聖闘士星矢

概要[編集]

『聖闘士星矢』(セイントセイヤ)は、車田正美による日本の少年漫画、およびそれを原作とするアニメ・ゲーム・舞台などの作品群である。1985年から1990年にかけて週刊少年ジャンプで連載され、ギリシャ神話をモチーフにした「聖闘士(セイント)」たちの熱い戦いを描いた、80年代を代表するバトル漫画らしい。 単行本は全28巻、累計発行部数は5000万部を超え、フランスをはじめとする欧州や南米で社会現象級の人気を獲得したことでも知られる。「日本よりも海外でバカ売れした漫画」の代表格としてたびたび語られる存在だとか。 女神アテナを守る若き戦士たち、星座をかたどった鎧「聖衣(クロス)」、そして「小宇宙(コスモ)」「セブンセンシズ(第七感)」といった独特の用語の数々が、当時の少年たちの心を鷲掴みにした。今なおドラゴンボール北斗の拳と並んでジャンプ黄金期を象徴する一作である。

あらすじ[編集]

地上に平和と愛をもたらす女神アテナと、彼女に仕える聖闘士たち。主人公・星矢は孤児院で育った少年で、聖闘士になるための過酷な修行を経て「ペガサス星座(セイント)」の聖衣を手に入れる。 やがて星矢は、同じく聖闘士となった紫龍・氷河・瞬・一輝ら「青銅聖闘士(ブロンズセイント)」の仲間たちと出会い、アテナの化身である城戸沙織を守るため、聖域(サンクチュアリ)を支配する教皇の陰謀、海皇ポセイドン、冥王ハーデスといった神々との戦いへと身を投じていく。 「銀河戦争編」「十二宮編」「ポセイドン編」「ハーデス編」と、神話世界をまたにかけたスケールの大きい物語が展開されるのが本作の魅力である。

主な登場人物[編集]

物語の中心となるのは、アテナを守る5人の青銅聖闘士である。 主人公の星矢はペガサス星座の聖闘士で、必殺技「ペガサス流星拳」を放つ熱血漢。仲間思いで、何度倒されても立ち上がる不屈の精神が魅力らしい。 紫龍は龍星座(ドラゴン)の聖闘士で、五老峰で修行した冷静沈着な男。「廬山昇龍覇」を武器とし、たびたび目や視力を犠牲にして戦う「捨て身キャラ」としても有名だとか。 氷河は白鳥星座(キグナス)の聖闘士で、シベリア仕込みの冷気を操る「ダイヤモンドダスト」「オーロラエクスキューション」の使い手。母への想いを抱えたクールな青年である。 はアンドロメダ星座の聖闘士で、鎖を操り、争いを好まない優しい心の持ち主。そして一輝は瞬の兄で鳳凰星座(フェニックス)の聖闘士。不死鳥のごとく何度でも蘇る最強格の存在で、登場するたびに場をかっさらっていく「美味しいポジション」だと語り草である。 敵側にも魅力的なキャラが多く、十二宮を守る「黄金聖闘士(ゴールドセイント)」たちは、双子座のサガ、獅子座のアイオリア、乙女座のシャカなど、ファン人気が非常に高い。「黄金聖闘士のほうが主役より人気がある」とまで言われたらしい。

聖衣(クロス)と小宇宙[編集]

本作最大の発明が、星座をモチーフにした鎧「聖衣(クロス)」である。聖闘士は専用の聖衣を装着して戦い、ダメージを受けるとパーツが砕け、専用の青銅聖衣箱(クロスボックス)に戻る。この「鎧を着て戦う」スタイルは、後の機動戦士ガンダム系のリアルロボット文化とはまた別の流れで、「キャラクター=武装」という商品展開の金字塔となった。 バンダイから発売された玩具「聖闘士聖衣大系(セイントクロス)」は、ダイキャスト製のリアルな造形で爆発的に売れ、後年の「聖闘士聖衣神話(マイス)」シリーズへと続く長寿コンテンツになった。フィギュア市場における「大人向けコレクタブル」の先駆けとも言われるらしい。 また「小宇宙(コスモ)」という概念も画期的だった。聖闘士は体内に宇宙=コスモを宿しており、それを燃やすことで人間離れした力を発揮する。「コスモを燃やせ!」というセリフは、努力と精神力で限界を超えるという少年漫画の王道を一気に神話レベルに引き上げた。「第七感(セブンセンシズ)」「第八感(エイトセンス)」とインフレしていくのも本作ならではだとか。

アニメと派生作品[編集]

テレビアニメは1986年から1989年にかけてテレビ朝日系で放送され、原作と並行して人気を博した。荒木伸吾・姫野美智による作画は「キラキラした美形キャラ」の代名詞となり、後の美少年アニメ文化に多大な影響を与えたとされる。 OVA『冥王ハーデス十二宮編』などで原作終盤も映像化され、2002年以降も新作が継続的に制作された。続編『聖闘士星矢 NEXT DIMENSION 冥王神話』『セインティア翔』、スピンオフ『聖闘士星矢 THE LOST CANVAS 冥王神話』など派生作品も多数。 2019年にはNetflixで3DCGリメイク『聖闘士星矢: Knights of the Zodiac』が配信され、2023年には実写ハリウッド映画も公開された。半世紀近く愛され続ける、息の長いコンテンツである。 ゲーム化も盛んで、対戦格闘やソーシャルゲーム『聖闘士星矢 ライジングコスモ』など、世代を超えて新規ファンを取り込み続けているらしい。

炎上とバズ[編集]

  • 「実写映画の配役」論争:2023年のハリウッド実写映画は、公開前からキャスティングやビジュアルをめぐってファンの間で賛否が割れた。「原作の神話的世界観をどこまで再現できるか」が常に議論の的になる作品である。
  • 海外人気と逆輸入:フランスや南米での熱狂ぶりが日本に伝わるたび、SNSで「日本より海外で愛されている漫画」として定期的にバズる。現地のコスプレイヤーのクオリティの高さもたびたび話題になるらしい。
  • パワーインフレ議論:「黄金聖闘士は光速で動く」「神々の戦いは次元が違う」など、終盤の強さ表現をめぐってファンが今も真剣に考察を戦わせる、愛すべき論争が絶えない。
  • 「アテナ=沙織お嬢様」の扱い:序盤の高慢なお嬢様から覚醒後の女神へという落差が、リアタイ世代のネタとして語り継がれている。

余談[編集]

  • タイトルの「星矢」は主人公の名前だが、車田作品は『リングにかけろ』『風魔の小次郎』など「必殺技を叫ぶ」演出が共通しており、ファンからは「車田ワールド」と呼ばれているらしい。
  • 「ペガサス流星拳」を実際に口で言いながら連打した経験のある元少年は数知れず、というのが定番のあるあるネタである。
  • 黄金聖闘士の乙女座シャカは「最も神に近い男」と称され、その強さと美しさで絶大な人気を誇る。
  • 北欧神話を題材にした劇場版『神々の熱き戦い』など、映画版でも独自の神話世界が描かれた。
  • 作者・車田正美の描く「爆発エフェクト」と効果音「ファサァ」は、ネット上でたびたびネタにされる名物表現だとか。
  • 聖衣を模したコレクタブルフィギュアは大人になったファンの財布を直撃し続けており、「沼が深い」と評判である。

主な必殺技と名場面[編集]

本作の魅力のひとつが、聖闘士たちが繰り出す多彩な必殺技である。星矢の「ペガサス流星拳」は両拳を音速で連打する代表技で、戦いを重ねるごとに光速へと進化していく。紫龍の「廬山昇龍覇」、氷河の「ダイヤモンドダスト」「オーロラエクスキューション」、瞬の「ネビュラチェーン」、一輝の「鳳翼天翔」「幻魔拳」など、キャラごとに個性的な技が用意され、技名を叫びながら放つ熱い演出が読者を熱狂させた。 中でも語り草なのが、ジェミニ(双子座)のサガが放つ「ギャラクシアンエクスプロージョン」や、教皇の正体が双子座のサガだったという衝撃の展開である。十二宮編は「黄道十二星座の黄金聖闘士を一人ずつ突破していく」という関門突破型の構成で、後の少年漫画のトーナメント・関門構造に大きな影響を与えたとされる。 「小宇宙を燃やせ」「お前はもう十二宮を通れない」といった名台詞も多く、ファンの間ではいまも合言葉のように使われているらしい。

作品の影響と評価[編集]

『聖闘士星矢』は、それまでのドラゴンボール的なパワーインフレ路線とは異なり、「神話」「星座」「運命」といったロマンチックな要素を少年漫画に持ち込んだ点で画期的だった。星座占いに親しむ女性読者をも取り込み、男女問わず幅広いファン層を獲得したのである。 特にフランス、イタリア、スペイン、ブラジル、メキシコといった国々では国民的アニメと化し、現地では「Les Chevaliers du Zodiaque」「Los Caballeros del Zodíaco」の名で世代を超えて愛されている。海外コンベンションでは必ずと言っていいほどコスプレイヤーが集まる定番タイトルだとか。 キャラクターデザインや「美しく散る戦士たち」という様式美は、後の幽☆遊☆白書や数多くのバトル漫画、さらには2.5次元舞台やソーシャルゲームにも受け継がれている。連載終了から30年以上が経っても新作が作られ続ける、まさに不滅のフランチャイズである。

メディアミックスと商品展開[編集]

『聖闘士星矢』は漫画・アニメにとどまらず、玩具・ゲーム・舞台・パチンコと、あらゆるメディアに展開した一大フランチャイズである。中でもバンダイの「聖闘士聖衣大系(セイントクロス)」は、ダイキャストパーツを多用したリアルな造形と「組み替えてオブジェ形態にできる」ギミックで、1980年代後半の男児玩具市場を席巻した。後年の大人向けハイエンドフィギュア「聖闘士聖衣神話(マイス)」シリーズは、発売のたびに即完売・プレミア化する定番コレクターズアイテムとなっている。 ゲームでは家庭用の対戦格闘やアクション、近年ではスマートフォン向けの育成・カードゲームが展開され、原作を知らない若い世代の新規ファンを取り込んでいるらしい。2.5次元ミュージカルや本格的な舞台化も行われ、様式美に満ちた「美しく散る戦士たち」のドラマは舞台映えするとして評価が高い。 こうした絶え間ない展開によって、連載終了から長い年月を経てもなお「聖闘士星矢」というブランドは現役であり続けている。親が子へと受け継ぐ世代横断型のコンテンツとして、日本ポップカルチャー史に確固たる地位を築いた作品だと言えるだろう。

連載と作者[編集]

作者の車田正美は、本作以前にも『リングにかけろ』『風魔の小次郎』といったヒット作を手がけた、熱血バトル漫画の名手である。「決めゴマ」「見開きの大ゴマ」「必殺技を叫ぶ演出」といった様式は車田作品共通の魅力で、ファンからは「車田ワールド」「車田スポーツ」などと愛称で呼ばれている。 『聖闘士星矢』は週刊少年ジャンプの黄金期を支えた一本であり、同時期に連載されていたドラゴンボール『シティーハンター』『キャプテン翼』『北斗の拳』などとともに、1980年代ジャンプの看板作品として記憶されている。当時のアニメ・ゲーム・玩具を巻き込んだメディアミックス戦略の成功例としても、たびたび研究の対象になっているらしい。 連載終了後も、車田自身による続編『聖闘士星矢 NEXT DIMENSION 冥王神話』が断続的に発表され、物語世界はいまも拡張を続けている。世代を超えて読み継がれる、まさに不朽の名作である。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]