濁流
탁류 / The Murky Stream
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『濁流』のビジュアル(出典:Amebaブログ「Anko&Kdrama」掲載画像、(C)2025 Disney)
ジャンル 時代劇、アクション、韓国ドラマ
放送期間 2025年9月26日 - 2025年10月17日
放送時間 毎週金曜日(初日3話、以降2話ずつ配信)
話数 全9話
放送国家 韓国
言語 韓国語
配信 Disney+(日本・韓国ほか)、Hulu(米国)
制作
演出 チュ・チャンミン
制作 NPIOエンターテインメント、Anew
脚本 チョン・ソンイル
音楽 シン・ヒョンシク、チョン・ソンヒ
出演者 ロウン、シン・イェウン、パク・ソハム、パク・ジファン、チェ・グィファ、キム・ドンウォン ほか
その他
外部リンク https://www.disneyplus.com/browse/entity-d986ede5-6409-4400-9e39-7362ab8af0f5

概要[編集]

濁流(だくりゅう、原題:탁류、英題:The Murky Stream)とは、2025年にDisney+で配信された韓国ドラマである。朝鮮王朝時代、国中の金と物資が集まる京江(キョンガン、現在の漢江)の渡し場を舞台に、過去を隠したならず者、商人を目指す女性、清廉な官吏という3人の運命が交錯する全9話のアクション時代劇で、Disney+の韓国オリジナルとしては初の時代劇シリーズとされる。

詳細[編集]

企画の経緯[編集]

脚本のチョン・ソンイル(천성일)が久々に時代劇を書いているという話は2021年12月に報じられたとされ、2023年1月には制作会社のラインナップの一本として紹介された。作品が正式に世界へお披露目されたのは、2024年11月21日(現地時間)にシンガポールのマリーナベイ・サンズで開かれた「ディズニー・コンテンツ・ショーケース APAC 2024」である。この場で『濁流』と『捏造された都市』のDisney+独占配信が初めて発表され、プレビュー映像が流された。

当時の紹介文は「清い流れが濁った川へと変わってしまった無法地帯」で繰り広げられる3人の物語というもので、日本向けの発表でも「朝鮮王朝を舞台にした時代劇」としてロウン、シン・イェウン、パク・ソハム、パク・ジファンの名前が並んでいた。

監督・脚本家コンビ[編集]

監督のチュ・チャンミン(추창민)は、1000万人以上を動員した映画『王になった男』(2012年)で知られる映画監督で、ほかに『7年の夜』(2018年)、『幸福の国』(原題:행복의 나라、2024年)などを手がけてきた。本作は彼にとって初のシリーズ(連続ドラマ)演出作品である。

脚本のチョン・ソンイルは、KBSの大ヒット時代劇『チュノ〜推奴〜』(2010年)や映画『パイレーツ』(2014年)の脚本で知られる。韓国メディアは「『推奴』以来14年ぶりの時代劇シリーズ復帰」と大きく報じ、予告編公開時には「『推奴』『王になった男』を継ぐ大作」という見出しまで躍った。つまり「時代劇の職人2人がグローバルOTTと組んだ」というのが本作の最大の売りだったわけである。

公開までの流れ[編集]

本作は第30回釜山国際映画祭の「オンスクリーン」部門に公式招待され、2025年9月18日に映画祭でプレミア上映された。続いて9月23日にはソウル・江南のホテルで制作発表会が開かれ、監督と主要キャストが登壇している。

配信は2025年9月26日(金)にスタートし、初日に第1話〜第3話を一挙公開。以降は毎週金曜日に2話ずつ公開され、10月17日の第8話・第9話で完結した。各話の長さはおおむね52〜58分で、全9話の総尺は約479分(7時間59分)とされる。

あらすじ[編集]

舞台は1590年代の朝鮮王朝。漢陽(いまのソウル)を流れる京江は、全国から米や塩、海産物が運び込まれる王朝経済の心臓部だ。しかし渡し場の荷揚げの権利は「ワルペ(왈패)」と呼ばれるならず者集団が牛耳り、その背後には腐敗した両班(ヤンバン)や役人たちが控えている。人足たちは毎日集まってくるが、ワルペの横暴のせいで家族を養うことすらままならない。

麻浦(マポ)の渡し場に、乞食同然の身なりながら体格と眼光だけはただ者ではない流れ者、チャン・シユル(ロウン)が現れる。彼は奪われた賃金を取り戻そうとしてワルペと衝突し、腕っぷしを見込まれる一方で弱みを握られ、麻浦のワルペの頭パク・ムドク(パク・ジファン)の手下として生きることになる。

一方、朝鮮最大の商団の一人娘チェ・ウン(シン・イェウン)は、類まれな商才を持ち「朝鮮一の商人」を目指して後継者修業を積んでいるが、女性であるという理由で正当に扱われない。商人たちは荷主でありながら、荷揚げを仕切るワルペに上納金を払わなければならない立場で、彼女はシユルとも衝突することになる。

そして捕盗庁(ポドチョン)に従事官として新たに赴任してきたチョン・チョン(パク・ソハム)。低い身分の出で両班たちから見下され、あまりに清廉なため同僚からも疎まれる彼は、腐り切った組織の中で不正を正そうとする。チョン・チョンとシユルは義兄弟の間柄でもある。

「この世を、俺たちが動かす」——それぞれ別の夢を抱く3人は、人足、ワルペ、商団、捕盗庁、さらに外から入り込んできた謎の勢力が入り乱れる京江で、濁った世界を自らの手で切り開こうとする。物語の終盤には壬辰倭乱(文禄・慶長の役)の始まりを告げるのろしが上がる描写があり、作中の時間はおおむね1591年から1592年にかけてと解釈されている。

なお、2024年のショーケースや配信前の日本向け紹介では「国軍将校になることを夢見た2人の幼なじみが離れ離れになり、数年後に対立する立場で再会する」という趣旨のあらすじも出回っていた。

登場人物・キャスト[編集]

主要人物[編集]

役名 俳優 人物像
チャン・シユル(장시율) ロウン 麻浦の渡し場に流れ着いた人足。名前も家もない「一匹狼」で、過去を隠している。武芸の達人で、のちにワルペの世界へ引き込まれる。主人公。
チェ・ウン(최은) シン・イェウン 朝鮮最大の商団の一人娘。朝鮮一の商人を夢見る。女性かつ平民として差別を受けながらも、堂々と既得権に立ち向かう。
チョン・チョン(정천) パク・ソハム 捕盗庁に新たに赴任した従事官。清廉潔白で、腐敗の根絶を目指す。身分が低く両班から軽蔑されている。シユルの義兄弟。
パク・ムドク(박무덕) パク・ジファン 麻浦の渡し場を仕切るワルペの頭。秩序を保つ顔役だが、落ち目になりつつある。生き残りと富のためなら手段を選ばない。

勢力別の主な人物[編集]

所属 役名 俳優
ムドク一派 ワルワル パク・ジョンピョ
マルボク アン・スンギュン
チョンボク キム・チョリュン
ケチュン ユン・デユル
ムドクの妻 オ・ギョンファ
捕盗庁 イ・トルゲ(腐敗した役人) チェ・グィファ
大将 チョ・ヒョヌ
チェ家の商団 チェ・ジョンヨプ ユ・ソンジュ
カン・ヘンス(商団の金庫番) チョン・ベス
ソムソム チョ・ユジン
女真の一団 ワンヘ(謎のよそ者) キム・ドンウォン
麻浦の人々 トッケ チェ・ヨンウ
パン ウ・ジヒョン
ユン パク・ヒョンス
権力者側 ユ・テソク チェ・ウォニョン
その他 筆耕(代書屋) オ・ダルス

このほか、京江各地の渡し場を仕切るワルペの親分衆、西小門の盗賊団、チャン・シユルの母、チョン・チョンの母、競売の女将など、多数の人物が登場する。英語圏のデータベースでは出演者が「ムドク一派」「捕盗庁」「チェ家の商団」「女真」「京江の親分衆」といった勢力ごとに整理されており、群像劇としての規模の大きさがうかがえる。

時代背景:京江と麻浦の渡し場[編集]

京江とは[編集]

「京江(경강)」は、朝鮮時代に漢江のうち都・漢城府(ハンソンブ)にあたる区間を指した呼び名である。おおむね中浪川が合流する豆毛浦(トゥモポ)から楊花津(ヤンファジン)までの範囲がこれにあたる。韓国語で渡し場は規模によって呼び分けられ、小さいものを「渡(ド)」、それより大きいものを「津(ジン)」、さらに大きく商業機能の強いものを「浦(ポ)」と呼んだ。

京江は単なる川ではなく、全羅道・忠清道・黄海道・京畿道などから船で運ばれてきた税穀が陸揚げされ、検査を経て倉庫へ送られる国家物流の動脈だった。劇中で「朝鮮のすべての金と物資が通る場所」と表現されているのはこのためである。

麻浦の渡し場[編集]

麻浦(마포)は固有語で「サムゲ(삼개)ナル」とも呼ばれ、漢字の「麻(삼)」と「浦(개)」を当てて「麻浦」と記されるようになった。水深が深く流れが安定していたため、西海岸と漢江上流を結ぶ物流の中心地となり、漢陽最大の物流拠点として栄えた。

麻浦は海産物の集散地で、とくにアミの塩辛(セウジョッ)の取引で有名だった。ワカメ、魚、塩なども主要な物資で、「麻浦のセウジョッ売り」は全国に知られた存在だったという。現在の麻浦区にある道路名「トンマッキル(독막길)」は、塩辛の甕を作っていた場所に由来する。

京江商人とワルペ[編集]

史実では、京江一帯を拠点にした「京江商人」が客主業(問屋・仲買)や船運業、氷の貯蔵業などを営み、とくに壬辰倭乱や丙子胡乱を経た17世紀以降に全国規模で活動を広げた。本作の舞台はそれより少し前、壬辰倭乱直前の1590年代にあたり、こうした商業の担い手たちが台頭していく前夜の混沌を描いているとも言える。

作中では「人足<渡し場のワルペ<腐敗した両班」という何層もの搾取構造が描かれ、チェ・ウンのような商人も荷主でありながらワルペに金を払う立場に置かれている。チュ・チャンミン監督は「これまでの時代劇は王族や両班を扱うことが多かったが、この作品は下層民、とくに渡し場のワルペの物語だという点に惹かれた」と語っている。

制作[編集]

撮影[編集]

撮影期間は2024年5月2日から2025年1月10日まで。主なロケ地は慶尚北道の尚州市(サンジュ)で、洛東江一帯に漢江・麻浦の渡し場のセットを丸ごと建てたとされる。監督は当初、水辺のシーンにCGを使うことも検討したが、リアリティを重視して水辺に屋外セットを組み、CGは画面の拡張部分にのみ用いたと説明している。

ロウンは制作発表会で「98%がオープンセットだった。夜間照明がとても美しかった」と振り返った。真夏の酷暑の中での屋外撮影や、深夜のアクション撮影が続いたことも明かされている。

キャスティングと役作り[編集]

ロウンが演じるシユルは、彼がこれまで多く演じてきたロマンチックな美青年とは正反対の、薄汚れた身なりの荒くれ者である。ロウンによれば、監督から「君の一番の武器であるかっこよさを奪いたい」と言われたことが出演の決め手になったという。インタビューでは「見た目の良さは永遠には続かない。外見以外でも観客を説得できることを証明したかった」とも語っている。

シン・イェウンは、女性が自由に意見を言いにくかった時代に、確信と自信を持って生きるチェ・ウンを表現することに力を注いだと話している。役作りではそろばん(주판)の扱いを練習したという。

パク・ソハムにとっては兵役を終えてからの復帰第1作で、彼は撮影現場について「父のような存在を得た気がした」と語った。ロウンにとっては兵役前最後の作品であり、初のOTT作品でもあった。

制作会社[編集]

制作はNPIOエンターテインメント(앤피오엔터테인먼트)とAnew(어뉴)。NPIOエンターテインメントはシン・イェウンの所属事務所でもある。

評価[編集]

視聴成績[編集]

配信開始直後から韓国のDisney+で大きな反響を呼び、FlixPatrolの集計では2025年9月29日に韓国1位を記録。韓国のコンテンツランキングでは6日連続1位を獲得したと報じられた。日本と台湾でも最高3位、グローバルでも最高9位に入ったとされる。

批評・反応[編集]

韓国メディアは「映画並みの映像美」と評し、とくに第6〜7話の戦闘シーンについては「韓国時代劇アクションの新基準」という声も紹介された。また「王と臣下ではなく、体制の外で独自の秩序を築いた人々の視点から朝鮮を描き直した」点や、テンポの速い展開、味のある脇役陣の演技、時代劇らしいミザンセーヌ、鮮明な時代描写が魅力として挙げられた。

演技面では、ロウンが「体で語る俳優」と評され、デビュー以来もっとも強烈な変身と報じられた。シン・イェウンについては「繊細な感情線で人間的な温かさを加えた」とされている。ロウン本人も「誇らしい。1日に何度も自分の名前を検索している」と反響を喜んだ。

一方、序盤は年配の男性キャラクターの比重が大きく、若い3人の活躍を期待した視聴者には物足りないという感想もネット上では見られた。海外のレビューサイトでは、IMDbで7.5点、ウォッチャピディアで3.3点(5点満点)前後の評価とされる。

受賞[編集]

年 賞 部門 対象 結果
2025年 マリ・クレール・アジアスターアワード ライジングスター賞 ロウン 受賞
2025年 マリ・クレール・アジアスターアワード ライジングスター賞 シン・イェウン 受賞

同賞は2025年9月18日、釜山国際映画祭の期間中に開かれた授賞式で発表された。

日本での配信[編集]

日本ではDisney+(ディズニープラス)で独占配信されており、邦題は『濁流』。配信開始は韓国と同じ2025年9月26日(金)で、初日に3話、以降毎週金曜日に2話ずつ追加され、10月17日に全9話がそろった。日本向けの紹介文では「シン・イェウン、パク・ソハムらが共演し無法地帯の朝鮮を舞台に3人の男女の揺れ動く運命を描いた激動の物語」とされ、同月のディズニープラス注目作の一つとして紹介された。

2026年10月時点で、Disney+以外の日本の動画配信サービスやテレビ放送での展開は確認できない。なお米国ではHuluでも配信されている。

余談[編集]

  • ロウンは役のために派手な汚しメイクで「大変身」したが、共演者からは「ボサボサの役なのに演技する必要がない」とからかわれたという。インタビュー前の1週間で8kg減量したとも明かしており、増量の理由は「母の料理」だったそうである。
  • パク・ジファンとチェ・グィファは、いずれも映画『犯罪都市』シリーズの常連俳優。本作では時代劇の世界でワルペの頭と捕盗庁の役人として顔をそろえている。
  • 名脇役オ・ダルスが「筆耕(代書屋)」役で出演している。
  • 時代考証にこだわった作品だが、捕盗庁の従事官が「テガム(大監)」と呼ばれる場面があり、本来この敬称はもっと上級の官職に使うものだという指摘があるとされる。
  • ロウンとシン・イェウンは、配信前の2025年9月18日にそろって釜山でマリ・クレール・アジアスターアワードのライジングスター賞を受賞している。同じ授賞式ではアジアスター賞を西島秀俊が受賞した。
  • チュ・チャンミン監督にとっては初のドラマ演出作、ロウンにとっては初のOTT作品と、「初めて」が重なった作品である。

外部リンク[編集]

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