漫画村

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概要

漫画村とは、2016年に開設され2018年に閉鎖された、日本の漫画を権利者の許諾なく閲覧できる状態に置いていたウェブサイトである。運営者は著作権法違反などの罪で実刑判決を受け、民事でも高額の賠償を命じられた。

詳細

経緯

サイトは2016年に開設され、2017年から2018年にかけて人気作品を無断で公開していた。閲覧数の規模と知名度の大きさから、出版業界が被害額を公表する事態となり、国の政策対応にまで発展した。2018年4月、サイトは閲覧できない状態になった。

運営者とされた男は国外で拘束され、日本に送還されて起訴された。2021年6月2日、福岡地方裁判所は著作権法違反と組織的犯罪処罰法違反の罪で、懲役3年の実刑、罰金1000万円、および約6257万円の追徴を言い渡した。検察側の求刑は懲役4年6か月、罰金1000万円、追徴約6257万円だった。判決では、著作物の収益構造を破壊した点が量刑の理由として述べられている。

認定された行為には、2017年5月に人気作品の画像データをサーバーに送信して公衆に閲覧可能な状態にしたこと、および2016年12月から2017年11月にかけて広告収入約6200万円を海外口座に送金して犯罪収益を隠した行為が含まれる。

民事ではKADOKAWA集英社小学館の3社が約19億3300万円の損害賠償を求めて提訴し、2024年4月、東京地方裁判所は約17億3600万円の支払いを命じた。

収入の構造

この種のサイトが利用者から料金を取らずに運営できていた理由は、収入源が広告にあったためである。閲覧そのものは無料でよく、表示回数が増えるほど収入が増える。したがって、作品を揃えることと閲覧を集めることが直接の目的になり、権利処理は収入の計算に入ってこない。

同時に、この構造は弱点でもある。大手の広告ネットワークは掲載先の審査を行うため、権利処理のないサイトは審査の緩い広告配信経路に依存することになる。単価が低いため表示数で補う設計になり、表示される広告の内容も選びにくくなる。閉鎖後に語られたトラブルの多くがサイト本体ではなく広告枠で起きていたのは、この依存の帰結である。

政策への影響

2018年4月、政府は特に悪質な海賊版サイトについて、接続事業者が利用者のアクセスを遮断する「ブロッキング」を行っても違法性はないとする緊急対策の方針を示した。これに対し、利用者の通信内容を確認することが憲法の定める通信の秘密の侵害にあたるという指摘が出された。

同年6月から10月にかけて開かれた検討会議は9回にわたったが、賛成と反対の意見が対立したまま取りまとめに至らず閉会している。その後の立法は、ブロッキングではなく、侵害コンテンツへ誘導する「リーチサイト」の規制と、侵害コンテンツと知りながら行うダウンロードの違法化という方向で進んだ。

この経緯は、権利の保護と通信の自由という二つの要請が、どちらも譲れる性質のものではないことを示している。ブロッキングを支持する側は、削除要請も摘発も及ばない運営者が国外にいる以上、国内でできる手段は接続の遮断しかないと主張した。反対する側は、一度その手段を認めれば適用範囲の線引きが後から動きうると主張した。いずれも制度の設計に関わる論点であり、決着した議論ではない。

余談

  • 閉鎖後、同種のサイトが名称を変えて現れる事例が繰り返し報じられた。運営の実体が国外にあり、サーバーと広告配信も国外で完結する場合、国内の法制度だけで止めることが難しいという構造が背景にある。
  • 出版社側の対応は、法的措置と並行して、公式の閲覧経路を整える方向にも向かった。電子書籍漫画アプリの拡充、ピッコマLINEマンガに代表される話売り形式の普及は、同じ時期に進んでいる。無料で読める経路が正規側にも用意されたことが、状況を変えた要素のひとつとして挙げられる。
  • 「被害額」として当時示された金額は、無断公開された作品が本来の価格で売れていたと仮定して計算したものであり、閲覧者がすべて購入者に転じたと仮定する点について異論が出た。算定方法そのものが論点になった事例である。

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