転生

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概要[編集]

転生(てんせい)とは、死んだ者の意識や魂が別の身体・別の世界で新たに生を受けることを指す語である。現在の日本語圏では主に、現代人が異世界や作中世界の人物として生まれ直すという創作上の設定を指し、ライトノベル漫画アニメウェブトゥーンを横断する巨大なジャンルの名前になっている。

詳細[編集]

宗教の語としての転生[編集]

もともとは輪廻の観念に属する語で、生と死が繰り返され、行いに応じて次の生の境遇が決まるという考え方に根がある。ただし宗教的な転生では、生まれ変わった本人は前世の記憶を持たないのが基本である。記憶が持ち越されないからこそ、現世の行いが次の生を決めるという因果の話が成立する。

創作用語としての転生は、ここを正反対にしている。記憶と知識を丸ごと引き継ぐことが前提で、むしろそれが物語の駆動力そのものになる。同じ語を使っていても、中身はほとんど別物である。

創作ジャンルとしての成立[編集]

日本では2010年前後から小説家になろうなどの投稿サイトで転生ものが大量に書かれ、そこからライトノベル漫画アニメへ広がった。「異世界転生」「なろう系」といった呼び名が一般語として通じるようになったのもこの時期である。

韓国でも同じ時期にウェブ小説の投稿プラットフォームで似た現象が起き、それが縦読みのウェブトゥーンとして作画され、ピッコマLINEマンガを通じて日本語で読まれている。日本と韓国で内容のよく似たジャンルがほぼ同時に立ち上がったのは、互いの影響というより、どちらも「投稿サイトで読者の反応を見ながら書く」という同じ形式を先に持っていたからである。

転生・転移・憑依・回帰[編集]

近い意味の語が並立しており、作品を探すときの検索語としても使い分けられている。

  • 転生 - 死んで、別の身体・別の人物として生まれ直す。前の人間関係はリセットされる。
  • 転移 - その身のまま別の世界へ移動する。元の世界に戻るという目的が残りやすい。
  • 憑依 - すでに存在する作中人物の身体に入る。その人物の過去・評判・人間関係を丸ごと引き継ぐ。韓国語圏の作品では独立したジャンル名として扱われ、日本語版では「憑依」「転生」が混用される。
  • 回帰(死に戻り) - 同じ人物が自分の人生を過去の時点からやり直す。関係も立場もそのまま残る。

復讐を主題にした作品に回帰が多く、成り上がりを主題にした作品に転生が多いのは、必要な条件が正反対だからである。復讐には「相手が誰で、何をされたか」の記憶と、その相手が同じ場所に居続けることの両方が要る。別人になってしまう転生では、復讐の相手に近づく手段から作り直さなければならない。

転生の本体は「生まれ直す」ことではない[編集]

異世界を舞台にする物語は、ふつう読者にも主人公にも世界を説明しなければならない。地理、身分、魔法の仕組み、勢力の対立。この説明はどうしても冒頭に溜まる。

転生ものの主人公が「前世で読んだ小説」「前世で遊んだゲーム」の中に入る形を取るのは、この一手間を丸ごと省くためである。主人公はすでに世界の仕組みも登場人物の正体も結末も知っているので、説明の代わりに「知っているからこそ動ける」場面を最初から書ける。

つまり転生という設定の本体は、生まれ直すことではなく、結末を先に知っている人物を物語の中に置くことにある。宗教的な輪廻が記憶を持ち越さないのと決定的に違うのはここで、記憶を持ち越さない転生は物語の装置として何の働きもしない。

有利さではなく制約が面白さを作る[編集]

知識も力も持って生まれ直しても、周囲の評価・身分・持ち時間は変わらない。多くの転生もので主人公が最初にぶつかるのが「実力はあるのに立場は最下層」という落差なのは、そこにしか緊張が置けないからである。

暴君名家の反逆者-Aster-初代様の帰還~史上最強が1000年後の子孫に転生する~のように、主人公が最初から最強で、変わったのは世界の側という作品もある。この場合の緊張は「主人公が弱い」ことではなく「主人公の常識が古い」ことから生まれる。どちらにしても、面白さを支えているのは能力ではなく制約のほうである。

説明を省ける設定が生き残る[編集]

縦読みのウェブトゥーンや投稿小説は、冒頭の数話で離脱されると連載が続かない。設定の説明に時間をかけられない形式では、一行で状況が伝わる設定ほど有利になる。

「小説の悪役令嬢に転生した」「ゲームの中ボスに憑依した」「死ぬ7年前に戻った」は、どれも一行で前提が伝わる。ジャンルが偏って見えるのは書き手の想像力の問題というより、この形式が短い前提説明を強く要求するからで、ピッコマの作品タグに「転生」「異世界」「回帰」「死に戻り」「ゲーム世界」が並列で並んでいるのは、その要求に応えた設定の一覧表とも言える。

余談[編集]

  • 「転生」は本来「てんしょう」とも読む。仏教語としては「てんしょう」寄りだが、現在の創作ジャンル名としてはほぼ「てんせい」で固定している。
  • 小説家になろうの隆盛以前、日本の創作では「生まれ変わり」という和語のほうが一般的だった。漢語の「転生」が定着したのは、タイトルに組み込んだときの収まりの良さも大きい。
  • シャチ族の赤ちゃん公女様、人生逆転します!のように周回数を明示する作品では、その数字が「何回失敗したか」の目盛りとして働く。やり直しの回数が多いほど世界を知り尽くしてしまうため、2周目で書かれる作品が多い。
  • 脇役に憑依したら愛されすぎて困ってますザコキャラ憑依のはずが、アカデミーの天才になっていたのように「憑依」を題名に置く作品が韓国発に多いのは、向こうでそれがジャンル名として通っているためで、日本語圏では同じ内容が「転生」と呼ばれることも多い。

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