逃げるは恥だが役に立つ (テレビドラマ)

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逃げるは恥だが役に立つ
We Married as a Job!
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ドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』ロゴ(出典:Wikimedia Commons「Nigeru wa Haji da ga Yaku ni Tatsu logo.svg」・パブリックドメイン)
略称 逃げ恥
ジャンル ラブコメディ
放送シーズン 全1シーズン(+スペシャル1本)
放送期間 2016年10月11日 - 12月20日
放送時間 火曜 22:00 - 22:54(初回・第10話・最終話は15分拡大)
話数 全11話
放送国家 日本
言語 日本語
放送局 TBS系「火曜ドラマ」
平均視聴率 14.5%(最終回20.8%)
制作
プロデューサー 那須田淳、峠田浩、宮﨑真佐子
演出 金子文紀、土井裕泰、石井康晴
制作 TBS
脚本 野木亜紀子
音楽 末廣健一郎、MAYUKO
出演者 新垣結衣、星野源、大谷亮平、古田新太、石田ゆり子 ほか
その他
原作 海野つなみ『逃げるは恥だが役に立つ』(講談社『Kiss』連載)
関連番組 逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類!新春スペシャル!!(2021年)
オープニング曲 チャラン・ポ・ランタン「進め、たまに逃げても」
エンディング曲 星野源「恋」

概要[編集]

逃げるは恥だが役に立つ(にげるははじだがやくにたつ)とは、2016年10月11日から12月20日までTBS系「火曜ドラマ」枠で放送された日本のテレビドラマである。海野つなみの同名漫画が原作で、脚本は野木亜紀子、主演は新垣結衣と星野源。略称は「逃げ恥」。「契約結婚」から始まる恋を描き、視聴率の右肩上がりと「恋ダンス」で社会現象を巻き起こした。

詳細[編集]

原作は講談社の女性漫画誌『Kiss』で2012年から連載された漫画で、2015年に第39回講談社漫画賞少女部門を受賞している。ドラマは原作の連載中に制作され、放送時点では物語の結末がまだ描かれていなかった。

タイトルの「逃げるは恥だが役に立つ」は、ハンガリーのことわざを和訳したもの。「恥ずかしい逃げ方だったとしても、生き抜くことが大切」といった意味合いで、作中でも重要なキーワードになっている。

物語の骨格は「就職としての結婚」。職を失ったヒロインが家事代行先の独身男性と「雇用主と従業員」として契約結婚するという設定で、ラブコメの形をとりながら、家事労働の対価、結婚の意味、女性の生きづらさといったテーマを掘り下げた「社会派ラブコメディ」として評価された。

「逃げ恥は全何話?」という疑問に答えると、連続ドラマは全11話で、2021年1月2日に続編のスペシャルドラマが1本放送されている。続編としての連続ドラマ第2シーズンは制作されていない。

あらすじ[編集]

大学院を出ても就職できず、派遣社員になったものの派遣切りに遭った森山みくり(25歳)。父の紹介で、父の元部下である独身の会社員・津崎平匡の家で家事代行として働き始める。平匡は京都大学卒のシステムエンジニア(36歳)で、「プロの独身」を自称する恋愛経験ゼロの男性だった。

やがてみくりの両親が定年退職を機に館山へ移住することになり、みくりはついていくか実家を離れるかの選択を迫られる。今の仕事を続けたいみくりは、平匡に「就職としての結婚」を提案。家事代行の報酬を「給料」として受け取り、住み込みの妻として働くという、事実婚の形をとった契約結婚が成立する。

世間や周囲には本物の夫婦のふりをしながら、ハグの日を決めたり、「雇用主」と「従業員」としての距離感に悩んだりするうちに、二人は次第に互いを意識し始める。しかし恋愛に不慣れな平匡と、過去の経験から自分を出すことに臆病なみくりの関係はなかなか進まない。

終盤、平匡は経済的な合理性も踏まえて本当の結婚を申し込むが、みくりは「それは好きの搾取です」と返し、家事を無償で担うことへの疑問をぶつける。こうして二人は、家庭という職場の「共同経営者」として、新しい夫婦の形を一緒に模索していくことになる。

並行して、みくりの伯母でキャリアウーマンの土屋百合と、平匡の後輩・風見涼太の年の差をめぐる関係も描かれ、「若さ」「年齢」「独身であること」への世間のまなざしがもう一つの軸になっている。

キャスト[編集]

主要人物[編集]

  • 森山みくり(津崎みくり) - 新垣結衣
主人公。大学院卒の元派遣社員。妄想癖があり、脳内で『情熱大陸』などのテレビ番組のパロディが繰り広げられる。
  • 津崎平匡 - 星野源
システムエンジニア。自称「プロの独身」。みくりの雇用主として契約結婚を結ぶ。
  • 風見涼太 - 大谷亮平
平匡の後輩。イケメンで恋愛にドライ。
  • 沼田頼綱 - 古田新太
平匡の同僚のシステムエンジニア。勘の鋭い人物。
  • 土屋百合 - 石田ゆり子
みくりの伯母。化粧品会社で働くキャリアウーマンで独身。

その他[編集]

  • 梅原ナツキ - 成田凌(百合の部下)
  • 堀内柚 - 山賀琴子(百合の部下)
  • 森山栃男 - 宇梶剛士(みくりの父)
  • 森山桜 - 富田靖子(みくりの母)
  • 森山ちがや - 細田善彦(みくりの兄)
  • 森山葵 - 高山侑子(ちがやの妻)
  • 田中安恵(やっさん) - 真野恵里菜(みくりの親友)
  • 日野秀司 - 藤井隆(平匡の同僚)
  • 日野の妻 - 乙葉(サプライズ出演)
  • 山さん - 古舘寛治(バー「山」のマスター)
  • 五十嵐杏奈 - 内田理央(通称「ポジティブモンスター」)

日野の妻役の乙葉は、藤井隆の実際の妻であり、夫婦共演のサプライズとして話題を呼んだ。

スタッフ・制作[編集]

脚本の野木亜紀子は、同年4月期にTBSで『重版出来!』を手がけたばかりだった。演出陣には土井裕泰、金子文紀、石井康晴が名を連ねた。

作中では、みくりの妄想シーンとして『情熱大陸』『プロフェッショナル 仕事の流儀』『NEWS23』『大改造!!劇的ビフォーアフター』など実在番組のパロディが多数登場する。プロデューサーが過去に関わった番組が多く使われたとされ、小ネタ探しもファンの楽しみの一つとなった。

主題歌は星野源の「恋」、オープニングテーマはチャラン・ポ・ランタンの「進め、たまに逃げても」。劇中の料理のレシピはクックパッドとの公式コラボで公開された。

視聴率[編集]

右肩上がりの推移[編集]

本作最大の伝説が、一度も数字を落とさなかった視聴率推移である(関東地区、ビデオリサーチ調べ)。

話 視聴率
第1話 10.2%
第2話 12.1%
第3話 12.5%
第4話 13.0%
第5話 13.3%
第6話 13.6%
第7話 13.6%
第8話 16.1%
第9話 16.9%
第10話 17.1%
最終話 20.8%

第6話と第7話が同率だった以外はすべて前回を上回り、最終回は初回の2倍以上となる20.8%を記録。火曜ドラマ枠史上初の20%超えを達成した。全話平均の14.5%も同枠の過去最高である。連続ドラマは回を追うごとに数字が下がるのが一般的だけに、「右肩上がり」は異例の現象として大きく報じられた。

タイムシフト視聴[編集]

録画視聴も含めた総合視聴率では30%前後に達した回もあったと報じられている。ビデオリサーチによる2016年の振り返りでも、本作はタイムシフト視聴率のトップとして取り上げられており、「リアルタイムで見られなくても録画で追いかける」層を大量に抱えていたことがうかがえる。

ソフト売上[編集]

Blu-ray BOXは初週3.0万枚を売り上げ、ドラマBlu-ray作品の歴代売上1位を更新した。

恋ダンスとムズキュン[編集]

恋ダンス[編集]

エンディングで出演者たちが主題歌「恋」に合わせて踊る「恋ダンス」は、振付師のMIKIKOが手がけた。企画の立ち上げから完成まで約3か月をかけたとされる。胸の前で手をハート型にしたり、指をくるくる回したりといった、覚えやすいが絶妙にクセになる振付が特徴。

TBSがYouTubeで公開した恋ダンスの動画は、公開から短期間で609万回の再生を記録し、TBS公式チャンネル史上最高の再生数となった。SNSでは一般人の「踊ってみた」動画が爆発的に増え、フィギュアスケートの羽生結弦、乃木坂46、さらにはアメリカ大使館まで参加する大ブームとなった。毎話の恋ダンスは出演者の衣装や組み合わせが少しずつ変わり、その違いをチェックするのもファンの習慣になった。

楽曲「恋」自体も大ヒットし、Billboard JAPANの2017年年間総合チャート「HOT 100」で1位、2017年のDAMカラオケ年間ランキングでも楽曲別1位を獲得した。

ムズキュン[編集]

「ムズキュン」は、ドラマ公式Twitterが発信した造語。「じれったくてムズムズするところに胸キュンする」という意味で、契約夫婦という関係ゆえになかなか進展しないみくりと平匡の恋模様を表現した。平匡の不器用な振る舞いや、みくりの「火曜日はハグの日」などのやりとりが「ムズキュン」シーンとして毎週SNSをにぎわせた。

社会的テーマ[編集]

契約結婚と家事労働[編集]

本作は「結婚して妻が家事をするのは当然か」という問いを、雇用契約という仕掛けで可視化した。家事代行として給料をもらっていたみくりが、本当の結婚を持ちかけられると無償の家事労働者になってしまう――という構図は、家事労働の経済的価値を考えるきっかけとして、放送当時から多くの論評で取り上げられた。

最終回でみくりが放った「それは好きの搾取です」という台詞は、愛情を理由に労働が無償化されることへの問題提起として広く引用されている。ただし、ラブコメとしての甘さを期待していた視聴者からは、最終盤のみくりの怒りに「楽しくない」という声も上がったとされ、評価が割れた場面でもある。

女性の生きづらさと年齢[編集]

高学歴でありながら就職できない若い女性、独身のまま50歳目前を迎えるキャリアウーマン、恋愛経験のない30代男性と、それぞれが「普通」から外れていることへのまなざしを描いた。特に石田ゆり子演じる百合が年齢を理由に若い女性を見下す相手に言い返す場面は、名シーンとして知られる。

スペシャル版[編集]

2021年1月2日、続編となる『逃げるは恥だが役に立つ ガンバレ人類!新春スペシャル!!』が放送され、視聴率15.5%を記録した。

結婚生活3年目を迎えたみくりと平匡の妊娠・出産を描き、男性の育児休業、選択的夫婦別姓、職場の「妊娠の順番」ルール、ルッキズムといった話題に加え、新型コロナウイルスの流行を踏まえたオリジナルのエピソードも盛り込まれた。NHKの『ねほりんぱほりん』との本格的なコラボも話題になった。

社会問題を正面から扱った内容には、「これが妊娠、出産の現実。共感しかない」「問題から目をそらさずに取り入れてまとめていて最高」と称賛がある一方、「説教くさい」「啓蒙的でキツい」といった批判も寄せられ、連ドラ版以上に賛否が割れた。TVerアワード2021では特別賞を受賞している。

主演2人の結婚[編集]

2021年5月19日、新垣結衣と星野源は連名で結婚を発表した。発表文によると、二人はスペシャル版での再共演をきっかけに、関連する撮影をすべて終えたあとで結婚を前提とした交際を始めたという。発表時点では婚姻届の提出は「今後時期を見て」とされ、挙式・披露宴は未定と説明された。作中の夫婦が現実でも夫婦になったことで、日本国内のみならず海外でも大きなニュースとなった。

受賞[編集]

  • 第6回コンフィデンスアワード・ドラマ賞 - 作品賞、主演女優賞(新垣結衣)、助演男優賞(星野源)、助演女優賞(石田ゆり子)、脚本賞(野木亜紀子)、新人賞(大谷亮平)
  • 第91回ザテレビジョンドラマアカデミー賞 - 作品賞、主演女優賞、助演男優賞、助演女優賞、ドラマソング賞
  • 東京ドラマアウォード2017 - 連続ドラマ部門 作品賞グランプリ、主演女優賞、演出賞、プロデュース賞
  • TVerアワード2021 - 特別賞(スペシャル版)

海外の反応[編集]

英題は「We Married as a Job!」。アジアを中心に海外でも広く視聴された。

中国語圏[編集]

台湾では「月薪嬌妻」(直訳題は「逃避雖可恥但有用」)のタイトルで知られ、台湾のテレビ局でも放送された。中国本土では動画サイトビリビリ動画で3000万回以上再生されたとされる。

2021年に新垣結衣と星野源が結婚を発表した際には、中国のSNS・微博で「#新垣結衣星野源結婚」がトレンド1位を独走し、閲覧数は数分で300万回、約1時間で4億回に達したと報じられた。星野源の微博公式アカウントの結婚報告投稿には、1日で2万件以上のコメントと20万以上の「いいね」が集まり、頻出ワードは「祝福」「幸せ」「おめでとう」など祝福一色だった。閲覧者は35歳未満が8割以上を占めており、若い世代での人気の高さがうかがえる。

韓国[編集]

韓国では、就職難や結婚観の変化といった自国の若者の社会問題と重なる作品として受け止められ、「逃げ恥」に感情移入する若者が多いと日本のメディアでも報じられた。その後も「韓国で人気の日本ドラマ」を紹介する記事で上位に挙げられるなど、根強い人気がある。

一方で、2017年にtvNで放送された韓国ドラマ『この恋は初めてだから』(原題:이번 생은 처음이라)について、基本ストーリーやキャラクター設定、結婚式前のバスの場面、同僚による偽装結婚の疑いといった細かいシーンまで「逃げ恥」に似ているとして、盗作疑惑が韓国・日本の双方で取り沙汰された。tvN側は「盗作でもリメイクでもない」とコメントし、一線を引いている。

英語圏[編集]

英字メディアの「Japan Today」は2016年12月、恋ダンスが日本中を席巻していると紹介し、羽生結弦の恋ダンス動画が大きな反響を呼んだことなどを伝えた。

余談[編集]

  • 平匡役の星野源は主題歌「恋」の歌唱も担当しており、主演俳優と主題歌アーティストを兼ねる形になった。
  • 恋ダンスは本編で出演者が踊るバージョンが毎話少しずつ異なり、放送後に「今週の恋ダンス」を確認するのが定番の楽しみ方になった。
  • 原作漫画は2017年にいったん完結したが、2019年から2020年にかけて続編が連載された。この続編がスペシャルドラマのベースとなっている。原作の累計発行部数は2021年5月時点で450万部を突破した。
  • 平匡の同僚・日野の妻役で登場した乙葉は、日野役の藤井隆の実生活の妻。
  • 脚本の野木亜紀子と星野源のコンビはその後も続き、野木脚本の『MIU404』『罪の声』『ラストマイル』などにも星野が出演している。新垣結衣も野木脚本の『獣になれない私たち』で主演を務めた。

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