光る君へ
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主人公のモデル・紫式部を描いた参考図。土佐光起筆(17世紀)。出典:Wikimedia Commons、パブリックドメイン。
ジャンル 時代劇、歴史ドラマ
放送シーズン 大河ドラマ第63作
放送期間 2024年1月7日 - 2024年12月15日
放送時間 日曜 20:00 - 20:45(NHK総合)
話数 全48回
放送国家 日本
言語 日本語
放送局 NHK総合、NHK BS、NHK BSプレミアム4K
配信 NHKプラス(放送時の見逃し配信)、NHKオンデマンド、U-NEXT、Amazonプライム・ビデオ(NHKオンデマンド チャンネル)
平均視聴率 10.7%(関東地区・世帯、ビデオリサーチ調べ)
制作
演出 中島由貴 ほか
制作 NHK
脚本 大石静
音楽 冬野ユミ
出演者 吉高由里子、柄本佑、黒木華、吉田羊、ファーストサマーウイカ、高畑充希、岸谷五朗、段田安則 ほか
その他
原作 なし(オリジナル)
関連番組 大河ドラマ

概要[編集]

光る君へ(ひかるきみへ)とは、2024年にNHKで放送された大河ドラマ第63作である。『源氏物語』の作者・紫式部の生涯を、吉高由里子主演、大石静の脚本で描いた作品だ。

詳細[編集]

制作と放送[編集]

2022年5月11日に制作・主演が発表され、2024年1月7日から12月15日まで全48回が放送された。主人公は紫式部。ただし平安時代の女性は本名が伝わっていないことが多いため、劇中では「まひろ」という本作オリジナルの名前が与えられている。宮仕えしてからは「藤式部」と呼ばれる。

主人公と物語の軸[編集]

最大のポイントは、紫式部と藤原道長の関係を「生涯のソウルメイト」として物語の軸に置いたことだ。幼い頃に出会った2人が、身分や政治に引き裂かれながらも互いを思い続けるという、ラブストーリー色の濃い大河になっている。脚本の大石静は2006年の『功名が辻』以来の大河登板で、恋愛ドラマの名手として知られる。

舞台と表現[編集]

時代設定も大河としてはかなり異例だ。西暦3桁、つまり10〜11世紀の平安時代中期を舞台にした大河は、1976年の『風と雲と虹と』以来48年ぶり。合戦シーンはほぼなく、代わりに宮廷の権力闘争、和歌や漢詩、物語づくりがドラマの見せ場になった。女性が主人公の大河は2017年の『おんな城主 直虎』以来7年ぶりで、令和になってからは初めて。主演・脚本・制作統括・チーフ演出がいずれも女性という布陣も話題になった。

放送前は「平安時代は地味では」「戦がない大河は盛り上がるのか」という声も少なくなかった。しかし配信での視聴は好調で、NHKプラスでの平均視聴数は大河ドラマ歴代最高を記録している。

あらすじ[編集]

前半[編集]

下級貴族・藤原為時の娘として生まれたまひろは、幼い頃に「三郎」と名乗る少年と出会う。その正体は、右大臣・藤原兼家の三男、のちの藤原道長だった。まひろはある事件で母・ちやはを失い、その陰に道長の兄・道兼がいたことを知る。

成長した2人は惹かれ合うが、身分の差と家の事情がそれを許さない。道長は左大臣家の娘・源倫子と結婚し、まひろは父の赴任先の越前へ向かう。その後、まひろは年の離れた藤原宣孝の妻となる。一方の都では、中宮・定子とそこに仕えるききょう(清少納言)の物語や、兄・道隆の一族と道長の政争が進んでいく。

後半[編集]

権力の頂点へ上っていく道長は、娘・彰子を一条天皇の中宮にし、帝の心を彰子へ向けるための「物語」をまひろに依頼する。こうして書かれ始めたのが『源氏物語』だ。まひろは「藤式部」として彰子のもとに出仕し、宮中の人間関係にもまれながら物語を書き継いでいく。

道長が「この世をば我が世とぞ思ふ望月の」と詠むほどの栄華を極める一方、2人の関係は周囲、とりわけ倫子の知るところとなっていく。終盤ではまひろと倫子の対峙、道長の最期、そしてまひろのその後が描かれた。最終回のサブタイトルは「物語の先に」である。

主な登場人物とキャスト[編集]

役名 キャスト 備考
まひろ(紫式部/藤式部) 吉高由里子 主人公。のちに『源氏物語』を書く
藤原道長 柄本佑 兼家の三男。まひろのソウルメイト
源倫子 黒木華 道長の正妻
藤原為時 岸谷五朗 まひろの父。学者肌の下級貴族
ちやは 国仲涼子 まひろの母
藤原惟規 高杉真宙 まひろの弟
藤原兼家 段田安則 道長の父。右大臣から摂政へ
藤原道隆 井浦新 道長の長兄
藤原道兼 玉置玲央 道長の次兄
藤原詮子 吉田羊 道長の姉。円融天皇の女御
清少納言(ききょう) ファーストサマーウイカ 『枕草子』の作者。定子に仕える
藤原定子 高畑充希 一条天皇の中宮
一条天皇 塩野瑛久 第66代天皇
藤原彰子 見上愛 道長の長女。一条天皇の中宮
藤原伊周 三浦翔平 道隆の嫡男
安倍晴明 ユースケ・サンタマリア 陰陽師
藤原宣孝 佐々木蔵之介 まひろの夫
藤原実資 秋山竜次 『小右記』を残した公卿
藤原公任 町田啓太 道長の友人。才人として知られる
藤原行成 渡辺大知 道長の友人。能書家
直秀 毎熊克哉 散楽の一座の男(オリジナルキャラクター)
周明 松下洸平 宋の見習い医師(オリジナルキャラクター)
源明子 瀧内公美 道長のもう一人の妻
赤染衛門 凰稀かなめ 倫子・彰子に仕える歌人
三条天皇 木村達成 第67代天皇

視聴率[編集]

視聴率はいずれも関東地区・世帯(ビデオリサーチ調べ)。

  • 初回(2024年1月7日):12.7%(個人7.5%)。初回が全話を通じての最高だった。
  • 最終回(2024年12月15日、15分拡大):11.0%(個人6.5%)
  • 全48回の期間平均:10.7%(個人6.2%)

期間平均10.7%は、2019年の『いだてん〜東京オリムピック噺〜』(8.2%)に次ぐ大河ドラマ歴代2番目の低さと報じられた。一方でリアルタイム以外の視聴は強く、NHKプラスでの平均視聴数(ユニークブラウザ数)は約38万UBで、2020年4月の配信開始以降の大河ドラマとして歴代最高を記録した。タイムシフトを加えた期間平均の総合視聴率は16.9%と報じられている。いわゆる「数字は低いが熱量は高い」タイプの作品だったといえる。

評価・受賞[編集]

放送前の不安をよそに、終盤にかけてSNSでの考察や感想の投稿が盛り上がり、終了後には「ロス」を訴える声も多く見られた。

  • ギャラクシー賞:2024年12月度の月間賞を受賞。選評では、合戦がほとんどない難しい題材ながら大石静の人間描写が秀逸で、「特筆すべき大河ドラマ」だったと評価された。
  • ザテレビジョンドラマアカデミー賞:第122回(2024年10〜12月期)で吉高由里子が主演女優賞を受賞。紫式部という教科書の人物を立体的に演じたこと、左利きながら右手で筆を執った書の場面などが評価された。

考証と反響[編集]

史実と創作[編集]

時代考証は歴史学者の倉本一宏が担当した。倉本は放送前のインタビューで、まひろと道長が幼なじみで恋仲だったという設定について「実際には、2人が幼なじみだったということも恋仲だったということもあり得ません」と明言している。NHKが制作発表の段階でこの設定を打ち出していたため、ドラマとして受け入れたという立場で、歴史は史料で、ドラマはドラマとして楽しんでほしいという趣旨を語った。また戦争だけが歴史ではなく、平安時代の人々の暮らしが伝わる点に本作の意義があるとも述べている。

清少納言と定子[編集]

ファーストサマーウイカ演じる清少納言は、定子への強い敬愛を持つ人物として描かれた。第21回「旅立ち」(2024年5月26日放送)では、失意の定子を慰めるために清少納言が『枕草子』を書き始める場面が描かれ、「春はあけぼの」の朗読も含めてSNSで「鳥肌」「涙が止まらない」と大きな反響を呼んだ。清少納言が定子のために書いたという解釈を「推し活」になぞらえる感想も多かった。この流れで、『枕草子』の戦略性を論じた山本淳子の著書『枕草子のたくらみ』(朝日新聞出版)が話題になり、重版を重ねた。

倫子の描写[編集]

黒木華演じる倫子は、穏やかな正妻として登場しながら、まひろと道長の関係に次第に気づいていく人物として描かれた。第47回でまひろに「殿とはいつからなの?」と問いただす場面では、「いきなりホラー」「心臓バクバク」といった反応が相次いだ。黒木は、倫子は第36回の時点で薄々気づいていたのではないかという解釈を明かしている。黒木にとって大河での「妻役」は『真田丸』『西郷どん』に続いて3度目だった。

余談[編集]

  • 「光る君」は『源氏物語』の主人公・光源氏を指す呼び名である。
  • 吉高由里子は左利きだが、劇中の書はすべて右手で書いている。書道指導は題字も手がけた書家の根本知が担当した。
  • 語りはNHKアナウンサーの伊東敏恵。インタビューでは「水や空気のような無色透明な語り」を意識したと語り、推しの登場人物に赤染衛門を挙げている。
  • お笑いトリオ・ロバートの秋山竜次が演じた藤原実資は、コミカルさとまじめさが同居したキャラクターとして人気を集めた。時代考証の倉本一宏は実資研究でも知られ、この人気には驚いたとされる。
  • 最終回のラストでまひろがつぶやく「道長様、嵐が来るわ」という台詞は、武士の時代の到来を予感させる締めくくりとして話題になった。


外部リンク[編集]

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