羽田秀吉
Shukichi Haneda
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羽田秀吉の声を担当する声優・森川智之(2011年)。キャラクター本人の画像ではない(出典:Wikimedia Commons「Toshiyuki Morikawa (cropped).jpg」・CC BY-SA 2.0)
本名 羽田秀吉(はねだ しゅうきち)/旧姓は赤井
出身地 イギリス(設定上)
居住地 高層マンション(宮本由美と同棲中)
家族 実父・赤井務武(消息不明)、実母・メアリー世良、兄・赤井秀一、妹・世良真純、養父・羽田康晴、義兄・羽田浩司(故人)
職業 将棋のプロ棋士
肩書 太閤名人(史上2人目の七冠達成者)
代表的な実績 名人戦に勝利し七冠を達成/劇場版『緋色の弾丸』で犯人の逃走経路を読み切る
関連活動 『名探偵コナン』『名探偵コナン 緋色の弾丸』
別名 赤井秀吉(旧姓での呼び名)
あだ名 チュウ吉(由美から)、吉兄(真純から)、太閤名人
その他 声優:森川智之(少年期:甲斐田ゆき)/年齢:28歳/座右の銘「初志貫徹」


概要[編集]

羽田秀吉(はねだ しゅうきち)とは、青山剛昌の漫画『名探偵コナン』に登場する将棋のプロ棋士で、七つのタイトルを手にした「太閤名人」である。FBI捜査官・赤井秀一の弟、女子高生探偵・世良真純の兄にあたる「赤井家の次男」で、警視庁交通課の宮本由美の恋人。声優は森川智之。

詳細[編集]

人物像[編集]

年齢は28歳。普段はボサボサの寝癖頭に無精ひげ、丸メガネにジャージという、いかにも「研究に没頭して身なりに興味がない人」スタイルで過ごしている。ところが対局の日には髭をきれいに剃り、着物をビシッと着こなして別人のような男前に変身する。このギャップが激しすぎて、元恋人の由美ですら最初は同一人物だと気づかなかったほどである。

性格は呑気でマイペース、そしてかなり子どもっぽい。由美のことを「由美タン」と呼んで全力でデレる一方、由美が絡むと感情が揺れて将棋にも推理にも集中できなくなるという、天才にしてはわかりやすい弱点を抱えている。一途さだけは筋金入りで、一度フラれても何年も由美を想い続けた。

天才的な記憶力と洞察力[編集]

秀吉の最大の武器は、とんでもない記憶力と先を読む力である。本人いわく、数字のようなものを覚えるのは「日本一得意」、いや「世界一かも」。一瞬見ただけの情報を正確に記憶し、そこから犯人の思考を読み切る能力は、江戸川コナンと同等かそれ以上とも評される。

兄の赤井秀一はそんな弟を「世界一のブレーン」と称しており、劇場版では捜査の頭脳役を任せている。ただし身体能力は高くなく、不意打ちを食らって犯人に拘束されてしまったこともある。兄や妹が格闘・狙撃のスペシャリストなのに対し、秀吉は完全な「頭脳担当」というのが赤井家の中での立ち位置である。

「太閤名人」という称号[編集]

作中の将棋界で七つのタイトルを独占した、史上2人目の七冠達成者。名前の「秀吉」と、豊臣秀吉が関白を退いたのちの呼び名「太閤」を掛け合わせて「太閤名人」と呼ばれている。天下統一ならぬ「タイトル統一」を成し遂げた男というわけで、ネーミングとしてもかなり気が利いている。

ちなみに作中の表記は「吉」の上部が「土」になった異体字「𠮷」(つちよし)が使われることがある。これは大正〜昭和初期の伝説的棋士・坂田三𠮷にちなんだものとされる。

赤井家の次男として[編集]

家族構成[編集]

秀吉の実父はイギリスの諜報機関MI6に所属していた赤井務武で、17年前に消息を絶っている。実母のメアリー世良も同じくMI6の諜報員で、現在は薬の影響で幼い姿になっているという、なかなかハードな家庭環境である。兄はFBI捜査官の赤井秀一、妹は女子高生探偵の世良真純。真純からは「吉兄(きちにい)」と呼ばれて慕われており、真純が推理に行き詰まったときに電話で相談する場面もある。

さらにメアリーの妹は灰原哀(宮野志保)の母・宮野エレーナにあたるため、宮野明美と志保は秀吉にとって従姉妹という関係になる。この家系図の濃さは、作中屈指である。

羽田家への養子入り[編集]

秀吉が「赤井」ではなく「羽田」を名乗っているのは、高校卒業後に羽田家の養子になったためである。羽田家には、将来を嘱望されながら17年前にアメリカのホテルで何者かに殺害された天才棋士・羽田浩司がいた。浩司の父・羽田康晴は赤井務武の旧友で、秀吉の将棋の才能を買い、浩司の夢を継がせるために養子として迎えたとされる。

こうして浩司は秀吉の「義兄」となった。秀吉の座右の銘「初志貫徹」は、もともと浩司が大切にしていた言葉である。浩司の死は黒の組織にまつわる「17年前の事件」として物語の大きな謎に直結しており、秀吉自身も知らないうちに作品の核心に近い場所に立っていることになる。

兄・秀一との関係[編集]

秀一は組織の目を欺くため死を偽装して沖矢昴として暮らしているが、秀吉は兄が生きていることを知っている数少ない人物の一人。兄弟は専用のスマートフォンで連絡を取り合っているとされ、事件の局面では互いの能力を信頼して動く。クールな兄とゆるい弟という正反対の雰囲気ながら、頭の切れ方はどちらも規格外である。

宮本由美との恋[編集]

電車での出会い[編集]

秀吉と、警視庁交通部交通課の宮本由美(佐藤美和子の同僚で親友)の出会いは約10年前、まだ大学生だったころにさかのぼる。対局帰りの電車で秀吉が隣の由美にもたれて眠ってしまったところ、由美は彼を起こさず、降りる駅まで付き合ってくれた。その優しさに秀吉は一発で惚れ込み、二人は交際を始める。

しかし秀吉の子どもっぽさと、はぐらかすような言動に由美はやがて愛想を尽かし、一方的に別れを告げてしまう。このとき秀吉は封筒を渡して「7つ揃うまで絶対に開けないで」と頼んでいた。由美はその「7つ」が何のことなのかも、彼がプロ棋士であることすら知らなかった。

七冠と婚姻届[編集]

秀吉が目指していた「7つ」とは、将棋の七大タイトルのこと。由美にふさわしい男になるため、全タイトル制覇をひそかに誓っていたのである。そして名人戦に勝利して七冠を達成。一方で封筒の中身は、なんと婚姻届だった。つまり「七冠を揃えたら結婚してほしい」という、壮大すぎるプロポーズの仕込みだったわけである。

ところがその後の王将戦では、由美との約束が頭から離れず集中力を欠いて敗れ、七冠から一歩後退してしまう。それでも物語は再び前進し、由美は秀吉の再起を後押しするようになった。のちには二人が同棲していることも明かされ、由美は秀吉を「チュウ吉」と呼んで尻に敷きつつも、すっかり公認カップルとなっている。

名シーンとしての名人戦[編集]

二人の関係を象徴するのが、アニメ第785〜786話「太閤恋する名人戦」である。七冠がかかった大一番の最中に由美が誘拐され、秀吉は動揺して対局どころではなくなる。謎を解いて由美を救い出したあと、お守り代わりにしていた由美の写真を落とした秀吉に、由美は熱いキスで発破をかけた。これで集中力を取り戻した秀吉は名人戦に勝利する。ラブコメとミステリーと将棋が一度に味わえる回として、ファン人気の高いエピソードである。

主な登場エピソード[編集]

原作[編集]

『名探偵コナン』は週刊少年サンデーで連載中の作品で、秀吉の原作での初登場は単行本80巻収録のエピソードで、由美の元カレとして、事件現場の隣人という形で現れた。その後、81巻・88巻あたりでは真純の電話相手として姿を見せ、「世良の兄」であることが段階的に明かされていく。85巻で名人戦、89巻で婚姻届をめぐる暗号回、92巻では赤井家の過去を描いた回想エピソードに少年時代の姿で登場し、海水浴先で幼い工藤新一や毛利蘭と出会っていたことが明かされた。

98巻からは、将棋棋士が狙われる事件の中で秀吉自身が監禁され、目隠し将棋を通じて居場所を伝えるという、棋士ならではの活躍を見せる長編が描かれた。102巻では由美が秀吉の浮気を疑うコメディ寄りの話も収録されており、シリアスからギャグまで幅広く出番がある。

アニメ[編集]

テレビアニメでの主な登場回は以下のとおり(話数は読売テレビ・日本テレビ系の放送話数)。

話数 サブタイトル 放送年 主な内容
第731〜732話 現場の隣人は元カレ 2014年 初登場。由美の元カレとして事件の推理に絡む
第785〜786話 太閤恋する名人戦 2015年 名人戦と由美の誘拐。七冠達成
第849〜850話 婚姻届のパスワード 2017年 封筒の中身が婚姻届だったと判明
第881〜882話 さざ波の魔法使い 2017年 赤井家の過去。少年時代の秀吉が登場
第971〜974話 標的は警視庁交通部 2020年 由美との同棲が判明
第1033話〜 太閤名人の将棋盤 2022年 棋士を狙う事件で秀吉が監禁される
第1130〜1131話 トリプルコラボの浮気疑惑 2024年 由美が秀吉の浮気を疑う

「太閤名人の将棋盤」の後半「妙手編」が放送された2022年1月には、森川智之が自身の公式ブログで「羽田秀吉役、森川智之です♪」と放送を告知している。

劇場版『緋色の弾丸』[編集]

劇場版では第24作『名探偵コナン 緋色の弾丸』(2021年公開)に初登場した。赤井秀一・秀吉・真純・メアリーの「赤井一家」が初めて一本の映画にそろうことが最大の売りで、キャッチコピーは「一家(ファミリー)、集結──」、主題歌は東京事変の「永遠の不在証明」。

作中で秀吉は周辺の地図を瞬時に記憶し、逃走する犯人のルートを詰将棋のように読み切ってFBIの追跡を導く。兄の秀一が弟の読みに全幅の信頼を寄せて作戦を任せる場面は、兄弟の絆が見えるシーンとして人気が高い。エピローグでは、沖矢昴が酔いつぶれた秀吉と由美を車で送り届けるくだりもあり、由美とのラブコメパートでも癒やし担当として存在感を放った。本作は新型コロナの影響で公開が1年延期されながらも、興行収入76.5億円を記録している。

声優・森川智之[編集]

声を担当するのは、洋画吹き替えのトム・クルーズ役などで知られるベテラン声優の森川智之。アニメ第731話の次回予告で初めて声が流れた際には、視聴者の間で「この声は森川さんでは」と話題になった。普段のふにゃっとした「由美タン」ボイスと、対局や推理の場面で見せる低く落ち着いた声の切り替えは、秀吉というキャラクターの二面性をそのまま表現している。

少年時代の秀吉は甲斐田ゆきが演じている。兄・赤井秀一役の池田秀一、妹・世良真純役の日髙のり子とともに、赤井一家の声優陣はそろって実力派ぞろいである。

将棋ネタとモデル[編集]

秀吉のビジュアルのモデルは、実在の棋士・羽生善治だとされる。ピョンと跳ねた寝癖とメガネという姿は、若き日の羽生を思わせるもので、1996年に羽生が史上初の七冠独占を達成した史実を踏まえると、秀吉が「史上2人目の七冠」という設定もうなずける。

作中の対局シーンにも実在の将棋ネタが仕込まれており、名人戦で秀吉が指した妙手「4七角」は、谷川浩司が羽生に対して指した実際の一手が元ネタとされる。また、現実の将棋界で新タイトル「叡王」が加わって八大タイトル制になった流れも作中に反映され、六冠の状態の秀吉に対して由美が「叡王を取れば七冠」と丸め込む場面がある。現実と作品世界がゆるやかにリンクしているのも、将棋ファンにはたまらないポイントである。

余談[編集]

  • 名前の由来は、言うまでもなく豊臣秀吉(羽柴秀吉)。兄・秀一、秀吉と「秀」の字がそろっているのも赤井兄弟らしいポイントである。
  • 由美からの愛称「チュウ吉」は、「しゅうきち」をもじったもの。秀吉のほうは由美を「由美タン」と呼んでおり、互いのあだ名だけでカップルの温度感が伝わる。
  • 普段の住まいは高層マンションで、プロ棋士として相当な収入があるとされる。食生活はチーズやジャンクフード寄りという、なかなか独身男性的なエピソードも語られている。
  • 由美の元カレ設定は秀吉の初登場より前から作中で触れられており、のちに「その元カレが七冠を目指す天才棋士だった」と回収される形になったとされる。
  • 劇場版『緋色の弾丸』の公開前には、赤井一家にスポットを当てた総集編『緋色の不在証明』も劇場公開され、秀吉の登場回もまとめて振り返られた。

外部リンク[編集]

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