ぺこぱ
コンビ名 ぺこぱ
メンバー 松陰寺太勇(ツッコミ)
シュウペイ(ボケ)
結成 2008年
事務所 サンミュージックプロダクション
ジャンル 漫才
芸風 ノリツッコまないツッコミ
決め台詞 時を戻そう
M-1 2019年 第3位

概要[編集]

ぺこぱは、松陰寺太勇(しょういんじ たいゆう、ツッコミ)とシュウペイ(ボケ)からなる日本のお笑いコンビ。所属はサンミュージックプロダクション。2019年のM-1グランプリで第3位に入り、一夜にして大ブレイクした。最大の特徴は「ノリツッコまないツッコミ」「誰も否定しないツッコミ」という、それまでの漫才の常識を覆す新しいスタイル。相方のボケを否定して笑いを取るのではなく、いったん受け止めて肯定し、ポジティブに切り返す——という独特の話法が「令和の優しい笑い」として大反響を呼んだ。

松陰寺の「時を戻そう」という決め台詞、ホストのような金髪と派手な衣装、そしてシュウペイの天真爛漫なボケと「シュウペイです!」の自己紹介ポーズ。すべてが強烈に印象的で、ブレイク直後はテレビに引っ張りだこになった。「人を傷つけない笑い」が時代の空気とぴったり合い、お笑いの新しい可能性を示したコンビとして語られている。

メンバー[編集]

松陰寺太勇はツッコミ担当。金髪・革ジャン・派手なメイクという「ホスト風」の見た目とは裏腹に、誰も否定しない包容力のあるツッコミを繰り出す。そのギャップが大きな魅力で、「見た目はチャラいのに、言うことはやたら優しくて深い」というキャラクターで人気を集めた。長い下積みを経てのブレイクで、苦労人ならではの含蓄あるコメントでもファンを惹きつける。

シュウペイはボケ担当。明るく無邪気なキャラクターで、運動神経抜群の身体能力と「シュウペイです!」の元気な自己紹介ポーズがトレードマーク。天然で憎めないキャラは、松陰寺の優しいツッコミと組み合わさることで「ふわふわした幸福感のある漫才」を生み出している。バラエティでは体を張った企画でも活躍している。

結成とブレイク[編集]

コンビ結成は2008年。長らく売れない時期が続き、衣装やキャラクターも試行錯誤を重ねた。現在の「ホスト風×ポジティブツッコミ」のスタイルにたどり着くまでには長い模索があり、ブレイク時には二人とも30代後半に差し掛かっていた。「遅咲き」「苦労人」のブレイクとして、多くの人の共感を呼んだ。

転機は2019年のM-1グランプリ。決勝で披露した「ノリツッコまない」漫才が大きな衝撃を与え、第3位に入賞。「否定しない笑い」「時を戻そう」が一気に流行語化し、翌2020年にかけてテレビのバラエティに出ずっぱりの状態になった。お笑いファンだけでなく一般層にも刺さり、「令和最初の国民的ブレイク芸人」として時代を象徴する存在になった。

芸風「否定しない笑い」[編集]

ぺこぱの漫才の核心は、ツッコミの概念を根本から変えた点にある。従来の漫才はボケを「違うだろ!」と否定(ツッコミ)することで笑いを生んでいたが、松陰寺はボケをいったん受け入れ、「いや、〜かもしれない」とポジティブに解釈し直す。たとえば暴走するボケに対しても、頭ごなしに叱らず「悪くない、時を戻そう」と包み込む。この「誰も傷つけない・否定しない」話法が、多様性や優しさが重んじられる時代の空気と完璧に噛み合った。

この芸風は「画期的な発明」として高く評価される一方、「ワンパターンになりやすい」「キャラに頼っている」という批判も生んだ。しかしぺこぱ自身は、ブレイク後もキャラに溺れず、トーク力やバラエティ対応力を磨くことで「一発屋」のレッテルを跳ね返していった。優しさという新しい武器で漫才の地図を塗り替えた功績は、お笑い史に確かに刻まれている。

ブレイク後の活動[編集]

2019年のM-1ブレイク以降、ぺこぱはバラエティ番組のひな壇からMCまで幅広く活躍の場を広げた。当初は「否定しないツッコミ」というネタのキャラクターが先行していたが、松陰寺の機転の利くトークと、シュウペイの体を張った企画での強さが評価され、漫才以外の場でも確かな実力を示していった。情報番組のコメンテーター、子ども向け番組、CMなど、クリーンで親しみやすいイメージを武器に仕事の幅は着実に広がっている。

特に「誰も傷つけない」というブランドは、コンプライアンスが重視される現代のテレビ・広告業界と相性がよく、ファミリー層や企業からの信頼が厚い。一過性のブームで終わらず、ブレイクから数年を経てもなお安定して活躍を続けている点は、「キャラ芸人は短命」という通説を覆すものだと評価される。二人とも遅咲きで苦労を重ねてきたぶん、売れてからの腰の低さや謙虚な姿勢も、長く愛される理由になっている。

二人の関係と評価[編集]

松陰寺とシュウペイは、長い下積みを共に乗り越えてきた戦友のような関係である。派手な見た目の松陰寺と、天真爛漫なシュウペイ。一見ちぐはぐな二人だが、「松陰寺がシュウペイの自由なボケをすべて受け止める」という構造そのものが、ぺこぱの「否定しない」芸風と完全に一致している。コンビの関係性が、そのまま芸風の根っこになっているのだ。

お笑い界におけるぺこぱの功績は、「ツッコミ=否定」という固定観念を崩し、笑いの新しい形を提示したことにある。攻撃性ではなく肯定で笑わせるという発明は、後輩芸人や他のコンビにも影響を与えた。賞レースの一場面から生まれた小さな違和感が、お笑いの常識を更新する大きなうねりになった——ぺこぱは、その象徴的な存在として記憶されている。

バラエティでの強み[編集]

漫才の独特さに目が行きがちだが、ぺこぱはトークバラエティでも確かな存在感を発揮する。松陰寺は場の空気を読みながら絶妙にコメントを差し込む器用さがあり、シュウペイは無邪気な発言とリアクションで場を和ませる。攻めすぎず引きすぎず、誰とも衝突しないバランス感覚は、共演者からも「やりやすい」「一緒にいて安心する」と評される。この対応力こそが、ブレイク後に消えなかった最大の理由だといわれる。とがった芸人がひしめくお笑い界で、「角の立たない優しさ」を武器に居場所を作ったぺこぱは、現代的なサバイバル術の体現者でもある。

炎上とバズ[編集]

  • 「時を戻そう」流行語:2019年のM-1ブレイクで決め台詞が一気に流行し、その年の流行語大賞候補にもなった。日常会話でも使われるほど浸透した。
  • 「否定しない笑い」論争:その新しさが絶賛される一方、「ツッコミが甘い」「漫才として成立しているのか」という議論も起き、お笑いファンの間で賛否を呼んだ。
  • 一発屋論への反発:ブレイク直後は「来年には消える」と言われたが、トーク力で生き残り、息の長い活躍を見せたことで「一発屋ではなかった」と再評価された。
  • CM・広告での起用:「誰も傷つけない」イメージが企業に好まれ、ブレイク後は多数のCMに起用された。クリーンな好感度が強みになっている。

余談[編集]

  • コンビ名「ぺこぱ」の由来は諸説あり、語感のかわいさが意外とインパクトを残している。強面の松陰寺とのギャップがまた面白い。
  • 松陰寺の「時を戻そう」は、失敗やボケをなかったことにしてやり直すという意味で、ポジティブシンキングの象徴として日常でも使われた。
  • シュウペイは運動神経が抜群で、スポーツ系のバラエティ企画で本領を発揮する。天然キャラとアスリート級の身体能力のギャップも魅力。
  • ブレイクが30代後半と遅かったぶん、二人とも腰が低く礼儀正しいと業界で評判。「売れても変わらない」と好感度が高いとか。
  • 「誰も傷つけない笑い」は、ネット時代のコンプライアンス意識とも相性がよく、令和のお笑いの方向性を象徴するキーワードになった。
  • 松陰寺の衣装はホストのように派手だが、本人は意外と物腰柔らかで真面目。見た目と中身のギャップがぺこぱの全てを物語っている。
  • 松陰寺の革ジャンにはトレードマークの装飾があり、衣装そのものがキャラクターの一部として機能している。脱いだ姿が想像しにくいほど「ホスト風の松陰寺」が定着した。
  • 「否定しない」スタイルは、ビジネス書やSNSで「ぺこぱ思考」「ぺこぱ流ポジティブ変換」として引用されることもある。お笑いが自己啓発の文脈で語られる珍しいケース。
  • シュウペイの自己紹介ポーズは子どもたちに大人気で、保育園や幼稚園で真似されるほど。世代を問わない親しみやすさがぺこぱの強み。
  • ブレイク前は別の芸風・衣装で活動していた時期もあり、現在のスタイルにたどり着くまでの試行錯誤がドキュメンタリー的に語られることもある。
  • ブレイクの2019年は、ちょうど平成から令和へと元号が変わった年。「令和最初の大ブレイク芸人」という肩書きが、時代の節目とぴったり重なって印象を強めた。
  • 二人は普段から仲が良く、テレビ番組での自然な掛け合いも人気。作られたキャラだけでなく、素の関係性の良さがにじみ出ているとファンは言う。

令和の笑いとしての位置づけ[編集]

ぺこぱのブレイクは、単なる一組のコンビの成功にとどまらず、「お笑いの価値観の転換点」として語られることが多い。平成までの「いじり」「ツッコミの鋭さ」「毒舌」で笑わせる文化に対し、令和は「誰も傷つけない」「肯定する」笑いが受け入れられる時代へと移り変わった。その象徴的な存在がぺこぱだった。SNSの普及で誰もが発信者になり、笑いの中の加害性に敏感になった社会の空気を、ぺこぱの優しい漫才は見事に掬い取ったのである。

もちろん「優しさだけでは笑いは作れない」という議論も根強く、ぺこぱの芸風が万能だったわけではない。それでも、攻撃しない笑いでも全国を沸かせられることを証明した意義は大きい。ぺこぱは、お笑いが時代とともにアップデートされ続ける表現であることを、身をもって示したコンビだといえる。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

  • サンミュージックプロダクション 公式サイト