概要
高卒、無職、ボッチの俺が、現代ダンジョンで億を稼げたワケ(こうそつ、むしょく、ボッチのおれが、げんだいダンジョンでおくをかせげたワケ)とは、砂糖多労による日本のライトノベル、およびそれを原作とするコミカライズ作品である。正式なサブタイトルは「〜会社が倒産して無職になったので、今日から秘密のダンジョンに潜って稼いでいこうと思います〜」で、現代ダンジョンものの王道である「冴えない主人公がダンジョン探索で成り上がる」筋書きを、スマホアプリ発の探索という現代的なガジェットで描いた作品である。
詳細
原作は砂糖多労が小説投稿サイト「カクヨム」で連載した作品で、TOブックスの新文芸レーベル「TOブックスノベル」から書籍化された。キャラクター原案はキッカイキが担当している。コミカライズは則本シゲの作画により、マンガサイト「ニコニコ漫画」および「コロナEX」で連載され、単話版・単行本版が電子書籍ストアで配信されている。コミカライズは順調に話数を重ねており、単行本も刊行されている。
タイトルの「高卒、無職、ボッチ」という、主人公のスペックの低さを自虐的に並べ立てる長文タイトルは、web小説特有の「あらすじがそのままタイトルになる」流行を象徴するものであり、読者が検索時に作品を特定しやすいという実利的な機能も果たしている。
あらすじ
主人公・大穴探(おおあな さぐる)は、大学受験に失敗し、就職した会社も倒産して無職となり、強面の風貌のせいで友人もいないという、金なし・職なし・彼女なしの三重苦を抱えた冴えない青年だった。そんな彼は、ある日「100万円の懸賞」という宣伝文句に惹かれて、怪しいスマホアプリ「ダンジョンGo!」をダウンロードしてしまう。
しかしそのアプリは、ダウンロードした者をダンジョン探索者として登録し、実際のダンジョンへと送り込む危険な代物だった。ダンジョンを探索して報酬を得るその仕組みの中で、探は運悪く(あるいは運良く)最低ランクのダンジョンに落とされる。ところがそこで、彼は複数の「称号」を獲得し、序盤から大きなアドバンテージを手にすることになる。やがてモンスターに襲われていた少女・京子を救出し、彼女とパーティを組むと、二人のスキルの相性が抜群であることが判明。こうして探は、秘密のダンジョン探索で着実に「億」を稼いでいくことになる。
主な登場人物
大穴探(おおあな さぐる) 本作の主人公。受験失敗・会社倒産・強面ゆえのぼっちという三重苦を背負った青年。受け身な性格だが、「ダンジョンGo!」を機に探索者としての才能を開花させ、低ランクダンジョンで得た複数の称号を足がかりに成り上がっていく。
京子(きょうこ) 探がダンジョン内でモンスターから救出した少女。探とパーティを組み、二人のスキルの相性は抜群で、探索と稼ぎを支える相棒的存在となる。
現代ダンジョンものとしての特徴
本作が属する「現代ダンジョン」ジャンルは、現代の日本や地球に突如ダンジョンが出現し、一般人が探索者としてモンスターと戦い、資源や報酬を得る設定を共有する作品群を指す。宇宙wikiにも冒険家になろう!〜スキルボードでダンジョン攻略〜、ダンジョン・バスターズ ~中年男ですが庭にダンジョンが出現したので世界を救います~、ダンジョンのお掃除屋さん、俺だけレベルMAXなビギナー、壊れスキルで始める現代ダンジョン攻略、ダンジョンリセット、最強アーティファクトでダンジョン無双!、地上100階~脱出確率0.0001%~など、多くの現代ダンジョン作品の記事が存在する。ジャンル全体の潮流は、韓国発の俺だけレベルアップな件が世界的ヒットを飛ばして以降、爆発的に拡大した。
本作の特徴は、「スマホアプリの起動をトリガーにダンジョンへ送り込まれる」というゲーム的な導入にある。実在の位置情報ゲームを思わせる「ダンジョンGo!」というネーミングからは、身近なアプリ体験を冒険へと接続する現代的な発想が読み取れる。「無職・低スペックの主人公が思わぬ幸運で称号を得て成り上がる」という構図は、レア度★1の英雄として生き残る方法や異世界帰りの勇者は、ダンジョンが出現した現実世界で、インフルエンサーになって金を稼ぎます!といった作品にも共通する、読者に爽快感を与える王道の型である。同じく「会社を辞めてダンジョンに関わる」導入を持つ汝、現代ダンジョンに希望を持つべからずとは、社畜脱出という出発点を共有しつつ、片や苦難の管理業務、片や痛快な成り上がりと対照的な方向へ展開する点が興味深い。
ヒットの背景
「弱者だった主人公がひそかに大金を稼ぐ」というモチーフは、web小説の読者が求める代理満足の典型であり、本作の「億を稼げたワケ」という結論先出しのタイトルは、その満足感を冒頭から約束する仕掛けになっている。カクヨム発の作品が書籍化・コミカライズへと展開する流れは、辺境の魔法薬師 ~自由気ままな異世界ものづくり日記~や異世界メイドの三ツ星グルメなどと同様、近年のなろう系・カクヨム系メディアミックスの王道ルートを踏襲している。強面ゆえに損をしてきた主人公が、ダンジョンという非日常の場で正当に評価され報われていく展開は、現実の閉塞感を抱えた読者からの共感を集めている。
余談
- タイトルの「ボッチ」は「ひとりぼっち」を略した俗語で、web小説では主人公の孤独や不器用さを親しみやすく示す常套句として頻繁に用いられる。
- 主人公・大穴探の名前「大穴(おおあな)」は競馬などで「大穴を当てる」の意にも通じ、低スペックからの一発逆転という物語のテーマを暗示しているとも読める。
- 「アプリを起動したら実際のダンジョンに送り込まれる」という導入は、位置情報ゲームブームを経た2010年代後半以降の現代ダンジョンものに時折見られるモチーフである。