概要
モデルとは、絵画・彫刻・写真などの素材として自身の身体像を提供する仕事、またはその仕事に就く人を指す職業である。ファッション、広告、美術の各分野で求められる資質が大きく異なる。
詳細
モデルという職業は、対象となる媒体によって内容がまったく違う。
- ファッションモデル - 衣服を着用して見せる。ランウェイ(ショー)とスチール(撮影)に大別される。
- 広告モデル - 商品・サービスの広告に出演する。商品を使う人物として撮られることが多い。
- 美術モデル - 絵画・彫刻の制作のために静止姿勢を保つ。デッサン教室や美大の授業で不可欠な存在。
- パーツモデル - 手・脚・髪などの部分だけを担当する。
- 読者モデル - 一般読者から起用される。雑誌の読者層との距離の近さが価値になる。
日本ではグラビアアイドル、アイドル、タレントとの境界が曖昧で、同一人物が複数の肩書きを持つことが普通である。ゼロイチファミリア所属の真島なおみ、林ゆめ、アンジェラ芽衣らはモデルとグラビアの双方で活動している。
ファッションモデルと「規格」
ファッションモデルの世界で身長や体型の基準が語られるのは、衣服の設計に理由がある。
ショーで着用されるサンプル衣装は、デザイナーが1サイズしか作らないことが多い。複数サイズを作ると制作コストとスケジュールが膨らむためである。結果として「そのサンプルが着られる体型」が採用条件になり、身長やサイズの幅が狭くなる。モデル側の資質の問題というより、制作工程の都合が先にある。
2010年代以降、この前提には見直しの動きがある。多様な体型のモデルを起用するブランドが増え、サンプルサイズの複数展開に踏み込む例も出てきた。ただし業界全体の慣行が置き換わったとまでは言えず、評価はまだ定まっていない。
一方、日本の雑誌グラビアや広告の現場では、この規格の縛りが相対的に弱い。誌面は静止画であり、衣装もその都度用意されるためである。だからこそ姫野ひなののように低身長を看板にするケースと、真島なおみのように高身長を看板にするケースが同じ市場で並立できる。
日本のモデル市場の特徴
日本のモデル業は、雑誌との結びつきが強いという特徴を持つ。専属モデルという制度がその代表で、特定の雑誌に継続して登場する契約を結ぶ形式である。読者は毎号同じ顔を見ることになり、雑誌のブランドとモデルの知名度が同時に育つ。
近年はこの構図が変わりつつある。雑誌の発行部数が縮小する一方、InstagramやTikTokのフォロワー数が起用の判断材料として重みを増したためである。ブランドから見ると、雑誌に広告を出すより、フォロワーを抱えるモデル個人に直接依頼したほうが到達数を計算しやすい場面がある。コスプレイヤーや配信者からモデル業に入る経路が開いたのも同じ理由による。
余談
- 美術モデルは記録に残る限り最も古いモデル業で、絵画や彫刻の歴史とほぼ同じだけの歴史がある。カメラの登場でモデル業が生まれたわけではない。
- パーツモデルは、担当部位の状態を保つために日常生活に細かい制約を設けることがあり、手のモデルが水仕事を避けるといった話が知られている。
- 「モデル体型」という言葉は日本語の日常語として定着しているが、実際のモデルの体型はジャンルによってまったく異なるため、業界内ではあまり使われない。
- レースクイーンは日本独自に発達したモデル職の一形態で、英語圏では grid girl と呼ばれてきた。