| 株式会社アミューズ Amuse Inc. | |
|---|---|
![]() ロンドンのO2アリーナで公演する所属アーティストBABYMETAL(出典:ウィキメディア・コモンズ) | |
| 略称 | アミューズ、AMUSE |
| 国家 | 日本 |
| 種類 | 株式会社 |
| 市場情報 | 東証プライム 4301 |
| 業種 | サービス業(芸能プロダクション・エンターテインメント) |
| 本社所在地 | 山梨県南都留郡富士河口湖町(AMUSE VILLAGE)/東京オフィス:東京都渋谷区 |
| 設立日 | 1978年10月16日 |
| 年齢 | 47周年 |
| 設立者 | 大里洋吉 |
| 代表者 | 大里洋吉(代表取締役会長 兼 社長) |
| 上場 | 2004年3月 東証二部上場(現・東証プライム) |
| 年間売上 | 約697億円(2026年3月期・連結) |
| 従業員数 | 連結474名(2023年3月時点) |
| 主要部門 | アーティストマネジメント、音楽・映像、イベント・ライブ、映画・舞台、海外事業 |
| 主要子会社 | 極東電視台、ライブ・ビューイング・ジャパン、アミューズクエスト ほか |
| 関係する人物 | 大里洋吉、中西正樹、桑田佳祐、福山雅治 |
| 代表作品 | サザンオールスターズ、福山雅治、Perfume、BABYMETAL、星野源、ハンサムライブ |
| 別名 | プロデュースハウスアミューズ(創業時) |
| リンク | https://www.amuse.co.jp/ |
概要[編集]
アミューズとは、日本の大手芸能事務所・エンターテインメント企業「株式会社アミューズ」のことである。キャンディーズの元マネージャー大里洋吉が1977年に創業し、サザンオールスターズ、福山雅治、Perfume、BABYMETAL、星野源らを抱える。2021年に本社を富士山麓の山梨県富士河口湖町へ移したことでも知られる、東証プライム上場の芸能プロである。
詳細[編集]
どんな会社?[編集]
ざっくり言うと「タレント事務所」と「コンテンツ会社」を一体化させた会社である。所属アーティストや俳優のマネジメントだけでなく、ライブ・コンサートの制作、グッズ販売、ファンクラブ運営、CDや映像ソフトの販売、映画・舞台・テレビ番組の製作、海外での著作権管理やライブビューイング事業まで、エンタメのほぼ全工程を自社グループで回している。
2025年12月の個人投資家向け説明会資料によると、売上の約6割がライブやグッズなどのイベント関連、約3割が音楽・映像(いわゆるカタログ収入)、残り約1割が出演・CM関連という構成。つまり「大物がツアーを回った年は爆発的に儲かり、休んだ年は落ちる」という、芸能プロらしい波のある業績が特徴である。
社名の由来[編集]
社名は「人を楽しませる」という意味の英単語「amuse」と、ギリシャ神話の芸術の女神「ミューズ」を掛け合わせたもの。創業時の名前は「プロデュースハウスアミューズ」で、東京・代官山のマンションの一室からスタートした個人企業だった。現在も10月16日を創立記念日としている。
三枚看板と「アミューズらしさ」[編集]
1980年代前半には、サザンを中心とした音楽、三宅裕司と劇団スーパー・エキセントリック・シアター(SET)による演劇・バラエティ、そして映画・ドラマという「三枚看板」体制が出来上がった。ロック/ポップス系ミュージシャンと演技派俳優の両方に強いのが、今も続く大きな特徴である。
また、所属タレントを大量にテレビのバラエティ番組へ送り込むタイプではなく、ライブや作品で勝負するアーティストが多いことから、業界内では「アーティスト色の強い事務所」と評されることが多い。
歴史[編集]
創業前夜:ナベプロからの独立[編集]
創業者の大里洋吉は1946年生まれ、青森県青森市出身。立教大学を卒業後、1969年に渡辺プロダクション(ナベプロ)へ入社し、ザ・ピーナッツ、沢田研二、キャンディーズなどのマネージャーを務めた。キャンディーズの解散の意思を最初に知った人物とされ、1978年の解散コンサートでは総合演出を担当している。
ナベプロ内での路線対立を経て独立を決意。シンガーソングライター原田真二の売り出しを目的に、1977年にアミューズを立ち上げた。原田と面識のあったバーニングプロダクション社長の周防郁雄と大里が資金を折半して会社を作ったという経緯があり、最初の所属はブラスロックバンド「ホーン・スペクトラム」と原田真二だった。
サザンとともに急成長(1978〜1990年代)[編集]
1978年、サザンオールスターズがレコード契約を結び「勝手にシンドバッド」でデビュー。フォーク全盛の時代にロックバンドを次々と世に出し、のちのJ-POP時代の土台を作ったと評価される。1980年には三宅裕司がデビューし、SETのプロデュースも手掛けた。
1981年には劇場用映画の製作・配給会社「アミューズ・シネマ・シティ」を設立し、映画『モーニング・ムーンは粗雑に』を製作。1983年には富田靖子がデビューし、俳優部門も本格化した。1989年には三宅裕司の司会番組のサポートをきっかけにテレビ番組制作にも進出している。
1990年代以降は福山雅治、ポルノグラフィティ、BEGINらがヒットを連発。1997年には本社を渋谷区桜丘町の渋谷インフォスタワーへ移転した。1993年から2020年まではエイズ啓発のチャリティーライブ「Act Against AIDS」を定期的に開催していた。
上場と拡大(2000年代)[編集]
2004年3月24日、東京証券取引所市場第二部に上場。大里は2006年、自身の還暦の年に東証一部上場を果たし、保有株の一部を所属タレントや社員に贈与したというエピソードがある。
2004年12月には北海道の芸能事務所CREATIVE OFFICE CUEと業務提携し、大泉洋らが所属するTEAM NACSのマネジメントを開始。2005年には若手男性俳優によるファン感謝イベント「ハンサムライブ」がスタートし、2006年には桑田佳祐の呼びかけで同社初の大型野外フェスも開催された。
震災支援と2010年代[編集]
2011年の東日本大震災では、義援金に加えマスク240万枚を寄贈。所属アーティストによるチャリティーソング「Let's try again」もリリースした。同年6月には大里が代表取締役会長に復帰している。
2010年代はPerfumeの世界進出、BABYMETALの海外ブレイク、星野源の大ヒットなど、音楽部門が海外・国内の両面で躍進。2019年には渋谷公会堂(現LINE CUBE SHIBUYA)の指定管理者事業も受注した。
激動の2020年代[編集]
2021年は「独立」と「移転」の年だった。4月1日付で佐藤健・神木隆之介が新会社「Co-LaVo」を、ONE OK ROCKが「10969」をそれぞれ立ち上げて独立。Co-LaVoにはアミューズも出資し、大里会長が相談役として参加するという、円満型の独立スキームが話題になった。2022年4月には上野樹里も退所し、エージェント契約の形で活動を続けている。
同じ2021年、NHKでは大河ドラマ『青天を衝け』主演の吉沢亮、連続テレビ小説前期『おかえりモネ』主演の清原果耶、後期『カムカムエヴリバディ』主演の深津絵里と、看板枠の主演をアミューズ勢が独占するという快挙も達成している。
富士山麓への本社移転[編集]
なぜ山梨に?[編集]
2021年7月、本社を東京・渋谷から山梨県富士河口湖町の西湖畔にある「AMUSE VILLAGE(アミューズ ヴィレッジ)」へ移転した。上場している大手芸能事務所が都心を離れるという異例の決断に、業界は騒然となった。
背景にあったのは新型コロナウイルス感染症の流行。ライブが軒並み中止となり、会社のあり方や働き方そのものを見直す必要に迫られた。そんな中、大里会長が現地のリゾート施設と出会い、移転を決めたとされる。当時の中西正樹社長は「モノづくりの仕事はインスピレーションが大事ですが、ここはそれを研ぎ澄ますことができる場所」と語っている。
新本社の中身[編集]
働き方は「西湖本社」「東京・渋谷のフリーアドレスオフィス」「自宅リモートワーク」の3拠点制。アーティストのマネージャーなど東京にいる必要がある職種は東京オフィスを使い、チームや個人単位で最適な場所を選ぶスタイルに切り替えた。
2022年10月16日の創立記念日には新本社のグランドオープニングセレモニーが開かれ、長崎幸太郎山梨県知事も出席。体育館をリノベーションした「TAI-IKU-KAN」や多目的ホールを備え、締めくくりには地元・西湖産のヒメマスを使った「塩釜開き」が行われた。地元の子どもたちも招待されるなど、地域密着色の強いイベントだった。
地域ビジネスへ[編集]
移転を機に「アドベンチャー事業部」を立ち上げ、アウトドア体験の「FUN OUT!プロジェクト」や、西湖でのペダルカヤック・ヨットといったホビー事業を展開。芸能事務所が観光・地域活性化ビジネスに乗り出すという、他に例の少ない動きを見せている。株主総会も一時期、山梨本社と東京の2会場で開催されていた。
主な所属アーティスト・俳優[編集]
ミュージシャン[編集]
- サザンオールスターズ/桑田佳祐:創業期からの大黒柱。2025年には約10年ぶりのオリジナルアルバム『THANK YOU SO MUCH』を発表し、全国ツアー「THANK YOU SO MUCH!!」で約75万人を動員。5月29日の東京ドーム公演でツアーを締めくくった。
- 福山雅治:1990年代から看板を張り続けるシンガー兼俳優。
- Perfume:2025年9月21日、「2026年から一度コールドスリープする」と発表し、2026年から活動を一時休止。2026年5月15日には新曲「コールドスリープ」を配信し、ドキュメンタリー映画も公開された。
- BABYMETAL:2025年のアルバム『METAL FORTH』が米Billboard 200で初登場9位を記録し、日本人グループとして史上初のトップ10入りを果たした。
- 星野源、ポルノグラフィティ、BEGIN、FLOW なども所属している。
俳優・タレント[編集]
- 吉沢亮、清原果耶、吉高由里子、大泉洋(CREATIVE OFFICE CUEと提携)、安田顕、仲里依紗、ホラン千秋、岸谷五朗、寺脇康文 など。
- 「ハンサムライブ」は2025年に20周年を迎え、12月27日・28日にパシフィコ横浜国立大ホールで「ULTRA HANDSOME LIVE 2025 "ZERO"」を開催。小関裕太、甲斐翔真、細田佳央太ら22名が出演した。
元所属の主な人物[編集]
佐藤健・神木隆之介(2021年独立、Co-LaVo)、ONE OK ROCK(2021年独立)、上野樹里(2022年退所)など。佐藤・神木・上野は「アミューズ所属」と紹介されることがまだあるが、2026年時点ではいずれも別会社・エージェント契約で活動している点に注意。
映画・舞台・海外事業[編集]
映画・映像[編集]
1981年の映画製作参入以来、映像部門は同社の柱の一つ。韓国映画『シュリ』(2000年日本公開、興行収入18億円)の日本版ソフトをアミューズソフトが販売するなど、韓国映画ブームの初期にも関わった。英語版ウィキペディアでは、カンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞作『戦場のピアニスト』の配給にも関わったとされる。
近年の公式サイトに掲載されている製作・出資作品には、『映画ラストマン -FIRST LOVE-』『ブルーボーイ事件』『俺ではない炎上』『ブラック・ショーマン』『金髪』(いずれも2025年)などがある。大里洋吉自身も2018年に映画『SETOUCHI THE MOVIE』で監督デビューしている。
舞台[編集]
岸谷五朗と寺脇康文による演劇ユニット「地球ゴージャス」の公演や、TEAM NACSとの共同制作などで舞台事業を展開。前述のとおり渋谷公会堂の指定管理者として、劇場運営にも関わっている。
海外展開[編集]
1984年に米国法人を設立したのを皮切りに、アミューズコリア(2000年)、シンガポール(2012年)、フランス(2015年)などに拠点を構えてきた。2025年時点ではカリフォルニア、ソウル、台北、上海に拠点を持ち、2025年にはバンコクにも進出。2025年4月にはシンガポールで「LIVE VIEWING ENTERTAINMENT」を立ち上げ、アジアでのライブビューイング事業を拡大している。
IP(知的財産)面では、中国の動画サイトbilibiliと共同製作するアニメ『Elkseed』を2026年に世界展開する計画を発表。中期戦略として「グローバルを意識したアーティスト発掘・育成」「日本と世界をつなぐオリジナルIP」「海外にも展開できる次世代サービス」の3本柱を掲げている。
2026年時点の動向[編集]
大里洋吉の社長復帰[編集]
2025年5月15日の取締役会で、6年間社長を務めた中西正樹の退任と、大里洋吉会長の社長兼務が決定し、同年6月の株主総会を経て新体制に移行した。会社側は「創立50周年に向けて、新規事業の確立とともに音楽事業のさらなる発展が必要不可欠」と説明。公式サイトのあいさつでは「感動だけが、人の心を撃ち抜ける」というメッセージを掲げ、2027年3月期を「挑戦」を見せる年度と位置付けている。
過去最高水準の業績[編集]
2026年3月期の連結決算は、売上高約697億円(前期比2.2%増)、営業利益約61億円(同118.8%増)、純利益約27億円(同63.5%増)と大幅増益。サザンオールスターズ、福山雅治、星野源、Perfumeなどの大型ツアーとグッズ販売が寄与した。期初予想(売上550億円・営業利益20億円)を大きく上回る着地となった。
一方、2025年2月には音楽レーベル子会社A-Sketch(2008年設立、flumpoolなどが所属)の全株式をユニバーサルミュージックに譲渡し、連結から外している。2027年3月期は大型ツアーの反動もあり、経常利益で大幅な減益を見込んでいる。
2026年の主なトピック[編集]
- 2026年6月21日、恒例の両国国技館で第48期定時株主総会を開催。2003年から続く「総会後に所属アーティストのライブ」という名物スタイルは健在。
- 桑田佳祐はソロで「夏祭りツアー 2026」(7月8日〜12月31日、全国22公演)を開催中。6月24日にはアニメ『あかね噺』のオープニング曲「人誑し / ひとたらし」を発売した。9月にはライブアルバム『九段下フォーク・フェスティバル'25』の発売と、利益全額を被災地支援に寄付することが発表された。
- BABYMETALは2026年9月2日、デンバーのボール・アリーナを皮切りに、ヘイルストームとのダブルヘッドライナーで過去最大規模の北米ツアーをスタートさせた。
- 9月1日、ガールズグループME:Iの元メンバー佐々木心菜がアミューズ所属をInstagramで報告。
- 3月31日には、約10年間所属した俳優・山﨑光が契約満了で退所している。
炎上とバズ[編集]
2021年の「独立ラッシュ」[編集]
佐藤健、神木隆之介、ONE OK ROCKが同時に独立した際は「アミューズはどうなる」とワイドショーや週刊誌が大きく報道。ただし実際には同社が新会社に出資し、会長が相談役に入るなど関係は良好で、「タレントに優しすぎる」という逆方向の業界評まで出た。
吉沢亮の住居侵入トラブル(2025年)[編集]
2024年末、吉沢亮が酒に酔って自宅マンションの隣室に無断で立ち入るトラブルが報じられ、CM契約の打ち切りなど大きな影響が出た。アミューズは2025年1月14日、相手方との示談が成立したことを報告し、謝罪とともに「これからも吉沢亮を支え続けて参ります」とコメントした。
福山雅治とフジテレビ問題(2025年)[編集]
フジテレビをめぐる一連の問題で、福山雅治が同局幹部(当時)主催の会食に出席していたと週刊誌が報道。アミューズは2025年8月18日、「仕事先の会食」だったと説明し、第三者委員会のヒアリングを「拒否」したとの報道については、地方ロケのため書面で回答したもので拒否した事実はないと否定した。
誹謗中傷への法的措置(2026年)[編集]
2026年8月12日、アミューズ法務部のXアカウントが、所属アーティストへの誹謗中傷や、会員限定の有料コンテンツを無断でSNSに投稿していたアカウントに対し、東京地方裁判所で法的措置をとったと報告した。2020年に急逝した三浦春馬をめぐってネット上でデマや陰謀論が拡散した過去もあり、同社はこうした問題に「厳正に対処」する姿勢を示している。
その他[編集]
2013年、2018年、2019年には労働基準監督署から是正勧告を受けたことが報じられている。
余談[編集]
- 大里洋吉は創業当時、長髪にヒゲという風貌で「いかにも業界の人」と評された。桑田佳祐は「雑談をせず、いきなりビジネスの話をブチ込んでくる」と証言し、福山雅治は最初は横柄に感じたものの、後に「変わらないから信用できる」と語っている。
- 大里はナベプロ時代、若手スタッフにも海外研修の機会を与えるよう会社に直訴し、ロンドン出張で海外の音楽業界を体験したという。現在の海外志向の原点とも言える。
- 新本社のオープニングセレモニーの締めは、テープカットではなく西湖のヒメマスの「塩釜開き」。芸能事務所の式典としてはかなり珍しい。
- 2021年は朝ドラ前期・後期と大河ドラマの主演がすべてアミューズ所属という、NHK史上でもまれな「アミューズ・イヤー」だった。
- 大里は2012年に、音楽業界の功労者に贈られる「渡辺晋賞」を受賞している。かつて在籍したナベプロの創業者の名を冠した賞で、ちょっとした里帰り感がある。
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