| ムーブ・トゥ・ヘブン 무브 투 헤븐: 나는 유품정리사입니다 / Move to Heaven | |
|---|---|
![]() 主演のイ・ジェフン(2025年・Wikimedia Commons) | |
![]() 主演のタン・ジュンサン(2020年・Wikimedia Commons) | |
| 略称 | Move to Heaven(英題) |
| ジャンル | ヒューマンドラマ |
| 放送シーズン | シーズン1 |
| 放送期間 | 2021年5月14日(全話一挙配信) |
| 放送時間 | 1話あたり約44〜62分 |
| 話数 | 全10話 |
| 放送国家 | 韓国 |
| 言語 | 韓国語 |
| 配給 | Netflix |
| 放送局 | なし(配信限定) |
| 配信 | Netflix(全世界同時配信) |
| 平均視聴率 | なし(配信作品のため) |
| 制作 | |
| 企画 | Netflix |
| プロデューサー | チョン・ジェユン、キム・ミナ |
| 演出 | キム・ソンホ |
| 制作 | ページワン・フィルム、ナンバースリー・ピクチャーズ |
| 脚本 | ユン・ジリョン |
| 撮影 | キム・ヒョンジュ |
| 音楽 | 달파란(タルパラン)、パク・ヨンギ |
| 出演者 | イ・ジェフン、タン・ジュンサン、ホン・スンヒ、チ・ジニ、イ・ジェウク、チェ・スヨン ほか |
| その他 | |
| 原作 | キム・セビョル『떠난 후에 남겨진 것들』(2015年・エッセイ/モチーフ) |
| 外部リンク | Netflix作品ページ |
概要[編集]
ムーブ・トゥ・ヘブン: 私は遺品整理士です(무브 투 헤븐: 나는 유품정리사입니다、Move to Heaven)は、2021年5月14日にNetflixで全世界同時配信された韓国のオリジナルドラマである。全10話。アスペルガー症候群のある青年ハン・グルと、刑務所を出たばかりの叔父チョ・サングが遺品整理業者「ムーブ・トゥ・ヘブン」を営みながら、故人の部屋に残された物から最後のメッセージを読み解いていく。
詳細[編集]
企画・制作の経緯[編集]
Netflixは2019年9月、映画監督キム・ソンホが演出を務める韓国オリジナルシリーズとして本作の制作を発表した。キム・ソンホはホラー映画『Mirror 鏡の中』(2003年)や、子ども向け映画『犬どろぼう完全計画』(2014年)で知られる監督である。同時期には『キングダム』のキム・ソンフンなど、映画監督がNetflixの韓国シリーズに参入する流れがあり、その一例として報じられた。
脚本は『花より男子〜Boys Over Flowers』『エンジェルアイズ』などを手掛けたユン・ジリョン。制作はページワン・フィルムとナンバースリー・ピクチャーズの共同で、プロデューサーはチョン・ジェユンとキム・ミナが務めた。配信時点で本作はNetflixの韓国オリジナルシリーズとして11作目にあたる。
原作エッセイ[編集]
物語の着想源は、韓国の第1世代の遺品整理士とされるキム・セビョル(김새별)のノンフィクション・エッセイ『떠난 후에 남겨진 것들』(直訳『去ったあとに残された物たち』、2015年、チョンリム出版)である。著者が約20年にわたり1,000件以上の現場で故人の住まいを片付けてきた経験から、30編の話をまとめた本で、2015年の世宗図書(文学部門)に選ばれている。
脚本家ユン・ジリョンは2015年にこの本を読んで著者に連絡を取り、実際の現場に同行した。故人の持ち物が梱包されていく様子を見ながら、その人がどう生きてきたのかを想像した体験が、ドラマの骨格になったと韓国メディアのインタビューで語っている。ドラマは原作のエピソードをそのまま映像化したものではなく、ハン・グルとチョ・サングという架空の人物を軸にしたオリジナルの物語で、原作はモチーフという位置付けである。
主人公ハン・グルの設定[編集]
ハン・グルは劇中でアスペルガー症候群があると明示される人物で、見たものを細部まで記憶する能力と、規則や手順を厳格に守る性格を持つ。父の教えに従い、故人にとって大切だった品を黄色い箱に収めて遺族に手渡すことにこだわり、受け取り手が見つからない場合も届ける方法を探し続ける。幼い頃に両親と通った水族館の影響で魚や海洋生物に強い関心を持ち、動揺したときには魚の知識を口にして気持ちを落ち着かせる場面がある。
演じたタン・ジュンサンは役作りの一環として米ドラマ『グッド・ドクター 名医の条件』を視聴し、原作エッセイも読んだと語っている。作中では、グルの特性を理解して支える隣人や警察官、弁護士らが周囲に配置されており、障害をグルの人物像の一要素として描きつつ、物語の中心は遺品整理の仕事と家族関係に置かれている。
キャスティングと撮影[編集]
2019年12月17日、Netflixは主演にイ・ジェフンとタン・ジュンサンを起用すると発表した。イ・ジェフンは台本を読んで2日後に監督と制作会社代表に会い、その場で出演を決めたと語っており、本人にとって最も短い検討期間だったという。2020年6月3日にはチ・ジニ、イ・ジェウク、ホン・スンヒの出演が発表された。
撮影は2020年3月から9月にかけて清州市一帯で行われた。同年8月下旬には新型コロナウイルス感染症の再拡大により、Netflixの韓国作品の撮影が一時中断され、本作も影響を受けた。イ・ジェフンはサングの荒んだ雰囲気を出すために髪型やひげを自ら選び、元格闘家という設定に合わせて数か月にわたり週5〜6時間の筋力トレーニングを行ったという。
舞台と題名[編集]
題名の「ムーブ・トゥ・ヘブン」は劇中の遺品整理会社の社名で、「天国への引っ越し」を手伝うという意味を持つ。作業の開始時にグルが故人に向けて「遺品整理士ハン・グルです。これより最後の引っ越しを始めます」と挨拶するのが定型となっている。会社の建物の向かいではユン・ナムの両親がチキン店を営んでおり、近所の人々との関係も物語の背景をなす。
あらすじ[編集]
遺品整理会社「ムーブ・トゥ・ヘブン」を営む父ハン・ジョンウと二人で暮らしていた青年ハン・グルは、父の急死によって一人になる。父の遺言により後見人として現れたのは、刑務所を出たばかりの叔父チョ・サングだった。サングは非合法の格闘試合で後輩を昏睡状態に陥らせて服役していた人物で、3か月の試用期間をグルと同居して働けば遺産を受け取れるという条件を金目当てで受け入れる。
グルの特性を知らずに戸惑うサングだったが、二人は依頼のたびに故人の部屋と向き合っていく。工場で労災事故に遭い亡くなったインターンの青年(第1話)、現金と通帳の記録に遺族へのメッセージを残した母親(第2話)、殺人事件の現場となった部屋(第3〜4話)、同性の恋人への想いを隠したまま命を落とした医師(第5話)、寄り添って暮らした老夫婦(第6話)、アメリカに養子に出され、のちに強制送還された青年マシュー・グリーンの生みの母探し(第9話)など、遺品は故人の生きた証と遺族への言葉を浮かび上がらせる。
並行して、サングとジョンウの過去、サングを服役に至らせた後輩キム・スチョルとの関係(第7話)が明らかになっていく。闇格闘試合の興行主に追い込まれたサングは、グルと家を守るために再びリングに上がる決意をする(第8〜9話)。最終話では父との別れを受け入れきれないグルが家を飛び出し、同居期間の終わりとともにサングの後見人としての適格性が判断される(第10話)。
登場人物 / キャスト[編集]
※括弧内は日本語吹替。
| 役名 | 俳優 | 設定 |
|---|---|---|
| チョ・サング | イ・ジェフン(前野智昭) | グルの叔父。元格闘家で、闇試合で後輩を昏睡させ服役していた。出所後、グルの後見人としてムーブ・トゥ・ヘブンで働く。少年期はチン・ユチャンが演じた。 |
| ハン・グル | タン・ジュンサン(榎木淳弥) | 父の死後、ムーブ・トゥ・ヘブンを引き継ぐ遺品整理士。アスペルガー症候群があり、優れた記憶力を持つ。幼少期はチャン・ホジュンが演じた。 |
| ユン・ナム | ホン・スンヒ(吉岡茉祐) | グルの幼なじみで隣人。突然現れたサングを警戒し、母に隠れてムーブ・トゥ・ヘブンの仕事を手伝う。 |
| ハン・ジョンウ | チ・ジニ | グルの父で会社の創業者。元は釜山の消防士で、捨てられていた乳児を救い、妻とともに養子として迎えグルと名付けた。心臓の病を隠したまま急死する。サングとは母を同じくする兄。 |
| ミン・ジウォン | キム・ジュヨン | ジョンウの妻でグルの母。グルが幼い頃に病気で亡くなっている。 |
| パク・ジュテク | イ・ムンシク | 廃棄物収集トラックの運転手でジョンウの友人。脱北者。 |
| オ・ヒョンチャン | イム・ウォニ | 弁護士。ジョンウの依頼でサングに連絡し、後見の条件を説明する。 |
| パク・ジュニョン | ホンソク | 警察官。事件現場でムーブ・トゥ・ヘブンと顔を合わせ、グルを手助けする。 |
| ユン・ヨンス | チョン・ソギョン | ナムの父。チキン店を営む。 |
| オ・ミラン | チョン・ヨンジュ | ナムの母。娘が遺品整理の仕事に関わることに反対している。 |
| キム・スチョル | イ・ジェウク | サングの弟子でボクサー。引退後の生活資金のため闇試合に出場し、昏睡状態となる。 |
| キム・スジン | パク・ジョンウォン | スチョルの妹。 |
| チョン・マダム | チョン・エヨン | 闇格闘試合の興行主。出所したサングを再び試合に引き込もうとする。 |
| ソン・ウリム | チェ・スヨン | 身寄りのない人々を支援する社会福祉士。 |
評価・反響[編集]
配信直後から韓国内外で話題となり、孤独死、労働災害、デート暴力、性的少数者、高齢者の心中、海外養子と強制送還といった韓国社会の問題を、1話ごとの遺品整理の依頼を通して描いた構成が評価された。主演二人の演技、とくにグルを演じたタン・ジュンサンへの評価が高く、海外のドラマ評価サイトでも高評価を得た。一方、韓国内の一部では涙を誘う演出が強すぎるという意見もあった。
主な受賞歴は以下の通り。
| 年 | 賞 | 部門 | 対象 | 結果 |
|---|---|---|---|---|
| 2021年 | 第3回アジアコンテンツアワード | ベストクリエイティブ賞 | 本作 | 受賞 |
| 最優秀俳優賞 | イ・ジェフン | 受賞 | ||
| 最優秀脚本賞 | ユン・ジリョン | 受賞 | ||
| アジアコンテンツアワード | ベストOTTオリジナル/クリエイティブ・ビヨンド・ボーダー/新人俳優賞(タン・ジュンサン) | 本作ほか | ノミネート | |
| アジアン・アカデミー・クリエイティブ・アワード | 最優秀ドラマシリーズ賞 | 本作 | 受賞 | |
| 主演男優賞 | イ・ジェフン | 受賞 | ||
| 2022年 | 第8回APANスターアワード | 新人賞(男性) | タン・ジュンサン | 受賞 |
| 第1回青龍シリーズアワード | 主演男優賞 | イ・ジェフン | ノミネート | |
| ディレクターズカット・アワード | 演出賞 | キム・ソンホ | ノミネート | |
| 脚本賞 | ユン・ジリョン | ノミネート |
第3回アジアコンテンツアワードは2021年10月7日に釜山国際映画祭の関連行事として開かれ、本作は同じNetflix作品の『Sweet Home』とともに3冠を獲得した。アジアン・アカデミー・クリエイティブ・アワードでは、韓国代表として各国の作品と競う最終審査(グランドファイナル)で2部門を受賞した。
海外の反応[編集]
本作は配信開始と同時に約190か国で公開され、英語圏のメディアでも好意的に取り上げられた。英音楽誌『NME』は5点満点で5点を付け、2021年のベスト番組の候補になると評したうえで、年末の「2021年の韓国ドラマ ベスト10」で3位に選んだ。レビューサイト『The Review Geek』は10点中9点を付け、タン・ジュンサンの演技とサウンドトラックを高く評価し、死を丁寧かつ敬意をもって描いた作品と評した。
英語圏の視聴者の間では、各話の遺族の物語に加え、第9話で描かれた海外養子の強制送還の問題が、韓国国外ではあまり知られていない現実として注目された。最終話で示唆された「蝶の少女」の存在や、サングとチョン・マダムの因縁が未回収であることから、海外ファンの間でもシーズン2を求める声が多く見られた。
視聴ガイド[編集]
ムーブ・トゥ・ヘブンはどこで見れる?[編集]
本作はNetflixオリジナル作品で、日本を含む世界各国でNetflixのみで配信されている。2021年5月14日に全10話が一挙配信され、地上波やBSでの放送は行われていない。日本語字幕のほか、日本語吹替版も用意されている。
何話まであり、1話は何分?[編集]
シーズン1は全10話で、1話あたりの長さは約44〜62分と回によって幅がある。最終話がもっとも長い。全話の合計は約8時間半である。
シーズン2はある?[編集]
2021年の配信直後、脚本家ユン・ジリョンはシーズン1の制作中からシーズン2に回すべき話の議論があったと明かし、出演者全員がシーズン2があれば必ず出ると言っていると語った。イ・ジェフンも作家が書けば何でもする、準備しておくとインタビューで発言している。ただし2026年時点で、Netflixからシーズン2の制作は公式に発表されていない。
原作の本は日本語で読める?[編集]
原作のキム・セビョル『떠난 후에 남겨진 것들』は韓国で2015年に刊行されたエッセイで、日本語訳の刊行は確認されていない。日本国内では韓国語の原書を扱う書店で「ドラマのモチーフ本」として販売されている例がある。
年齢制限はある?[編集]
韓国では青少年観覧不可(19歳以上)の等級で公開され、日本のNetflixでは16歳以上推奨の区分となっている。殺人事件の現場や闇格闘試合など血や暴力の描写を含む回があるため等級が高く設定されているが、性的な描写はほとんどない。
どんな人に向いている?[編集]
1話ごとに異なる故人の物語が完結する構成のため、連続ドラマに慣れていなくても途中から入りやすい。一方でサングとグルの関係、サングの過去、ジョンウの秘密は全話を通じて進むため、基本的には第1話から順に視聴する作りになっている。
余談[編集]
- Netflixの発表では、父ハン・ジョンウ役のチ・ジニとキム・スチョル役のイ・ジェウクは「特別出演」の扱いとされている。
- イ・ジェフンは本作の配信と同時期に、地上波SBSの『模範タクシー』(2021年4月〜5月放送)に主演しており、配信のヒューマンドラマと地上波の復讐劇で正反対の役柄を並行して見せた。
- イ・ジェフン(1984年生まれ)とタン・ジュンサン(2003年生まれ)は19歳差で、イ・ジェフンは撮影前に世代差を心配していたが、タン・ジュンサンが打ち解けやすく、現場の雰囲気は自然だったと語っている。
- タン・ジュンサンは『愛の不時着』で北朝鮮兵士の最年少隊員クム・ウンドン役を演じて注目された俳優で、本作の配信と近い時期には『ラケット少年団』にも主演している。
- イ・ジェフンはシーズン2が実現した場合について、体力的に厳しい格闘シーンではなく「事務職をやらせてほしい」と冗談交じりに語った。
- 少女時代のチェ・スヨンが社会福祉士ソン・ウリム役で出演しており、出演は配信直前の2021年4月末に明らかになった。

