概要
東京ドームとは、東京都文京区後楽にある日本初の全天候型ドーム球場である。1988年3月18日開場。プロ野球・読売ジャイアンツの本拠地であり、大規模コンサートの会場としても使われる。
詳細
建設は、老朽化した後楽園球場の後継として計画された。1988年(昭和63年)3月18日に開場し、天候に左右されずに試合を開催できる日本で最初の球場となった。卵のような外観から、開場当初は「BIG EGG(ビッグエッグ)」の愛称で呼ばれていた。
建築面積は46,755平方メートル、収容人数は約4万8千人。開場年から読売ジャイアンツと北海道移転前の日本ハムが本拠地として使用した。
所在地は文京区後楽1丁目で、最寄りは水道橋・後楽園・春日の各駅。周囲には遊園地・ホテル・商業施設が集まり、一帯は「東京ドームシティ」として運営されている。
空気膜構造
屋根は鉄骨で支えられているのではなく、内部の空気圧で膨らませて形を保っている。「空気膜構造」と呼ばれる方式で、ドーム内の気圧を外気より約0.3パーセント(3ヘクトパスカル)高く保つことで屋根を押し上げている。
この方式には利点がある。柱や巨大な鉄骨のトラスが不要なため、内部に視界を遮るものがなく、屋根そのものも軽い。建設費と工期を抑えられるという計算もあった。
一方で、常に送風機を動かして気圧を維持し続けなければならず、気圧差を保つために出入口は回転扉や二重扉になっている。観客が扉を通るときに風圧を感じるのは、外と中で気圧が違うためである。屋根を支えているのが構造材ではなく空気だという点は、建物の見た目からはほとんど想像できない。
面積の単位としての「東京ドーム○個分」
日本語の報道で、広さを説明するときに「東京ドーム○個分」という言い方が頻繁に使われる。この換算のもとになっているのが、建築面積のおよそ4.7ヘクタールという数字である。
この単位が定着したのには理由がある。ヘクタールや平方キロメートルは日常生活で使う機会がなく、数字を聞いても大きさの感覚が湧かない。これに対して東京ドームは、テレビ中継を通じて多くの人が内部の広がりを見たことがある。実際に訪れたことがなくても、映像で見た記憶があるぶん「だいたいこのくらい」という手がかりになる。
つまりこの単位は、正確さではなく想像しやすさを優先した比喩である。そのため、換算の基準が建築面積なのか敷地面積なのかグラウンド面積なのかは、使う媒体によってまちまちになっている。
会場としての位置
音楽の会場としては、収容4万人台という規模が意味を持つ。ホール(2,000〜5,000人)、アリーナ(1万人台)、ドーム(4〜5万人)という段階があり、ドームはその最上段にあたる。
日本武道館が「歴史の蓄積によって名前そのものが意味を持つ会場」であるのに対し、東京ドームは「その規模を埋められるかどうか」という動員の試験場に近い性格を持つ。武道館は1万人台半ばで、段階を踏んで動員を伸ばした演者の現実的な次の目標になるが、ドームはその3倍を1日で埋める必要がある。
屋内であるため天候に左右されず、機材の搬入経路や電源も大規模公演を前提に整っている。都心にあり複数路線からアクセスできることも、平日開催を可能にしている条件である。
「ドーム公演」という目標
日本の音楽シーンでは、会場の規模が到達度の指標として語られる。アイドルグループやVTuber、配信者が目標として口にする会場は、おおむねライブハウス、ホール、日本武道館、アリーナ、ドームという順に並ぶ。
東京ドームはその最上段にあたる。日本武道館が1万人台半ばで、動員を段階的に伸ばしてきた演者にとって現実的な次の一歩になるのに対し、東京ドームはその3倍前後を1日で埋める必要がある。段階が一つ飛ぶわけではなく、ここで必要になるのは動員の質そのものの変化である。ホールを何度も満席にできる演者でも、ドームを埋めるには「その日のために遠方から移動する層」を作らなければならない。
VTuberや配信者がこの種の物理会場を目標に掲げるのも同じ構図で説明できる。YouTubeの同時接続が数十万に達しても、それは無料で見られる視聴であり、交通費と時間を使って会場へ来る観客とは別の数字である。ホロライブプロダクション所属のユニットが有明アリーナ規模の公演を節目として扱ってきたのは、この違いを前提にしている。ババババンビが日本武道館を目標に掲げ、2024年に実現したのも同じ段階の話である。
なお、東京ドームは関東地方の中心部にあるため、埼玉県・千葉県・神奈川県から当日の往復が可能な圏内に相当な人口を抱えている。ドーム規模の公演が成立する条件のひとつは、この後背人口である。
よくある質問
- 東京ドームはいつできた?
- 1988年3月18日に開場した。日本初の全天候型ドーム球場である。
- 収容人数は?
- 約4万8千人。建築面積は46,755平方メートル。
- 「ビッグエッグ」って何?
- 開場当初の愛称。卵のような外観に由来する。
- 屋根はどうやって支えている?
- 柱や鉄骨ではなく、内部の空気圧で膨らませる空気膜構造。内側の気圧を外気より約3ヘクトパスカル高く保っている。
- 「東京ドーム○個分」は何平方メートル?
- 建築面積の約46,755平方メートル(約4.7ヘクタール)を基準にすることが多い。ただし媒体によって基準が異なる場合がある。
余談
- 空気圧で屋根を保つ構造のため、理屈のうえでは送風を止めると屋根がしぼむ。実際には複数系統の送風機と非常用電源で維持されている。
- 「東京ドーム○個分」という表現は日本語圏でしか通じない。英語圏では面積の比喩にサッカー場やセントラルパークが使われることが多く、比喩に使われる対象はその国で誰もが映像で見たことのあるものに収束する。
- 前身の後楽園球場は屋根がなく、雨天中止が興行上の大きなリスクだった。ドーム化の最大の動機は観客の快適さではなく、中止による損失をなくすことにあった。