| 勘違いの工房主 | |
|---|---|
| 作画 | 古川奈春 |
| ジャンル | 追放もの/異世界ファンタジー |
| 出版社 | アルファポリス |
| 配信 | アルファポリス公式WEB漫画/ピッコマほか |
| 連載期間 | 2019年12月17日 - |
| 原作 | 時野洋輔 |
| その他 | 副題「英雄パーティの元雑用係が、実は戦闘以外がSSSランクだったというよくある話」 |
概要[編集]
勘違いの工房主とは、時野洋輔による日本のライトノベル、およびそれを原作とする古川奈春作画の漫画作品である。正式な題名は『勘違いの工房主〜英雄パーティの元雑用係が、実は戦闘以外がSSSランクだったというよくある話〜』で、いずれもアルファポリスから刊行されている。
詳細[編集]
主人公クルトは英雄パーティの雑用係だったが、「スライムも倒せない役立たず」として追放される。適性の測定でも戦闘の才能はゼロと判定される。しかし日銭を稼ぐためにさまざまな仕事を手伝ううち、採掘、料理、建築といったあらゆる分野で人間離れした能力を発揮していく。
漫画版は2019年12月17日からアルファポリス公式WEB漫画で連載が始まり、単行本が刊行されている。ピッコマなど複数の配信サービスでも読める。
勘違いものという形式[編集]
本作は追放ものの一種であると同時に、勘違いものと呼ばれる形式の代表的な作品として扱われる。この形式の核心は、登場人物のほぼ全員が事実を取り違えたまま話が進み、読者だけが全体像を知っているという点にある。
本作の場合、主人公自身が自分の能力を並の水準だと思い込んでいる。周囲は彼の仕事ぶりに驚愕するが、本人には自覚がないため、その驚きの理由も理解されない。追放した側は戦闘力だけを基準に判断したので、自分たちが何を手放したのかに気づいていない。誰も嘘をついていないのに全員の認識がずれているという状態が維持されることで、物語が進む。
この形式には、復讐ものとは決定的に違う性質がある。追放ものの多くは、追放した側が後に困窮する展開を用意し、読者はそこで溜飲を下げる。勘違いものでは主人公に復讐の意思がなく、そもそも自分が不当な扱いを受けたとすら思っていない。悪意の応酬にならないため読み口が軽くなる一方で、話の推進力を主人公の怒りに頼れないという制約も生まれる。本作が採掘・料理・建築といった具体的な職能を次々に持ち出すのは、この制約を「毎回別の分野で驚かれる」という形で埋めているためと見ることができる。
副題が担っている説明[編集]
本作の副題には「〜というよくある話」という一句が入っている。これは作品が属する型を自ら名指ししている表現で、この作品が定番の形式であることを、作品の側が先に認めていることになる。
追放ものが大量に作られている状況では、目新しさを主張するよりも、期待どおりのものが読めると伝えるほうが読者に届く場合がある。同じ型の作品を繰り返し読む読者にとって、作品選びの基準は「新しいか」ではなく「安心して読めるか」に寄るためである。小説家になろうやアルファポリスといった投稿サイト発の作品で題名が長くなる傾向は、あらすじの代わりに題名で内容と型を伝える必要から生まれている。
余談[編集]
「SSSランク」という表記は、もともと格付けの記号であるAやSを重ねて上位を表す用法から来ている。本来Sはスペシャルの頭文字として最上位に置かれた記号だが、それより上を示す必要が出るたびにSSやSSSが作られてきた。最上位として作られた記号の上にさらに階層が積み上がっていくという現象自体が、ゲームやなろう系作品における強さの表現がたどってきた経緯を示している。
戦闘の適性がゼロと測定される導入も、この系統では定番である。数値で評価される世界を設定しておくと、その数値が捉え損ねているものがあるという一点だけで物語が立ち上がる。測定されること自体は疑われず、測定の範囲外に価値が置かれる構造になっている。