Kemono
Kemono
略称 ケモノ、ケモパ
国家 不明(ドメイン登録情報上はセントクリストファー・ネイビスなどが表示)
種類 匿名運営のウェブサイト
業種 有料コンテンツの無断転載(アーカイブ)サイト
本社所在地 不明
設立日 2020年
設立者 不明(匿名)
代表者 不明(匿名)
所有者 不明
主要部門 Kemono(Patreon・pixivFANBOX等の転載)、Coomer(OnlyFans・Fansly等の転載)
別名 Kemono.party、Kemono.su(いずれも過去の名称)、ケモノパーティ


概要[編集]

Kemono(ケモノ)とは、Patreon、pixivFANBOX、Fantiaなどのクリエイター支援サービスで有料公開されている投稿を、権利者の許可なく取り込んで無料で公開している匿名運営の海賊版サイトである。2020年に閉鎖した転載サイト「yiff.party」の後継的存在として登場し、旧称の「Kemono.party」で広く知られる。OnlyFans等の実写系を扱う姉妹サイト「Coomer」も同じ仕組み・同じ運営とされる。

詳細[編集]

どういうサイトか[編集]

Kemonoは、有料の支援プランに加入しないと見られない投稿(イラスト、漫画、差分画像、PSDファイル、動画、音声、ゲームのビルドなど)を、クリエイター単位・投稿単位で一覧化して公開している。クリエイター名で検索でき、元サービスでの投稿日時や本文までほぼそのまま再現される点が特徴で、単なる画像の寄せ集めではなく「有料サービスの丸ごとコピー」に近い。ナムウィキの記述によれば、2024年4月末時点で保有投稿数は1,200万件を超えていたとされる。

対象サービス[編集]

転載対象として名前が挙がってきたのは、Patreon、pixivFANBOX、Fantia、Discord、Gumroad、Boosty、SubscribeStar、Afdian(愛発電)、DLsiteなどである。ただし時期によって取り込みが止まったサービスも多く、Fantia、Afdian、DLsite、SubscribeStarは取り込みが停止中と整理されることが多い。pixivFANBOXについては「止まった」「復活した」を繰り返してきた。OnlyFansとFanslyは本体ではなく姉妹サイトのCoomerが担当している。

名前の由来[編集]

「Kemono」は日本語の「ケモノ(獣)」に由来する。前身のyiff.partyがファーリー(ケモノ)系作家のPatreonを主な対象としていたことから、その流れをくむ名前になったとみられている。英語圏の紹介記事でも「furry art」のサイトと説明されることがあるが、実際の転載対象は一般のアニメ・漫画調のイラストレーターや同人誌作家、ゲーム制作者まで幅広い。

歴史[編集]

前身:yiff.party(2015年〜2020年)[編集]

Kemonoの源流とされるのが「yiff.party」である。ファーリー系百科事典WikiFurによれば、yiff.partyは2015年7月23日、匿名掲示板8chanのファーリー板のユーザーによって開設された。当初はボットでファーリー系作家のPatreonを巡回して内容を収集する仕組みで、ホスティング事業者や作家からの圧力を受けて一時は8chan利用者向けに閉じた運営をしていた。

2016年、Patreonが「前払い課金」を導入したことでボットによる収集は一時的に難しくなったが、yiff.partyは2017年4月、実際に支援している利用者が自分のアクセス権で見られる投稿をアップロードする「ポストインポーター」を導入して対抗した。同年には一般向けのユーザー登録も始めたが、新規アカウントにはインポーターによる提供が求められたという。2015年9月には、作家の代理人を務める団体が多数の削除要請を送り法的措置も示唆するなど、作家側との対立は開設直後から続いていた。

2019年には運営者がサーバー維持費の支援を呼びかけていたが、2020年11月14日、管理者が約5年の運営を経て閉鎖を告知した。ナムウィキでは「運営に興味を失った」ことが理由として紹介されている。

Kemono.partyの登場(2020年〜)[編集]

yiff.partyの閉鎖とほぼ同時期の2020年、その空白を埋める形で登場したのがKemono.partyである。ダウンロードツールの開発者コミュニティでも、2020年末には「Patreon、DLsite、Fantiaなどのスクレイパー」として話題になっており、yiff.partyの利用者が一気に流入したことで急速に拡大した。サービス名・作家IDごとに投稿を取得できるAPIを備えていた点も、自動ダウンロードツールと組み合わせて大量取得されやすい要因になった。

2021年7月11日には、公式を名乗るTwitterアカウントがクリエイターのアカウントを次々とメンションする騒ぎがあり、その後アカウントは削除されたとされる。

ドメイン移転の歴史[編集]

Kemonoは当初「.party」ドメインで運営されていたが、ドメイン登録事業者から「過度なトラブル」を理由に削除通知を受けたとされ、その後はソ連時代の国別ドメイン「.su」に移った。さらに2025年にも再び移転しており、ドメインを何度も変えながら運営を続けてきた。日本のブロガーによる調査では、ドメイン登録情報の所在地はセントクリストファー・ネイビスとなっており、2025年時点ではサーバーのIPアドレスがアラブ首長国連邦ドバイのものに変わっていたと報告されている。

障害と「閉鎖」騒ぎ(2024年〜)[編集]

2024年4月21日前後には、クリエイターページの更新停止、Patreonインポーターの停止、DNSエラーや502エラーが同時多発し、「閉鎖したのでは」と騒がれた。「インフラ費用を一人で払っていた人物が支払いをやめた」という説が広まったが、裏付けは取れていない。2024年9月には日本のブログで「更新停止、閲覧できなくなっており閉鎖された」と報告されるなど、長期停止のたびに閉鎖説が流れては、しばらくして復旧するという状態が繰り返されている。2026年4月以降もダウンロード機能の停止やAPI障害など不安定な状態が続いていると整理されている。

仕組み[編集]

インポーター[編集]

Kemonoのコンテンツの大半は、運営が自ら支援しているのではなく、実際に有料プランに加入している利用者から提供される。日本のブロガーの解説によれば、支援者が自分の支援サービスのログイン状態を示す情報をKemono側の「インポーター」に渡すことで、そのアカウントで閲覧できる投稿が自動的に取り込まれる仕組みとされる。一度登録されたセッションが有効な間は新しい投稿も定期的に取り込まれるため、元サービスで投稿した数時間後に転載されることも珍しくないとされる。

閲覧側[編集]

閲覧にユーザー登録は必須でなく、メールアドレスなしでアカウントを作ってお気に入り登録もできる。画像は圧縮版が既定で表示され、原寸ファイルは別途ダウンロードする形式になっている。サイト運営は広告と寄付に依存しているとみられ、利用者からは広告枠経由でアダルト広告や偽警告ページが表示されるという報告がある。

マスコット[編集]

サイトには「Kたん」と呼ばれるマスコットキャラクターが存在する。ナムウィキによれば、ブラジルのアーティストが第三者を通じて依頼され制作したもので、作者自身はサイト運営とは無関係とされるが、転載サイトの顔として作者が批判を受けることもあったという。

Coomer[編集]

Coomer(旧称Coomer.party)は、Kemonoの実写版ともいえる姉妹サイトで、OnlyFansやFanslyなど、主に実写の有料コンテンツを扱う。UIはKemonoと同一で、運営者も同じとされる。Kemonoと同様に「.party」から「.su」、さらに別ドメインへと移転を重ねてきた。OnlyFansのクリエイターにとっては、有料投稿がほぼ即時に流出する経路の一つとして問題視されており、流出コンテンツの削除代行サービスが英語圏で商売として成立する背景にもなっている。日本のMyFansやFantiaの実写系クリエイターも、同種の転載被害に言及することがある。

クリエイターの被害と対抗策[編集]

被害[編集]

支援型サービスは「限定コンテンツに対価を払ってもらう」ことで成り立つため、無料で全投稿が閲覧できる転載先の存在は収益に直結する。英語圏の削除代行業者の記事では、Kemonoへの流出後に数週間で支援者が30〜60%減ったというクリエイターの報告が紹介されている(業者側の集計であり、中立的な統計ではない)。日本でもX上で「KEMONOは最悪」「支援者が減った」といった声が繰り返し上がってきた。さらに、転載画像がDanbooru等を経由して生成AIの学習データセットに入り込んでいると問題視する日本のクリエイターもいる。

自衛策[編集]

クリエイター側の対抗策として定着したのは、次のような方法である。

  • 投稿本体をクラウドストレージのリンクで配布し、リンクを定期的に差し替える
  • 限定ファイルをパスワード付きZIPで配布し、パスワードは別経路(Discord、DMなど)で伝える
  • 画像に支援者ごとに異なる透かしやIDを埋め込み、転載元アカウントを特定してブロックする
  • 転載が確認された期間は支援者へのコンテンツ公開を一時停止する

実際に「無断転載への対策としてコンテンツ公開を停止し、後に一部解除した」とFANBOXで告知したクリエイターや、パトロンサイトの運用方針そのものを変更したクリエイターも存在する。

DMCA・削除要請[編集]

サイトには法的連絡用のメールアドレスが掲示されているが、日本語圏の調査では実質的な応答はないとされる。このため、アメリカ合衆国のデジタルミレニアム著作権法(DMCA)に基づく削除要請を、サイト本体ではなくGoogleの検索結果、CDN事業者、ドメイン登録事業者、ホスティング事業者に並行して送る手法が一般的になっている。削除代行業者は、検索結果からの削除(デインデックス)が最も効果の高い手段だとしている。

プラットフォーム側の反応[編集]

pixivFANBOX[編集]

pixivFANBOXは個別規約で投稿情報の無断転載を禁止しており、2023年9月頃には一時的に転載サイト側の取り込みが止まる対策を実施したと報告されている(その後、取り込みは再開したとされる)。2024年7月にはCloudflareの「Managed Challenge」を段階的に導入し、機械的なアクセスを制限した。

2026年3月30日には「一部無断転載サイトに対するFANBOXでの取り組みとその沈静化について」を公表し、転載サイトにログイン情報を提供していたアカウント372件の利用停止、検索エンジンへの8万2,800件の削除申請などの実績を報告した。さらに2026年9月29日からは、Google検索結果からの削除申請をFANBOX運営がクリエイターに代わって行うサービスを開始するとしている。

Fantia[編集]

Fantiaはパスワードリセットやスクレイピング検知、不正クローリング対策、二段階認証の必須化、違法アップロード対策などを段階的に実施してきた。転載サイト側のFantia取り込みは停止中と整理されることが多い。

Patreon[編集]

Patreonは前身のyiff.party時代から最大の転載元であり続けている。2016年の前払い課金導入は、結果的に「支援者のアクセス権を使うインポーター方式」へと転載側の手口を変えさせることになった。Patreonのクリエイター自身が「自分の投稿がKemonoに盗まれた」と告知する投稿も多数見られる。

違法性[編集]

日本の著作権法では、権利者の許可なく有料コンテンツを公開する行為は公衆送信権の侵害にあたる。2021年1月施行の改正著作権法以降は、違法にアップロードされたと知りながら漫画・イラスト・写真などをダウンロードする行為も、一定の条件のもとで違法となった(軽微なものなどは除外)。また支援サービス側の規約では、支援者が有料コンテンツを第三者に提供すること自体が禁止されており、セッション情報を提供したアカウントは利用停止の対象になる。

余談[編集]

  • 前身のyiff.partyは匿名掲示板8chanのファーリー板から生まれたため、「Kemono(ケモノ)」という日本語の名前がそのまま英語圏の転載サイトの名前になったとされる。
  • 旧ドメインの「.su」はソビエト連邦の国別ドメインで、ソ連崩壊後も管理が続いていることから、削除されにくいドメインとして選ばれたのではないかという見方がある。
  • 姉妹サイトの「Coomer」は、英語圏のネットスラングに由来する名前とされる。
  • 大規模障害のたびに「ついに閉鎖」と話題になり、数週間後に復旧する流れが何度も繰り返されている。
  • 5ちゃんねるの同人板には専用スレッドが立ち、パート番号を重ねてきたという。

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