べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜

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べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜
略称 べらぼう
ジャンル 時代劇、歴史ドラマ
放送シーズン 大河ドラマ第64作
放送期間 2025年1月5日 - 2025年12月14日
放送時間 日曜 20:00 - 20:45(NHK総合)
話数 全48回
放送国家 日本
言語 日本語
放送局 NHK総合、NHK BS、NHK BSプレミアム4K
配信 NHKプラス(放送時の見逃し配信)、NHKオンデマンド、U-NEXT、Amazonプライム・ビデオ(NHKオンデマンド チャンネル)
平均視聴率 9.5%(関東地区・世帯、ビデオリサーチ調べ)
制作
プロデューサー 藤並英樹(制作統括)ほか
演出 大原拓 ほか
制作 NHK
脚本 森下佳子
音楽 ジョン・グラム
出演者 横浜流星、渡辺謙、染谷将太、橋本愛、小芝風花、安田顕、生田斗真 ほか
その他
原作 なし(オリジナル)
関連番組 大河ドラマ
オープニング曲 「Glorious Edo」(テーマ音楽)

概要[編集]

べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜(べらぼう つたじゅうえいがのゆめばなし)とは、2025年にNHKで放送された大河ドラマ第64作である。江戸の版元(出版人)・蔦屋重三郎の生涯を、横浜流星主演、森下佳子の脚本で描いた作品だ。

詳細[編集]

2023年4月27日に制作と主演が発表された。NHKは作品を「江戸時代中期。“面白さ”を追求し続け、日本のポップカルチャーの礎を築いた快男児・蔦屋重三郎の物語」と紹介している。横浜流星にとっては大河初出演にして初主演。脚本の森下佳子は2017年の『おんな城主 直虎』以来2度目の大河となる。

舞台は18世紀後半、老中・田沼意次が権勢をふるった「田沼時代」から、松平定信の「寛政の改革」にかけての江戸。大きな戦がない時代が中心で、武将でも幕末の志士でもなく、出版人を主人公にした点が異色だ。喜多川歌麿や東洲斎写楽といった浮世絵師、山東京伝や恋川春町といった戯作者、狂歌師の大田南畝など、江戸のクリエイターたちが次々と登場する群像劇になっている。

タイトルの「べらぼう」は、もともと「たわけ者」「バカ者」を意味し、やがて「甚だしい」「桁外れな」という意味に変わった言葉。制作統括の藤並英樹は、常識外れの発想と行動で周囲から「べらぼう奴(め)!」と罵られながら時代の寵児になった重三郎を、親しみと尊敬を込めて表す言葉として選んだと説明している。

語りは綾瀬はるか。ただのナレーターではなく、吉原にある九郎助稲荷(くろすけいなり)のお稲荷さんという役どころで、ときに現代的な目線を交えて物語を解説する。

蔦屋重三郎の生涯[編集]

主人公のモデル・蔦屋重三郎(通称「蔦重」)は実在の人物である。寛延3年(1750年)に江戸の新吉原で生まれ、喜多川氏の養子となった。安永2年(1773年)ごろ、吉原の入口にあたる五十間道で書店を開業し、吉原のガイドブック「吉原細見」の出版に関わるようになる。

その後、黄表紙(大人向けの絵入り小説)や狂歌本を次々と手がけ、天明3年(1783年)には江戸の出版の中心地・日本橋通油町に進出して「耕書堂」を構えた。自らも「蔦唐丸(つたのからまる)」の名で狂歌師として活動している。

寛政の改革で出版統制が強まると、寛政3年(1791年)には山東京伝の洒落本を出版したことで処罰を受け、財産の半分を没収される「身上半減」の重い過料を科された。それでも喜多川歌麿の美人大首絵をヒットさせ、寛政6年(1794年)からは東洲斎写楽の役者絵を約10か月の間に140点あまり世に出している。

寛政9年(1797年)、満47歳で死去。死因は脚気とされる。ドラマはこの生涯を、吉原の貸本屋時代から晩年まで全48回で描き切った。

あらすじ[編集]

前半[編集]

安永初期。吉原の引手茶屋で育った重三郎は、貸本業を営みながら暮らしていた。吉原は非公認の岡場所に客を奪われてさびれ、そのしわ寄せは女郎たちに向かっていた。重三郎は吉原を救おうと老中・田沼意次に岡場所の取り締まりを訴えるが、逆に「お前自身が吉原に客を呼ぶ工夫をしているのか」と言い返されてしまう。

ここから重三郎は、吉原細見の質を上げて客を呼び戻すことを思いつき、やがて板元として出版の世界に本格的に乗り出していく。平賀源内との交流、幼なじみの花魁・花の井(五代目瀬川)との関係、老舗の地本問屋との攻防などが描かれ、蔦重は「江戸のメディア王」への道を駆け上がっていく。

後半[編集]

日本橋に進出した蔦重は、歌麿や戯作者、狂歌師たちとともに次々とヒット作を生み出す。しかし田沼時代が終わり、松平定信による寛政の改革が始まると、風刺や遊びを含む出版物は厳しい統制の対象となる。仲間の作家たちが筆を折り、蔦重自身も処罰を受けるなか、蔦重は新たな企画に挑む。

終盤では、正体不明の絵師「東洲斎写楽」の誕生と、将軍家の実力者・一橋治済をめぐる因縁が物語の軸になる。最終回(第48回)のサブタイトルは作品タイトルと同じ「蔦重栄華乃夢噺」で、拍子木の音を使った締めくくりが話題になった。

吉原の描写[編集]

本作は、重三郎の生まれ育った吉原を物語の出発点にしており、華やかな遊郭の表側だけでなく、女郎たちの貧困や過酷な待遇も正面から描いた。

第1回では、着物をはぎ取られた女郎たちの遺体が打ち捨てられている場面が映し出され、SNSで賛否が分かれた。「吉原のリアルを描く覚悟を感じる」という声がある一方、「他の形で悲惨さを伝えられたのでは」という意見も出た。NHK広報局は「時代考証に基づいて、吉原での格差や貧困、女郎の待遇の悪さなどを表現しています」と説明している。

本作では、性的な場面やヌードの撮影で俳優の心身をケアする「インティマシー・コーディネーター」が大河ドラマとして初めて導入された。NHKは、出演者と所属事務所に事前にインティマシー・コーディネーターとの面談を受けてもらうなどの対策を取ったとしている。脚本の森下佳子も放送前に、子どもには話しにくい話題も出てくると言及していた。

主な登場人物とキャスト[編集]

役名 キャスト 備考
蔦屋重三郎(蔦重) 横浜流星 主人公。吉原育ちの版元
てい 橋本愛 蔦重の妻となる本屋の娘
花の井(五代目瀬川) 小芝風花 蔦重の幼なじみの花魁
田沼意次 渡辺謙 老中
田沼意知 宮沢氷魚 意次の嫡男
平賀源内 安田顕 本草学者・発明家
喜多川歌麿 染谷将太 浮世絵師
一橋治済 生田斗真 一橋徳川家当主
誰袖 福原遥 大文字屋の花魁
駿河屋市右衛門 高橋克実 蔦重の養父。引手茶屋の主
ふじ 飯島直子 駿河屋の女将
次郎兵衛 中村蒼 駿河屋の息子
いね 水野美紀 松葉屋の女将
鱗形屋孫兵衛 片岡愛之助 地本問屋
鶴屋喜右衛門 風間俊介 地本問屋
須原屋市兵衛 里見浩太朗 書物問屋
北尾重政 橋本淳 浮世絵師
恋川春町 岡山天音 戯作者
大田南畝 桐谷健太 狂歌師・戯作者
山東京伝 古川雄大 戯作者・浮世絵師
長谷川平蔵 中村隼人 旗本。のちの「鬼平」
徳川家治 眞島秀和 江戸幕府第10代将軍
松平武元 石坂浩二 老中首座
松平定信 井上祐貴 老中。寛政の改革を主導
九郎助稲荷(語り) 綾瀬はるか 吉原の稲荷社

視聴率[編集]

視聴率はいずれも関東地区・世帯(ビデオリサーチ調べ)。

  • 初回(2025年1月5日):12.6%(個人7.3%)。大河ドラマの初回としては歴代最低と報じられた。初回が全話を通じての最高だった。
  • 最終回(2025年12月14日):9.5%
  • 全48回の期間平均:9.5%

4月以降はほぼ1ケタで推移し、期間平均が1ケタとなったのは2019年の『いだてん〜東京オリムピック噺〜』(8.2%)以来2作目。前作『光る君へ』の10.7%を下回り、大河歴代2番目の低さとなった。

一方で配信は好調で、NHKプラスでの平均視聴数(第1〜36回)は38.6万UBと、配信開始以降の大河ドラマとして歴代最多を記録した。前作『光る君へ』が作った記録を更新した形だ。タイムシフト視聴を含む総合視聴率(関東・世帯)は14.7%と発表されている。

評価・受賞[編集]

リアルタイムの数字こそ伸び悩んだが、出版や浮世絵というテーマ、江戸のクリエイター群像の描き方は評価を集め、SNSでは写楽の正体をめぐる考察なども盛り上がった。

  • ザテレビジョンドラマアカデミー賞:第126回で森下佳子が脚本賞、染谷将太(喜多川歌麿役)が助演男優賞を受賞。森下は、黄表紙を読んだこともない状態から3年かけて膨大な資料にあたったこと、最終回は蔦重本人へのリスペクトを込めて「明るいお別れ」にしたことを語っている。
  • DIMEトレンド大賞2025:横浜流星が「話題の人物賞」を受賞。同年は主演大河に加えて出演映画『国宝』も大ヒットした。

余談[編集]

  • 大きな戦がほとんどない18世紀後半の江戸中期が中心の舞台となるのは、大河ドラマとして初めてとされる。
  • 生田斗真は一橋治済に加え、終盤で治済と瓜二つの顔をもつ男・斎藤十郎兵衛の二役を演じた。斎藤十郎兵衛は写楽の正体の有力候補とされる人物の名前で、発表時には「一橋治済、ではございません」というコメントも話題になった。
  • 語りの綾瀬はるかは、劇中でも九郎助稲荷として姿を見せている。
  • 蔦屋重三郎の墓所は東京都台東区の正法寺にある。
  • 東京都中央区は、耕書堂があった日本橋通油町周辺(現在の日本橋大伝馬町付近)のゆかりの地を観光案内で紹介している。

外部リンク[編集]

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