| ある春の夜に 봄밤(ポムパム)/One Spring Night | |
|---|---|
![]() 第1話のレビュー記事に掲載された場面写真(出典:文化日報) | |
| 略称 | 春の夜、ポムパム |
| ジャンル | ロマンス、メロドラマ |
| 放送期間 | 2019年5月22日 - 2019年7月11日 |
| 放送時間 | 毎週水・木曜 21:00頃(韓国時間、1夜に2話連続) |
| 話数 | 全32話(1話約35分) |
| 放送国家 | 韓国 |
| 言語 | 韓国語 |
| 放送局 | MBC |
| 配信 | Netflix |
| 平均視聴率 | 6.4%(ニールセン・コリア全国基準) |
| 制作 | |
| 演出 | アン・パンソク |
| 制作 | JSピクチャーズ |
| 脚本 | キム・ウン |
| 音楽 | イ・ナミョン(音楽監督) |
| 出演者 | ハン・ジミン、チョン・ヘイン、キム・ジュンハン、イム・ソンオン、ジュ・ミンギョン、ソン・スンファン、キル・ヘヨン、イ・ムセン ほか |
| その他 | |
| 原作 | なし(オリジナル脚本) |
| 関連番組 | よくおごってくれる綺麗なお姉さん(同じ演出・脚本・主演俳優) |
| エンディング曲 | Is It You(レイチェル・ヤマガタ) |
概要[編集]
ある春の夜に(あるはるのよるに、原題:봄밤〈ポムパム、春の夜〉、英題:One Spring Night)とは、2019年5月22日から7月11日まで韓国のMBCで放送された韓国ドラマである。恋人のいる図書館司書と、シングルファーザーの薬剤師が「予想外の恋」に揺れる大人のロマンス。主演はハン・ジミンとチョン・ヘイン、演出はアン・パンソク。Netflixで世界配信された。
詳細[編集]
どんな作品?[編集]
本作は、平凡な日常を送っていた2人の男女が、思いがけない恋に心をかき乱されていく姿を描いたメロドラマである。主人公のイ・ジョンインは「自分の幸せは自分で選ぶ」という価値観を持つ図書館司書。もう1人の主人公ユ・ジホは、礼儀正しく温かい一方で、恋には驚くほど行動が早い薬剤師で、幼い息子を1人で育てている。
ジョンインには交際4年目の恋人がいて、周囲からは結婚を急かされている。ジホにはシングルファーザーとしての事情がある。お互いに「始めてはいけない理由」を抱えた2人が、それでも惹かれ合ってしまう――という、いわゆる「現実メロ」の王道を行く物語だ。
「綺麗なお姉さん」チームの再集結[編集]
本作最大の話題は、2018年にJTBCで大ヒットした『よくおごってくれる綺麗なお姉さん』の演出アン・パンソク、脚本キム・ウン、主演チョン・ヘインの3人が再び組んだことだった。放送前から「精神的な続編」と目され、日本の紹介記事でも「『綺麗なお姉さん』のスタッフとキャストが再集結」と紹介されている。
脇役陣でも、ジュ・ミンギョンやイ・チャンフンなど、アン・パンソク作品の常連・連投組が名を連ねている。ちなみにアン・パンソクは1987年にMBCへ入社し、19年間同局に在籍した演出家で、本作は古巣MBCへの「里帰り」作品でもあった。
MBC水木ドラマの新編成[編集]
放送枠はMBCの水木ドラマ枠。従来この枠は22時台の放送だったが、本作からMBCとして初めて21時台(20時55分頃)に前倒しされた。前番組は『ザ・バンカー』、後番組はシン・セギョン、チャ・ウヌ主演の『新米史官ク・ヘリョン』(2019年7月17日〜)である。
また、韓国の地上波では番組の途中にCMを挟むことが規制されていたため、本作は70分ほどの1回分を約35分ずつの「2話」に分割し、間に広告を挟む形で放送された。そのため1夜に2話ずつ放送され、総話数は全32話とカウントされる。後述の視聴率も「前半(奇数話)」と「後半(偶数話)」で数字が大きく違うのはこのためである。
Netflixで世界同時配信[編集]
Netflixは2019年4月22日、本作のグローバル配信を発表した。アジアと英語圏の大半の地域では、韓国での放送の1時間後から毎週2話ずつ配信。その他の地域では6月1日から毎週配信され、アメリカ、メキシコ、ノルウェー、そして日本では放送終了翌日の2019年7月12日に全話一挙配信という形がとられた。邦題は『ある春の夜に』。
あらすじ[編集]
序盤のあらすじ[編集]
図書館司書のイ・ジョンインは、銀行員のクォン・ギソクと交際して4年目。2人の関係はすっかりマンネリ化しているうえ、ギソクの父クォン・ヨングクは、ジョンインの父イ・テハクが校長を務める高校の理事長でもあり、ジョンインはその家の人々から軽んじられる立場に置かれている。両家の親たちは2人の結婚を急かすが、ジョンイン本人は「本当にギソクを愛しているのか」という迷いを抱えていた。
ある夜、飲み会の翌朝に二日酔いの薬を買いに入った薬局で、ジョンインは薬剤師のユ・ジホと出会う。友人の家に財布を置き忘れていたことに気づいた彼女に、ジホはタクシー代を貸す。
「友達でいましょう」[編集]
ジョンインに一目で惹かれたジホは、メッセージにわざと返事をせず、お金を「直接」返しに来させるという小技を使う。再会したジョンインに好意をほのめかすジホだったが、彼女は「恋人がいるので友達としてなら」と線を引く。そしてジホもまた、自分には幼い息子ウヌがいることを打ち明ける。
ジホは、かつての恋人が突然姿を消し、子どもを産んだあと再び去ってしまったという過去を持ち、それ以来恋愛を避けて生きてきた人物だった。未婚の父であることに対する世間の偏見は強く、見知らぬ人から友人にまで向けられるが、ジョンインだけは彼の事情をまったく気にしない様子を見せる。
中盤の展開[編集]
お互いに関係が難しいことを理解し、距離を取ろうとする2人。しかし会うたびに気持ちは強くなっていく。さらにジホはギソクの大学の後輩でもあり、三角関係の緊張感は回を追うごとに増していく。
一方、ジョンインの姉ソインは歯科医ナム・シフンとお見合い結婚をしていたが、夫の暴力的な振る舞いに苦しみ、事実上の別居状態にある。シフンは離婚を拒み、ソインが離婚を切り出すと脅しをかけてくる。姉妹それぞれの「結婚」をめぐる物語が並行して描かれていく。
結末(ネタバレ注意)[編集]
以下、最終回までの重大なネタバレを含む。
ジョンインとジホは交際を選び、ジョンインはギソクとの関係を終わらせる。ギソクはなおも結婚を迫り、ジョンインの母シン・ヒョンソンに「ジホは悪い男で、金目当てだ」とほのめかすが、母は取り合わない。ジョンインの父テハクも、ギソクの父ヨングクも、もはやギソクとの結婚には冷淡になっていた。
最終回(第31・32話)では、ヒョンソンがジホに会いたいと申し出て、ジホは息子ウヌを連れて会いに行く。「何があってもジョンインとウヌを守る」と語るジホに、ヒョンソンは涙を浮かべて微笑む。反対していたテハクも、ジョンインが涙ながらに「私の幸せを見守ってほしい」と頼んだことで態度を和らげる。
ソインと離婚したばかりのシフンは、1人で飲んでいた店でギソクと鉢合わせし、互いを責め合う。その後、父から「もう十分だ」と言われたギソクはジョンインに謝罪のメッセージを送り、前に進むことを決める。
ジョンインは花束を持ってジホの両親を訪ね、ウヌを大切にすると約束する。酔っ払ったジホに「禁酒の誓約書」を書かせていたジョンインだったが、最後はジホから「結婚の誓約書」を求められる。ラストは2人が初めて出会った薬局の回想と重なり、薬局の中でキスを交わして物語は幕を閉じる。
キャスト・登場人物[編集]
主要人物[編集]
- イ・ジョンイン(演:ハン・ジミン)
- 図書館司書。3姉妹の次女。交際4年の恋人ギソクとの結婚を周囲から急かされている。感情に正直で、ときに自分勝手にも見える人物で、ハン・ジミンは「いつも好感が持てるわけではないが、それが人間らしさ」と語っている。
- ユ・ジホ(演:チョン・ヘイン)
- 薬剤師。息子ウヌを育てるシングルファーザー。温かく礼儀正しいが、負けず嫌いで恋には積極的。チョン・ヘインにとって初の「父親役」だった。
- クォン・ギソク(演:キム・ジュンハン)
- ジョンインの恋人で銀行員。裕福な家の息子。ジホの大学の先輩にあたる。
ジョンインの家族[編集]
- イ・ソイン(演:イム・ソンオン)
- ジョンインの姉で放送局のアナウンサー。夫の暴力に苦しみ、離婚を望んでいる。
- ナム・シフン(演:イ・ムセン)
- ソインの夫で歯科医。離婚に応じず、ソインを脅す。
- イ・ジェイン(演:ジュ・ミンギョン)
- ジョンインの妹で大学生。
- イ・テハク(演:ソン・スンファン)
- ジョンインの父。スヨン高校の校長。
- シン・ヒョンソン(演:キル・ヘヨン)
- ジョンインの母で専業主婦。
ジホの周辺[編集]
- ユ・ウヌ(演:ハ・イアン)
- ジホの幼い息子。
- ユ・ナムス(演:オ・マンソク)、コ・スッキ(演:キム・ジョンヨン)
- ジホの両親。2人でコインランドリーを営む。
- ワン・ヘジョン(演:ソ・ジョンヨン)
- ジホの職場の同僚で友人。
- イ・イェスル(演:イ・ユジン)
- ジホの同僚。学生アルバイト。
- パク・ヨンジェ(演:イ・チャンフン)
- ジホの親友。
- チェ・ヒョンス(演:イム・ヒョンス)
- ジホの友人で銀行員。
その他[編集]
- ソン・ヨンジュ(演:イ・サンヒ)
- ジョンインの図書館の同僚で親友。
- オ・ハリン(演:ユン・スル)
- 図書館の同僚。
- クォン・ヨングク(演:キム・チャンワン)
- ギソクの父。テハクが校長を務める学校の理事長。
- 弁護士(演:イ・ジヒョン)
制作[編集]
キャスティング[編集]
2019年1月、女性主人公役として最初に名前が挙がったのは、『綺麗なお姉さん』でチョン・ヘインと共演したソン・イェジンだったが、彼女は出演を辞退した。同月29日にハン・ジミンとチョン・ヘインの主演が確定する。
その後、2月11日にキム・チャンワン、キル・ヘヨン、オ・マンソク、ソ・ジョンヨン、2月20日にキム・ジュンハン、2月25日にジュ・ミンギョン、3月7日にイム・ソンオンとイ・サンヒ、3月13日にイ・チャンフンの出演が順次発表された。撮影は2019年3月に始まったと報じられている。
制作発表会[編集]
2019年5月20日、ソウル・九老区のラマダ・ソウル新道林ホテルで制作発表会が開かれた。アン・パンソク監督は、約1年ぶりにチョン・ヘインと再び仕事をすることに「胸がいっぱい」と語り、19年間勤めたMBCに戻ってきた感慨も明かした。
ハン・ジミンは本作について「人工的な味付けのない、リアルなドラマ。恋愛や結婚について多くの人が共感できる状況が描かれている」と説明。ソン・イェジンとの比較については「ソン・イェジンさんは尊敬する先輩で、役柄も違う。どちらが上手いかで見られたくないし、比較を理由に出演をためらうことはなかった」と答えた。
チョン・ヘインは出演の決め手を「監督への信頼」と語り、2人の状況を「冷静と情熱のあいだ」と表現した。年下男性のイメージについては意識して脱却しようとはせず、台本に集中したという。初の父親役については、子役の性格や好みを研究し、明るい子役のおかげで現場が和んだと話している。ハン・ジミンのことは一度も「ヌナ(お姉さん)」と呼んだことがなく、撮影が終わったら呼ぶつもりだと語って笑いを誘った。
撮影現場[編集]
パク・ヨンジェ役のイ・チャンフンによれば、撮影の大半は実際の「春の夜」に行われ、爽やかな気候と現場の雰囲気のおかげで疲れを感じることがなかったという。タイトルどおりの季節に撮影されていたわけである。
アン・パンソク作品らしく、長回しを多用した演出も特徴で、文化日報のレビューでは「刺激的なコンテンツが多い中で珍しい正統派ロマンス」と評され、長回しと主演2人の演技が高く評価された。
OST[編集]
音楽監督はイ・ナミョン。メイン曲の多くは、アメリカのシンガーソングライターであるレイチェル・ヤマガタが歌っている。アン・パンソク監督は制作発表会で「最初からレイチェル・ヤマガタを歌手に決めて曲を作った。作るほどに欲が出てきた」と語っている。
Part.1「No Direction」は、音楽監督イ・ナミョン、レイチェル・ヤマガタ、彼女の長年の音楽仲間ケヴィン・セーラムの3人が、台本を読んだうえでニューヨークで共同作詞・作曲した楽曲。第1話から流れ、主人公2人の絡まった状況と感情を表現している。Part.3「Is It You」も同じ3人による楽曲で、エンディング曲として使われた。
| パート | 曲名 | 歌手 | 公開日 |
|---|---|---|---|
| Part.1 | No Direction | レイチェル・ヤマガタ | 2019年5月29日 |
| Part.2 | Spring Rain | オスカー・ダンバー | 2019年6月5日 |
| Part.3 | Is It You | レイチェル・ヤマガタ | 2019年6月12日 |
| Part.4 | We Could Still Be Happy | レイチェル・ヤマガタ | 2019年6月19日 |
| Part.5 | Spring Waltz | カーラ・ブルーニ | 2019年6月26日 |
2019年7月11日(最終回の放送日)には全9曲入りのOSTアルバムが発売された。上記5曲に加え、「Spring Waltz('50s version)」、ケヴィン・セーラムの「Rain on leaves」、イ・ナミョンによるインスト曲「Mixed Emotions」「Grief」が収録されている。韓国ドラマのOSTとしては珍しく、収録曲がすべて英語詞・洋楽系で固められているのが特徴だ。
視聴率[編集]
推移[編集]
ニールセン・コリアの全国基準で、初回(第1話)は3.9%、続く第2話は6.0%でスタートした。前述のとおり1夜2話構成のため、前半(奇数話)は低め、後半(偶数話)は高めに出る傾向がある。最低は第3話の3.6%。
その後は右肩上がりで推移し、第12話で8.4%(ソウル首都圏基準9.8%)を記録して水木ドラマ1位に。最終回の第32話では全国9.5%、ソウル基準10.8%と自己最高を更新して有終の美を飾った。全32話の平均は6.4%とされる。
| 区分 | 全国 | ソウル |
|---|---|---|
| 初回(第1話) | 3.9% | 4.6% |
| 第2話 | 6.0% | 7.0% |
| 最低(第3話) | 3.6% | 4.3% |
| 第12話 | 8.4% | 9.8% |
| 最高(第32話・最終回) | 9.5% | 10.8% |
(ニールセン・コリア調べ)
話題性[編集]
視聴率以上に強かったのが「話題性」で、調査会社グッドデータコーポレーションが発表した放送初週(2019年5月第4週)のドラマ話題性ランキングでは、本作が21.07%のシェアで1位。2位の『彼女の私生活』(10.62%)にダブルスコアをつけた。出演者部門でもチョン・ヘインが1位、ハン・ジミンが2位を独占し、シン・ヘソン、パク・ミニョン、パク・ボヨン、チョ・ジョンソクらを抑えた。同週のランキングには『ボイス3』なども入っていた。
評価[編集]
好評価[編集]
繊細でリアルな恋愛描写、主演2人の場面のときめき、長回しを生かした演出は高く評価された。アメリカのForbesは、本作が韓国社会におけるシングルペアレント(ひとり親)への偏見に光を当てたとする記事を掲載している。HanCinemaは、『綺麗なお姉さん』と比べて本作は「変化によって恋愛がどう形づくられるか」により関心を寄せており、「結婚とは何か、なぜ人は結婚したがるのか」という社会的な問いが強い作品だと分析した。
「浮気ドラマ」論争[編集]
一方で、恋人がいる状態でジホに惹かれていくジョンインの姿をめぐっては、「乗り換え別れ(換乗離別)ではないか」「男女が逆なら浮気だとさらに叩かれていた」といった批判も一部の視聴者から上がった。ジョンインが優柔不断に見える、ギソクが悪役として描かれすぎている、といった声もあった。
これに対し制作陣は「浮気かどうかは見る人によって違う。リアルな恋愛として見てほしい」とコメント。展開がゆっくりなのは複雑な感情を描くためで、ジョンインとギソクの関係の背景も今後描かれると説明している。
受賞[編集]
2019年12月30日の「2019 MBC演技大賞」で、チョン・ヘインとハン・ジミンがそろって水木ドラマ部門の最優秀演技賞を受賞した。チョン・ヘインは「あまりにも早く大きな賞をいただいた」と語り、アン・パンソク監督とハン・ジミンに感謝を述べた。ハン・ジミンは「『ある春の夜に』を通して、愛と家族、関係について多くを学んだ」とコメントしている。
配信[編集]
日本ではNetflixで、2019年7月12日から全話が配信された。2026年10月時点でも、配信情報サイトJustWatchの日本版ではNetflixでの見放題配信が掲載されている。
本作はNetflixの「独占配信」作品として扱われており、韓国MBCでの放送とほぼ同時期にアジア・英語圏の多くの地域で配信されたことも、海外ファンの獲得に一役買った。
余談[編集]
- 第1話の出会いの場面では、二日酔いの薬を買いに来たジョンインに、ジホが「輪ゴムは要りますか」と尋ねる。最終回ではこの初対面のシーンが回想として再び登場する。
- 第13話で、書架の高い所に本を戻そうとするジョンインをジホが持ち上げる場面は、ファンの間で人気のシーンとされる。
- チョン・ヘインはハン・ジミンより年下で、制作発表会では「一度もヌナと呼んだことがない」と明かしていた。
- 最終回後、ハン・ジミンとチョン・ヘインはそろって「毎年春が来るたびに思い出してほしい」という趣旨のメッセージを残した。ギソク役のキム・ジュンハンは「元恋人の立場で物語を経験したので、まだ胸がひりひりする」とコメントしている。
- ナム・シフン役のイ・ムセンは、自身の役を「見ていてつらい人物」と表現しつつも、演じて多くを得たと振り返っている。
- 演出のアン・パンソクは2026年8月に死去しており、遺作は『恋愛の博士課程』となった。
