概要[編集]
公立大学(こうりつだいがく)とは、都道府県や市などの地方公共団体、またはそれらが設立した公立大学法人が設置・運営する日本の大学のことである。大阪公立大学・東京都立大学・横浜市立大学など全国に100校余りあり、学費が国立大学並みに低く、地元出身者は入学金がさらに安くなる場合が多いのが特徴である。
詳細[編集]
日本の大学は設置者によって国立・公立・私立に分かれ、公立大学はこのうち地方公共団体が設置するものを指す。戦後の1949年に新制大学が発足した当初は、旧制の医学専門学校や女子専門学校を母体とする公立大学が中心で、地域の医師や教員を養成する小規模な大学が多かった。その後、1990年代以降に「地方の若者の進学先を県内に確保する」「地域の産業や看護・福祉の人材を育てる」といった目的で都道府県や市が新設を進め、校数は1990年の39校から2020年代には100校余りまで増えた。
2004年には地方独立行政法人法にもとづく「公立大学法人」制度が始まり、多くの公立大学が自治体の直営から法人運営へ移行した。国立大学の法人化と同じ年で、大学ごとの裁量が広がる一方、設置自治体からの運営費交付金に財政を依存する構造は変わっていない。学費は国立大学の標準額(年間授業料53万5,800円)に準じる大学が多く、入学金は設置自治体の住民(県内者・市内者)とそれ以外で差を付けるのが一般的で、県外出身者は40万円前後になることもある。
入試は国立大学と同じく大学入学共通テストと個別試験を組み合わせる方式が基本で、中期日程を設ける大学があるのも公立大学の特徴である。受験生の間では「国公立」とひとまとめにされがちだが、地元志向の学生にとっては「家から通える国公立」として重要な選択肢になっている。
近年の動向[編集]
私立大学の公立化[編集]
2009年に高知工科大学が私立から公立大学法人へ移行したのを皮切りに、定員割れに悩む地方の私立大学を自治体が引き受けて公立化する動きが広がった。名桜大学(沖縄)、静岡文化芸術大学、鳥取環境大学(現・公立鳥取環境大学)、長岡造形大学、福知山公立大学、山口東京理科大学、長野大学、公立諏訪東京理科大学、公立千歳科学技術大学、周南公立大学、旭川市立大学など、2020年代までに10校以上が公立化している。公立化すると学費が下がって志願者が急増する例が多い一方、自治体の財政負担や「地元の私立大学を税金で救済するのか」という議論も起きている。
統合と改称[編集]
2022年には大阪府立大学と大阪市立大学が統合して大阪公立大学が発足し、学生数約1万6,000人と公立大学で最大規模となった。東京都では2020年に首都大学東京が東京都立大学の名称に戻り、2005年以前の校名が復活している。秋田県の国際教養大学(2004年開学)は全授業を英語で行う公立大学として全国から学生を集め、公立大学のブランド化の成功例とされる。
国立・私立との違い[編集]
- 設置者:公立は地方公共団体・公立大学法人、国立は国立大学法人、私立は学校法人。
- 学費:公立は国立並み。入学金は地元住民が安く設定されることが多い。
- 規模:看護・福祉・芸術などの単科大学が多く、総合大学は大阪公立大学・東京都立大学・横浜市立大学など少数。
- 配置:地元の人材育成が目的のため、兵庫県立大学や静岡県立大学のように県名を冠する大学が多い。