| 鬼宮 귀궁 / Gwigung / The Haunted Palace | |
|---|---|
![]() ユン・ガプ/カンチョリの一人二役を務めたユク・ソンジェ(2024年11月。出典:ウィキメディア・コモンズ) | |
![]() ヒロインのヨリを演じたキム・ジヨン(宇宙少女ボナ、2022年12月。出典:ウィキメディア・コモンズ) | |
| ジャンル | ファンタジー・ロマンティックコメディ時代劇(オカルト/憑依もの) |
| 放送シーズン | 全1シーズン |
| 放送期間 | 2025年4月18日 - 2025年6月7日 |
| 放送時間 | 毎週金・土曜 21:50(韓国時間) |
| 話数 | 全16話(日本のテレビ放送では分割版の表記もある) |
| 放送国家 | 韓国 |
| 言語 | 韓国語 |
| 配給 | SBS |
| 放送局 | SBS |
| 配信 | 日本:Lemino(2025年・日韓同日独占)、ABEMA(2026年3月・無料配信)ほか |
| 平均視聴率 | 全国9.5%(最高11.0%・最終回/ニールセンコリア) |
| 制作 | |
| 企画 | Studio S |
| 演出 | ユン・ソンシク、キム・ジヨン |
| 制作 | iWill Media(アイウィルメディア)、Studio S |
| 脚本 | ユン・スジョン |
| 出演者 | ユク・ソンジェ(BTOB)、キム・ジヨン(宇宙少女ボナ)、キム・ジフン ほか |
| その他 | |
| 原作 | なし(オリジナル脚本) |
| 制作費 | 約200億ウォン(報道による) |
| 外部リンク | ABEMA 公式特設ページ |
概要[編集]
鬼宮(ききゅう、原題:귀궁〈クィグン〉、英題:The Haunted Palace)とは、2025年4月18日から6月7日まで韓国のSBSで放送された全16話のファンタジー・ロマンス時代劇である。龍になり損ねた大蛇の悪神と、巫女の宿命を拒んだ女性が「一つの体」を挟んで反目し合いながら、王家を呪う怨霊に立ち向かう物語で、最終回で自己最高の全国11.0%を記録した。
詳細[編集]
「体を奪われた初恋の人」という仕掛け[編集]
物語の核は、ヒロインのヨリが13年間ずっと逃げ回ってきた悪神カンチョリが、よりによって彼女の初恋の相手ユン・ガプの体に入り込み、しかも抜け出せなくなるという設定である。外見は誠実な検書官ガプなのに、中身は人間嫌いで口の悪い千年ものの大蛇――というギャップがコメディの原動力になり、同時に「本物のガプの魂はどこへ行ったのか」という切ないミステリーが物語を引っ張っていく。韓国メディアはこの構図を「ボディバトル・ロマンス」と表現した。
朝鮮風の宮廷×Kオカルト[編集]
舞台は架空の王イ・ジョンが治める朝鮮風の王朝。王子が原因不明の狂気に冒され、宮中では怪異が続発している。その背後にいるのが、王家に百年来の恨みを抱く巨大な怨霊「八尺鬼(パルチョッキ)」だ。巫俗儀礼であるクッ、井戸に棲む処女鬼、靴を盗む子どもの鬼など、韓国の民間信仰に根ざした「K鬼神」が次々と登場し、宮廷政治劇とホラーと恋愛劇が一本のドラマに同居している。
2025年のSBS唯一のファンタジー時代劇[編集]
本作はSBSにとって2025年唯一のファンタジー時代劇と位置づけられ、私の完璧な秘書など好調が続いていた金土ドラマ枠を引き継いだ。初回は全国9.2%で、同年のSBSドラマの初回視聴率として最高を記録。以後もほぼ毎週土曜ミニシリーズ1位を争い、終盤まで大きく崩れることなく走り切った「安定型ヒット」である。
日本での立ち位置[編集]
日本では韓国放送と同時にLeminoが独占配信し、2026年3月にはABEMAが国内初の無料配信を実施して一気に認知を広げた。さらに2026年11月からはCSの衛星劇場でテレビ放送が始まり、「配信で見逃した層」がテレビで追いかけられるようになった。
あらすじ[編集]
序盤:13年越しの因縁[編集]
強い霊力を持って生まれたヨリは、巫女である祖母の跡を継ぐことを拒み、眼鏡職人として暮らしている。だが幼い頃から、人間のせいで龍に昇れず悪神と化した大蛇・カンチョリに付きまとわれてきた。カンチョリはヨリの体を器にしようと狙い続けており、彼女にとっては不倶戴天の敵である。
ガプの死とカンチョリの憑依[編集]
そんな折、故郷を離れていた初恋の相手ユン・ガプが、王に仕える検書官となって戻ってくる。王子の病を祓うため、ヨリを宮へ連れて行こうとするガプ。しかし二人が漢陽へ向かう山中で、ガプは政敵の手にかかって命を落とす。ヨリに近づく好機と見たカンチョリはガプの体に乗り移るが、その体から出られなくなってしまう。こうして「初恋の人の顔をした宿敵」と、ヨリの奇妙な共同生活が始まる。
中盤:宮中の怪異と八尺鬼[編集]
ガプの体のまま宮廷に入ったカンチョリと、ガプの魂を取り戻したいヨリは、反発し合いながらも王宮に潜む怪異を一つずつ解き明かしていく。やがて王家を百年にわたって呪ってきた八尺鬼の存在が浮かび上がり、王イ・ジョン自身もその標的となる。いがみ合っていた二人の関係は、共闘のなかで少しずつ変化していく。
終盤と結末(ネタバレ注意)[編集]
第13話前後で八尺鬼の正体が明かされる。それは百年前、敵から逃れるために王が一つの村を犠牲にした事件で家族と村人を失った御営庁の武官チョン・グムフィと、村の無数の怨霊が融合した存在だった。終盤では王イ・ジョンが八尺鬼に体を乗っ取られる危機に陥る。最終回ではヨリが命懸けで霊を呼び、カンチョリは自らの如意珠の力を使い果たして彼女を救う。ヨリの祭祀と王の心からの謝罪によって八尺鬼の恨みは解け、霊たちは三途の川を渡っていく。蘇ったカンチョリは龍への昇天を捨て、ヨリと夫婦として生きる道を選ぶ――という大団円で幕を閉じた。
登場人物とキャスト[編集]
主要人物[編集]
- ユン・ガプ/カンチョリ(演:ユク・ソンジェ)
- 王の改革を支える聡明な検書官ガプと、その体に閉じ込められた大蛇の悪神カンチョリの一人二役。誠実で寡黙なガプと、傲慢で毒舌なのにどこか憎めないカンチョリを、表情と声色だけで演じ分けた。ユク・ソンジェはBTOBのメンバーで、トッケビなどで知られる俳優でもある。本作が初の時代劇だった。
- ヨリ(演:キム・ジヨン)
- 巫女の家系に生まれながら、その運命を拒んで眼鏡職人として生きる女性。霊を見て話す力を持ち、鬼神たちとも心を通わせていく。演じたキム・ジヨンは宇宙少女のボナとして知られ、二十五、二十一などで俳優としても評価を高めてきた。
- イ・ジョン(演:キム・ジフン)
- 改革を推し進める若き王。ガプやヨリと手を組んで八尺鬼に立ち向かうが、物語が進むにつれて自らも呪いに呑まれていく。英雄と悪役の間を揺れ動く難役である。
- カンチョリ(憑依前)(演:キム・ヨングァン)
- 人の体に入る前の、本来の姿のカンチョリ。特別出演としてクレジットされた。
宮中・巫俗の人々[編集]
- チェ・インソン(演:シン・スルギ)
- 権勢を誇るチェ・ウォヌ家の一人娘。
- チェ・ウォヌ(演:アン・ネサン)
- 王朝の重臣。
- プンサン(演:キム・サンホ)
- 八尺鬼を「天将」として仕える盲目の巫覡。物語の黒幕側の人物。
- セウォン(演:ハン・スンビン)
- プンサンの右腕として手足のように動く男。
- ノプトク(演:キル・ヘヨン)
- 名の知れた巫女。演じたキル・ヘヨンは本作で助演賞を受けた。
- ヨングム(演:チャ・チョンファ)
- 宮中の人物の一人。演じたチャ・チョンファは本作でSBS演技大賞の優秀演技賞を受けた。
- キム・ボンイン(演:ソン・ビョンホ)
- 宮中の重臣の一人。
- 大妃(演:ハン・スヨン)、中殿パク氏(演:ハン・ソウン)
- 王室の女性たち。
- キム・ウンスン(演:キム・イングォン)、ガソプ僧(演:イ・ウォンジョン)、ビビ(演:チョ・ハンギョル)
- ヨリとカンチョリの周囲を彩る脇役陣。
- 王子イ・グァン(演:パク・ジェジュン)
- 原因不明の狂気に冒された王子。物語の発端となる。
鬼神たち[編集]
- 八尺鬼/チョン・グムフィ(演:ソ・ドヨン)
- 王家を呪う身の丈およそ2.4メートルの怨霊。正体は百年前の御営庁の武官。
- オギム(演:ソン・スイ)
- 中宮殿の裏庭の井戸に棲む処女鬼。序盤はガプの声を真似てヨリを誘い込む恐ろしい存在だったが、のちにヨリの親友のような存在になる。
- 夜光鬼(演:パク・ダオン)
- 人の靴を盗む子どもの鬼。母を恋しがる姿が涙を誘った。
制作[編集]
スタッフ[編集]
脚本は、時代劇『王の顔』や青春ドラマ『チアアップ』を手がけたユン・スジョン。演出は『カクシタル』『花郎』、そして大ヒット作哲仁王后〜俺がクイーン!?〜で知られるユン・ソンシクで、もう一人の演出としてキム・ジヨンがクレジットされている。制作はiWill MediaとSBS系列のStudio Sで、制作費はおよそ200億ウォンと報じられた。
キャスティング[編集]
2024年7月19日、SBSがユク・ソンジェ、キム・ジヨン、キム・ジフンの主演3人を発表。同年8月にはシン・スルギ、キム・サンホ、ソン・ビョンホ、キル・ヘヨンらの出演が報じられ、その後ハン・ソウン、キム・イングォン、チャ・チョンファらが合流した。キム・ジフンにとってユン・ソンシク監督とは『恋愛結婚』『バベル』に続く3度目のタッグとなる。キム・ジフンは制作発表会で、最初は「王の役は退屈そう」と思ったが、監督との話し合いで考えが変わり、これまでで最も挑戦的な役になったと語っている。
CGより特殊メイク[編集]
ユン・ソンシク監督は制作発表会で、鬼神の多くはCGではなく特殊メイクと俳優の演技で表現し、CGは必要な場面に限ったと説明した。象徴的なのが八尺鬼で、放送中は「CGだろう」という声も多かったが、実際には俳優ソ・ドヨンが全身特殊メイクで演じていた。ソ・ドヨンによれば、特殊メイクは4人がかりで1回約3時間、鎧は30キロ近くあり、氷点下の冬の撮影でも汗だくになったという。声も自ら複数のトーンを重ねて作り上げた。
撮影の裏側[編集]
キム・ジヨンは放送終了後のインタビューで、悪霊に首を絞められる、水に落ちるといったアクションが多かったと振り返っている。ある場面で使われた黒い水はイカ墨で作られており、上から浴びせられると呼吸が苦しかったという。巫俗儀礼クッの場面では、アイドル時代に培ったダンスの基礎を生かし、韓国舞踊の要素を多めに取り入れて振り付けたと明かした。監督も、彼女が巫俗の専門家に師事して儀礼の場面を準備したことを紹介している。
16年来の友人同士の共演[編集]
ユク・ソンジェとキム・ジヨンは練習生時代からおよそ16年の付き合いがある友人同士。ユク・ソンジェは当初、長年の友人と恋愛演技をすることを心配したが、遠慮なく意見を言い合える関係がかえってプラスになったと語った。キム・ジヨンも、先輩俳優たちから「いつ付き合うのか」とからかわれた際に「16年何もなかったのだから、これからもない」と笑って返したというエピソードを明かしている。
視聴率[編集]
推移[編集]
ニールセンコリア調べ(有料世帯)で、初回は全国9.2%。第2話の8.3%が全国最低で、第9話で10.7%と初の2桁に乗せた。最終回(第16話)は全国11.0%、首都圏10.1%といずれも自己最高を記録し、瞬間最高は12.3%に達した。全16話の全国平均は約9.5%、首都圏平均は約9.0%である。
| 話 | 放送日 | 全国 | 首都圏 |
|---|---|---|---|
| 1 | 2025年4月18日 | 9.2% | 9.2% |
| 2 | 4月19日 | 8.3%(最低) | 8.4% |
| 7 | 5月9日 | 9.8% | 9.6% |
| 9 | 5月16日 | 10.7% | 10.0% |
| 11 | 5月23日 | 8.7% | 8.1%(最低) |
| 16 | 6月7日 | 11.0%(最高) | 10.1%(最高) |
| 平均 | 約9.5% | 約9.0% |
数字の読み方[編集]
大きな山も谷もなく、9%前後を16話にわたって維持したのが特徴である。1話あたりの平均視聴者数は約175万人と推計され、最終回は200万人を超えた。同じ枠の前作群ほどの爆発力はなかったものの、ファンタジー時代劇というジャンルの中では十分に健闘した数字と受け止められた。
日本での放送・配信[編集]
Lemino:日韓同日の独占配信(2025年)[編集]
日本ではNTTドコモの映像配信サービスLeminoが、2025年4月18日23時20分から韓国放送と同日に独占配信を開始。毎週金・土曜23時20分に最新話が更新された。Amazonプライム・ビデオの「Leminoセレクト」経由でも視聴できた。放送期間中はLeminoのアジアジャンルで1位を獲得したと報じられている。
ABEMA:国内初の無料配信(2026年3月)[編集]
2026年3月2日からはABEMAで配信が始まり、国内初の無料配信として開始から約1か月間全話無料で公開された。3月7日には韓国ドラマチャンネルで第1話から第8話の一挙放送も行われている。
衛星劇場:テレビ初放送(2026年11月)[編集]
CSチャンネルの衛星劇場では、2026年11月5日(木)23時から全16話の放送がスタートする。リピート放送は11月11日(水)11時30分から2話連続で行われる。
その他の配信サービス[編集]
2026年時点の各種まとめでは、U-NEXT、Hulu、Netflix、DMM TV、Leminoなどで見放題、Amazonプライム・ビデオではレンタルで扱われているとされる。ただし配信ラインナップは入れ替わりが激しいため、最新状況は各サービスで確認するのが確実である。
評価・反響[編集]
国内外の評価[編集]
放送中、IMDbでは8.6、Rakuten Vikiでは9.7という高評価を記録し(2025年5月時点)、Vikiではアメリカ、イギリス、フランス、オーストラリアなど89か国で視聴トップクラスに入ったとされる。Netflixでもアジア5か国のテレビシリーズ部門で1位を獲得したと報じられた。台湾のHami Video、ベトナムのVieON、インドネシアのVidioなど各国のOTTでも上位に入っている。
何が受けたのか[編集]
韓国の批評では、時代劇・ロマコメ・ファンタジーアクション・オカルトの「ジャンル混合」と、詰め込まれたプロットの密度が勝因として挙げられた。南華早報のピアース・コンランは本作の強みをジャンルの組み合わせと密度の高い筋立てに見ている。とりわけ視聴者の心を掴んだのは、八尺鬼のような恐ろしい鬼だけでなく、処女鬼オギムや子どもの鬼など、悲しい事情を抱えた「K鬼神」たちのエピソードで、脇役陣の熱演が人気を支えたと評された。
受賞[編集]
2025年のSBS演技大賞では、ミニシリーズのヒューマン・ファンタジー部門でユク・ソンジェとキム・ジヨンがそろって最優秀演技賞、キム・ジフンとチャ・チョンファが優秀演技賞、キル・ヘヨンが助演賞(共同受賞)を獲得した。ただし同年の授賞式は部門を細かく分けすぎて最優秀演技賞だけで8人が受賞するなど「賞の乱発」と批判された回でもあり、大賞は模範タクシーシーズン3のイ・ジェフンが受賞している。ユク・ソンジェは同年10月の第16回コリアドラマアワードでも本作で最優秀演技賞(男性)を受賞した。
OST[編集]
OSTは2025年4月25日から5月30日にかけて全5パートが配信された。
- Part.1「You Better Run」:チョン・ドンハ
- Part.2「僕が君の陰になって(내가 너의 그늘이 되어)」:K.will
- Part.3「また咲けるように(다시 필 수 있도록)」:ソン・テジン(5月16日配信)
- Part.4「振り返ればいつでも(돌아보면 언제든)」:ナ・ユングォン
- Part.5「ふわふわ歩き(둥실걸음)」:ソン・ソヒ
K.willやソン・テジンのバラードから、国楽・民謡出身のソン・ソヒの歌声まで、時代劇×ファンタジーらしい幅のある顔ぶれがそろった。
余談[編集]
- 主演女優と、クレジット上のもう一人の演出家がどちらも「キム・ジヨン」という同名コンビになっている。
- 八尺鬼の正体については、放送中に「映画『破墓』の巨漢俳優では」「元バスケットボール選手では」といった予想がファンの間で飛び交ったが、実際は2000年代に「花美男」俳優として人気を博したソ・ドヨンだった。
- ユク・ソンジェはCUBEエンターテインメントからデビューしたBTOBの最年少メンバー(マンネ)で、K-POPアイドル出身同士の主演コンビとなった。キム・ジヨンはスターシップエンターテインメント所属。
- 宮中を舞台にしたオカルト時代劇という点では、2026年にNetflixで配信されたトングン-呪いの宮-と共通する題材を扱っている。
- 「人の体に別の存在が入り込む」という憑依ものの王道設定を、時代劇のファンタジーとして正面から描いた点で、魂の入れ替わりを描いた同監督の前作・哲仁王后とも通じる趣向といえる。

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