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2026年9月10日 (木) 15:57時点における版
概要
写真週刊誌とは、記事の大半を文章ではなく写真で構成する日本の週刊誌のジャンルである。1981年に新潮社が創刊した『FOCUS』を起点に各社が追随し、1980年代半ばには5誌が同時に並び立つ一大ブームを形成した。
詳細
「写真で時代を読む」という発明
1981年10月、新潮社が「写真で時代を読む」をキャッチフレーズに『FOCUS』を創刊した。それまでの週刊誌が「文章の記事に写真を添える」構成だったのに対し、『FOCUS』は逆に「写真そのものを記事にし、短いキャプションを添える」形式を採った。判型も小さく、通勤電車で片手で読める。この設計が当たり、1983年末には200万部規模に達したとされる。
雑誌が売れると他社が真似をするのは出版業界の常で、既存の週刊誌までが『FOCUS』風の写真の使い方を取り入れはじめた。当時これは「フォーカス現象」と呼ばれた。
FF時代・FFE時代・3FET時代
追随の第一号が、1984年11月に講談社が創刊したFRIDAYである。2誌合わせて300万部規模を売った1985年頃が「FF時代」、そこに1985年創刊の『Emma』(文藝春秋)を加えて「FFE時代」、さらに1986年創刊の『TOUCH』(小学館)と『FLASH』(光文社)を加えて「3FET時代」などと呼ばれた。頭文字を並べた呼び名がいくつも生まれること自体が、この数年間の過熱ぶりを物語っている。
いずれも判型・価格帯・構成がよく似ており、書店の平台に同じような表紙が並んだ。読者からすれば「どれを買っても似ている」状態で、これが後の共倒れの伏線にもなる。
何を撮っていたのか
中身は大きく三つに分かれる。ひとつは事件・事故・災害の現場写真。ひとつは政治家や企業経営者のスキャンダル。そしてもうひとつが芸能人の私生活とグラビアである。とくに「熱愛発覚」「密会」といった芸能スクープは、テレビのワイドショーが後追いする形で二次拡散され、雑誌の実売以上の影響力を持った。
一方で、この取材手法は当初から批判されていた。無断撮影、待ち伏せ、被害者や遺族への接近。報道の自由と、撮られる側のプライバシーのどちらを重く見るかは、当時も今も意見が分かれ続けている論点である。
潮が引いた1986年以降
転機は1986年12月9日、ビートたけしと一門が『FRIDAY』編集部に押しかけた、いわゆるフライデー襲撃事件だった。事件そのものは暴力行為として立件されたが、同時に「そこまで恨まれる取材をしていたのか」という視線が写真週刊誌全体に向いた。
各誌の部数はここから下降線に入り、1987年に『Emma』、1989年に『TOUCH』が休刊。2001年にはブームの生みの親である『FOCUS』も休刊した。現在も刊行が続いているのは『FRIDAY』と『FLASH』の2誌である。
ウェブ化した写真週刊誌
2010年代以降、両誌はウェブ版に軸足を移した。速報はウェブで出し、紙はまとめ読みと保存版という役割分担である。同時に、X (SNS)やInstagramで本人が自分の写真を自分で出す時代になり、「他人が隠していることを撮る」ことの希少価値そのものが変質した。
それでもスクープ需要が消えたわけではなく、政治家の不祥事や芸能人の交際報道は今も紙とウェブの両方で流通している。変わったのは、記事が話題になる場所が書店の平台からX (SNS)のタイムラインに移ったことだ。
よくある質問
- 写真週刊誌と普通の週刊誌はどう違うの?
- 文章が主で写真が従なのが一般の週刊誌、写真が主で文章が従なのが写真週刊誌。判型も写真週刊誌のほうが小さめで、ページをめくる速度が速い作りになっている。
- いま買えるのはどれ?
- 『FRIDAY』(講談社・金曜発売)と『FLASH』(光文社・火曜発売)の2誌。『FOCUS』『Emma』『TOUCH』はいずれも休刊している。
- 「FF」「3FET」って何の略?
- 誌名の頭文字。FOCUSとFRIDAYで「FF」、Emmaを足して「FFE」、TOUCHとFLASHを足して「3FET」。ブームの拡大に合わせて呼び名が増えていった。
- 週刊プレイボーイや週刊ヤングジャンプは写真週刊誌?
- 違う。あちらは漫画や読み物とグラビアを載せる総合誌・漫画誌であって、報道写真を主体とする写真週刊誌とは系統が別である。
- スクープ写真は法律的に問題ないの?
- 一律には言えない。公共性・公益性が認められる報道は正当とされる一方、私生活を無断で撮影・公表した事例では損害賠償が命じられたケースもある。個別の事情次第で結論が変わる領域で、決着した論点とは言いがたい。