ジョジョの奇妙な冒険

概要[編集]

ジョジョの奇妙な冒険は、荒木飛呂彦による漫画作品。1987年から週刊少年ジャンプで連載が始まり、現在は『ウルトラジャンプ』に舞台を移して連載が続く、日本漫画界屈指の長寿シリーズである。略称は「ジョジョ」。シリーズ累計発行部数は1億2000万部を超える大ヒット作だ。

最大の特徴は、「ジョースター家」の血統を主軸に、世代を超えた物語が「部(Part)」ごとに主人公を変えながら描かれていく点。各部が独立した物語として読める一方、血脈や因縁が脈々と受け継がれていく壮大な群像劇となっている。「スタンド」と呼ばれる能力バトルの発明、独特の擬音(「ゴゴゴ」「ドドド」)、ファッショナブルで彫刻のようなポージング、そして名言の宝庫っぷりなど、後世に与えた影響は計り知れない。

あらすじ・シリーズ構成[編集]

物語は19世紀イギリスを舞台にした第1部から始まる。貴族の青年ジョナサン・ジョースター(ジョジョ)と、彼の宿敵となるDIOの因縁が、その後の長い物語の出発点となる。

第1部「ファントムブラッド」、第2部「戦闘潮流」では、波紋(はもん)という呼吸法を用いた戦いが描かれる。そして第3部「スターダストクルセイダース」から、本シリーズの代名詞となる「スタンド」能力が登場。空条承太郎がDIOを追って世界を旅する展開は、シリーズで最も知名度が高い。以降、第4部「ダイヤモンドは砕けない」、第5部「黄金の風」、第6部「ストーンオーシャン」、第7部「スティール・ボール・ラン」、第8部「ジョジョリオン」、そして現在連載中の第9部「The JOJOLands」へと、舞台と主人公を変えながら物語は続いている。

波紋(はもん)[編集]

第1部・第2部で主役級の戦闘技術として描かれるのが「波紋(はもん)」である。これは特殊な呼吸法によって体内に生命エネルギーを生み出し、太陽光に似た力として操る技術。とりわけ太陽の光を弱点とする吸血鬼や「柱の男」たちに対して絶大な効果を発揮する。

波紋は鍛錬によって習得する「技術」であり、後のスタンドが「才能・素質」として与えられる能力であるのとは対照的だ。第2部の主人公ジョセフ・ジョースターは、正攻法より相手を出し抜く機転と「次にお前はこう言う」という心理戦で波紋を駆使し、シリーズ屈指の人気キャラとなった。波紋からスタンドへという能力描写の変遷は、ジョジョの進化の歴史そのものでもある。

スタンドとは[編集]

第3部から登場する「スタンド」は、ジョジョを語るうえで欠かせない能力概念である。スタンドとは「精神エネルギーが具現化した像(守護霊のような存在)」で、本体のそばに現れ、本体の意思で操られる。一体ごとに固有の能力と姿、そして名前を持つのが特徴だ。

スタンド能力は単純な怪力やビームではなく、「触れたものを爆弾に変える」「時を止める」「一度受けたダメージを無かったことにする」など、多彩で知略を要するものが多い。そのため戦いは力比べではなく、能力の特性を見抜き、いかに出し抜くかという頭脳戦・心理戦になるのが魅力。「自分の能力をどう応用するか」を考える楽しさが、読者を引き込んでやまない。スタンド名の多くが洋楽バンドや楽曲に由来しているのも有名な小ネタである。

各部の主人公たち[編集]

ジョジョの主人公は基本的に「ジョジョ」と呼べる名前(頭文字がJとJ、あるいは語感が似ている)を持つのが伝統。第3部の空条承太郎は「やれやれだぜ」が口癖のクールな高校生で、シリーズの顔とも言える人気キャラ。第4部の東方仗助は心優しい不良高校生、第5部のジョルノ・ジョバァーナはギャングスターを目指す少年で、なんとDIOの息子という設定だ。

第6部の空条徐倫はシリーズ初の女性主人公、第7部のジャイロ・ツェペリとジョニィ・ジョースターは大陸横断レースに挑む。各主人公の信念や成長物語がそれぞれの部のテーマと深く結びついており、「どの部が一番好きか」はファンの間で永遠の論争の的となっている。第8部・第9部では舞台が再び日本やハワイへと移り、新たな世代の物語が紡がれている。世代交代を繰り返しながらも一貫して「人間賛歌」を描き続ける構成は、長期連載作品の中でも特異な達成と言えるだろう。

アニメ化と人気の再燃[編集]

長らく「実写化・アニメ化が難しい」と言われてきたジョジョだが、2012年からデイヴィッドプロダクション制作でテレビアニメシリーズがスタート。原作の独特な色彩感覚や擬音、ポージングを見事に映像化し、新旧ファンから絶賛された。アニメ化を機に若い世代にも一気にファンが拡大し、「ジョジョ立ち」がSNSで流行するなど、再びの大ブームを巻き起こした。

各部が順次アニメ化され、声優陣の熱演や印象的なオープニング曲も話題に。海外配信を通じて世界中にファンを獲得し、「JoJo」は世界的なポップカルチャー用語となった。ルーブル美術館とのコラボや、グッチとのファッションコラボなど、アートやファッションの文脈で評価されるのもジョジョならではである。

各部の魅力と多彩なテーマ[編集]

ジョジョの大きな魅力は、部ごとに作風やテーマがガラリと変わる点にある。第1部・第2部は王道の冒険活劇とヒロイズム、第3部はロードムービー的な能力バトル、第4部は日常に潜む狂気を描いたサスペンス、第5部はギャング社会を舞台にした「覚悟」と「正義」の物語、第6部は監獄を舞台にした運命との戦い、第7部は人間賛歌とアメリカ大陸を巡る壮大なレースと、それぞれが独立した名作として成立している。

特に第4部に登場する連続殺人鬼「吉良吉影」は、平穏な日常を愛するがゆえに殺人を繰り返すという倒錯したキャラクター造形で、漫画史に残る名悪役として高く評価されている。「人間賛歌」という荒木の一貫したテーマ——人間の勇気や尊厳、生き様の素晴らしさを称える姿勢——が、どの部にも通底しているのがジョジョという作品の芯である。

荒木飛呂彦について[編集]

作者の荒木飛呂彦は宮城県仙台市出身の漫画家。緻密で独創的な画風と、唯一無二の世界観で知られる。彫刻のような肉体描写やファッショナブルな衣装は、ミケランジェロなどの西洋美術や海外のファッションから強い影響を受けているとされる。

その芸術性は漫画界の枠を超えて評価されており、世界的な美術館であるルーブル美術館で作品が展示されたほか、高級ブランドとのコラボレーションも実現している。作画論や創作論をまとめた著書も出版し、後進の漫画家やクリエイターに大きな影響を与えている。連載を長年続けながらも常に新しい表現に挑戦し続ける姿勢は、多くのファンから尊敬を集めている。

ゲーム・関連メディア[編集]

ジョジョはゲーム化作品も多く、中でもアーケード・家庭用で展開された対戦格闘ゲーム『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズは、原作の能力を巧みに再現した名作として今なお根強い人気を誇る。原作のスタンド能力を格闘ゲームのシステムに落とし込んだアイデアは高く評価された。

近年も『ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトル』など、歴代キャラが一堂に会する対戦ゲームが発売され、ファンを楽しませている。小説版(ノベライズ)やスピンオフ作品も展開されており、メディアミックスは多岐にわたる。フィギュアの分野でも、躍動的なポーズを立体化した高品質な商品が数多く発売され、コレクター人気が高い。

名言・名シーン[編集]

ジョジョは「名言の宝庫」と称されるほど、印象的なセリフが多い。第3部でDIOが放つ「無駄無駄無駄無駄ァッ!」、承太郎の「やれやれだぜ」、第5部でブローノ・ブチャラティの「このブチャラティを通れ」、ディアボロを追い詰める「だが断る」など、数えきれないほどの名台詞がファンの記憶に刻まれている。

これらのセリフは作品を知らない人にも広まり、ネットスラングや日常会話に溶け込んでいる。「覚悟とは!! 暗闇の荒野に!! 進むべき道を切り開く事だッ!」のような哲学的な名言も多く、人生訓として引用されることも。バトルだけでなく言葉の力でも読者を魅了するのが、ジョジョという作品の底力である。

炎上とバズ[編集]

  • 「ジョジョ立ち」ブーム - 登場人物の不自然なほど躍動的でファッショナブルなポーズを真似する「ジョジョ立ち」が、コスプレイベントやSNSで大流行した。
  • 名言の汎用性 - 「無駄無駄無駄」「オラオラオラ」「だが断る」など、ジョジョの名言・名セリフはネット上で日常的に引用され、もはや共通言語と化している。
  • スタンド名の元ネタ - スタンド名が実在の洋楽アーティストや楽曲に由来しているため、海外配信版では権利上の都合で名称が変更されることがあり、ファンの間で話題になった。
  • 荒木飛呂彦「不老不死」説 - 連載開始から長い年月が経っても作者の容姿があまり変わらないことから、「荒木先生は年を取らない」というネタがファンの定番ジョークになっている。
  • ルーブル美術館での展示 - 荒木飛呂彦がフランスのルーブル美術館で作品を展示するなど、漫画家としては異例の高い芸術的評価を受けている。
  • 実写映画化 - 第4部が実写映画化された際は、原作の世界観をどう再現するかが大きな注目を集め、賛否を交えて話題となった。
  • 海外での「JoJo」人気 - 海外のアニメファンの間では「JoJo」が一大ジャンルとして確立しており、ミーム文化の中心的存在になっている。

余談[編集]

  • 作者の荒木飛呂彦は健康的な生活で知られ、その若々しい外見から「波紋の使い手では」とファンに冗談まじりに噂されている。
  • スタンド名のほとんどが「スター・プラチナ」「クレイジー・ダイヤモンド」「キング・クリムゾン」など洋楽バンド・楽曲由来。荒木の音楽好きが反映されている。
  • 独特の擬音「ゴゴゴゴ」は緊張感を表す記号としてネット上で広く使われ、ジョジョを読んだことがない人にも浸透している。
  • 「次にお前は『○○』と言う」というセリフ回しは、相手の言動を予言するネタとしてSNSで頻繁にパロディ化される。
  • 第4部の舞台「杜王町(もりおうちょう)」は荒木の出身地・宮城県仙台市がモデルとされ、聖地巡礼スポットになっている。
  • キャラクターのファッションは実在の高級ブランドを参照しており、ファッション誌とのコラボ企画も実現している。
  • 「グレートデイズ」「ブラッディストリーム」などアニメ主題歌も人気が高く、ライブやカラオケで盛り上がる定番曲となっている。
  • スタンドのデザインは年々精緻になり、その奇抜さと美しさを兼ね備えた造形は「動く彫刻」とも評される。
  • スタンドの「能力の応用バトル」は後の能力バトル漫画に絶大な影響を与え、「ジョジョ以前・ジョジョ以後」という言葉まで生まれた。
  • 第3部のアニメで空条承太郎を演じた声優陣の重厚な演技は高く評価され、キャラのイメージを決定づけたと言われる。
  • アニメ版では各部ごとにオープニング映像のセンスが話題となり、毎回新作の発表がファンの楽しみになっている。
  • 「やれやれだぜ」をはじめとする承太郎の口調は、クールなキャラの代名詞としてさまざまな作品でオマージュされている。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]