Tokumei Kakarichō Tadano Hitoshi
Mr. Tadano's Secret Mission
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『特命係長 只野仁 最後の劇場版』初日舞台挨拶(2008年12月、出典:映画.com)
略称 只野仁
ジャンル アクション、コメディ、サスペンス、サラリーマンドラマ
放送シーズン 連続ドラマ4シリーズ+スペシャル各弾+ファイナル+AbemaTVオリジナル2作
放送期間 2003年7月4日 - 2012年1月7日(テレビ朝日版)、2017年1月 - 2018年1月3日(AbemaTV版)
放送時間 金曜ナイトドラマ枠(1st - 3rd)、木曜ドラマ枠(4th)ほか
話数 全51話(通算話数、AbemaTV版含む)
放送国家 日本
言語 日本語
配給 松竹(劇場版)
放送局 テレビ朝日系列、AbemaTV
配信 TELASA、U-NEXT、Hulu、FODなど(時期により変動)
制作
プロデューサー 黒田徹也、秋山圭一郎、樽井勝弘、藤崎絵三(テレビ朝日)、東城祐司、伊藤達哉、清水真由美、神通勉(MMJ)ほか
演出 植田尚、大塚徹、今井和久、秋山純ほか
制作 テレビ朝日、メディアミックス・ジャパン(MMJ)
脚本 福田靖、尾崎将也、高山直也、旺季志ずか、三上幸四郎ほか
音楽 仲西匡
出演者 高橋克典、櫻井淳子、永井大、蛯原友里、三浦理恵子、田山涼成、近江谷太朗、斉藤優、梅宮辰夫ほか
その他
原作 柳沢きみお『特命係長 只野仁』
関連番組 匿名探偵
エンディング曲 白羽玲子「ラブレター」(1st)、ユーフォリア「シングルベッド」(3rd)、阪井あゆみ「悲しみを愛しさで」(4th)、AI「川の流れのように」(ファイナル)ほか

概要[編集]

特命係長 只野仁(とくめいかかりちょう ただのひとし)とは、柳沢きみおの同名漫画を原作に、高橋克典主演でテレビ朝日系列にて2003年から2012年まで放送されたテレビドラマシリーズである。昼は冴えない窓際係長、夜は会長直属の「特命係長」として社内外のトラブルを裏で片付ける男を描き、深夜枠ながら高視聴率を記録した。

詳細[編集]

作品の骨格[編集]

舞台は大手広告代理店「電王堂」。主人公・只野仁は総務二課の係長で、ボサボサ頭に眼鏡、猫背で定時になるとそそくさと帰る、いわゆる「窓際社員」として社内では完全に空気扱いされている。ところがその正体は、電王堂の黒川重蔵会長から直接指令を受け、会社の名誉や利益を揺るがすスキャンダル・不正・事件を表沙汰にせず処理する凄腕のトラブルシューターである。

一話完結形式で、毎回「会長から特命が下る → 只野が変装や潜入で調査 → 黒幕を突き止め、最後は単身で大勢を叩きのめす」という時代劇的な様式美を持つ。高橋克典本人も後年「時代劇の再放送を思い出す」と語っており、『水戸黄門』や『必殺シリーズ』に近い「お約束を楽しむドラマ」として定着した。

金曜ナイトドラマの看板作品へ[編集]

第1シリーズは2003年7月、テレビ朝日の深夜ドラマ枠「金曜ナイトドラマ」でスタートした。深夜帯らしい攻めた演出と、高橋の鍛え上げた肉体によるアクション、そして脱力系のギャグが受け、口コミで人気が拡大。2005年の第2シリーズは同枠の平均・最高視聴率を更新し、2007年の第3シリーズはさらにその記録を塗り替え、同枠の歴代1位(2007年3月時点)となった。

日曜夜に放送されたスペシャル第2弾では、直前の番組がサッカー中継だった追い風もあり19.3%を記録するなど、「深夜ドラマから生まれたヒット作」の代表格となった。この成功を受けて2009年の第4シリーズはゴールデン帯の「木曜ドラマ」枠へ昇格したが、時間帯の都合でお色気演出が抑えられ、視聴率は10%前後で推移した。

完結とその後[編集]

2012年1月6日・7日の2夜連続で『特命係長 只野仁 ファイナル』が放送され、テレビ朝日版は完結した。ファイナルでは、只野が体力の衰えや将来への不安、仕事の限界に直面し、現役を続けるか引退するかの決断を迫られるという、シリーズの「終わり」を意識した物語が描かれた。

同年10月には、同じ金曜深夜枠で高橋克典主演の『匿名探偵』がスタート。主要スタッフやキャストの一部(三浦理恵子、田山涼成など)が共通しており、実質的な後継作と見られた。その後2017年にはAbemaTV初のオリジナル連続ドラマとして只野仁が復活し、約5年ぶりに「特命」が再開された。

原作漫画[編集]

原作は柳沢きみおによる青年漫画で、1990年代後半に講談社の『週刊現代』で連載が始まった(開始年は資料により1996年・1998年と揺れがある)。サラリーマン読者を想定した作品で、社内の派閥争いや不倫、人生観が絡むエピソードが中心。原作はドラマよりも大人向けの描写が強く、任務の手段として男女関係が描かれる点も特徴である。

物語の後半になるとアクションは減り、中年サラリーマンの悲哀が前面に出るようになる。作者自身の年齢と人生観が反映されたとされ、最終章では中年の部長が居場所を求める姿が描かれ、只野は脇役として見守る立場に回る。最終巻は「“欲望”というものがあるかぎり 俺の特命はなくならないだろう」という一言で締めくくられる。

続編・派生連載[編集]

『週刊現代』版が2007年に一区切りした後も、作品は媒体を渡り歩いて長く続いた。

タイトル 掲載媒体 期間
特命係長 只野仁 週刊現代(講談社) 〜2007年4月
特命係長 只野仁 ファイナル 日刊ゲンダイ 2007年7月 - 2020年6月
特命係長 只野仁 リターンズ ルーキー編 週刊現代 2009年1月 - 2009年6月
特命係長 只野仁 ルーキー編 月刊ヤングマガジン→ヤンマガWeb 2010年 - 2023年9月
特命係長 只野仁 令和編 LINEマンガ 2020年12月 - 2023年1月
特命課長 只野仁 大人味 月刊柳沢きみおマガジン(電子) 2020年1月 -

『ルーキー編』は若き日の只野を描く前日譚で、『ファイナル』は日刊ゲンダイで13年近く続いた長期連載となった。単行本は『週刊現代』連載分がぶんか社、『ルーキー編』が講談社などから刊行されている。なおドラマのオリジナルキャラクターだった部下・森脇幸一は、のちに原作側にも逆輸入された。

テレビドラマ各シリーズ[編集]

シリーズ 放送・配信時期 枠 話数 主題歌
1st(特命係長・只野仁) 2003年7月4日 - 9月19日 金曜ナイトドラマ 全11話 白羽玲子「ラブレター」
2nd 2005年1月14日 - 3月18日 金曜ナイトドラマ 全10話
3rd 2007年1月12日 - 3月16日 金曜ナイトドラマ 全10話 ユーフォリア「シングルベッド」
4th 2009年1月8日 - 3月12日 木曜ドラマ 全8話 阪井あゆみ「悲しみを愛しさで」
ファイナル 2012年1月6日・7日 2夜連続(23時15分〜) 2話 AI「川の流れのように」
AbemaTVオリジナル 2017年1月7日〜(毎週土曜23時) AbemaTV 全5話(第42 - 46話) Bluebird Flying「おつかれさま」
AbemaTVオリジナル2 2017年12月30日 - 2018年1月3日 AbemaTV(5夜連続) 全5話(第47 - 51話) 蒼天のハリー「Memories」

このほか連続シリーズの合間に単発スペシャルが複数回放送されている(2005年8月の90分スペシャル、2006年・2008年のスペシャル、4th終了後のスペシャルなど)。話数はシリーズをまたいで通算でカウントされ、1stが第11話で終わると2ndは第12話から始まるという方式をとっている。ファイナルのAI「川の流れのように」は美空ひばりの名曲のカバーで、完結編らしいしっとりした選曲として話題になった。

AbemaTV版[編集]

2017年1月、AbemaTV初のオリジナル連続ドラマとして復活。高橋克典は当時50代に入っており、クランクイン前には自身のブログで「50なりにやれるとこまでやってみます」と意気込みを語っていた。年末年始に5夜連続で配信された『AbemaTVオリジナル2』では、篠田麻里子が女版の特命係長「森葉ナオミ」として登場し、アクションの切れの良さを高橋から絶賛された。

また『2』の配信に先駆けて、野村課長と久保がサウナで妙な体験をするコメディ短編スピンオフ『夢見るサウナ』がAbemaTV公式YouTubeチャンネルで5週連続配信された。スピンオフ制作はシリーズ初の試みだった。

劇場版[編集]

2008年12月6日、映画『特命係長 只野仁 最後の劇場版』が松竹配給で公開された。監督は植田尚、脚本は尾崎将也。

電王堂が社運をかけて手がける大型イベント「フラワー・アース・フェスタ2008」を前に、イベントの顔であるグラビアアイドル・シルビア(秋山莉奈)に「暗黒王子」を名乗る人物から脅迫状が届く。只野は彼女の護衛と身辺調査を命じられるが、その前に規格外の大男チョウが立ちはだかり、やがて社内の裏切り者と巨大組織の影が浮かび上がる――という筋立て。

元格闘家のチェ・ホンマンが敵役チョウを演じたほか、医師でタレントの西川史子が映画初出演、赤井英和が大阪支社の社員・山西役、吹越満、長谷川初範、桑名正博らが出演した。「最後の」と銘打ちながら、その後もドラマは続いたのはファンの間でお約束のネタになっている。

公開時のエピソード[編集]

  • 初日舞台挨拶は東京・丸の内ピカデリーで行われ、出演者と監督の計11名が登壇した。植田監督は、お色気演出のアイデアは高橋克典発案だと暴露し、高橋が「僕は何もしてないから」と慌てて会場を笑わせた。
  • 高橋は映画化決定を聞いたときの第一声が「マジで!やるの?」だったと告白。もともとはドラマ現場を盛り上げるための冗談で「映画化」と口にしていたという。
  • 本人が「一番好きなシーンかもしれない」と語ったのは、赤井英和と大阪の串カツ屋で飲むシーン。リハーサル後にワンカットで撮影された。
  • 只野と大男チョウの対決シーンなどの撮影は、スケジュールが大きくずれ込んだとされる。
  • 野村課長がパラシュートで降下してくる只野たちを見て「パラシュート部隊?」と言う場面は、久保役の斉藤優が所属するお笑いコンビ「パラシュート部隊」にかけたネタ。

登場人物・キャスト[編集]

役名 俳優 役どころ
只野仁 高橋克典 電王堂総務二課係長。昼は窓際社員、夜は会長直属の「特命係長」
黒川重蔵 梅宮辰夫 電王堂会長。只野に特命を下す。原作の会長をベースにしつつドラマ独自の味付け
坪内紀子 櫻井淳子 会長付秘書。只野の正体を知る数少ない人物で、ヒロイン格
森脇幸一 永井大 電王堂のメールボーイ。只野の相棒(ドラマオリジナル)
山吹一恵 蛯原友里 総務二課のOL。天然キャラで只野に好意を寄せる(1st - ファイナル)
新水真由子 三浦理恵子 ジャパンテレビのアナウンサー
佐川和男 田山涼成 総務二課長。只野の上司で愚痴が多い
野村俊夫 近江谷太朗 営業課長。只野を見下す嫌味な上司
久保順平 斉藤優 野村の腰巾着
足立和美 細野佑美子 秘書課(1st - 4th)

AbemaTV版では坂田梨香子、渋江譲二、西丸優子(総務二課の鬼主任・岡野美香)、伊東紗冶子(ジャパンテレビの新人アナ・谷村さつき)らが新たに加わった。2003年の第1シリーズには、のちにミュージカル俳優として人気を得る加藤和樹が総務課の新人役で出演しており、2024年に高橋が「21年ぶりに再会」したことをブログで報告している。

名物要素[編集]

肉体美とアクション[編集]

シリーズ最大の看板は高橋克典の肉体である。只野は戦闘になると上半身裸になることが多く、ブルース・リーのジークンドーを思わせる動きで、一人で大勢の敵をなぎ倒す。高橋本人はボディビルダー型の体は俳優としての幅を狭めると考え、ジム、ボクシング、ピラティスを組み合わせた「スピード系」の体を目指したと語っている。

撮影期間中はこの体型を3か月維持する必要があり、糖分や脂肪分を一切摂らない時期もあったという。どうしても食べたいときは、他人に味を説明してもらったり匂いだけかいだりして耐えたというストイックな逸話も残っている。

変装と潜入[編集]

只野は変装の名人で、清掃員や業者などに扮して潜入するのは日常茶飯事、時には女装までこなす。昼の「冴えない係長」自体が一種の変装であり、その落差がドラマの面白さの核になっている。高橋はこの表の顔を演じるため、新宿や新橋の立ち飲み屋、銀座、上野などで普段からサラリーマンを観察していたと明かしている。

お色気とギャグ[編集]

深夜枠らしく、只野が情報を引き出すためにターゲットの女性に接近する展開が定番で、大人向けのお色気要素も作品の看板の一つだった。こうした演出はゴールデン帯に移った4thで控えめになり、ファイナルで一部復活している。一方で第2シリーズ以降はギャグ要素が大きく増え、野村課長と久保のコンビや、パロディ演出(『北斗の拳』風の決闘、『刑事コロンボ』風の役柄、『ウルトラセブン』を意識した眼鏡の掛け方など)が毎回の楽しみになった。

原作との違い[編集]

原作の只野が基本的に一匹狼なのに対し、ドラマ版には部下の森脇という相棒がいる。また原作は救いのない結末も多いが、ドラマ版は事件に巻き込まれた人物が救われる展開が多く、より勧善懲悪色が強い。殺人や自殺に見せかけた事件、企業の不正などを扱うサスペンス要素も強化されている。

余談[編集]

  • 只野の社員番号は「0005235」。ところが第39話では5236・5237と表示される回があり、細かすぎるファンの間で話題になった。
  • 第1シリーズ最終回で只野が「1年3か月の有給休暇」を宣言し、実際にちょうどそのくらいの期間を経て第2シリーズが始まるというメタ的な遊びがある。
  • 第2シリーズの温泉シーンは静岡県の河津町で撮影された。
  • 2004年のドラマ『ああ探偵事務所』第11話に、只野が「電王堂社員」として特別出演したことがある。
  • 2008年にはニューギンからパチンコ・パチスロ化、2012年にはGREEでソーシャルゲームが配信されるなど、ドラマの人気は遊技機やゲームにも波及した。
  • AbemaTV版『2』の完成発表会(2017年12月)で、高橋は「只野サンタ」の格好で登場して共演者にプレゼントを配り、「15年経っても、安定の面白さ」と自作を評した。直前に53歳の誕生日を迎えていたため、サプライズのバースデーケーキも贈られた。
  • ゲスト出演者の一部は二次利用時に権利者と連絡が取りにくいとされ、配信や再放送で欠番・カットが生じる回があるという話もある。
  • 劇場版の一場面でバラの花を使った演出があるが、これは高橋がテレビ版用に温めていたアイデアを映画の現場で提案したものだという。

外部リンク[編集]

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