寺嶋裕二
Yuji Terajima
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出身地・香川県まんのう町の町役場(出典:Wikimedia Commons、撮影:Toto-tarou、CC BY-SA 4.0)
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『ダイヤのA』の球児たちが目指す阪神甲子園球場(出典:Wikimedia Commons、撮影:Corpse Reviver、CC BY-SA 3.0)
ID @diaace_official(X・作品公式、本人投稿は「(寺)」署名)
誕生日 1974年5月10日
年齢 52歳
出身地 香川県仲多度郡まんのう町
国籍 日本
血液型 O型
学歴 香川県立善通寺第一高等学校卒業(野球部)、大学卒業
職業 漫画家
フォロワー数 作品公式Xで約19.2万人(2026年10月時点)
活動期間 1999年 -
代表的な実績 『ダイヤのA』(全47巻)、『ダイヤのA actII』(全34巻)、『GIANT STEP』(全4巻)
受賞 第53回小学館漫画賞少年向け部門、第34回講談社漫画賞少年部門(いずれも『ダイヤのA』)
関連活動 『ダイヤのB!! 青道高校吹奏楽部』原作、アニメのエンドカード執筆
あだ名 寺嶋先生、(寺)
その他 シリーズ累計発行部数4500万部超(2024年12月時点)
リンク X(@diaace_official)


概要[編集]

寺嶋裕二(てらしま ゆうじ、1974年5月10日 - )とは、香川県まんのう町出身の漫画家であり、週刊少年マガジンで16年にわたって連載された高校野球漫画『ダイヤのA』シリーズの作者である。自身も小・中・高と野球漬けだった元球児で、「強いチームとは何か」を地味な練習描写まで含めて描き切ったことで知られる。

詳細[編集]

「元・弱小校の外野手」が描いた強豪校[編集]

寺嶋裕二は香川県の山あいの町・まんのう町で生まれ育ち、小学校から高校まで野球一筋の少年時代を送った。進学した香川県立善通寺第一高校では、左利きだったこともあって2年生までは一塁手、3年生からは外野手としてプレーしている。本人の振り返りによれば、当時のチームは目標意識がはっきりせず、練習も「やらされている」感覚が強かったという。そんな自分が、のちに全国屈指の強豪・青道高校を舞台にした漫画を描くことになるのだから人生は分からない。このギャップこそが、のちの『ダイヤのA』の原動力になった。

『クローズ』に撃ち抜かれて漫画家へ[編集]

意外なことに、寺嶋を漫画の道に引き込んだのは野球漫画ではなく、高橋ヒロシの不良漫画『クローズ』だった。大学在学中に同作に強い影響を受けて漫画家を志し、卒業後に上京。警備員などのアルバイトで食いつなぎながら、出版社への持ち込みを繰り返した。約1年でマガジンの月例賞(MGP)奨励賞をつかみ、さらに第61回・第62回週刊少年マガジン新人漫画賞で連続して佳作を受賞。25歳のとき、受賞作『メンバー』が1999年に『マガジンFRESH』に掲載されてデビューを果たした。

野球漫画で勝負するまでの遠回り[編集]

デビュー後すぐに野球漫画を描いたわけではない。最初の連載は2002年に『マガジンSPECIAL』で始まったテニス漫画『GIANT STEP』で、ヤクザの組長の息子である高校1年生がテニスにのめり込んでいく物語だった(全4巻)。その後、2003年の読み切り「橋の下のバットマン」、2005年の「幻の甲子園」と野球を題材にした短編で手応えを積み上げ、2006年5月、ついに『週刊少年マガジン』で『ダイヤのA』の連載をスタートさせる。本人はのちに「野球漫画で勝負したいとずっと思っていました」と語っている。

経歴[編集]

高校時代に見た「本物の強さ」[編集]

寺嶋がインタビューで語っている原体験が、高校2年のときのチームの快進撃だ。スタメン9人のうち7人が満身創痍で、本人たちも1回戦負けを覚悟していたチームが、なぜか勝ち上がってベスト4まで進んでしまった。2008年のスポーツナビのインタビューでは「たったひとつの勝利が1回戦負けだろうと言われたチームをベスト4まで導いてしまう。これは高校野球の醍醐味ですね」と振り返っている。

一方で、地元の名門校に進んだ同級生の姿には圧倒されたという。顔つきも体つきもまるで違い、自信に満ちあふれていた彼らを見て、「自分たちとは比べものにならないぐらい高い壁を乗り越えてきたはず」と敬意を抱くようになった。主人公・沢村栄純が地元を離れて野球留学を選ぶという『ダイヤのA』の出発点には、この経験が反映されている。

デビューから初連載まで[編集]

高校卒業後、寺嶋はいったん野球から離れている。大学を出て上京し、アルバイト生活をしながら持ち込みを続けた下積み時代を経て、1999年に『メンバー』でデビュー。本人は、時間というフィルターを通したことで、当事者だった高校時代の自分を第三者の目で見られるようになったと話している。2002年の『GIANT STEP』は2003年8月発売の第4巻で完結。続く読み切り2本で野球漫画の方向性を固めていった。

『ダイヤのA』で頂点へ[編集]

2006年第24号から始まった『ダイヤのA』は、2007年度の第53回小学館漫画賞少年向け部門を受賞。講談社の雑誌の連載作でありながら他社である小学館の漫画賞を獲ったことになる。2010年には第34回講談社漫画賞少年部門も受賞し、出版社の垣根を越えて評価された。第1部は2015年第7号で完結(全47巻)し、わずか半年ほどの準備期間を経て、同年第38号から第2部『ダイヤのA actII』をスタートさせている。

actIIの完結と「充電期間」[編集]

『actII』は2022年第48号で全308話・全34巻をもって完結した。夏の大会の決着とともに迎えた幕引きは、一部の読者から「急な終わり方」と受け止められたが、寺嶋は週刊連載を続ける体力の低下やスケジュール管理の難しさを理由に挙げたうえで、「自分自身が元気のない沢村を見たくなかったし、無理して話を進め、みんなの進路や人生を雑には決めたくなかった」と説明している。キャラクターへの愛情ゆえの決断だったわけだ。

外伝で約2年ぶりの帰還[編集]

完結から約2年後の2024年12月25日発売の『週刊少年マガジン』4・5合併号から、短期集中連載『ダイヤのA actII 外伝 帝東VS.鵜久森』がスタートし、2025年の14号まで掲載された。本編では描かれなかった帝東高校と鵜久森高校の一戦を描く外伝で、担当編集によると寺嶋は完結直後から「帝東VS.鵜久森編をずっと描きたい」と話していたという。

作風[編集]

「地味な練習」を描く野球漫画[編集]

寺嶋作品の最大の特徴は、試合の派手さだけでなく、練習・紅白戦・ベンチ入り争いといった地味な部分を徹底的に描くことにある。2022年の『Number Web』のインタビューでは、実在の選手やシーンを参考にして作画するスタイルについて語り、「取材に行って絵になりそうな練習があれば積極的に取り入れる」と説明している。ただし新しさやトレンドを優先するのではなく、「面白さやキャラに合うか」で選ぶのが寺嶋流だ。

取材で学んだ「強いチーム」の正体[編集]

弱いチームでプレーしていた自分に強いチームが描けるのか――連載初期、寺嶋は「最初は不安もありました」と打ち明けている。そこで複数の甲子園出場校を取材し、強豪校では「レギュラー、控えを問わず選手全員が共通理解の下でプレーしている」ことに気づいた。チームに一体感があるのは全員が同じ気持ちを共有しているから、というこの発見が、青道高校野球部の描写の土台になっている。

エース論[編集]

タイトルに「エース」を掲げる作品らしく、寺嶋のエース論は明快だ。エースとは「最終的にコイツで負けたら仕方ないと思わせられる」存在であり、エースがいるから強いのではなく、チームメート全員がそう思えるエースがいるからこそ強い――というのが本人の考え。主人公の沢村と天才肌の降谷暁がエースナンバーを争う構図は、まさにこの思想を体現している。

実在選手から借りたリアリティ[編集]

キャラクター造形にも実在のプロ野球選手のエッセンスが入っている。Number Webのインタビューで寺嶋は、市大三高の天久光聖は前田健太投手、稲城実業の左腕・成宮鳴は工藤公康のフォームを参考にしたと明かした。またフライボール革命や「スラッター」のような新しい球種・理論も、取材を通じて作中に取り入れてきたという。ユニフォームについても、青道は済美高校、薬師は常葉菊川、聖光館は八戸学院光星をモデルにしたと本人がコメントしたとされる。

本人の発言・インタビュー[編集]

大谷翔平は「マンガにしづらい」[編集]

2022年3月の『Number Web』インタビューで話題を呼んだのが、大谷翔平についてのコメントだ。寺嶋は「大谷翔平選手という存在に関してはマンガにしづらいですよね」と語り、その理由として、プレーも性格も素晴らしい「パーフェクトに近い人」は、成長途上の高校球児を描く漫画のキャラクターにはしにくいと説明した。「現実がフィクションを超えた」とも言われる大谷について、野球漫画家ならではの視点で語った発言である。

漫画家と球児は同じ[編集]

連載初期のインタビューでは、自分が漫画で生き残るために努力することと、高校球児が野球で上を目指すことは本質的に同じだと気づいたことが転機になったと語っている。プロ野球選手からの助言も確信につながったという。

読者へのメッセージ[編集]

寺嶋が作品に込めた願いはシンプルだ。「読んでくれた子供たちが、実際にプレーしているときに漫画を思い出してくれて、みんなでじゃあこうしてみようと言ってくれたら、これほどうれしいことはない」。子どもたちのプレーのヒントになる漫画でありたい、という姿勢が、地味な練習描写へのこだわりにもつながっている。

SNSでの発信[編集]

寺嶋は個人名義のSNSアカウントを持たず、作品公式のXアカウント「ダイヤのA(@diaace_official)」で発信している。2012年7月開設のこのアカウントは、プロフィールで寺嶋先生と担当編集が投稿するアカウントであることを明記しており、寺嶋本人の投稿には「(寺)」の署名が付くのが恒例。フォロワーは2026年10月時点で約19.2万人にのぼる。

投稿内容は新刊・グッズ・アニメの告知に加え、寺嶋自身の短いつぶやきも多い。2026年10月には、長年『ダイヤのA』の作画を手伝ってきたアシスタントの初単行本を、ホラーアクション好きの読者に向けて自ら紹介するなど、仲間への気配りも見せている。また2024年5月18日に『actII』のアニメ続編制作が発表された際も、寺嶋による記念イラストが公開された。

メディア展開[編集]

テレビアニメ[編集]

『ダイヤのA』は2013年10月にテレビアニメ化され、マッドハウスとProduction I.Gの共同制作で、第1期(2013〜2015年)、『SECOND SEASON』(2015〜2016年)、『actII』(2019〜2020年)が放送された。その後約6年の空白を経て、OLM制作の『ダイヤのA actII -Second Season-』が2026年4月5日からテレビ東京系で始まり、第1クール全13話に続いて第2クールが2026年10月から放送されている。監督は大庭秀昭、シリーズ構成は古怒田健志。Netflixでも配信され、主人公・沢村栄純役の逢坂良太、御幸一也役の櫻井孝宏、小湊春市役の花江夏樹らお馴染みのキャストが続投した。放送前の2025年12月24日から2026年1月6日には、過去シリーズのYouTube一挙配信も行われた。

寺嶋はほかの作品のアニメにも顔を出しており、『さよなら絶望先生』『山田くんと7人の魔女』『UQ HOLDER!』などでエンドカードのイラストを担当した。

舞台・ミュージカル[編集]

2015年8月には舞台化された。ミュージカル版は2020年夏に予定されていたが延期となり、2022年9〜10月に上演されている。

スピンオフ[編集]

寺嶋が原作としてクレジットされるスピンオフ『ダイヤのB!! 青道高校吹奏楽部』(2015年)と続編『ダイヤのB!! 青道高校吹奏楽部 actII』(2016年)もある。野球部を応援する吹奏楽部側から青道を描くという、ファンにはうれしい変化球だ。

連載20周年の原画展[編集]

連載開始20周年を記念した「大『ダイヤのA actII』原画展」は、モノクロ・カラー合わせて300点以上の原画を展示する大規模企画。2025年9月12日〜28日の東京展(池袋・サンシャインシティ ワールドインポートマートビル4F)を皮切りに、大阪(2025年11月29日〜12月14日、心斎橋オーパ)、福岡(2026年1月24日〜3月14日、BOSS E・ZO FUKUOKA)、名古屋(2026年7月4日〜8月16日、テレピアホール)と全国を巡回した。西東京大会決勝・青道vs稲実のシアター映像や、アニメキャストのボイス付きで再現された野球部部室も用意された。過去にも池袋や京都国際マンガ・アニメフェアで原画展が開かれている。

作品一覧[編集]

連載[編集]

  • 『GIANT STEP』(2002年 - 2003年、マガジンSPECIAL、全4巻)
  • 『ダイヤのA』(2006年 - 2015年、週刊少年マガジン、全47巻)
  • 『ダイヤのA actII』(2015年 - 2022年、週刊少年マガジン、全34巻)
  • 『ダイヤのA actII 外伝 帝東VS.鵜久森』(2024年 - 2025年、週刊少年マガジン、短期集中連載)

読み切り[編集]

  • 「メンバー」(1999年、マガジンFRESH)- デビュー作
  • 「橋の下のバットマン」(2003年)
  • 「幻の甲子園」(2005年)

原作[編集]

  • 『ダイヤのB!! 青道高校吹奏楽部』(2015年)
  • 『ダイヤのB!! 青道高校吹奏楽部 actII』(2016年)

余談[編集]

  • 漫画家を志したきっかけは野球漫画ではなく、高橋ヒロシの『クローズ』。野球漫画の名手の原点が不良漫画というのは意外性抜群である。
  • デビュー作「メンバー」が佳作に入ったのは25歳のときで、決して早咲きではない。大学卒業後の警備員アルバイトしながらの持ち込み生活が下積みだった。
  • 『ダイヤのA』は講談社の雑誌に連載されながら小学館漫画賞と講談社漫画賞の両方を受賞している。
  • 宇宙wikiには同じ野球漫画の記事として『タッチ』『ドカベン』『MAJOR』もある。主人公個人の物語が軸の名作群に対し、『ダイヤのA』は控え選手や3年生まで含めたチーム全体の群像劇という色が濃い。
  • シリーズ累計発行部数は2024年12月時点で4500万部を突破している。

外部リンク[編集]

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