麒麟
コンビ名 麒麟(きりん)
メンバー 川島明(ツッコミ)
田村裕(ボケ)
結成 1999年
事務所 吉本興業
出身 京都府大阪府
ネタ しゃべくり漫才
代表作 M-1グランプリ2001ファイナリスト
『ホームレス中学生』
活動 ラヴィット!MC(川島)

概要[編集]

麒麟(きりん)は、川島明田村裕からなる日本のお笑いコンビ。吉本興業所属。1999年に結成され、記念すべき第1回『M-1グランプリ』(2001年)でいきなり決勝に進出し、その後も決勝の常連として2000年代の漫才ブームを牽引した実力派である。川島の野太い低音ボイスによる「麒麟です」の名乗りは、当時の漫才ファンに強烈な印象を残した名物イントロとして語り草になっている。

ツッコミ・ネタ作り担当の川島と、ボケ担当の田村。二人は対照的なキャリアを歩んできた。川島は近年、朝の情報番組『ラヴィット!』のMCとして令和に再ブレイクを果たし、「お笑い界屈指の名MC」と称される存在に。一方の田村は、自身の極貧体験を綴った自伝『ホームレス中学生』が社会現象級の大ベストセラーとなり、芸人とは別の文脈でも広く知られるようになった。一組のコンビから、まったく異なる二つの大きな物語が生まれたという点で、麒麟は非常に稀有なコンビと言える。

メンバー[編集]

川島明[編集]

ツッコミ・ネタ作り担当。1979年2月3日生まれ、京都府福知山市の出身。深みのある低音ボイスと、知的で柔らかい語り口が持ち味。読書家としても知られ、語彙力と教養に裏打ちされた的確なツッコミ・進行は業界随一と評される。長年の下積みと冠番組を経て、2021年に始まったTBS系の朝の情報番組『ラヴィット!』のMCに抜擢されると、その軽妙な仕切りと懐の深さが大評判となり、令和のテレビ界を代表する司会者の一人へと上り詰めた。芸人としての引き出しの多さと、共演者を立てる気配りで、幅広い世代から支持を集めている。

田村裕[編集]

ボケ担当。1979年9月3日生まれ、大阪府吹田市の出身。中学生のときに家庭の事情で一時的に公園での生活を余儀なくされた壮絶な体験を持ち、その半生を綴った自伝『ホームレス中学生』が2007年に出版されると、225万部を超える大ベストセラーとなった。同作は映画化・ドラマ化もされ、社会現象を巻き起こした。近年はバスケットボールへの情熱を活かした「バスケ芸人」としての活動や、自身の経験を語る講演・福祉活動にも力を注いでおり、芸人の枠にとどまらない多面的な活動を続けている。

結成と下積み[編集]

川島と田村は吉本興業で出会い、1999年にコンビを結成した。結成からわずか2年後、2001年に開催された第1回『M-1グランプリ』でいきなり決勝に進出。新人離れした漫才の完成度で注目を集め、一躍その名を知られることになる。

以降もM-1決勝の常連として、漫才ブーム真っ只中の2000年代を駆け抜けた。川島の重厚な声と巧みな構成、田村の人懐っこいキャラクターが噛み合った正統派のしゃべくり漫才は、多くのファンを魅了した。賞レースで結果を残しながらも、コンビとしての全国的な大ブレイクには至らず、長くテレビの中堅として活動を続けた時期もあった。

芸風[編集]

麒麟の漫才の最大の特徴は、川島の低音ボイスによる独特の「間」と、丁寧に練られたしゃべくりの構成にある。「麒麟です」という重厚な名乗りから始まる導入は、それだけで観客の空気を一気に引き込む力を持っていた。川島の落ち着いたツッコミが、田村の少し抜けたボケを巧みにすくい上げ、安定感のある笑いを生み出す。

派手な飛び道具で笑わせるタイプではなく、言葉とテンポで勝負する王道のしゃべくり漫才。その完成度の高さゆえに、玄人からの評価も高かった。川島のネタ作りの巧さは、後のMCとしての構成力・進行力にもつながっており、芸人としての基礎体力の高さを物語っている。

それぞれの再ブレイク[編集]

麒麟が特異なのは、コンビとしてよりも、二人それぞれが別の形で大きな注目を集めた点にある。田村は2007年の『ホームレス中学生』で文字どおり社会現象を巻き起こし、出版界の枠を超えたベストセラー作家となった。極貧からの再起という物語は多くの人の心を打ち、同作は教科書にも取り上げられるなど、長く読み継がれている。

一方の川島は、2021年の『ラヴィット!』MC就任を機に、司会者として令和に再ブレイク。芸人としての瞬発力と、教養に裏打ちされた言葉選び、そして共演者への気配りが高く評価され、いまや朝の顔として欠かせない存在となった。一組のコンビから、ベストセラー作家と名MCという二つの成功物語が生まれたことは、麒麟というコンビの懐の深さを象徴している。

人物・関係性[編集]

川島と田村は、長年連れ添った戦友のような関係。タイプはまったく異なるが、互いの活動を尊重し合い、コンビとしての絆を保ち続けている。川島が情報番組の司会で多忙を極める一方、田村は執筆やバスケ、福祉活動と独自の道を歩む。それぞれが別のフィールドで輝きながらも、麒麟という看板を大切にしている姿が、ファンの心を温めている。

二人は千鳥 (お笑いコンビ)かまいたち (お笑いコンビ)といった後輩世代からも敬意を払われる、ベテランの域に入りつつある存在。とりわけ川島のMCとしての立ち回りは、若手芸人にとって一つの教科書になっているとも言われる。

お笑い史における位置づけ[編集]

麒麟は、2001年に始まった第1回『M-1グランプリ』のファイナリストという、漫才史において象徴的な立ち位置にいるコンビである。M-1という大会が日本のお笑い文化を大きく変えた起点であり、その第1回の決勝の舞台に立ったという事実は、後の世代から見れば「歴史の証人」とも言える重みを持つ。当時まだ結成数年の若手でありながら、完成度の高い漫才で全国にその名を轟かせたインパクトは大きかった。

漫才ブームが社会を席巻した2000年代、麒麟は派手さよりも言葉の力で勝負する正統派として、ジャンルの厚みを支えた。瞬間的な大ブレイクこそ華々しくはなかったものの、長く第一線で活動を続け、二人がそれぞれの分野で大輪の花を咲かせた現在の姿は、「芸人人生は一発勝負ではない」ということを証明している。下積みも、回り道も、すべてが後の糧になる——麒麟のキャリアは、そんな希望を感じさせてくれる。

二人の現在地[編集]

令和に入り、麒麟の二人はそれぞれ充実したキャリアの只中にいる。川島は朝の情報番組の顔として、お笑いの技術を司会業に昇華させ、世代を超えた支持を獲得。田村は作家・講演家・バスケ芸人として、自身の波乱万丈な人生経験を社会に還元している。コンビ活動の枠を超えて、二人が別々のフィールドで価値を発揮している姿は、芸人の生き方の多様さを示す好例だ。

それでも二人は「麒麟」という看板を手放さない。別々の道を歩みながらも、ふとした瞬間にコンビとしての絆を見せる——その関係性こそが、長年のファンにとってはたまらない魅力なのである。

炎上とバズ[編集]

  • 川島の「麒麟です」の低音イントロは、当時のものまねの定番ネタになり、世代を超えて記憶される名フレーズとなった。
  • 田村の『ホームレス中学生』は出版時に社会現象級の話題を呼び、「麒麟・田村」の名を全国区に押し上げた。
  • 川島の『ラヴィット!』での軽妙な仕切りがたびたびSNSでバズり、「朝から川島が面白い」と話題になることが多い。
  • 田村がバスケ芸人として真剣に競技に取り組む姿が「芸人の第二の人生」として好意的に取り上げられた。

余談[編集]

  • 川島は無類の読書家・多趣味人で、将棋や音楽など幅広い教養を持つインテリ芸人として知られる。
  • 田村の『ホームレス中学生』のキャッチコピー「お笑いの天才」ならぬ「貧しさの天才」的なエピソードは、笑いと感動が同居する稀有な内容として語られる。
  • 「麒麟です」の名乗りは、川島の低音があってこそ成立する芸であり、誰にも真似できない武器だった。
  • 田村は印税の使い道についてもたびたびトークで語っており、その豪快なエピソードがネタになっている。
  • 川島はMCとして「共演者を立てる名人」と評され、ひな壇芸人からの信頼が非常に厚いらしい。
  • 一組のコンビから作家と名MCという二つの成功が生まれた例は、お笑い史でも珍しいケースとされる。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

  • 吉本興業 公式プロフィール