カラー (映像制作会社)



株式会社カラー
khara, Inc.
略称 カラー
国家 日本
種類 株式会社
市場情報 非上場
業種 映像制作
本社所在地 東京都杉並区松庵3丁目35番18号
設立日 2006年5月17日
年齢 20周年
設立者 庵野秀明
代表者 庵野秀明(代表取締役社長)
資本金 1,000万円
上場 非上場
従業員数 26名(2023年時点)
主要部門 映像企画・制作、原作・脚本・デザイン開発、作家育成・マネジメント
主要子会社 株式会社STEVE N' STEVEN、株式会社でほぎゃらりー
関係する人物 庵野秀明、安野モヨコ、鶴巻和哉、川上量生、緒方智幸、轟木一騎、田中美津子、小林浩康、摩砂雪、貞本義行
リンク 公式サイトX(旧Twitter)YouTube
コミュニティ n/アニメ・漫画


概要[編集]

Studio Khara。カラー(カラー)という日本語読みではなく、ギリシャ語で「幸福、喜び」を意味する χαρά(カラ)に由来する。設立年ではスタジオ・カラよりも1年先行する。命名者およびロゴデザイナーは庵野百子(アンノ・モヨコ)。スタジオの人々が楽しく幸福に働けるように、という思いを込めて名付けられたという。

庵野秀明(アンノ・ヒデアキ)が『Qティハニー』(実写版)制作後にガイナックスを離れ、設立した映画製作会社。2006年5月設立。主な業務は『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズの制作、エヴァ関連商品の版権管理、企画などである。※ 特に2010年代末から顕著になった庵野とガイナックスの対立、ガイナックス内部抗争により、エヴァの実質的な中核権利はこちらに移ったと見なすのが適当である。その証拠として、『新・エヴァンゲリオン劇場版𝄇』公開直前に日本国内で再放送された旧TV版の制作スタッフクレジットからは、ガイナックスに関する表記が全て消去またはぼかし処理された。例えばオープニングで原作者として庵野秀明の名前のみが表示されたり、エンディングでGAINAX SHOPの表記がぼかし処理されたりした。しかし、なぜかエンディングスタッフロールには山賀の名前がそのまま残っている。庵野の暴露によれば2014年から本格的にガイナックスとの対立が激化したとのことで、このあたりでカラ側または製作委員会側が何らかの措置を取ったと見られる。会社設立以降、TV版および旧劇場版を除く新劇場版、コミックス、小説などの著作権表示にはカラが表記される。当初は版権管理のみを目的に設立されたが、庵野が新劇場版を制作する意向を固めたため、アニメーターを採用しアニメーション制作会社となった。

そのため「エヴァンゲリオン専門会社」と見なされがちだが、実際には上記業務に加えて一般的な作画アニメーター・スタジオとして、所属アニメーターが他社作品の下請けを受けて働くことで収益を上げている。ジブリもスタジオ縮小前は外注作業を継続していた。スタジオジブリトリガーA-1 PicturesProduction I.Gなど多くの会社作品に下請けとして参加している。アニメーター個人が派遣要請を受けると、派遣対応も行う。

「アニメを作る者は『伝説巨神イデオン』を必ず観るべきだ」という庵野秀明の持論に従い、社員はイデオンを必ず視聴しなければならない。

運営[編集]

ガイナックス時代と異なり、庵野の個人制作所のような、いわばインディ映画会社に近い形態をとる。TV版が制作委員会方式で多くの干渉やスケジュール圧力を受け作品が歪んだ反省から、この形を採ったとされる。この独立により、庵野および各制作スタッフの意見が優先的に反映されるようになったという。また、制作委員会システムよりも自主制作方式の方が、作品を直接制作し協力したスタジオメンバーに利益(収益)を多く分配できる点もあった。[1]

庵野以外にも、『新世紀エヴァンゲリオン』で共に働いた貞本義行、鶴巻和哉、増谷光彦、松原秀典、樋口真嗣、本多武などのスタッフが再結集した。ただし会社規模上、ほとんどのメンバーは常勤雇用ではなく、必要に応じてスケジュールに合わせて呼び寄せる形をとっている。新作エヴァ公開ごとに募集をかけるが、集まるのは非正規雇用のみである。これは他のアニメ制作会社も同様で、特に異例ではない。

当初は配給先が見つからず、配給のために奔走するなど苦労が多かった。しかし『ヱヴァンゲリヲン:序』が11億円、『:破』が40億円の興行収入を記録し、インディ制作会社としては驚異的な成功を収めている。

庵野が私財を投じて立ち上げた一種の企画会社のため、興行に失敗すれば庵野自身が破産すると言われる。制作スタッフのインタビューでは、庵野が「たくさん売れるように描け。そうしないと俺はホームレスになるぞ!!」と常に叫んでいるという。真理イラストにバストモーフを入れる際にはコンテに「エロく。フィギュアが売れるように」と書き込んだという逸話もある。代わりに未払いがなく、収益は大きくリターンし、従業員に分配されて皆で裕福になった。

日本の映画収益分配方式では、劇場に配給手数料として50%を支払い、残りの50%を製作委員会が40%、実制作会社が10%を受け取る。不公平なシステムと言われるが、失敗した場合は制作側がほとんどリスクを負わないローリスク・ローリターンの制作委員会方式を拒否した独立映画作家・庵野の賭けは大成功を収めた。

インディ制作会社にしては制作費を多く投じられたが、これは庵野が冒険的に巨額を投入したためである。また、『序』前後にはエヴァパチンコが歴代級ヒットを記録し、多額の収入を得たことも大きい。

2006年5月の設立以来、自社の情報は一切公表せず秘密裏に活動してきたが、2011年3月からTwitterに公式アカウントを開設し、参加作品の公開情報や『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』関連商品の発売情報などをファンに直接伝えている。2011年4月7日には『ニュ―タイプ』2011年6月号で創社以来初のスタジオ公開大特集記事が掲載されることを告知し、大きな期待を集めた。硬口蓋で知られる監督・庵野秀明をはじめ、新劇場版の主要スタッフインタビューが丸ごと掲載され、期待に応えた。

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』以外にも、2008年にはスタジオジブリの『崖の上のポニョ』製作協力を皮切りに、『機動戦士ガンダムUC』や『攻殻機動隊 SSS 3D』のデジタル部門として他社作品の外注制作に参加している。

2016年に創業10周年を迎え、アンノ・モヨコがこれまでのスタジオ・カラの歴史を描いた漫画を制作し、アニメ化も行った。監督・庵野秀明のうつ病再発による退社事件などが比較的淡々と描かれている。[2]

2018年1月の新作『ダーリン・イン・ザ・フランキス』でも3D CG部門として参加し、ルーツを同じくするスタジオトリガーと協力中。

2019年年末、代表取締役社長の庵野秀明がガイナックス、特に山賀博之に関して暴露を行った。その内容は第三者が見ても悲惨なレベルで、要約すると山賀博之とガイナックスの数々の横暴により、スタジオ・カラ、特に庵野秀明はさんざん苦しめられたため、現在では事実上ガイナックスと敵対関係にある。庵野自身はもはやガイナックスに未練はないようだ。

2020年に「二次創作ガイドライン」を公開。事実上エヴァンゲリオンの二次創作におけるエロ同人誌を禁止し、キャラクター崩壊を看過しないと発表し、ファンの間で大きな話題となった。※ ファンが推測する理由としては、庵野がエヴァ作品自体に結論をつけるため、あるいは貞本義行らが以前に経営派閥争いを起こした人脈がエヴァコンテンツを私物化するのを防ぐためとされる。ただしその後も世界中で無数のエヴァンゲリオン二次創作が制作されている。

2021年、スタジオ・カラ設立15周年を迎えた。公式サイトおよび掲示板で告知。 2021年5月10日、副監督の矢田部徳子がニュ―タイプのインタビューで「ケンスケとアスカは長年連れ添った老夫婦のような関係」と発言したところ、海外のアスカファンが矢田部のTwitterに殺害予告を含む抗議を送ったため、スタジオ・カラは新劇場版製作スタッフに対する批判、脅迫、殺害予告には法的措置を取ると国際捜査協力を宣言した。

2021年6月1日、同社のTwitter第2アカウントを通じて岡田利緒(オカダ・トシオ)を批判した。具体的には、スタッフが「岡田はよく知らないのに知ったかぶりしている」と批判し、その内容をリツイートした。

2022年5月23日公開の歌い手Eveの「暴徒」MVアニメーション制作に参加。Eveの映像クオリティは高く評価されているが、今回の映像は特に圧巻で、コメント欄を見ると曲以上に映像、そして制作したスタジオ・カラに注目が集まっている。

2024年の新作『怪獣8号』アニメ1期では怪獣デザイン&ワークスとして参加し、ルーツを同じくするProduction I.Gと協力中。

2024年、ガイナックス破産後は「ガイナックス」の名称およびブランドを完全に継承した。これによりトリガーが引き継いだ『天元突破グレンラガン』を除き、ガイナックスのIPはカラが所有することになった。

2025年にはガンダムシリーズの新作『機動戦士ガンダム チクアクス』の制作をサンライズ(ブランド)とともに担当した。

作品[編集]

テレビアニメ[編集]

開始年 放送期間 タイトル 監督 アニメーション
プロデューサー
備考
2017年 2月 龍の歯医者 鶴巻和哉 岡島隆敏 共同制作:ドワンゴNHKNHKエンタープライズ
2023年 10月 - 2024年3月 オチビサン 鬼塚大輔
釣井省吾
桑原誠 共同制作:NHK、豆粒町内会
シリーズ構成・脚本も担当
2025年 4月 - 機動戦士Gundam GQuuuuuuX 鶴巻和哉 杉谷勇樹 共同制作:サンライズ

劇場アニメ[編集]

公開年 公開日 タイトル 監督 アニメーション
プロデューサー
備考
2007年 9月1日 ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序 庵野秀明(総)
摩砂雪
鶴巻和哉
小笠原宗紀
石川学
アニメーション制作・共同配給・製作
2009年 6月27日 ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 石川学
緒方智幸
アニメーション制作・共同配給・宣伝・製作
2012年 11月17日 ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q 庵野秀明(総)
磨砂雪
鶴巻和哉
前田真宏
緒方啓幸
2021年 1月17日 シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇 庵野秀明(総)
鶴巻和哉
中山勝一
前田真宏
杉谷勇樹
2025年 1月17日 機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning- 鶴巻和哉 劇場先行版、共同制作:サンライズ

Webアニメ[編集]

配信年 タイトル 監督 備考
2013年 テンプレート:YouTube 鬼塚大輔 アニメーション制作
2014年 テンプレート:YouTube 岩里昌則
日本アニメ(ーター)見本市 第01話 『龍の歯医者』 舞城王太郎 アニメーション監督:鶴巻和哉
日本アニメ(ーター)見本市 第02話 『HILL CLIMB GIRL』 谷東
日本アニメ(ーター)見本市 第03話 『ME!ME!ME!』 吉崎響 原案:吉崎響
日本アニメ(ーター)見本市 第04話 『Carnage』 本間晃 原案:本間晃
日本アニメ(ーター)見本市 第05話 『安彦良和・板野一郎原撮集』 N/A 構成・編集:庵野秀明
日本アニメ(ーター)見本市 第06話 『西荻窪徒歩20分2LDK敷礼2ヶ月ペット不可』 前田真宏
本田雄
原案:本田雄
日本アニメ(ーター)見本市 第07話 『until You come to me.』 平松禎史 原作:庵野秀明
2015年 日本アニメ(ーター)見本市 第08話 『そこからの明日。』 林明美 原案:林明美
日本アニメ(ーター)見本市 第09話 『電光超人グリッドマン boys invent great hero 雨宮哲 アニメーション制作:トリガー
日本アニメ(ーター)見本市 第10話 『ヤマデロイド』 堀内隆
江本正弘
原案:堀内隆、アニメーション制作:グラフィニカ
日本アニメ(ーター)見本市 第11話 『POWER PLANT No.33』 吉浦康裕 原案:吉浦康裕、アニメーション制作:スタジオ六花×トリガー
日本アニメ(ーター)見本市 第12話 『evangelion:Another Impact(Confidential)』 荒牧伸志 原作:庵野秀明、アニメーション制作:SOLA DIGITAL ARTS×スティーブンスティーブン
日本アニメ(ーター)見本市 第13話 『Kanón』 前田真宏
日本アニメ(ーター)見本市 第14話 『Sex&VIOLENCE with MACHSPEED』 今石洋之 原案:今石洋之、アニメーション制作:トリガー
日本アニメ(ーター)見本市 第15話 『おばけちゃん』 コヤマシゲト 原作:コヤマシゲト
日本アニメ(ーター)見本市 第16話 『月影のトキオ』 水野貴信 アニメーション制作:神風動画
日本アニメ(ーター)見本市 第17話 『三本の証言者』 うつのみや理 原案:うつのみや理
日本アニメ(ーター)見本市 第18話 『オチビサン 川村真司 制作:太陽企画
日本アニメ(ーター)見本市 第19話 『I can Friday by day!』 鶴巻和哉
日本アニメ(ーター)見本市 第20A話 『ME!ME!ME! CHRONIC feat.daoko / TeddyLoid』 吉崎響 編集:吉崎響
日本アニメ(ーター)見本市 第20B話 『(Making of )evangel ion:Another Impact』 松本勝 編集:松本勝
日本アニメ(ーター)見本市 第21話 『偶像戦域』 山下いくと 原案:山下いくと、アニメーション監督:古橋一浩
日本アニメ(ーター)見本市 第22話 『イブセキ ヨルニ』 平松禎史
日本アニメ(ーター)見本市 第23話 『鼻下長紳士回顧録 N/A 制作:コルク
日本アニメ(ーター)見本市 第24話 『神速のRouge』 鬼塚大輔 原案:鬼塚大輔
日本アニメ(ーター)見本市 第25話 『HAMMERHEAD』 舞城王太郎 原案:舞城王太郎、アニメーション監督:前田真宏
日本アニメ(ーター)見本市 第26話 『コント(ころしや)1989』 中澤一登
日本アニメ(ーター)見本市 第27話 『ブブとブブリーナ』 なかむらたかし 原案:なかむらたかし、アニメーション制作:スタジオコロリド
日本アニメ(ーター)見本市 第28話 『ENDLESS NIGHT』 山本沙代
日本アニメ(ーター)見本市 第29話 『ヒストリー機関』 吉浦康裕 原案:吉浦康裕、アニメーション制作:スタジオ六花×トリガー
日本アニメ(ーター)見本市 第30話 『ザ・ウルトラマン 横山彰利
日本アニメ(ーター)見本市 第31話 『GIRL』 吉崎響 原案:吉崎響
日本アニメ(ーター)見本市 第32話 『新世紀いんぱくつ。』 櫻木優平
日本アニメ(ーター)見本市 第33話 『世界の国からこんにちは』 片山一良 アニメーション制作:ブリッジ
日本アニメ(ーター)見本市 第34話 『旅のロボから』 沖浦啓之 原案:沖浦啓之
日本アニメ(ーター)見本市 第35話 『カセットガール』 小林浩康 原案:小林浩康
2016年 日本アニメ(ーター)見本市 EXTRA 『機動警察パトレイバーREBOOT 吉浦康裕

特撮・映画[編集]

公開年 公開日 タイトル 監督 備考
2011年 9月3日 監督失格 平野勝之 共同製作
2012年 7月10日 巨神兵東京に現わる 樋口真嗣 共同制作
2022年 5月13日 シン・ウルトラマン 共同製作
2023年 3月18日 シン・仮面ライダー 庵野秀明 共同製作

アニメミュージックビデオ[編集]

アーティスト タイトル 備考
2011年 メーウ pair* アニメーション制作
2014年 宇多田ヒカル Beautiful World
2015年 DAOKO さみしいかみさま
2016年 宇多田ヒカル 桜流し ヱヴァQバージョン、アニメーション制作
2022年 Eve 暴徒 アニメーション制作

ゲーム[編集]

タイトル 監督 備考
2013年 魔神STATION テンプレート:N/a プロモーションアニメーション制作
2017年 GRAVITY DAZE 2 岩里昌則 劇中アニメーション制作
ファイアーエムブレム Echoes もうひとりの英雄王 池田由美
2019年 Ace Combat 7: Skies Unknown 吉崎響 劇中シネマティクス制作

その他[編集]

タイトル 備考
2012年 コンテンツビジネス最前線 ジャパコンTV 新オープニングアニメーション制作
2013年 Peaceful Times(F02)petit film アニメーション制作
2016年 よいこのれきしアニメ おおきなカブ(株)
2017年 GRAVITY DAZE The Animation 〜Overture〜
2019年 エヴァンゲリオン 使徒、博多襲来 3Dプロジェクションマッピングアニメ、共同制作:プロジェクトスタジオQ
2021年 アイドルマスターシリーズ コンセプトムービー2021『VOY@GER アニメーション制作、共同制作:CloverWorks
2022年 Adam by Eve: A Live in Animation アニメーション制作
  1. カラが利益と福利厚生に注力する理由は、庵野がガイナックス時代に悲惨な扱いを経験したためである。
  2. キャラクターなどは『監督不適格』のアンノ・モヨコの結婚生活を題材とした部分から取られている。