概要
私立大学(しりつだいがく)とは、国や地方公共団体ではなく、学校法人が設置・運営する大学のことである。日本の大学の約4分の3を占め、早稲田大学・慶應義塾大学・明治大学・日本大学・近畿大学など、学生数の多い大学の大半が私立大学にあたる。
詳細
日本の大学は設置者によって「国立大学」(国立大学法人が設置)、「公立大学」(地方公共団体や公立大学法人が設置)、「私立大学」(学校法人が設置)の3種類に分けられる。文部科学省の学校基本調査によれば、2020年代の日本には800校を超える大学があり、そのうち約620校が私立大学で、国立が85校、公立が約100校である。学生数で見ると全大学生の8割近くが私立大学に在籍しており、日本の高等教育は実質的に私立大学が支えているといえる。
私立大学は学校法人が設置するため、建学の精神や宗教的背景(キリスト教系・仏教系など)、創立者の教育理念が大学の個性として色濃く残る。学費は国立大学より高く、文系で年間100万円前後、理系・医歯系ではそれ以上が一般的だが、国からは私立学校振興助成法(1975年)にもとづく私学助成(経常費補助)が交付されている。入試は大学ごとの独自試験に加え、大学入学共通テストを利用する方式や、総合型選抜・学校推薦型選抜など多様で、近年は入学者の半数以上が推薦・総合型で入学する大学も珍しくない。
一方で、18歳人口の減少により、地方や小規模の私立大学を中心に定員割れが深刻化している。日本私立学校振興・共済事業団の調査では、2020年代半ばには私立大学の約6割が入学定員を満たしていないと報告されており、学部の再編や募集停止、他法人との統合が相次いでいる。都市部の大規模大学に志願者が集中する「二極化」が、現在の私立大学をめぐる最大のテーマである。
歴史
日本の私立高等教育の起源は幕末から明治期の私塾にさかのぼる。1858年に福澤諭吉が開いた蘭学塾を起源とする慶應義塾、1882年に大隈重信が創設した東京専門学校(現・早稲田大学)などがその代表で、明治期には法律学校として明治法律学校(明治大学)、英吉利法律学校(中央大学)、東京法学社(法政大学)、日本法律学校(日本大学)などが次々に生まれた。
ただし、これらが法的に「大学」と認められたのは1918年の大学令以降である。1920年、慶應義塾大学・早稲田大学・明治大学・法政大学・中央大学・日本大学・國學院大學・同志社大学の8校が最初の私立大学として認可された。戦後の1947年に学校教育法が制定されると、旧制の専門学校や高等学校が新制大学へ移行し、私立大学の数は一気に増加した。高度経済成長期と第2次ベビーブーム世代の進学期には新設ラッシュが起き、1990年代以降も設置基準の緩和で大学数は増え続けたが、2010年代後半から少子化の影響が本格化している。
国立・公立との違い
- 設置者:私立は学校法人、国立は国立大学法人、公立は地方公共団体または公立大学法人。
- 学費:私立は国立の1.5〜2倍以上が一般的。ただし私立にも給付型奨学金や学費減免制度がある。
- 規模:私立には学生数3万人を超えるマンモス大学から、1学部・数百人の小規模大学まで幅がある。
- 入試:私立は独自入試と共通テスト利用など複数方式を併用し、受験日程も多様。
- 運営:私立は理事会を中心とする学校法人が運営し、建学の精神や創立者の理念が教育に反映されやすい。
よくある質問
- 日本に私立大学はいくつある?
- 2020年代の学校基本調査では約620校で、日本の大学全体の4分の3以上を占める。
- 私立大学の学費はいくら?
- 文系で年間100万円前後、理系で150万円前後、医学部では年間数百万円が目安。大学・学部によって大きく異なる。
- 私立大学にも国の補助はある?
- ある。私立学校振興助成法にもとづき、経常費の一部が私学助成として交付されている。
- 「早慶」「MARCH」「関関同立」とは?
- いずれも私立大学のグループ呼称で、早慶は早稲田・慶應、MARCHは明治・青山学院・立教・中央・法政、関関同立は関西・関西学院・同志社・立命館を指す受験用語。