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2026年9月23日 (水) 17:30時点における最新版
概要[編集]
吉本印天然素材(よしもとじるしてんねんそざい)とは、1991年9月に吉本興業所属の若手芸人で結成され、ダンスとお笑いを組み合わせて活動したユニットである。略称は「天然素材」「天素」で、1999年に解散した。同名のバラエティ番組も日本テレビ系で放送された。
詳細[編集]
前身は、心斎橋筋2丁目劇場を拠点にしていた若手が結成した「しねしね団」である。何をやっても客が笑わない状況に楽屋で毒づいたことが名称の由来とされ、『怒涛のくるくるシアター』で集団コントを披露してテレビに出た。ところが、おもしろさの追求を優先したいメンバーと、ダンスもできるアイドル芸人として売り出したい吉本興業の方針には隔たりがあり、命名者のぜんじろうが離脱。改称して「吉本印天然素材」として本格的に売り出されることになった。
初期にTEAM-0(山崎邦正・軌保博光)と石野桜子が離れ、以後は6組12人の編成に落ち着いた。メンバーは雨上がり決死隊(宮迫博之・蛍原徹)、バッファロー吾郎(木村明浩・竹若元博)、FUJIWARA(藤本敏史・原西孝幸)、ナインティナイン(岡村隆史・矢部浩之)、チュパチャップス(星田英利・宮川大輔)、へびいちご(島川学・高橋智)で、現在「元天然素材」として語られるのはこの12人である。1992年に再開場した うめだ花月 を拠点とし、当時心斎橋筋2丁目劇場にいたベイブルースや千原兄弟と同じ時期に活動していた。
アイドル芸人という売り方の狙い[編集]
漫才やコントは劇場での上演を前提にした形式で、テレビ番組に乗せるとネタ単位で消費される。今週のネタが受けたかどうかで評価が上下し、名前が覚えられる前に次の出番が来てしまう。ダンスユニットという形式が選ばれたのは、この評価の単位を「ネタ」から「グループ」へずらす手段だったと読める。
歌って踊る集団であれば、客はネタの出来を採点する前にメンバーの顔と名前を覚える。若手が劇場の外にいる視聴者に認知される順番が、「面白いと思われる」から「知られている」に入れ替わる。結果として、ユニットが解散したあとに個々のコンビが全国区で仕事を得る際の下地が先にできていた。お笑いの技術を高める場としては遠回りに見えるが、知名度の確保という点では合理的な設計である。一方で、ネタの評価と結びつかない売り出し方は当事者の納得を得にくく、初期の脱退が続いた背景にもなっている。
冠番組と後継番組[編集]
グループの東京進出後、日本テレビと中京テレビで火曜深夜に同名の冠番組『吉本印天然素材』が放送された。これは1993年3月に一度終了し、半年後に日曜夕方枠で復活したのち、ナインティナインの冠番組『ぐるぐるナインティナイン』の前身となっている。
ここに見えるのは、テレビ番組の枠は出演者に付いているのではなく時間帯に付いているという性質である。放送枠は編成上の資産なので、出演者の組み合わせが変わっても枠そのものは残せる。ユニットが解体しても番組が続き、しかも後継番組が20年以上続く長寿番組になったのは、枠を残したまま中身を入れ替えるという扱いができたからで、明石家さんまの番組のように「人に枠が付く」構造とは逆方向の継続である。
解散後[編集]
1999年に解散したのち、メンバーは各コンビ単位での活動に戻った。ナインティナインは在京キー局で複数の冠番組を持ち、FUJIWARAや雨上がり決死隊も全国区の番組に定着した。同時期に吉本興業から出た演者が漫才の賞レースで評価を積み上げたのに対し、天然素材の出身者は番組出演を通じて認知を広げた比重が大きい。M-1グランプリの開始は解散から2年後の2001年で、賞レースが整備される前の世代にあたる。
2006年と2015年には、テレビ番組の企画として一時的に集まる形での再結成的な活動も行われている。
余談[編集]
振付やプロデュースには、後にアイドルグループの振付で知られる夏まゆみやつんく♂らが関わっている。アイドルの制作体制がそのまま芸人ユニットに持ち込まれていたことの表れで、「芸人をアイドルとして売る」という言い方が比喩ではなかったことが分かる。
「しねしね団」から「吉本印天然素材」への改称は、売り方が変わると名前も編成も変わるという単純な事実を示している。演者側が付けた名前は劇場の内側でしか通用せず、全国に向けて売り出す段階では別の名前が必要になった。同じユニットの前身と後身で名称の印象がここまで離れている例は多くない。