内ランキング。上位者は「ナンバー入り」
同伴 / アフター 出勤前に客と食事をして一緒に入店すること / 閉店後に店外で過ごすこと
卓被り 同じホストを指名する客が同時間帯に複数来店すること
初回荒らし 初回料金だけで複数店を回る客の俗称
高飛び 売掛が払えなくなった客が連絡を絶つこと

歴史[編集]

黎明期と「愛」の創業[編集]

ホストクラブの源流は、1960年代に東京駅八重洲口近くで営業した「ナイト東京」だとされる。当時は社交ダンスの相手を務める男性従業員がいるダンスホール型の店で、「ホスト」という呼称もこのあたりから定着した。

業界の形を決定づけたのが、「ホストの帝王」と呼ばれた愛田武(1940-2018)である。新潟県出身の愛田は営業マンなどを経て1960年代後半から夜の業界に入り、1971年に新宿二丁目で「クラブ愛」を開業した。愛田はそれまで完全歩合で不安定だったホストの待遇に、最低保証(基本給)の考え方を持ち込んだとされ、人材を集めることに成功。ノンフィクション作家の石井光太は、愛田の登場以前の業界を「無法地帯」に近いものだったと描いている。

店はほどなく歌舞伎町へ移転し、「愛本店」として半世紀近くにわたり営業。昭和の豪華さを残した外装と内装、日本最大級とされた店舗面積で知られ、ドラマのロケ地にもたびたび使われた。歌舞伎町が「ホストの街」になったのは、この愛本店の存在が大きい。

バブル崩壊とホストブーム[編集]

1990年代、バブル崩壊で多くの店が経営難に陥る一方、愛田観光は規模を拡大した。1990年代半ばにはのちの最大手「groupdandy」の源流となる店舗も誕生し、売上に応じた給与体系の見直しなど、業界の近代化が進んだ。

転機は1999年前後。カリスマホストの零士が、業界内で暗黙のタブーとされていたテレビ出演を解禁したことで「ホストブーム」が起こる。城咲仁、手塚マキらが次々とメディアに登場し、ホストは「夜の世界の住人」から「テレビで見る職業」へと変わった。一般女性の来店が急増した反面、トラブルも増えたとされる。

浄化作戦と冬の時代[編集]

2000年代に入ると、東京都知事石原慎太郎のもとで「歌舞伎町浄化作戦」が実施され、客引きや違法営業への取り締まりが強化された。2007年には業界側の自主団体として歌舞伎町のホストクラブ協力会が結成されている。

2008年のリーマン・ショック、2011年の東日本大震災は業界に打撃を与え、閉店する店も相次いだ。2011年には愛田武が病に倒れ、愛本店はのちに大手グループの傘下で再建されることになる。2013年には新宿区の客引き禁止条例により路上でのキャッチが難しくなり、営業の主戦場はTwitterやInstagramなどのSNSへ移っていった。

ネオホストとSNS時代[編集]

2010年代には、スーツに盛り髪という従来のスタイルから、韓流アイドル風のメイクや私服系ファッションを取り入れた「ネオホスト」が台頭。グループ各社がYouTubeチャンネルを開設し、ホストがYouTuberとして発信するのが当たり前になった。2018年に愛田武が死去し、2020年6月末には入居ビルの老朽化を理由に愛本店がいったん閉店。昭和から続いた象徴的な店の閉店は、時代の区切りとして大きく報じられた。

同じ2020年、新型コロナウイルスの流行で歌舞伎町のホストクラブはクラスターの発生源として名指しされ、「夜の街」バッシングの矢面に立った。

年表[編集]

年 出来事
1960年代 東京駅八重洲口近くの「ナイト東京」が業界の発祥とされる
1971年 愛田武が新宿二丁目で「クラブ愛」(のちの愛本店)を開業
1970年代 愛本店が歌舞伎町へ移転
1995年 groupdandyが設立(同社公表)
1999年頃 零士らのメディア露出で「ホストブーム」
2000年代前半 歌舞伎町浄化作戦
2007年 歌舞伎町のホストクラブ協力会が結成
2012年 冬月グループが創立
2013年 新宿区の客引き禁止条例。SNS営業が主流に
2018年 愛田武死去。ROLANDが現役ホストを引退
2020年 コロナ禍でクラスター報道。愛本店が6月末で閉店
2023年 悪質ホスト問題が国会でも取り上げられる。警視庁の一斉立ち入りで多数の違反が判明
2024年4月 歌舞伎町の主要グループが売掛を自主的に廃止
2024年6月 業界団体JHCAが設立
2025年6月28日 改正風営法が施行(色恋営業・威迫による取り立て等を規制)
2025年11月28日 改正風営法の欠格事由拡大部分が施行
2026年2月 色恋営業を理由とした全国初の行政処分

システムと料金[編集]

初回[編集]

ホストクラブの入口となるのが「初回」である。歌舞伎町では1,000円〜5,000円程度で、60〜90分ほど焼酎などの飲み放題がつくのが一般的。この間に複数のホストが数分〜十数分ずつ入れ替わりで席につき、客は最後に「送り指名」で気に入ったホストを1人選ぶ。業界向けメディアが新宿の約225店を調べたところ、初回料金はほとんどの店で税・サービス料込みで表示されていたという。

なお、初回料金で飲めるのはあくまで店が用意したハウスボトル(焼酎+割り物)が基本で、それ以外を頼むと別料金になる。初回の時間を延長したり「飲み直し」をすると通常料金に切り替わる店が多い。

指名と永久指名[編集]

2回目以降は、担当ホストを指名して通常料金で遊ぶことになる。いったん本指名をすると、その店では原則として担当を替えられない「永久指名」が業界の慣行である(担当が退店した場合などは例外)。客側から見ると「店選び=担当選び」になるため、初回で誰を送り指名するかが実質的に大きな分かれ道となる。

シャンパンコールとシャンパンタワー[編集]

ホストクラブの名物といえば「シャンパンコール」。客がシャンパンを注文すると、手の空いているホストが卓に集まり、マイクを使って掛け声とともに場を盛り上げる演出である。店全体が一つの卓のために盛り上がるため、注文した客にとっては分かりやすい「見せ場」になる。groupdandyはコールやタワーの演出を自社グループ発祥と称している。

さらに豪華なのが、グラスをピラミッド状に積み上げて上からシャンパンを注ぐ「シャンパンタワー」。誕生日イベントなどで行われ、使用するボトルによっては数百万円規模になることもある。2023年12月に警視庁が歌舞伎町などのホストクラブ176店に立ち入った際には、132店で法令違反が確認され、シャンパンタワーの料金を表示していないといった料金表示の不備が目立ったと報じられた。

売掛[編集]

「売掛(うりかけ)」とは、その場で払いきれない代金をツケにして後日払う仕組みのこと。歴史的には愛田武の時代から存在したとされ、未回収分は担当ホストが店に対して負担する(給与から差し引かれる)のが通例だった。そのためホスト側には「客に払ってもらわないと自分が借金を背負う」という強いプレッシャーがかかり、強引な取り立ての温床になったと指摘されてきた。1995年には、未回収の売掛を一方的にホストへの貸付金扱いにすることを無効とした東京地裁の判決も出ている。

料金の目安[編集]

料金は店や地域、注文内容によって大きく異なるが、業界向け情報サイト等で示されている一般的な目安は以下のとおり。

項目 目安
初回料金 1,000〜5,000円(60〜90分・飲み放題)
2回目以降の1回あたり 2万〜5万円程度
セット料金・テーブルチャージ 1時間あたり2,000〜5,000円程度
指名料 1回あたり1,000〜3,000円程度
TAX・サービス料 合計額の20〜30%前後(店によってはそれ以上)
延長料金 1時間あたり2,000〜5,000円程度
シャンパン 安いもので数万円台から。高級銘柄は数十万円以上
シャンパンタワー 数十万〜数百万円
クレジットカード手数料 5〜20%を加算する店もある

客を対象としたある調査では、来店1回あたりの支払額は「1〜2万円」が最多で、「5万円以上」は1割程度とされる。毎回シャンパンを開けるような客はむしろ少数派で、焼酎ボトル中心で通う客も多い。

ホストの給与とランキング[編集]

給与体系[編集]

ホストの給与は基本的に歩合制で、担当客の飲食代など自分の売上の4〜6割程度がバックとして支払われるのが一般的とされる。売上が上がるほど還元率が上がる「スライド制」を採る店も多い。新人は指名客がいないため、一定期間は日給保証(5,000〜8,000円程度など)が設けられることがある。

求人サイトの示す月収の目安は、新人で15万〜25万円、ナンバー入りで50万〜100万円、幹部クラスでは100万〜500万円と幅が極めて大きい。一方で、ヘアメイク代や衣装代、遅刻などの罰金、売掛の未回収分などが差し引かれるため、額面と手取りの差が大きいことも業界の特徴である。

役職とナンバー[編集]

店内には、代表・取締役・支配人・主任・幹部補佐などの役職があり、売上や勤続に応じて昇格していく。月間売上による「ナンバー」はホストのステータスそのもので、かつては店の看板やSNSに「No.1」「年間売上○億円」といった文言が大きく掲げられていた。年間売上が1億円を超えるホストは「億プレイヤー」と呼ばれる。

ただし後述のとおり、2025年の法改正とそれに伴う警察庁の解釈基準、業界団体の自主規制によって、こうした売上額や順位を前面に出す広告は大きく制限されている。

主なグループ・有名ホスト[編集]

主要グループ[編集]

現在の歌舞伎町は、複数店舗を展開する大手グループが市場の多くを占める「グループ制」の時代にある。ある業界サイトの2026年の自社調査では、歌舞伎町のホストクラブは約250店で、上位7グループ(groupdandy、L's collection、SINCE YOU...、KG-PRODUCE、AIR GROUP、冬月グループ、ACQUA Group)が店舗数の半分強を占めるとされる。

  • groupdandy(グループダンディ):1995年設立(同社公表)。「歌舞伎町の帝王」とも呼ばれる高見翔が率いる最大手で、全国に直営・FC合わせて59店舗以上、在籍ホスト約1,900人を公称する。ホスト向けの研修機関「ホストの学校」を設けるなど育成に力を入れていることでも知られ、経営難に陥った愛本店を傘下に入れて立て直したことでも話題になった。
  • 冬月グループ:2012年創立。創業者の冬月翔が10代でホストデビューし、20歳で独立して立ち上げたグループが前身とされる。歌舞伎町を中心に北海道や大阪にも展開。宣伝用のアドトラックを業界でいち早く導入したといわれ、YouTubeチャンネル「冬月TV」でも知られる。
  • AIR GROUP:桐嶋直也が率いる大手グループで、役職体系やメディア戦略で知られる。
  • Smappa!Group:元カリスマホストの手塚マキが会長を務めるグループ。ホストによる書店経営や歌集の出版など、文化的な取り組みで異色の存在。
  • KG-PRODUCE:ROLANDがかつて在籍した「PLATINA本店」などを擁するグループ。

ROLAND[編集]

「現代ホスト界の帝王」と呼ばれるROLAND(ローランド)は、1992年生まれ、東京都八王子市出身。18歳でホストデビューし、2013年には移籍金が話題となる形でKG-PRODUCEの「PLATINA本店」に移籍した。2017年に源氏名をROLANDに改め、2018年には誕生日イベントで6,000万円を超える売上を記録したのち現役を引退。

2019年に自身のホストクラブ「THE CLUB」を開業し、コロナ禍で2020年に一度閉店したが、2022年に再開した。「俺か、俺以外か。」に代表される独特の名言でテレビのバラエティ番組に引っ張りだことなり、著書の印税をカンボジアの学校建設に寄付したことでも知られる。YouTubeチャンネル「THE ROLAND SHOW」のほか、脱毛サロンや美容、飲食など実業家としても幅広く活動している。

その他の著名人物[編集]

  • 愛田武:愛本店創業者。「ホストの帝王」と呼ばれた業界の父的存在。
  • 零士:1999年頃にテレビ出演を解禁し、ホストブームの火付け役となったとされる。
  • 城咲仁:カリスマホストからタレントに転身した先駆け。
  • 手塚マキ:元カリスマホストで、Smappa!Group会長。歌舞伎町の街づくりにも関わる。

悪質ホスト問題と法規制[編集]

社会問題化[編集]

2022〜2023年頃から、高額な売掛を抱えた女性客が返済のために性風俗店で働かされたり、路上で客待ちをする「立ちんぼ」をするに至ったりする事例が相次いで報道され、「悪質ホスト問題」として社会問題化した。歌舞伎町に近い大久保公園周辺で売春防止法違反容疑で摘発された女性の中に、ホストクラブへの支払いを動機に挙げる者が一定数いたことも繰り返し報じられた。

問題の構図としてよく指摘されたのが、(1)ホストが客の恋愛感情を利用して高額注文を促す「色恋営業」、(2)支払い能力を超えた売掛を作らせる、(3)返済のために性風俗店勤務などを持ちかける――という流れである。さらに、女性を紹介したスカウトに性風俗店が報酬(スカウトバック)を払う仕組みが、この流れを支える資金源になっていると指摘された。2023年には国会でも取り上げられ、被害者の家族らでつくる団体も声を上げた。

業界の自主規制[編集]

こうした批判を受け、2023年12月、新宿区役所での会合を経て歌舞伎町の主要13グループ(約300店中220店ほど)が自主ルールを申し合わせた。主な内容は、2024年1月から20歳未満の新規客の入店禁止、2024年4月をめどに売掛を廃止、家族など第三者への取り立てをしない、というものだった。

ただし罰則のない自主ルールだったため、「売掛」を「立替」などと名前を変えて事実上のツケ払いを続ける店があると報じられ、実効性には疑問の声も上がった。また関西テレビは、売掛が続けられる大阪・ミナミへ店ごと進出するホストが現れたと報じている。

2024年6月には業界団体「一般社団法人日本ホストクラブ健全化推進協議会(JHCA)」が設立され、全国16グループ・164店舗が加盟。同団体は2025年10月5日から、売上ランキングの公表や売上額をアピールする広告をSNSも含めて全面的に禁止する新たな自主規制を始めた(同年12月には、金額を強調しない形での店舗内ランキング掲載を一部容認)。

2025年の風営法改正[編集]

国は法改正に踏み切り、改正風営法は2025年5月に国会で成立、2025年6月28日に施行された。主なポイントは次のとおり。

項目 内容
色恋営業の禁止 客の恋愛感情につけこみ、関係が壊れることや担当の降格を避けたいという心理を利用して飲食させることを、接待飲食営業者の禁止行為(遵守事項)として明記。違反は行政処分の対象
料金の虚偽説明・無断提供 料金について事実と違う説明をすることや、客が注文していない飲食を提供することを禁止
威迫による取り立て 料金を支払わせる目的で客を威迫して困惑させる行為を禁止。違反は6月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
売春等の要求 料金の支払いのために売春や性風俗店での勤務などを要求する行為を禁止(刑事罰の対象)
スカウトバックの禁止 性風俗店が客を紹介したスカウトなどに報酬を支払うことを禁止(6月以下の拘禁刑または100万円以下の罰金)
無許可営業の厳罰化 2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金から、5年以下の拘禁刑または1,000万円以下の罰金へ。法人は最大3億円
欠格事由の拡大 2025年11月28日施行。許可取消し歴のある事業者やグループ会社による新規許可取得を制限

ポイントは、条文に「売掛」という言葉自体は出てこないこと。売掛(後払い)という支払い方法そのものが全国一律で違法になったわけではなく、禁止されたのは「威迫して払わせる」「売春等を要求する」といった行為である。ただし実際には、業界の自主規制によって歌舞伎町の主要店ではすでに売掛が廃止されていた。

また施行に合わせて警察庁は、「No.1」「億プレイヤー」といった売上・順位を強調する表現や、「神」「レジェンド」など射幸心をあおる肩書きを使った広告を規制対象とする解釈を示した。施行前日の2025年6月27日には、歌舞伎町の看板の「4年連続1位」などの文字が黒く塗りつぶされたりテープで覆われたりする光景が報じられた。

施行後の状況[編集]

2026年2月、東京都公安委員会は、改正法の「色恋営業」規定を適用した全国初の行政処分として、歌舞伎町のホストクラブ2店に指示処分を出した。マッチングアプリで職業を偽って女性に近づき、交際関係を装って来店させていたとされ、関連して逮捕されたホストを巡る被害額は約5,900万円に上ると報じられた。

一方、施行から1年を迎えた2026年6月前後には、毎日新聞などが「手口がより巧妙になっている」との見方を報じた。証拠が残りにくい電話でのやり取りへの移行や、売掛に代わる「前入金」など新たなグレーな手法の存在も指摘されており、規制の実効性を巡る議論は続いている。業界向けメディアのまとめによれば、警察への関連相談は2025年に2,369件で前年より約15%減ったものの、なお1日あたり6件を超えるペースだという。

歌舞伎町の状況[編集]

歌舞伎町はいまも国内最大のホストクラブ街で、店舗数は約250〜300店規模といわれる。全国のホストクラブは1,000店前後と推計されており、その相当部分がこの一角に集中している計算になる。ただし市場規模については公的な統計がなく、業界サイトによる推計も年間300億円〜500億円程度と幅がある。

街の風景を象徴してきたのが、ホストの顔写真を並べた巨大な看板と、繁華街を巡回する宣伝用トラック(アドトラック)である。2025年の法改正と自主規制により、看板から売上額や順位の表示は消えたが、香水瓶のラベルに「No.1」「No.2」と書くなど、表現の「抜け道」を探るような看板も現れたと報じられた。

売掛の自主廃止と法改正の影響で、2024年以降は「1,000万円プレイヤーが激減した」という現役ホストの声も報じられる一方、大手グループは「健全化」を前面に打ち出し、料金説明の書面化やタブレットでの明細提示を進めている。近年は外国人観光客の増加を受け、多言語対応をうたう店も現れている。

なお、大阪のミナミ、名古屋の錦、札幌のすすきの、福岡の中洲なども有力なホスト街で、大手グループの地方進出も進んでいる。

メディア[編集]

ドラマ・漫画[編集]

ホストクラブは漫画やドラマの題材としても定番である。

  • 夜王:原作倉科遼、作画井上紀良。『週刊ヤングジャンプ』で2003年から2010年まで連載された、歌舞伎町を舞台にしたホスト漫画の代表作。2006年にTBS系「金曜ドラマ」枠で松岡昌宏主演によりドラマ化され、平均視聴率15.5%を記録した。
  • ギラギラ:原作滝直毅、作画土田世紀。『ビッグコミックスペリオール』で2002年から2004年に連載。かつて伝説のホストだった男がリストラを機に六本木の夜の世界へ戻る物語で、2008年にテレビ朝日系で佐々木蔵之介主演によりドラマ化された。
  • 桜蘭高校ホスト部:高校の「ホスト部」を舞台にした少女漫画。業態そのものではなく「ホストクラブごっこ」を描いたコメディだが、ホストクラブという言葉を一般に広めた作品の一つといえる。

ノンフィクション[編集]

石井光太『夢幻の街 歌舞伎町ホストクラブの50年』(2020年)は、愛田武の時代からコロナ禍までの業界史を追ったルポルタージュ。佐々木チワワ『「ぴえん」という病』は、SNS世代の若い女性とホスト消費の関係を描き話題になった。

YouTube・SNS[編集]

2010年代後半以降、ホスト業界はYouTubeとの相性の良さで存在感を高めた。ROLANDの「THE ROLAND SHOW」、冬月グループの「冬月TV」をはじめ、各グループが公式チャンネルを持ち、店の裏側やホストの1日、シャンパンコールの様子などを発信している。TikTokやInstagramでの短尺動画も集客手段として欠かせないものになった。

一方で、SNSで売上額や「億」を強調する発信は、2025年以降の自主規制や法改正による広告規制の対象となり、発信のスタイルも変わりつつある。

炎上とバズ[編集]

  • ROLAND名言ブーム:2018〜2019年頃、ROLANDの「俺か、俺以外か。」「世の中には二種類の男しかいない。俺か、俺以外か」などの名言がSNSで大きくバズり、ホストに縁のない層にまで知名度が広がった。
  • コロナ禍の「夜の街」バッシング:2020年、歌舞伎町のホストクラブでクラスターが相次いだことから、「夜の街」という言葉とともに厳しい批判を浴びた。業界側は区と連携してPCR検査を進めるなどの対応を取った。
  • 看板の黒塗り:2025年の改正法施行前日、歌舞伎町の看板の「No.1」「年間○億」といった文字が一斉に塗りつぶされた光景がSNSやニュースで話題になった。

余談[編集]

  • 愛本店は、閉店まで「現存する日本最古のホストクラブ」とされ、その昭和レトロな内装から閉店前には最後のカフェ営業が行われ、多くの人が見納めに訪れたという。
  • ROLANDは自身を「本物の『ラブライブ!』ファン」と語るアニメ好きでもあり、サッカー好きとして「チャンピオンズリーグに出場するクラブのオーナーになる」ことを最終目標に掲げているとされる。
  • groupdandyは、今や業界の定番となったシャンパンコールやタワーの演出を自社が生み出したと称している。
  • 冬月グループは「アドトラックを業界で最初に始めた」とされ、歌舞伎町を走るホストの宣伝トラックの元祖という話がある。
  • 元カリスマホストの手塚マキが率いるSmappa!Groupは歌舞伎町で書店を運営したり、ホストによる短歌集を出版したりと、「ホスト×文化」の取り組みでたびたび話題になっている。

外部リンク[編集]

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