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開発の出発点が2000年で、日本で一般に知られたのが2007年以降というずれは、技術が先に完成していて用途が後から見つかった順序を示している。ヤマハ自身が想定していたのは楽器のソフトウェアとしての市場で、キャラクター文化の起点になるという使われ方は設計の時点では見えていなかった。
開発の出発点が2000年で、日本で一般に知られたのが2007年以降というずれは、技術が先に完成していて用途が後から見つかった順序を示している。ヤマハ自身が想定していたのは楽器のソフトウェアとしての市場で、キャラクター文化の起点になるという使われ方は設計の時点では見えていなかった。
発表の場が[[ニコニコ動画]]から[[YouTube]]、さらに[[TikTok]]の短尺へと移るにつれ、聴かれ方も変わった。長い曲を通して聴く前提から、冒頭の数十秒で判断される前提へ動いたということで、曲の構成そのものが場の作りに引っ張られる点は[[J-POP]]や[[K-POP]]でも同時に起きている現象である。


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発表の場が[[ニコニコ動画]]から[[YouTube]]、さらに[[TikTok]]の短尺へと移るにつれ、聴かれ方も変わった。長い曲を通して聴く前提から、冒頭の数十秒で判断される前提へ動いたということで、曲の構成そのものが場の作りに引っ張られる点は[[J-POP]]や[[K-POP]]でも同時に起きている現象である。

2026年9月19日 (土) 15:50時点における最新版

概要[編集]

ボーカロイド(VOCALOID)とは、ヤマハが開発した歌声合成技術と、その技術を用いたソフトウェアの総称である。旋律と歌詞を入力すると、あらかじめ収録された人の声を素材に「歌った音声」が合成される。

詳細[編集]

開発の経緯[編集]

開発は2000年3月に「DAISY」という名称の研究プロジェクトとして始まった。ヤマハとスペイン・バルセロナのポンペウ・ファブラ大学の音楽技術グループによる共同研究を経て信号処理の方式が固められ、2003年3月にドイツの楽器見本市ムジークメッセで技術として初めて公表された。

以後、VOCALOID2(2007年)、VOCALOID3(2011年)、VOCALOID4(2014年)、VOCALOID5(2018年)と版を重ね、2022年に発表されたVOCALOID6では人工知能を用いた合成エンジン(VOCALOID:AI)が採用されている。

仕組みと「声の持ち主」の分業[編集]

合成の素材になるのは実際の人間の声で、収録した音をもとに音の高さ・ビブラート・抑揚などを後から調整できる。重要なのは、ヤマハが作っているのは合成の仕組みそのものであって、歌う声のほうは別の会社が「音声ライブラリ」として製品化するという分業になっている点である。

この分け方が、ボーカロイドをただの音楽ソフトで終わらせなかった。仕組みを作る側が声の中身まで決めないので、声の製品には自由にキャラクターを与えられる。初音ミクが絵と名前と設定を持つ存在として広まったのは、この分業が最初から用意されていたからで、技術の仕様としては「声の素材集」でしかないものに人格が与えられる余地があった。

キャラクターが先に立った[編集]

2007年に発売された初音ミク以降、日本では製品名よりキャラクター名で語られるのが普通になった。楽器のソフトウェアとして買った道具が、同時に二次創作の対象になるという状態は他の音楽ソフトにはほとんどない。

背景には、声のライブラリに描かれたイラストと設定が、著作権の扱いを整理した利用条件とともに提供されたことがある。描いてよい・使ってよい範囲があらかじめ示されていると、pixivニコニコ動画のような場で作品が積み上がる。曲を作る人、絵を描く人、動画にする人、踊る人が別々に集まり、それぞれの成果がまた素材になるという連鎖が起きた。ボーカロイドが「ソフトの名前」ではなく「文化の名前」として通用するのは、この連鎖の総称として使われてきたからである。

歌い手がいなくても曲が完成するということ[編集]

実務的な意味はもうひとつある。従来、自作の曲に歌を乗せるには歌う人を探す必要があり、それが個人の制作にとって最大の関門だった。声を買えば済むようになると、作り手はひとりで曲を完成させて公開できる。インターネットで発表する場が同時に整っていたため、完成品を世に出すまでの経路から人間関係の交渉が消えた。ボカロP(ボーカロイドを使う制作者)と呼ばれる作り手が大量に現れ、そこから商業の音楽J-POPの側へ移っていく人が続いたのは、この「ひとりで完結できる」性質による。

合成音声と人の声の関係[編集]

声の合成が自然になるほど、人の歌唱の代替になるのかという議論が出る。表現として別のものだという見方と、用途によっては置き換わるという見方が並んでおり、AI合成の版が出た現在も評価は定まっていない。声優や歌手の声を学習データとして扱う場合の権利関係も、制度の側が追いついていない論点として残っている。

余談[編集]

語の作りは「ボーカル」と「アンドロイド」を合わせたものとされ、製品名がそのままジャンル名として一般語になった例である。同種の歌声合成ソフトはボーカロイド以外にも複数あるが、日本語では技術の系統に関係なく「ボカロ」と呼ばれることが多い。商品名が分野全体の呼び名になる現象(宅配便やホチキスと同型)がここでも起きている。

開発の出発点が2000年で、日本で一般に知られたのが2007年以降というずれは、技術が先に完成していて用途が後から見つかった順序を示している。ヤマハ自身が想定していたのは楽器のソフトウェアとしての市場で、キャラクター文化の起点になるという使われ方は設計の時点では見えていなかった。


発表の場がニコニコ動画からYouTube、さらにTikTokの短尺へと移るにつれ、聴かれ方も変わった。長い曲を通して聴く前提から、冒頭の数十秒で判断される前提へ動いたということで、曲の構成そのものが場の作りに引っ張られる点はJ-POPK-POPでも同時に起きている現象である。

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