| 破局予定の悪女のはずが、冷徹公爵様が別れてくれません! | |
|---|---|
| 作家 | 甘夏みのり、仲島歩 |
| 作画 | 甘夏みのり×仲島歩 |
| ジャンル | 悪役令嬢、恋愛ファンタジー |
| 出版社 | KADOKAWA |
| 配信 | カドコミ、ピッコマ ほか |
| 略称 | 破局予定の悪女 |
| 原作 | 琴子 |
| その他 | キャラクター原案:宛 |
| リンク | https://comic-walker.com/detail/KC_000772_S |
概要
破局予定の悪女のはずが、冷徹公爵様が別れてくれません!とは、琴子の小説を原作とし、甘夏みのり×仲島歩が作画を担当する日本の漫画である。KADOKAWAから刊行され、ピッコマなどのアプリでも配信されている悪役令嬢もの。
詳細
本作の主人公グレースが転生したのは、悪役令嬢ですらない。物語の当て馬以下の端役、「男好きで強欲な悪女」という役どころである。悪役令嬢ものの多くが「破滅する運命の令嬢」に転生するのに対し、本作はさらに一段下の、名前を覚えられないような脇役から始まる。
そのうえで課された条件が変わっている。グレースは物語の筋書きどおりに悪女を演じきらなければならない。冷徹公爵ゼインを弄んで捨て、彼がヒロインと出会うきっかけを作る。それをしなければ戦争が起き、グレース自身も死ぬ。つまり本作の主人公は、破滅を回避するために悪事を働かなければならないという逆立ちした立場に置かれている。
ところが本人の性格が真面目すぎて、悪女になりきれない。中途半端な悪女ぶりが公爵にはむしろ好意的に受け取られ、捨てるはずの相手から「絶対に別れてなんかあげないよ」と溺愛される。目的と結果が正反対に進むという構造が、この作品の全部である。
コミックスは2023年5月から刊行されている。なお韓国発のウェブトゥーンではなく、小説家になろう発の日本の横読み漫画である。
あらすじ
気がつくと、グレースは読んでいた小説の世界に転生していた。しかも役どころは主人公でもヒロインでもなく、当て馬にすら届かない端役の悪女。物語では冷徹公爵ゼインを弄んだ末に捨て、彼とヒロインの出会いを用意する役目を負っている。
その筋書きから外れれば戦争が起き、自分の命もない。バッドエンドを避けるためにグレースは全力で悪女を演じようとするが、根が生真面目なせいで悪事が悪事に見えない。捨てるつもりだった公爵は、なぜか彼女を離そうとしなくなる。
悪役令嬢ものの中での位置
宇宙wikiで扱っているピッコマの悪役令嬢・転生ものを並べると、本作の型がはっきりする。
- 『悪役令嬢たちは揺るがない』 - 悪女という評価そのものを相手にしない「揺るがない型」。
- 『忠誠心がないと言われたので婚約を解消してあげました。』 - 切り捨てた側を見返す「見返す型」。
- 『ウィズレイン王国物語 ~竜が花嫁~』 - 前世の記憶を取り戻して関係を再演する「思い出す型」。
- 本作 - 破滅を避けるために悪女を演じようとして失敗する「演技失敗型」。
この4つを並べると、悪役令嬢ものがすでに単一のジャンルではなく、内部に複数の様式を抱えた棚になっていることが分かる。本作の位置は、悪役令嬢ものの前提(悪女=破滅)をそのまま受け入れたうえで、主人公の性格だけで壊してみせるところにある。設定を書き換えるのではなく、人格で筋書きを崩すという解法である。
版元と配信の棚
本作を刊行するKADOKAWAは、小説家になろうやカクヨム発の作品をコミカライズしてピッコマ・LINEマンガの棚へ送り込む供給元として、この分野で最大級の存在である。宇宙wikiが扱うウィズレイン王国物語 ~竜が花嫁~や悪役令嬢たちは揺るがない、傭兵団の料理番も同社系の作品にあたる。
日本の横読み漫画と韓国発の縦読みウェブトゥーンが同じアプリの同じランキングで並ぶようになった結果、読者の側では両者の区別が薄れつつある。『更生島』のような韓国発の転生ものと本作が隣り合って表示されるのが、現在のピッコマの棚である。制作の流れも読み方も違う作品群が、一つのランキングで直接競合しているという意味では、かなり特殊な市場と言える。
よくある質問
- 悪役令嬢ものが苦手でも読める?
- 本作は「悪女を演じようとして失敗する」というコメディ寄りの構造が中心で、断罪シーンや復讐の要素は薄い。ジャンルの定番展開を期待して読むとやや外れる。
- 作画が2人いるのはなぜ?
- 甘夏みのりと仲島歩の連名で作画が表記されている。ウェブ漫画では作画を分業する体制が珍しくなく、線と仕上げ、あるいはネームと作画を分担する形が取られることがある。
余談
- タイトルの「別れてくれません!」という言い回しは、悪役令嬢ものの定番である「婚約破棄」の逆をいくものである。このジャンルでは主人公が一方的に婚約を破棄される場面から始まるのが通例で、その前提を知っている読者ほどタイトルだけで笑える構造になっている。
- 「当て馬以下の端役に転生する」という設定は、転生先のグレードを下げ続けてきた近年の転生ものの流れの延長にある。かつては王女や聖女、次に悪役令嬢、さらにモブ、そして端役の悪女へと、主人公の初期値は年々下がってきた。
- キャラクター原案に宛が立てられており、小説の挿絵と漫画の作画が別人という体制になっている。ウェブ小説のコミカライズでは、挿絵で定着したキャラクター像を漫画側が引き継ぐために原案クレジットを残す例が多い。