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2026年9月9日 (水) 20:16時点における最新版
| 楳図かずお Kazuo Umezu | |
|---|---|
![]() 2010年 台北国際ブックフェアにて(出典:ウィキメディア・コモンズ) | |
| 誕生日 | 1936年 |
| 死亡日 | 2024年10月28日 |
| 出身地 | 和歌山県高野山(奈良県で育つ) |
| 国籍 | 日本 |
| 職業 | 漫画家、作家、タレント |
| 活動期間 | 1955年頃 - 2024年 |
| 代表的な実績 | 『漂流教室』『まことちゃん』『わたしは真悟』『14歳』 |
| 受賞 | 小学館漫画賞(1975年) |
概要[編集]
楳図かずおとは、日本の漫画家である。『ホラー漫画の神様』と呼ばれた恐怖漫画の第一人者であり、同時に『まことちゃん』でギャグ漫画の大ヒットも生んだ、極端な振れ幅を持つ作家として知られる。
詳細[編集]
1936年、和歌山県の高野山に生まれ、奈良県で育った。小学4年生のころから漫画を描き始め、高校3年生のときに『別世界』『森の兄妹』を単行本としてトモブック社から出版してデビューしている。10代で商業デビューを果たした早熟な作家だった。
映画やアニメへの影響も含めて語られる作家で、1960年代に『へび少女』『猫目小僧』『おろち』といった作品で恐怖漫画の第一人者となり、少女誌に載った蛇女や口裂けの造形は、当時の子どもたちにとって忘れがたいトラウマとして語り継がれることになる。日本のホラー表現の系譜を語るとき、伊藤潤二をはじめとする後続の作家に与えた影響が必ず言及される。海外文学側のスティーヴン・キングと並べて、日本の恐怖表現の源流として紹介されることもある。
1972年から連載された『漂流教室』は、小学校ごと荒廃した未来へ飛ばされた児童たちの生存を描いた作品で、1975年に小学館漫画賞を受賞した。極限状況における集団の崩壊を子どもの世界で描き切った点が高く評価され、代表作として最も名前が挙がる。
作風[編集]
恐怖と笑いという相反する領域を、同じ強度で描き分けたのが最大の特徴である。恐怖側では、日常の裏側がめくれて別のものが顔を出すという構図が繰り返し使われ、絵の線そのものが読者の生理を直撃するような描き方が採られた。
一方で1976年連載開始の『まことちゃん』は、幼稚園児の主人公が繰り出す奇行で笑いを取るギャグ漫画で、中指と小指を折り曲げる「グワシ」のサインは子どもたちの間で大流行し、社会現象と呼べる広がりを見せた。同じ作者がホラーとギャグの両方で国民的ヒットを出した例は、日本の漫画史でもきわめて珍しい。
リング (映画)や呪怨に代表されるJホラーの流行より前から、日常が裏返る恐怖を描き続けていた点も再評価の対象になっている。後年の『わたしは真悟』『神の左手悪魔の右手』『14歳』では、少年少女の身体と精神、機械や人工物との境界、文明そのものの終わりといったテーマが前面に出る。恐怖漫画の枠を超えた思弁的な作品群として、美術・批評の文脈からも読み直されるようになった。作品の一部は都市伝説的な語り口とともに、世代を越えて語り継がれている。
晩年と再評価[編集]
1995年に『14歳』を完結させたのち、体調を理由に長く漫画の新作を発表していなかった。その間はタレントとしてテレビに出演し、赤と白のボーダーシャツというトレードマークで一般層にも顔が知られていた。自宅として建てた「まことちゃんハウス」の外観が近隣で議論になった一件も、当時広く報じられている。
2022年には、『14歳』以来27年ぶりの新作となる連作絵画『ZOKU-SHINGO 小さなロボット シンゴ美術館』を発表した。これは『わたしは真悟』の続編にあたる位置づけで、アクリル絵画101点からなり、制作に4年を費やしたとされる。同作を中心にした「楳図かずお大美術展」が開催され、漫画家としてではなく美術作家としての評価が改めて注目された。
2024年10月28日、胃がんのため死去した。88歳だった。訃報は各紙が大きく報じ、棺にはトレードマークの赤と白のボーダーシャツと赤いキャップ姿で納められたと伝えられている。
よくある質問[編集]
- 楳図かずおの代表作は?
- 『漂流教室』『まことちゃん』が二大代表作として挙げられることが多い。恐怖側では『おろち』『へび少女』、後期の思弁的な作品では『わたしは真悟』『14歳』が重要作とされる。
- 「グワシ」って何?
- 『まことちゃん』の主人公が使うハンドサインで、中指と小指を折り曲げる形。1970年代後半に子どもの間で大流行し、作品を読んでいない世代にも名前だけが伝わっている。
- 伊藤潤二との関係は?
- 直接の師弟関係ではないが、日本の恐怖漫画の系譜において先行者と後続者の関係にある。伊藤潤二をはじめ、後の作家の多くが影響を公言している。
- 漂流教室は実写化されているの?
- 過去に映像化された例があるが、版によって設定や舞台が大きく変えられている。原作の印象で観ると別物に感じられることがある、と言われる。
- なぜ長く新作を描かなかったの?
- 体調上の理由で漫画の執筆から離れていたと説明されている。その後、絵画という形で創作を再開したのが2022年の新作にあたる。
余談[編集]
- 赤と白のボーダーシャツはほぼ制服のように着続けており、テレビ出演時も自宅の外観も同じ配色で統一されていた。ここまで一貫した自己ブランディングを行った漫画家は珍しい。
- 恐怖漫画で子どもを泣かせた作家が、同じ時期に子どもを笑わせるギャグ漫画で人気を取っていた、という事実そのものが、しばしば「楳図かずおという現象」として語られる。
- 『漂流教室』は、日本より海外での再評価が先行した時期があるとされ、極限状況を描いた児童文学的なサバイバル作品として読まれてきた。
