転生したら平民でした。~生活水準に耐えられないので貴族を目指します~

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転生したら平民でした。~生活水準に耐えられないので貴族を目指します~
作画 須藤怜
ジャンル 異世界 / 転生 / ファンタジー
出版社 双葉社(モンスターコミックス)
配信 がうがうモンスター+ / ピッコマ / ニコニコ漫画
略称 転生したら平民でした。
原作 蒼井美紗(カクヨム
その他 キャラクター原案:赤井てら


概要[編集]

転生したら平民でした。~生活水準に耐えられないので貴族を目指します~とは、蒼井美紗の小説を原作とする漫画である。作画は須藤怜、キャラクター原案は赤井てらで、双葉社のモンスターコミックスから刊行されている。

詳細[編集]

刊行と連載[編集]

原作はカクヨムに投稿された小説で、書籍版はMノベルスから全6巻で完結している。漫画版は双葉社漫画サイト「がうがうモンスター+」で連載され、単行本も6巻まで刊行された。ピッコマやニコニコ漫画などでも話単位で配信されている。

「平民に転生する」という設定の置き方[編集]

異世界転生ものは転生先の身分をどこに置くかで話の形が決まる。貴族や王族に転生すれば権力と資金が最初から手元にあり、奴隷や最下層に転生すれば生き延びること自体が目標になる。本作が選んだ「平民」は、そのどちらでもない位置である。

この選び方が効いているのは、平民が「困窮しているわけではないが、望むものに手が届かない」状態だからである。命が危ういなら目標は生存に固定され、権力があるなら望みはすぐ叶う。どちらでもない中間に置くと、主人公が自分で目標を決めなければならなくなる。物語を動かすのは外から与えられた危機ではなく本人の望みになり、それゆえ「なぜ貴族になりたいのか」という動機の説明が作品の中心に来る。

副題が動機を説明している[編集]

題名の後半「生活水準に耐えられないので貴族を目指します」は、その動機を一行で言い切っている。転生前の暮らしの水準を記憶として持ち越しているため、異世界の平民の生活が本人にとっては不足として感じられる。同じ暮らしを生まれてからずっと続けている周囲の人物には不満の対象にならないものが、比較の基準を余分に持っている本人にだけ不満になる。

つまり主人公が戦っている相手は世界の理不尽ではなく、自分の中にある基準である。転生という設定が単なる出発点ではなく、動機そのものの供給源として使われている点が本作の骨格である。

上を目指す話と、降りる話[編集]

近年の異世界もの、とくに悪役令嬢を主人公に据えた作品では、与えられた役割から降りることを目標にする型が目立つ。公爵様、悪妻の私はもう放っておいてくださいは関係そのものの解消を目指し、宮廷魔導師見習いを辞めて、魔法アイテム職人になりますは地位を自分から手放す。

本作はその正反対で、いま与えられている位置から上へ動こうとする。同じ「転生後に自分の置かれ方に納得しない」という出発点から、逃れる方向と登る方向という二つの解が出ているわけで、異世界ものの型が飽和していると言われながら作品が分岐し続ける理由がここに見える。降りる話が増えたのは読者が上昇の物語に飽きたからだという説明と、話売りの形式では小さな回避行動のほうが毎回の見せ場を作りやすいからだという説明が並んでおり、どちらか一方では説明しきれない。

投稿サイト発という経路[編集]

原作がカクヨムの投稿作であることは、刊行の判断にも関わる。投稿サイトには読者の反応が数字として先に出ているため、版元は刊行前に読者数を見ることができる。新人の持ち込みから当たりを探す方式より外す確率が下がるという利点があり、だからこそ各社が同じ場所を見ることになり、目を付ける速さと作画者を割り当てる手際が競争の中身になる。

原作がKADOKAWA系の投稿サイト、漫画版が双葉社と、刊行元が分かれている点も投稿サイト発の作品では珍しくない。読者は続きを二か所で追う必要が出る。

余談[編集]

題名が句点で切れてから副題が続く構成は、話単位で配信される漫画で定着した形式である。一覧画面では題名だけが並ぶため、そこで内容と動機が伝わらないと開いてもらえない。説明的で長い題名が増えたのは書き手の趣味ではなく、読まれる場所の作りに合わせた結果である。

「生活水準」という言葉が題名に入っている作品はそれほど多くない。魔法や剣ではなく暮らしの快適さを目標に据えているという宣言であり、異世界ものの関心が戦いから生活のほうへ広がってきた流れをそのまま表している。

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