大森藤ノ
Fujino Omori
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「Anime Expo 2019」で行われた『ダンまちII』パネルの様子(出典:アニメ!アニメ!)
国籍 日本
職業 小説家、ライトノベル作家、漫画原作者
肩書 『ダンまち』原作者
活動期間 2013年 -
代表的な実績 『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』シリーズ(累計2,000万部突破)、『杖と剣のウィストリア』原作
受賞 第4回GA文庫大賞 大賞(2012年)、第3回ラノベ好き書店員大賞 1位(2014年)、第2回SUGOI JAPAN Award ラノベ部門 1位(2016年)
関連活動 ゲーム『ダンメモ』監修、劇場版『オリオンの矢』脚本
あだ名 大森先生
リンク X(@fujinoomori)


概要[編集]

大森藤ノ(おおもり ふじの)とは、日本のライトノベル作家・漫画原作者である。ウェブ小説として書き始めた『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』(通称「ダンまち」)でGA文庫大賞史上初の「大賞」を射止めてデビューし、同シリーズを累計2,000万部超・アニメ6期制作決定の巨大フランチャイズに育て上げた。

詳細[編集]

ウェブ小説出身の書き手[編集]

もともとは小説投稿サイト「Arcadia」で二次創作やオリジナル作品を読み書きしていたネット小説出身の作家。『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』も最初はArcadiaで連載されたウェブ小説で、ウェブ版はヘルハウンドが登場する場面(書籍版でいう第5巻あたり)で止まっているとされる。本人はウェブ版読者を長く待たせていることについて、インタビューで申し訳なさを口にしている。

GA文庫大賞初の「大賞」[編集]

ウェブ連載のミノタウロス戦が大きな反響を呼び、読者から「プロになってみたら」「商業で読みたい」というコメントが寄せられたことが応募の後押しになった。作品は『ファミリア・ミィス』と改題して第4回GA文庫大賞に応募され、2012年に大賞を受賞。これはGA文庫大賞で初めての大賞受賞作で、書籍化にあたって元の『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』に題名が戻され、2013年1月にGA文庫(SBクリエイティブ)から第1巻が刊行された。イラストはヤスダスズヒトが担当している。

「ダンまち」の作者として[編集]

「ダンまち」は迷宮都市オラリオを舞台に、駆け出し冒険者ベル・クラネルと女神ヘスティアの「ヘスティア・ファミリア」の成長を描く王道ファンタジー。本編・外伝・スピンオフを合わせて大規模なシリーズとなり、2024年3月時点で累計1,700万部、2025年5月には累計2,000万部を突破した。英語・中国語・韓国語など11言語に翻訳されており、海外人気も高い。アニメは2015年の第1期から始まり、2026年2月には第6期の制作が発表されている。

漫画原作者としての顔[編集]

2020年12月発売の『別冊少年マガジン』2021年1月号からは、青井聖作画の漫画『杖と剣のウィストリア』の原作を担当。ライトノベル以外の媒体で初めてゼロから立ち上げたオリジナル作品で、魔法至上主義の学院で「魔法が使えない少年」が剣一本で成り上がる物語。こちらも2024年にTVアニメ化され、2026年4月から第2期が放送されるなど、「ダンまち」に次ぐ柱となっている。

経歴[編集]

読書嫌いからの出発[編集]

2023年の『リアルサウンド』のインタビューによれば、子どもの頃はむしろ読書が苦手で、読書感想文も苦手だったという。本を読むようになったきっかけはネットのウェブ連載小説と二次創作で、特にArcadiaの二次創作をよく読んでいたとされる。物語にワクワクする楽しさを知ったのは『ソードアート・オンライン』、ライトノベルという存在を知ったのは『フルメタル・パニック!』だったかもしれない、と振り返っている。

二次創作で鍛えた筆力[編集]

二次創作では原作を深く理解していないと読者から容赦なく突っ込まれるため、「考える力」が鍛えられたと語っている。原作ファンに認められた経験から「オリジナルでも通用するのでは」と考えて書き始めたのが「ダンまち」だった。ただし当時の自分については「少し見くびっていた」とも認めている。

応募と受賞(2012年)[編集]

数ある新人賞の中からGA文庫大賞を選んだのは、応募要項上ウェブ掲載原稿を削除しなくてよかったから。読者への配慮に加え、「落ちたときに格好悪い」という理由もあったと明かしている。応募にあたっては1巻で完結させる必要があると考え、ウェブ版にあったミノタウロス戦やリリとの出会いを外し、新たに怪物祭(モンスターフィリア)のエピソードを加筆した。さらに担当編集者の助言で、応募原稿で「シル」だった役回りを「ヘスティア」に書き換えたという、現在からすると驚きの裏話もある。

デビュー後(2013年〜)[編集]

受賞直後は全能感に満ちた「天狗状態」だったと本人は笑いながら振り返り、そこで作家一本でやっていく決意を固めたという。2013年1月に本編第1巻、2014年1月に外伝『ソード・オラトリア』第1巻を刊行。2014年には「第3回ラノベ好き書店員大賞」で1位、2016年には「第2回SUGOI JAPAN Award」ラノベ部門で1位を獲得した。2015年4月にはJ.C.STAFF制作でTVアニメ化され、一気にメジャー作品となった。

メディアミックスの拡大(2017年〜)[編集]

2017年には外伝『ソード・オラトリア』のTVアニメ化、スマートフォンゲーム『ダンメモ』の配信開始、スピンオフ「ファミリアクロニクル」の刊行開始が重なった。2019年には劇場版『オリオンの矢』で初めて映画脚本を担当。同年7月には米ロサンゼルスの「Anime Expo 2019」で原作者としてパネルに登壇し、北米ファンの前で制作秘話を披露した。

近年(2023年〜2026年)[編集]

2023年に原作10周年、2025年にアニメ10周年を迎えた。2024年12月に本編第20巻、2025年1月に外伝第15巻、同年10月11日には本編第21巻・外伝第16巻・『ファミリアクロニクル episodeアスフィ』の3冊を同時刊行した。2026年2月7日のアニメ10周年記念イベント「Aedes Vesta -聖火の軌跡-」でアニメ第6期の制作が発表され、同年4月からは『杖と剣のウィストリア』第2期が放送された。本編第22巻は2026年12月、外伝第17巻は2027年1月の発売予定と報じられている。

作品一覧[編集]

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか(本編)[編集]

  • 『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』(イラスト:ヤスダスズヒト、GA文庫、2013年1月 - )
    • 2025年10月発売の第21巻まで刊行。第22巻は2026年12月発売予定とされる。
    • 第18巻は本人いわく「一番時間がかかった巻」で、4回ほど書き直したという。分厚くなりすぎてGA文庫側に特殊な印刷で対応してもらったとされる。
    • 第19巻からは海上学術機関特区「学区」編に突入。第20巻と第21巻ではオラリオと学区の対立、ロキ・ファミリア壊滅の報など、シリーズ屈指の大事件が描かれた。

外伝[編集]

  • 『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか外伝 ソード・オラトリア』(イラスト:はいむらきよたか、キャラクター原案:ヤスダスズヒト、GA文庫、2014年1月 - )
    • 「剣姫」アイズ・ヴァレンシュタインと、エルフの魔導士レフィーヤを中心にロキ・ファミリア側から描く外伝。2025年10月の第16巻まで刊行され、第17巻は2027年1月発売予定とされる。
    • 本人によると結末を決めきらないまま始めたため「手探り」で書いているとのこと。アイズの過去は本編で明かすべきと考え、外伝はレフィーヤ中心の話へ移っていったという。

ファミリアクロニクル[編集]

  • 『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか ファミリアクロニクル』(イラスト:ニリツ、GA文庫、2017年3月 - )
    • episodeリュー
    • episodeフレイヤ
    • episodeリュー2
    • episodeヘイズ
    • episodeアスフィ(2025年10月)
    • episodeアミッド(刊行予定)

英雄譚シリーズ[編集]

  • 『アストレア・レコード ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 英雄譚』(イラスト:かかげ、GA文庫、2022年 - 、全3巻)
    • 1『邪悪胎動』、2『正義失墜』、3『正邪決戦』。ゲーム『ダンメモ』のイベントストーリーを小説化したもので、リューがかつて所属した「アストレア・ファミリア」の物語。2026年には『月刊ビッグガンガン』での漫画化も発表された。
  • 『アルゴノゥト ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 英雄譚』(GA文庫、2023年7月 - )
    • 〈前章〉『道化行進』ほか。神々が地上に降りる前の古代を舞台に、「始まりの英雄」アルゴノゥトの喜劇を描く。

杖と剣のウィストリア[編集]

  • 『杖と剣のウィストリア』(原作、漫画:青井聖、講談社『別冊少年マガジン』、2021年1月号 - )
    • 2025年3月時点で単行本12巻まで刊行。2024年9月時点で累計150万部を突破している。
  • 『杖と剣のウィストリア グリモアクタ -始まりの涙-』(イラスト:夕薙、GA文庫、2024年7月)
    • 漫画の前日譚にあたる小説。大森自身が執筆した。

その他[編集]

  • 「紐の正体を求めるのは間違っているだろうか」(2025年5月22日公開)
    • アニメ10周年・シリーズ累計2,000万部突破記念の書き下ろし短編。ヘスティアの例の「紐」の謎に迫るという、ファンが長年気にしてきたネタを正面から扱った一本。
  • 特装版小冊子の書き下ろし短編多数(第20巻特装版「新たな豊穣の日々」など)

メディア展開[編集]

TVアニメ[編集]

「ダンまち」のアニメはすべてJ.C.STAFFが制作している。

作品 放送時期 備考
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 2015年4月 - 6月 第1期。監督は山川吉樹
ソード・オラトリア 2017年4月 - 6月 外伝のアニメ化
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかII 2019年7月 - 9月 第2期。監督は橘秀樹
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかIII 2020年10月 - 12月 コロナ禍で7月から延期
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかIV 2022年7月 - 2023年3月 分割2クール・全22話。原作の深層編を映像化
ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかV 2024年10月 - 2025年3月 第5期。原作14巻あたりまで
第6期 未定 2026年2月7日に制作決定を発表

このほかOVAが2016年、2020年、2021年に発売されている。第4期の放送ではABEMAで先行・独占配信、TOKYO MX、BS11、AT-Xで放送された。

劇場アニメ[編集]

  • 『劇場版 ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか -オリオンの矢-』(2019年2月15日公開)
    • 大森が初めて映画脚本を手がけた作品で、女神アルテミスをメインに据えた完全オリジナルストーリー。Anime Expo 2019のパネルでは、脚本が10回ほどボツになってようやくOKが出たという苦労話を明かしている。

漫画[編集]

  • 本編コミカライズ(作画:九二枝、スクウェア・エニックス『ヤングガンガン』、2013年 - )全10巻。その後、作画を変えた第2シーズンが2019年から展開。
  • 『ソード・オラトリア』(作画:矢樹貴、『月刊ガンガンJOKER』、2014年 - )
  • 4コマ『神様の非日常』(作画:タカムラマサヤ、ガンガンONLINE、2014年 - 2017年)全2巻
  • 『ファミリアクロニクル episodeリュー』(作画:桃山ひなせ、ガンガンONLINE)
  • 『ファミリアクロニクル episodeフレイヤ』(作画:桃山ひなせ、マンガUP!)
  • 『アストレア・レコード』(『月刊ビッグガンガン』、2026年5月 - )

ゲーム[編集]

  • 『ダンまち〜クロス・イストリア〜』(2015年、ブラウザゲーム)
  • 『ダンまち〜メモリア・フレーゼ〜』(通称「ダンメモ」、2017年6月19日 - 2024年6月24日)
    • ライトフライヤースタジオ運営のスマホRPG。全世界30の国と地域で配信され2,000万ダウンロードを突破。大森は毎年の周年記念ストーリーに深く関わり、「アストレア・レコード」「アルゴノゥト」などはこのゲームから生まれた。サービス終了後はクラウドファンディング「神盛グランドフィナーレ!」で9,228万円を集め、大森完全監修のオフライン版が2024年9月24日に配信された。
  • 『ダンまち〜インフィニト・コンバーテ〜』(2019年11月、5pb.、PS4/PS Vita/Switch/PC)
  • 『ダンまち〜バトル・クロニクル〜』(2023年8月24日、スマホアクションRPG)
  • 『ダンまち 水と光のフルランド』(2025年3月13日、ブシロード、Switch/Steam)
    • 原作中に登場する英雄譚を題材にした2Dアクション。大森がストーリー原案を担当し、アニメ第5期とリンクする内容になっている。

杖と剣のウィストリア(アニメ)[編集]

  • 第1期:2024年7月7日 - 9月、TBS系。制作はアクタスとバンダイナムコピクチャーズ、総監督は𠮷原達矢、音楽は林ゆうき。
  • 第2期(Season2):2026年4月12日 - 、TBS系全国ネットの日曜夕方枠で放送、ABEMAでもWEB最速配信。
  • 第3期の制作決定も報じられている。

その他の展開[編集]

  • 2025年5月からAmazonのAudibleで本編のオーディオブックが配信開始(ナレーター:粕谷大介)。
  • 2026年2月にはアニメ10周年記念スペシャルイベント「Aedes Vesta -聖火の軌跡-」を開催。

人物像[編集]

作家としての姿勢[編集]

インタビューでは非常に自己批判的な一面がよく見える。「とにかく前の話に負けないようにしよう」と自分にハードルを課しており、そのこだわりを自ら「エゴ」と表現し、刊行ペースが落ちた一因だと認めている。刊行の遅れについては繰り返し読者に謝罪しており、「新しい作家や作品に追われる立場」として「あぐらをかかず」努力したいと語っている。

結末は応募前から決まっている[編集]

本編「ダンまち」の結末はGA文庫大賞に応募する前から決まっており、現在も変わっていないという。一方で寄り道や、書きながら物語が動く「ライブ感」も大切にしているとしている。2023年のインタビューでは「“正しい間違い”が今の重要なキーワード」とも語った。

キャラクターへの思い[編集]

  • 第7巻のサンジョウノ・春姫は当初もっと過酷な展開を考えていたが、担当編集者の指摘で変更。読者が春姫の笑顔を喜ぶ姿を見て、その判断は正しかったと感じたという。Anime Expo 2019では「最も魅力的に作ったキャラクター」として春姫の名前を挙げている。
  • 女神フレイヤは、ウェブ版よりも書籍版で目立つトリックスターとして動き始めたキャラクターだと語っている。
  • 第1期で一番好きなシーンとして、ウェブ版でも転機となったミノタウロス戦を挙げている。第2期に登場する神アポロンについては「変態」と評して会場を沸かせた。

原点となった作品[編集]

ライトノベルの原風景として、七井連一の『地を駆ける虹』を挙げている。冒頭の一文「英雄に、憧れていたんだ。」に衝撃を受けたといい、これがベルの「英雄になりたい」という志につながっていると明かしている。GA文庫大賞応募時には過去の受賞作を一通り読み、逢空万太の『這いよれ! ニャル子さん』について「盗もうと思っても盗めない才能」と評した。ダンジョンもののゲームは『ウィザードリィ』ではなく『世界樹の迷宮』から入った世代だという。

声優陣との交流[編集]

ベル・クラネル役の松岡禎丞とは食事に行ったりLINEでやり取りしたりする間柄とされる。松岡は収録でセリフのニュアンスがつかみにくい時にLINEで作者に直接確認できるのが心強いと話しているという。

余談[編集]

  • デビュー作の応募時タイトル『ファミリア・ミィス』(眷族の物語)は、現在も本編シリーズを指す言葉として作中・宣伝で使われている。
  • 応募原稿ではヘスティアの役回りがシルだったとされ、担当編集の一言がなければ「神様」ヒロインは生まれていなかったかもしれない。
  • 『キノの旅』作者の時雨沢恵一とは作家仲間で、「ダンまち」の神ヘルメスと『キノの旅』の喋るモトラド・エルメスの声をどちらも斉藤壮馬が担当していたことから、『ダンメモ』で「ヘルメスがエルメスに乗る」コラボを実現。作家の飲み会での雑談がきっかけで、池袋でステーキを食べながらプロットを練ったという。
  • 劇場版『オリオンの矢』の脚本は10回ほどボツを食らったとされる。
  • 本編第18巻は4回ほど書き直したといい、完成した本の厚さが話題になった。
  • 本人はAnime Expo 2019に出席するなど、海外イベントにも登壇している。

外部リンク[編集]

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