漫画アプリ

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話売りから転送)

概要[編集]

漫画アプリ(まんがアプリ)とは、スマートフォン向けに漫画を配信するアプリケーションの総称である。1話単位での販売や、一定時間待てば次の話を無料で読める仕組みを備えたものが多く、単行本を1冊ずつ買う形とは売り方そのものが異なる。

詳細[編集]

市場の規模[編集]

出版科学研究所の集計では、2025年のコミック市場(紙と電子の合計)は6,925億円で前年比1.7パーセント減となり、8年ぶりに前年を下回った。一方で電子コミックは5,273億円(2.9パーセント増)で、市場全体の76.1パーセントを占めている。コロナ禍前の2019年は2,593億円だったので、6年で倍以上になった計算になる。

ただし伸び率は急速に鈍っている。各サービスがポイント還元や期間限定の無料公開を競って打っているのは、新しい読者を外から連れてくる余地が減り、既存の読者の取り合いに移っているためである。

「待てば無料」という料金設計[編集]

漫画アプリの設計で最も効いているのが、1話ごとの販売と待機型の無料公開を組み合わせた形である。単行本を1冊ずつ売る形では、読者は最初の1冊で「買うかどうか」という判断を迫られる。話単位にして、一定時間待てば次の1話が無料で読めるようにすると、判断の中身が「買うか買わないか」から「待つか、待たずに払うか」へ入れ替わる。

無料で読み続けられる設計がかえって課金を増やすのは、読者が離脱しうる地点を金銭の判断から時間の判断へずらしているからである。続きが気になる状態が作れていれば、支払いは「読むための条件」ではなく「早く読むための条件」になる。ピッコマがこの形を日本で広めたとされ、LINEマンガをはじめ各社が同種の仕組みを採用した。

縦スクロールと作品の形[編集]

アプリでの閲覧が前提になると、作品の作り方そのものが影響を受ける。ウェブトゥーンと呼ばれる縦スクロール形式では、見開きのページをまたいだ演出が使えない代わりに、画面を送る速度で間を作れるようになる。1画面に入るコマ数が減るため説明の密度は下がるが、1話あたりの読了時間が短くなり、毎日更新の形に合う。

出版社にとっての位置づけ[編集]

出版社にとって漫画アプリは、配信の窓口であると同時に連載の場でもある。紙の雑誌はページ数という物理的な上限があるため、連載を1本増やすには別の1本を終わらせる必要があるが、アプリにはその制約がない。集英社少年ジャンプ+が年間300本規模の読切を公開できるのは、紙面という上限を持たないことの直接の帰結である。

主なサービスには、ピッコマLINEマンガ少年ジャンプ+コミックシーモアめちゃコミック、マガポケ、ゼブラックなどがある。出版社が自社作品のために運営するものと、複数の出版社の作品を扱う書店型のものが混在している点が、電子書籍全体の事情と違うところである。

海賊版との関係[編集]

海賊版サイトが持っていた最大の利点は価格ではなく「すぐ読める」ことだった。話売りと待機型無料は、その利点を正規のサービス側でも満たす方向の変化にあたる。無断公開へ流れる理由を価格に求めるか入手のしやすさに求めるかで対策の設計は変わるが、漫画村の閉鎖以降に電子コミック市場が拡大した事実だけからは、どちらの説明が正しいかは決められない。

余談[編集]

  • 待機の解除に広告の視聴を充てるサービスがあり、その場合は読者が支払っているのは金銭ではなく注意の時間ということになる。広告のある無料と、支払い済みの有料が同じ画面に並んでいるのは漫画アプリ特有の光景である。
  • 紙の雑誌は「掲載順」が人気の指標として読者にも見えていたが、アプリでは閲覧数やコメント数という別の数字が編集部の手元に出る。読者に見える指標と編集部が見る指標が分かれた点は、視聴率が世帯から個人へ移った事情と似た変化である。
  • 異世界ものや悪役令嬢ものが配信形式と相性がよいのは、1話ごとに小さな見せ場を作りやすい構成だからだと言われることが多い。もっとも、読者の好みが先か形式が先かは決着していない。

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